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61話
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昼休みになり、早苗と茜は屋上へと向かう。
「今日は久しぶりに二人で食べようか」
「そうだね。四人も良いけど、たまには二人も良いよね」
教室を出る前にミチルたちを見ると、ミチルも渚もとても楽しそうにご飯の用意をしている。
たまにはカップル同士、二人で食べれば良いのに、ミチルも渚も四人で食べることに固執している。
きっとそれはミチルや渚なりの気遣いだろう。
早苗たちとミチルたちがずっと友達でいられるように。
「ミチルも渚もカップルだね。とても幸せそう」
「そうだね。ミチルちゃんも渚ちゃんも半分ぐらいは二人で食べれば良いのに」
「ミチルも渚もあたしたちに気を使っているんだろう。全く、優しいカップルだ」
茜もミチルたちの気遣いには気づいていたらしく、ヤレヤレとため息をこぼす。
昼休みの廊下は活気に満ちていたが、それに反比例するかのように早苗の気分は下がっていった。
朝にも思ったが、早苗はあまり乗り気ではない。
別に密樹のことが嫌いなわけではないのだが、茜と密樹が話している姿を見るとなぜかモヤモヤするのだ。
そのせいで、早苗の足取りはどんどん遅くなり茜も早苗の異変に気づく。
「どうしたの早苗。歩くスピードがいつもより遅いけど。もしかして体調が悪いんじゃない。あたしが送っていくからすぐに早退の用意をしよう。飯島先輩には悪いが今日は断ることにするよ。背に腹は代えられないからね」
いつもと様子が違う早苗に、幼馴染の茜はすぐに気づく。
本当に早苗のことが好きで心配しているらしく、自分が早退して家まで送っていくと言ってくれる。
「ううん、大丈夫だから。それよりも屋上に行こう。飯島先輩が待ってるよ」
茜の優しさは嬉しいが、体調は全然悪くない。
歩くスピードが遅かったのは密樹と一緒にいるのが憂鬱だったからだ。
でもそんなことを知られてせっかくの茜の恋路を邪魔するのは嫌だし、そもそも早苗はその気持ちを茜に知られたくはなかった。
「無理しなくて良いよ。幼馴染なんだから早苗の嘘ぐらい分かるよ」
姉弟のように育った幼馴染だからだろうか、茜は早苗の嘘を見破る。
「別に無理してないから。大丈夫だから」
体調が悪いわけではなく、ただ密樹と茜が楽しそうに話している姿を見たくなかっただけだ。
でも密樹と茜を二人っきりにさせるのも、それはそれで嫌だったから茜についていくのだ。
「……早苗が大丈夫ならこれ以上なにも言わないけど、本当に体調が悪いならすぐに言ってね。家まで送っていくから」
どうやら体調が悪いという嘘は見破っていたが、密樹と茜が話している姿を見たくないということまでは見破られていなかった。
「今日は久しぶりに二人で食べようか」
「そうだね。四人も良いけど、たまには二人も良いよね」
教室を出る前にミチルたちを見ると、ミチルも渚もとても楽しそうにご飯の用意をしている。
たまにはカップル同士、二人で食べれば良いのに、ミチルも渚も四人で食べることに固執している。
きっとそれはミチルや渚なりの気遣いだろう。
早苗たちとミチルたちがずっと友達でいられるように。
「ミチルも渚もカップルだね。とても幸せそう」
「そうだね。ミチルちゃんも渚ちゃんも半分ぐらいは二人で食べれば良いのに」
「ミチルも渚もあたしたちに気を使っているんだろう。全く、優しいカップルだ」
茜もミチルたちの気遣いには気づいていたらしく、ヤレヤレとため息をこぼす。
昼休みの廊下は活気に満ちていたが、それに反比例するかのように早苗の気分は下がっていった。
朝にも思ったが、早苗はあまり乗り気ではない。
別に密樹のことが嫌いなわけではないのだが、茜と密樹が話している姿を見るとなぜかモヤモヤするのだ。
そのせいで、早苗の足取りはどんどん遅くなり茜も早苗の異変に気づく。
「どうしたの早苗。歩くスピードがいつもより遅いけど。もしかして体調が悪いんじゃない。あたしが送っていくからすぐに早退の用意をしよう。飯島先輩には悪いが今日は断ることにするよ。背に腹は代えられないからね」
いつもと様子が違う早苗に、幼馴染の茜はすぐに気づく。
本当に早苗のことが好きで心配しているらしく、自分が早退して家まで送っていくと言ってくれる。
「ううん、大丈夫だから。それよりも屋上に行こう。飯島先輩が待ってるよ」
茜の優しさは嬉しいが、体調は全然悪くない。
歩くスピードが遅かったのは密樹と一緒にいるのが憂鬱だったからだ。
でもそんなことを知られてせっかくの茜の恋路を邪魔するのは嫌だし、そもそも早苗はその気持ちを茜に知られたくはなかった。
「無理しなくて良いよ。幼馴染なんだから早苗の嘘ぐらい分かるよ」
姉弟のように育った幼馴染だからだろうか、茜は早苗の嘘を見破る。
「別に無理してないから。大丈夫だから」
体調が悪いわけではなく、ただ密樹と茜が楽しそうに話している姿を見たくなかっただけだ。
でも密樹と茜を二人っきりにさせるのも、それはそれで嫌だったから茜についていくのだ。
「……早苗が大丈夫ならこれ以上なにも言わないけど、本当に体調が悪いならすぐに言ってね。家まで送っていくから」
どうやら体調が悪いという嘘は見破っていたが、密樹と茜が話している姿を見たくないということまでは見破られていなかった。
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