好感度MAXから始まるラブコメ

黒姫百合

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33話

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「ボクもずっとミチルのパートナーでいるよ。だからこれからもよろしくね」

 渚もミチルと同じ気持ちらしく、今度はクールな表情で自分の思いをミチルに伝えた。
 また一歩、距離が縮まったミチルだが大事なことを思い出す。
 それは、今日こそ渚とイチャつくということだった。
 今までミチルは渚に嫌われるのが怖くて、イチャイチャしたり甘えることができなかった。
 もしミチルが渚とイチャイチャしたり甘えたせいで渚に嫌われたら、しばらくの間は立ち直れる気がしない。
 早苗と茜は、渚に限ってそんなことはないと言っていたが不安なものは不安だ。
 イチャイチャしたいのはミチルだけで、渚はまだ早いと思っているかもしれない。
 渚の本心を知るために、ミチルは意を決して渚に自分の今の思いを伝える。

「渚」
「ん? どうしたのミチル。そんな真剣な表情でボクの名前を呼んで」
「あ、あたしは、な、渚のことが好き」

 緊張しすぎているせいでカミカミだったが、渚は笑うことなく真剣な表情でミチルの話を聞く。

「だから、もっと渚とイチャイチャしたい。手を繋ぎたいしハグもしたいしキスもしたい。でも渚に嫌われたらどうしようと思って、今までできなかった。渚に『まだ早いよ』って拒否されるのが怖かったから」

 ミチルは渚に全てをさらけ出した。
 もっと渚とイチャイチャしたいこと。渚に拒否されるのが怖かったこと。

「……クスクス」

 ミチルの思いを受け取った渚はなぜか笑いをこらえていた。
 これにはミチルも呆気にとられた表情を浮かべる。

「ミチルはそんなことを悩んでいたんだね」
「そんなことじゃないもん。あたしからすれば、大問題だったんだよ」
「ごめんごめん。別にミチルのことを馬鹿にしたんじゃないよ。やっぱりミチルって不器用なんだなーって思っただけ」

 ミチルの悩みをそんなことと渚に言われ、ミチルは思わず声を荒げてしまう。
 渚はミチルに自分の真意が伝わっていないことに気づき、訂正する。

「……不器用で悪かったわね」
「悪くないよ。そんなミチルも可愛いとボクは思うよ」

 不器用と言われ拗ねるミチルに、渚はミチルの頭を撫でながら慰める。

「実はね、ボクもミチルとイチャイチャしたかったんだよ。でもミチルに嫌われるのが怖かったからボクもミチルと積極的にイチャイチャできなかった。ミチルって少しずつ距離を詰めていく男の娘だから、一気に距離を詰めたら嫌われると思って。つまりボクたちは同じことで悩んで、二人で空回りしてたんだね」

 渚の本音を聞いたミチルは心が軽くなるのが分かった。
 ミチルが渚に嫌われるのを恐れたように、渚もまたミチルに嫌われることを恐れていたのだ。
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