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65話
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「すみません。図書室のことは覚えていません。でも飯島先輩の気持ちは伝わりました。自分で言うのは照れくさいですが、本気であたしのことが好きなんですね。嬉しいです」
図書室のことは素直に覚えていないと謝罪する茜。
しかし、茜も密樹の本気が伝わったからだろうか、照れているもののとても嬉しそうな表情を浮かべている。
茜だって普通の女の子である。
こんな可愛くて格好良い男の娘に惚れられたら嬉しいのだろう。
その瞬間、早苗の心に針に刺されたような鋭い痛みが走り、反射的に茜の腕に抱き着いた。
「どうしたの早苗。いきなり抱き着いて」
「いや、これは……なんでもない」
不意に抱き着かれて驚く茜。
なぜ自分でも茜に抱き着いてしまったのか分からない早苗は、適当に誤魔化す。
本当に意味が分からない。
早苗は罰が悪い顔をしながら、茜から離れる。
「良かった~。これで少なくとも神崎さんに嫌われていたり、面倒だとは思われていないことは分かったよ」
茜の反応が好感触だったことに、密樹は安堵する。
「いえ、ラブレターをもらった時や告白されたときはあまり乗り気ではありませんでした。でも今の話を聞いて本気であたしのことが好きなことが分かりました。それはとても嬉しく思っております」
茜は素直な女の子だ。
ラブレターもらった時や告白された時の心情を包み隠さず密樹に伝える。
最初はショックを受けていた密樹だが、その茜の心変わりを聞いて、逆に笑顔が増えていく。
「お互いまだ初対面だ。少しずつ知っていけば良いさ」
「そうですね、飯島先輩」
笑顔で話す二人。
そこに早苗が入りこめる隙間は一ミリもなかった。
なんで自分はこんなところにいるのだろう。
早苗のモヤモヤは胸に溜まり続けた。
今日も雨が降りそうなぐらい、厚い雲に覆われていた。
図書室のことは素直に覚えていないと謝罪する茜。
しかし、茜も密樹の本気が伝わったからだろうか、照れているもののとても嬉しそうな表情を浮かべている。
茜だって普通の女の子である。
こんな可愛くて格好良い男の娘に惚れられたら嬉しいのだろう。
その瞬間、早苗の心に針に刺されたような鋭い痛みが走り、反射的に茜の腕に抱き着いた。
「どうしたの早苗。いきなり抱き着いて」
「いや、これは……なんでもない」
不意に抱き着かれて驚く茜。
なぜ自分でも茜に抱き着いてしまったのか分からない早苗は、適当に誤魔化す。
本当に意味が分からない。
早苗は罰が悪い顔をしながら、茜から離れる。
「良かった~。これで少なくとも神崎さんに嫌われていたり、面倒だとは思われていないことは分かったよ」
茜の反応が好感触だったことに、密樹は安堵する。
「いえ、ラブレターをもらった時や告白されたときはあまり乗り気ではありませんでした。でも今の話を聞いて本気であたしのことが好きなことが分かりました。それはとても嬉しく思っております」
茜は素直な女の子だ。
ラブレターもらった時や告白された時の心情を包み隠さず密樹に伝える。
最初はショックを受けていた密樹だが、その茜の心変わりを聞いて、逆に笑顔が増えていく。
「お互いまだ初対面だ。少しずつ知っていけば良いさ」
「そうですね、飯島先輩」
笑顔で話す二人。
そこに早苗が入りこめる隙間は一ミリもなかった。
なんで自分はこんなところにいるのだろう。
早苗のモヤモヤは胸に溜まり続けた。
今日も雨が降りそうなぐらい、厚い雲に覆われていた。
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