53 / 103
53話
しおりを挟む
「私だけか。納得してないのわ」
「大丈夫よ。あたしも不満だらけだから。でもあの笑顔を見たら今更水を差すわけにもいかないじゃない」
瑞希も椿も納得していなかったが、あの三人の笑顔を見たら水を差すことはできなかった。
だから、渋々それを受け入れるしかなかった。
そしてタイミングが良いのか悪いのか、ここで予鈴のチャイムが鳴る。
「もう戻らないと遅刻するわね。舞、帆波、早織。戻るわよ」
「うん」
「えへへ、また椿ちゃんと一緒に話せるね」
「陰キャと陽キャの混合グループ。逆に面白いかも」
「早織、それ、全然面白くないから」
予鈴が鳴り、リア充四人組は仲睦まじく教室に戻っていく。
今まであんなに言い争っていたのがまるで嘘のようだった。
「……」
屋上に取り残される瑞希と撫子。
撫子はなぜか不安そうな目で瑞希のことを見ていた。
「どうしたんだ白鳥」
「……いえ、別に。仲直りできて良かったわね」
「いや、私はあまり納得してないんだけど」
「そう言う割には嫌そうな顔をしてないように見えるけど」
無言で瑞希のことを見ていた撫子に尋ねると、撫子は曖昧に誤魔化した。
椿と一緒のグループになることは全く納得していないのだが、撫子にそれを愚痴ると予想外な言葉が返って来た。
残念ながらここには鏡がないので確認のしようがないのがもどかしい。
その後、このまま突っ立っていると次の授業に遅刻するので、瑞希たちも教室へと戻る。
屋上は春の爽やかな風が吹き、清々しいほどの晴天だった。
放課後になり、椿たちは部活へと行った。
つい昼休みまで、喧嘩していたグループとは思えないほど仲が良さそうに教室を出て行った。
そんな三人を瑞希は恨めしそうな目で睨みつける。
あいつらのせいで余計な仕事をさせられたのだ。
恨み言の一つぐらい言ってやりたい。
でも、そんなことをするとまた椿と喧嘩することになり余計な時間を浪費することになるので止めた。
「ねぇーねぇー瑞希ちゃん、撫子ちゃん。椿ちゃんが言っていた『あたしと椿ちゃんが棲む世界が違う』ってどういう意味」
帰ろうとカバンの中に教科書などを詰め込んで瑞希が立ち上がった時、舞に話しかけられる。
隣には捕縛済みの撫子がおり、表情からすぐに無理矢理連行されたことは容易に想像がつく。
「大丈夫よ。あたしも不満だらけだから。でもあの笑顔を見たら今更水を差すわけにもいかないじゃない」
瑞希も椿も納得していなかったが、あの三人の笑顔を見たら水を差すことはできなかった。
だから、渋々それを受け入れるしかなかった。
そしてタイミングが良いのか悪いのか、ここで予鈴のチャイムが鳴る。
「もう戻らないと遅刻するわね。舞、帆波、早織。戻るわよ」
「うん」
「えへへ、また椿ちゃんと一緒に話せるね」
「陰キャと陽キャの混合グループ。逆に面白いかも」
「早織、それ、全然面白くないから」
予鈴が鳴り、リア充四人組は仲睦まじく教室に戻っていく。
今まであんなに言い争っていたのがまるで嘘のようだった。
「……」
屋上に取り残される瑞希と撫子。
撫子はなぜか不安そうな目で瑞希のことを見ていた。
「どうしたんだ白鳥」
「……いえ、別に。仲直りできて良かったわね」
「いや、私はあまり納得してないんだけど」
「そう言う割には嫌そうな顔をしてないように見えるけど」
無言で瑞希のことを見ていた撫子に尋ねると、撫子は曖昧に誤魔化した。
椿と一緒のグループになることは全く納得していないのだが、撫子にそれを愚痴ると予想外な言葉が返って来た。
残念ながらここには鏡がないので確認のしようがないのがもどかしい。
その後、このまま突っ立っていると次の授業に遅刻するので、瑞希たちも教室へと戻る。
屋上は春の爽やかな風が吹き、清々しいほどの晴天だった。
放課後になり、椿たちは部活へと行った。
つい昼休みまで、喧嘩していたグループとは思えないほど仲が良さそうに教室を出て行った。
そんな三人を瑞希は恨めしそうな目で睨みつける。
あいつらのせいで余計な仕事をさせられたのだ。
恨み言の一つぐらい言ってやりたい。
でも、そんなことをするとまた椿と喧嘩することになり余計な時間を浪費することになるので止めた。
「ねぇーねぇー瑞希ちゃん、撫子ちゃん。椿ちゃんが言っていた『あたしと椿ちゃんが棲む世界が違う』ってどういう意味」
帰ろうとカバンの中に教科書などを詰め込んで瑞希が立ち上がった時、舞に話しかけられる。
隣には捕縛済みの撫子がおり、表情からすぐに無理矢理連行されたことは容易に想像がつく。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
ウザい先輩と可愛げのない後輩
黒姫百合
恋愛
「本当に君は可愛げのない後輩だな」
高校一年生の春、北野真希(きたのまき)は高校三年生の鈴木紗那(すずきさな)に絡まれる。
紗那は真希と仲良くなりたいと思うものの、他人に興味がない真希は紗那をウザがる。
でも何度も話しかけられるたびに真希の方も無視するよりも適当に相手にする方が、時間を浪費しなくて済むことに気づき、少しずつ紗那との交流が増えていく。
そんなある日、紗那とキスをしてしまい……。
ウザイ先輩と可愛げのない後輩が紡ぐ、ラブコメが今、始まる。
好感度MAXから始まるラブコメ
黒姫百合
恋愛
「……キスしちゃったね」
男の娘の武田早苗と女の子の神崎茜は家が隣同士の幼馴染だ。
二人はお互いのことが好きだったがその好き幼馴染の『好き』だと思い、恋愛の意味の『好き』とは自覚していなかった。
あまりにも近くにいすぎたからこそすれ違う二人。
これは甘すぎるほど甘い二人の恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる