上 下
13 / 99

13話

しおりを挟む
 ミチルに告白されたのは昨日だった。
 いや、正確に言えば告白はされなかった。
 昨日渚は、ミチルと渚の家で遊んでいた。
 早苗も茜も二人で遊んでいるらしく、二人は誘わなかった。

「な、渚って好きな人っているの?」

 渚の自室で、声を震わせながらミチルは渚に質問した。
 脈絡のない質問に困惑する渚だったが、勘の良い渚はミチルがなにを考えているのか分かった。

「いきなりだねミチル。好きな人とか……好きな人はいるよ」
「……えっ」

 渚に好きな人がいることが分かった瞬間、ミチルは露骨にショックを受けた表情を浮かべる。

「もちろん、ミチルと早苗と茜の三人だよ。ボクはこの三人が大好きだ。一番の親友と言っても過言じゃないよ。ボクは三人と友達になれて凄く幸せだ」

 もちろん、渚が好きな人はイツメンの三人のことだ。
 これは比喩でもなんでもなく、渚は高校でこの三人と出会えて幸運だった。
 そのおかげで毎日、楽しく送れている。
 だけど、これは半分本当で半分嘘である。
 渚は三人全員が好きだが、そのうちの一人だけは他の二人とは違う意味で好きだった。
 よく渚は周りから大人っぽいと言われるが、まだ高校二年生の女の子である。
 自分の『好き』と相手の『好き』が違かったらと思うと怖いし、今のこの三人の関係が壊れたりするのは怖い。

「そ、そうなんだ」
「そういうミチルは誰か好きな人がいるのかい」
「……いる」

 渚はミチルが言いやすいように、ミチルにも好きな人がいるのか聞くと、ミチルは恥ずかしそうに頷く。

「ミチルが好きな人って誰なんだい」

 渚はミチルの目をそらさずに見つめる。
 渚もまた、覚悟を決めた。
 その後、ミチルが何度も口をパクパクしてなにか言おうとしたものの、十分経ってもミチルはなにも渚に言わなかった。
 いや、言えなかった。
 部屋の空気がいつもより何倍も重い。
 空気が喉に張り付いているようで、息苦しさも感じる。
 気のせいかもしれないが、ミチルの鼓動が空気を通して伝わってくる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ウザい先輩と可愛げのない後輩

黒姫百合
恋愛
「本当に君は可愛げのない後輩だな」 高校一年生の春、北野真希(きたのまき)は高校三年生の鈴木紗那(すずきさな)に絡まれる。 紗那は真希と仲良くなりたいと思うものの、他人に興味がない真希は紗那をウザがる。 でも何度も話しかけられるたびに真希の方も無視するよりも適当に相手にする方が、時間を浪費しなくて済むことに気づき、少しずつ紗那との交流が増えていく。 そんなある日、紗那とキスをしてしまい……。 ウザイ先輩と可愛げのない後輩が紡ぐ、ラブコメが今、始まる。

柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合
恋愛
「何度も言うが私は青春が嫌いだ」 高校一年生の男の娘、柊瑞希は青春が大嫌いだ。 理由はそんな安っぽい言葉で自分の人生や苦悩を語ってほしくないからである、 青春なんていらない。 瑞希はそう思っていた。 部活も時間の無駄だと思った瑞希は帰宅部にしようとするものの、この学校には帰宅部はなく瑞希はどこかの部活に入るように先生に言われる。 それと同じタイミングで瑞希と同様部活は時間の無駄だと考える少女が先生と言い争っていた。 その後、瑞希は部活をしない部活を創立し、二人の女子と交流を持つようになり……。 ひねくれ男の娘が少しずつ大切なものを知っていく物語が今、始まる。

楠葵先輩は頼られたい

黒姫百合
恋愛
「これからはもっとたくさん楠先輩と思い出を作っていきたいです」  教室に友達がいなかった高校一年生の男の娘、中村優(なかむらゆう)は居心地が悪くなり当てもなく廊下を歩いていると一人の少女にぶつかる。その少女は高校三年生の女の子でもあり生徒会長でもある楠葵(くすのきあおい)だった。  葵と出会った放課後、優は葵に助けられたお礼をするためにシュガーラクスを持っていく。葵は優の作ったシュガーラクスを気に入り、また作って来てほしいとお願いする。 それをきっかけに優は葵とどんどん交流を重ね、しまいにはお泊り会も? 後輩に頼られたい女の子と友達作りが苦手な男の娘のラブコメが今、始まる。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」 俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。 学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。 その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。 少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。 ……どうやら彼は鈍感なようです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 【作者より】 九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。 また、R15は保険です。 毎朝20時投稿! 【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...