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28話
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「ミチル、一緒に帰ろう」
「ごめん。今日はちょっと用事があるから先に帰ってて」
「別にミチルの用事ぐらい待つよ」
「今日は大丈夫。ごめんね渚」
放課後。
いつものように渚がミチルと一緒に帰ろうとすると、今日は珍しくその誘いを断る。
渚は彼氏のミチルと一緒に帰りたいらしく、ミチルの用事が終わるまで待つと言ったが、その誘いも断ってミチルは脱兎のごとく教室を飛び出した。
「残念。ミチルに断られてしまった。それじゃー今日は一人で帰るか」
そう言う渚の表情は微かに寂しそうな表情をしていた。
ちなみに、渚と早苗たちは家が逆方向のため、一緒に途中まで下校することができない。
「校門前だけど一緒に帰ろうか、早苗、茜」
「うん」
「やっと授業終わった。これでやっと家に帰れる」
家は逆だが、校門前まではどの生徒も同じ帰り道である。
渚に誘われた早苗と茜はいつも通り、校門前まで渚と一緒に帰る。
茜の言う通り、やっと家に帰ることができるので放課後の開放感は気持ちが良い。
「付き合ってからいつもミチルと一緒に帰ってるから、一人だと寂しいな」
三人で廊下を歩いていると、珍しく渚が愚痴を漏らす。
「ミチルちゃんも今日だけはきっとどうしても外せない用事があるんだよ」
早苗はミチルのためにフォローしておく。
「そうだよね。ミチルにもミチルの用があるのに、ミチルを困らせる我がままはダメだよね」
早苗に窘められ、渚は自分自身で我がままを言いすぎていたことを自覚し、反省する。
「あたしは別にミチルに対しては我がままでも良いと思うよ。渚は彼女だしね。でも本気で困らせることはダメだと思うけど」
「それは、なかなか難しいね」
「……確かに自分で言ってなんだけど、確かに難しそう」
茜も渚をフォローしつつも、自分なりのアドバイスをする。
簡単そうで難しいアドバイスに、渚は逆に頭を悩ます。
渚の言う通り、どのくらいの我がままで相手が困るのか、それは相手によって基準が違う。
アドバイスした茜も思わず納得してしまい、反省する。
「早苗と茜はいつも一緒にいるけど、二人は一人になりたい時ってないの」
「ないよ。私、茜ちゃんのことが好きだし」
「ないかな。あたしも早苗のこと好きだし」
「それに昔から一緒にいることの方が当たり前だったし、一緒にいても一人でいても変わらないよね」
「そうそう。一人でいても早苗といてもやることは変わらないし」
「……二人を参考にしようとしたボクが馬鹿だったよ。そう言えば二人は例外だったんだ」
茜も早苗と同じ気持ちだということが分かり、自然と頬がにやけてしまう。
それを見た茜も優しい眼差しで早苗を見つめる。
甘々な空気を出しながら見つめ合う二人を見て、渚は一人頭を抱えていた。
「ごめん。今日はちょっと用事があるから先に帰ってて」
「別にミチルの用事ぐらい待つよ」
「今日は大丈夫。ごめんね渚」
放課後。
いつものように渚がミチルと一緒に帰ろうとすると、今日は珍しくその誘いを断る。
渚は彼氏のミチルと一緒に帰りたいらしく、ミチルの用事が終わるまで待つと言ったが、その誘いも断ってミチルは脱兎のごとく教室を飛び出した。
「残念。ミチルに断られてしまった。それじゃー今日は一人で帰るか」
そう言う渚の表情は微かに寂しそうな表情をしていた。
ちなみに、渚と早苗たちは家が逆方向のため、一緒に途中まで下校することができない。
「校門前だけど一緒に帰ろうか、早苗、茜」
「うん」
「やっと授業終わった。これでやっと家に帰れる」
家は逆だが、校門前まではどの生徒も同じ帰り道である。
渚に誘われた早苗と茜はいつも通り、校門前まで渚と一緒に帰る。
茜の言う通り、やっと家に帰ることができるので放課後の開放感は気持ちが良い。
「付き合ってからいつもミチルと一緒に帰ってるから、一人だと寂しいな」
三人で廊下を歩いていると、珍しく渚が愚痴を漏らす。
「ミチルちゃんも今日だけはきっとどうしても外せない用事があるんだよ」
早苗はミチルのためにフォローしておく。
「そうだよね。ミチルにもミチルの用があるのに、ミチルを困らせる我がままはダメだよね」
早苗に窘められ、渚は自分自身で我がままを言いすぎていたことを自覚し、反省する。
「あたしは別にミチルに対しては我がままでも良いと思うよ。渚は彼女だしね。でも本気で困らせることはダメだと思うけど」
「それは、なかなか難しいね」
「……確かに自分で言ってなんだけど、確かに難しそう」
茜も渚をフォローしつつも、自分なりのアドバイスをする。
簡単そうで難しいアドバイスに、渚は逆に頭を悩ます。
渚の言う通り、どのくらいの我がままで相手が困るのか、それは相手によって基準が違う。
アドバイスした茜も思わず納得してしまい、反省する。
「早苗と茜はいつも一緒にいるけど、二人は一人になりたい時ってないの」
「ないよ。私、茜ちゃんのことが好きだし」
「ないかな。あたしも早苗のこと好きだし」
「それに昔から一緒にいることの方が当たり前だったし、一緒にいても一人でいても変わらないよね」
「そうそう。一人でいても早苗といてもやることは変わらないし」
「……二人を参考にしようとしたボクが馬鹿だったよ。そう言えば二人は例外だったんだ」
茜も早苗と同じ気持ちだということが分かり、自然と頬がにやけてしまう。
それを見た茜も優しい眼差しで早苗を見つめる。
甘々な空気を出しながら見つめ合う二人を見て、渚は一人頭を抱えていた。
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