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85話

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「それにしても手詰まりね」
「あたしも白鳥とは仲良くないしまだ一ヵ月の付き合いしかないから分かりませーん」

 椿や早織にも考えてもらっているのだが、まだ付き合いの浅いせいか見当もつかない。

「白鳥に避けられてるのは私だけなのか? 金森お前たちはどうなんだ」

 この撫子に避けられている状況が瑞希だけなのか、それとも全員なのか。
 そこが分かれば見当もつきやすくなるだろう。
 瑞希だけならやはり瑞希が原因ということが分かり、全員冷たくされているなら原因は瑞希だけが関係していることではないということが分かる。

「さぁー、あたしは白鳥とはほとんど話したことがないから分からないけど」
「確かにそうかもしれないね。僕もあまり白鳥と話したことがないかも」
「言われれば椿と帆波の言うとおりね。あたしもあまり白鳥と話したことがなかったかも」

 椿、帆波、早織が撫子と話した記憶を思い出しながら話す姿を見て瑞希は驚愕の事実を理解する。
 瑞希たちはなんやかんや言ってそれなりに椿たちのグループと一緒に行動している。
 主に舞に連れていかれるのだが。
 そんなことは今は置いといて、その舞のせいで瑞希は椿たちともそれなりに交流を持つことになった。
 でも今思い返してみると、瑞希が椿たちに話しかけらり、話すことはあっても撫子が椿たちに話しかけられたり、話すことはほとはほとんどなかった。
 だから三人とも撫子と話した記憶が薄いのだろう。

「確かにっ。六人でいる時撫子ちゃんが話してる姿あんまり見たことないかもっ」

 舞も今知ったのか驚いた表情を浮かべている。
 ここが一番重要なポイントだったのだが、この時の瑞希たちは気づいていなかった。

「……言われてみればそうかもしれない」

 瑞希も四人の言葉に同意し頷く。

「っていうかこの中で一番仲が良いのは柊でしょ。柊が分からなきゃ分からないでしょ」
「そうだね。この中で一番白鳥と一緒にいるのは柊だもんね。本当になにか心当たりとかないの?」
「そう考えると白鳥のことはあたしたちよりも柊の方が詳しいかもっ」
「確かに一緒にはいるが、別に一色たちが思っているほど一緒にはいないし仲が良いわけでもないぞ」

 三人に指摘され、このクラスで一番撫子といるのが多いと言うことが実感した瑞希。
 確かに椿たちの言う通り、撫子と一緒にいる時間はこのクラスの中で一番多いが撫子も瑞希と同じように一人でいることの方が好きなため、一人でいることの方が多い。

「……確かに撫子ちゃんってなんやかんた言って瑞希ちゃんと一緒にいるのが多いかも。それにあたしたち六人でいる時、撫子ちゃんってあまり口を開いてないかも」

 舞がなにかに気づいたのかブツブツ呟いているが、椿たちがあーだこーだ話しているせいで聞き取れなかった。
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