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60話
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ホームルームギリギリに教室に入ったせいで、ミチルとは朝、話すことができなかった。
昨日の告白の結果を知りたかったミチルは、休み時間になった瞬間、早苗たちに詰め寄った。
「昨日の告白はどうだったのっ」
「ミチル、少し落ち着いて。ミチルの圧が強すぎて二人とも引いてるから」
告白の結果がずっと気になっていたようで、ミチルの圧が凄く早苗も茜も引いてしまった。
そんなミチルを彼女として渚は落ち着かせる。
「一旦保留って感じかな。そもそもあたし、飯島先輩のことよく知らないし、よく知らないのに断るのは失礼かな~って思って」
「えっ、保留なのっ。茜のことだからてっきり断ったと思ってた。だって、ラブレターもらった時、あまりの乗り気じゃなかったじゃん」
「確かに乗り気ではなかったけど、まずは飯島先輩のことを知ることから始めたいと思って。それからお付き合いするかどうかは考えるつもり」
茜が出した答えが予想外だったらしく、ミチルは大声を上げながら驚いていた。
確かに昨日までは茜も断るつもりだったとミチルも思う。
しかし、よく知らないまま断るのは失礼だと密樹に告白された時茜は考えを変え、まずは密樹の知るために友達になった。
「飯島先輩のことを知りたいってやっぱり好意はある感じなの」
「分からない。分からないから飯島先輩とは友達から始めるつもり。そして少しずつ飯島先輩のことを知って判断するつもり」
密樹の告白をすぐに断らなかったことから少なからず密樹に好意を抱いていると思ったミチル。
しかし茜はそれすらも分からないようで、首を横に振る。
茜からすれば密樹は昨日告白されるまで、赤の他人だった。
いきなり赤の他人に告白されても好意も嫌悪もないとミチルも思う。
だから自分が密樹のことをどう思っているのか知るために茜は友達から少しずつ仲良くなることを決めたのだろう。
付き合うか、断るかを決めるために。
「確かにいきなり知らない人に告白されてもどう反応すれば良いか分からないよね」
渚も茜の気持ちが分かるらしく、茜に共感する。
「それで大切な幼馴染が告白されたけど早苗はどうなの?」
「……ミチル」
いきなりミチルからキラーパスが来て、早苗は困惑する。
渚が困っているようなミチルを怒っているような表情を浮かべている。
「どうって言われても、二人が幸せなら私も嬉しいし、私は茜ちゃんにとって幸せな方を選んでほしいと思うよ。だって私と茜ちゃんは幼馴染だし、茜ちゃんの不幸な姿なんて見たくないからね」
「……」
早苗は茜の幸せのために、自分の感情を押さえつけながら自分の思いを伝える。
茜に幸せになってほしいのは本当だ。
でも、茜と密樹が付き合うことに素直に喜べない自分がいるのも事実だ。
今まで茜の隣は早苗の特等席だった。
でも茜が密樹と付き合えば、茜の隣は密樹の特等席になり、自分はもう二度と隣にいることはできないだろう。
そう思うと、胸が苦しくなってモヤモヤする。
でも本当のことを茜に伝えたらきっと茜は早苗のためにすぐに密樹との交際は断るだろう。
もし茜にとって密樹と付き合う方が幸せならそれを邪魔したくはない。
だから早苗は茜のことを思い、我慢することに決めた。
決して、この思いを決壊させないと心に誓いながら。
その時、茜はなにか言いたそうな表情をしていたが、結局茜はなにも言わず早苗を見つめていた。
昨日の告白の結果を知りたかったミチルは、休み時間になった瞬間、早苗たちに詰め寄った。
「昨日の告白はどうだったのっ」
「ミチル、少し落ち着いて。ミチルの圧が強すぎて二人とも引いてるから」
告白の結果がずっと気になっていたようで、ミチルの圧が凄く早苗も茜も引いてしまった。
そんなミチルを彼女として渚は落ち着かせる。
「一旦保留って感じかな。そもそもあたし、飯島先輩のことよく知らないし、よく知らないのに断るのは失礼かな~って思って」
「えっ、保留なのっ。茜のことだからてっきり断ったと思ってた。だって、ラブレターもらった時、あまりの乗り気じゃなかったじゃん」
「確かに乗り気ではなかったけど、まずは飯島先輩のことを知ることから始めたいと思って。それからお付き合いするかどうかは考えるつもり」
茜が出した答えが予想外だったらしく、ミチルは大声を上げながら驚いていた。
確かに昨日までは茜も断るつもりだったとミチルも思う。
しかし、よく知らないまま断るのは失礼だと密樹に告白された時茜は考えを変え、まずは密樹の知るために友達になった。
「飯島先輩のことを知りたいってやっぱり好意はある感じなの」
「分からない。分からないから飯島先輩とは友達から始めるつもり。そして少しずつ飯島先輩のことを知って判断するつもり」
密樹の告白をすぐに断らなかったことから少なからず密樹に好意を抱いていると思ったミチル。
しかし茜はそれすらも分からないようで、首を横に振る。
茜からすれば密樹は昨日告白されるまで、赤の他人だった。
いきなり赤の他人に告白されても好意も嫌悪もないとミチルも思う。
だから自分が密樹のことをどう思っているのか知るために茜は友達から少しずつ仲良くなることを決めたのだろう。
付き合うか、断るかを決めるために。
「確かにいきなり知らない人に告白されてもどう反応すれば良いか分からないよね」
渚も茜の気持ちが分かるらしく、茜に共感する。
「それで大切な幼馴染が告白されたけど早苗はどうなの?」
「……ミチル」
いきなりミチルからキラーパスが来て、早苗は困惑する。
渚が困っているようなミチルを怒っているような表情を浮かべている。
「どうって言われても、二人が幸せなら私も嬉しいし、私は茜ちゃんにとって幸せな方を選んでほしいと思うよ。だって私と茜ちゃんは幼馴染だし、茜ちゃんの不幸な姿なんて見たくないからね」
「……」
早苗は茜の幸せのために、自分の感情を押さえつけながら自分の思いを伝える。
茜に幸せになってほしいのは本当だ。
でも、茜と密樹が付き合うことに素直に喜べない自分がいるのも事実だ。
今まで茜の隣は早苗の特等席だった。
でも茜が密樹と付き合えば、茜の隣は密樹の特等席になり、自分はもう二度と隣にいることはできないだろう。
そう思うと、胸が苦しくなってモヤモヤする。
でも本当のことを茜に伝えたらきっと茜は早苗のためにすぐに密樹との交際は断るだろう。
もし茜にとって密樹と付き合う方が幸せならそれを邪魔したくはない。
だから早苗は茜のことを思い、我慢することに決めた。
決して、この思いを決壊させないと心に誓いながら。
その時、茜はなにか言いたそうな表情をしていたが、結局茜はなにも言わず早苗を見つめていた。
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