好感度MAXから始まるラブコメ

黒姫百合

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5話

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「それに早苗は弱虫で泣き虫だし、あたしがいないと心配だから」
「弱虫じゃないもん。茜ちゃんの意地悪」
「もう早苗ったら」

 茜に意地悪と言われた早苗はポカポカと茜の胸を叩く。
 もちろん、本気で怒っているわけではなくこれも甘えの一種である。
 それが分かっている茜も本気で嫌がっているわけではなく、ただ早苗とじゃれ合っている。

「もう一度だけ確認するけど二人は仲が良いだけで付き合ってないんだよね」
「うん」
「そうだね」

 渚が念には念を入れて最終確認をすると、二人はよどみなく即答する。

「二人が付き合っていなかったなんて今年一のビックリなんだけど」

 ようやくミチルも二人が付き合っていなかった事実を受け止めた。

「逆に私はいつの間にみんなの中で茜ちゃんとカップルになっていたことにビックリだよ」
「あたしも。別にあたしも早苗も告白なんかしてないのにね」

 ミチルが早苗と茜が付き合っていなかったことに驚いているように、早苗も茜も茜と付き合っていると思われていたことに驚いた。
 茜の言う通り、早苗も茜も告白した覚えもないし、告白された覚えもない。
 早苗たちが普通だと思っていたスキンシップも、傍から見ればイチャついているように見えるらしい。
 その後、ホームルームが始まる時間になり四人は自分の席に戻る。

「やっぱり、ゴールデンウィークの後の学校はマジでだる~い」
「早苗、声が大きいからもう少し小さな声で言いなさい」

 五月病でやる気のない早苗は机に両肘をつけながらホームルームを受ける。
 早苗に甘い茜はそんな早苗に的外れな注意をするのであった。



「やっと放課後だ~」

 七時間の授業とホームルームを終えた早苗は机に突っ伏す。
 長期休暇後の学校は特に疲れが溜まりやすいと早苗は思う。

「お疲れ様、早苗」

 そんな疲れ切っている早苗に茜は後ろから抱きしめながら労う。
 どんなに疲れ切っていても茜に抱きしめられるだけで疲れが飛んでいく。

「ありがとう茜ちゃん。茜ちゃんに抱きしめてくれたおかげで疲れが飛んでいったよ」
「それは良かった」

 疲れが吹き飛び、再び元気になる早苗を見て茜も嬉しそうな表情を浮かべる。

「お礼に私も茜ちゃんを抱きしめてあげる」
「早苗の場合、ただ抱き着きたいだけでしょ」
「えへへ」

 早苗は一度立ち上がると正面から茜を抱きしめる。
 本当はただ茜に抱き着きたかっただけなのだが、さすが幼馴染。早苗のことを完璧に理解している。
 茜もそれを分かりながらもやぶさかではない表情を浮かべながら、早苗に抱きしめられる。
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