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36話
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次の日。
「あっ、あたし教科書忘れちゃった。次の授業見せてください」
三時間目の休み時間。
数学の教科書を忘れた舞は頭を下げ、その頭の前で手を合わせ誠心誠意お願いした。
「別に良いよ。っていうか大げさすぎでしょ。そんなにお願いしなくても見せるから」
「ありがとう、瑞希ちゃん」
舞は瑞希の両手を自分の両手で包み込むように感謝の気持ちを伝える。
舞という少女は結構スキンシップが激しい。
ボッチだった瑞希は今まで女の子からスキンシップを受けることがなかった。
そのせいで、たった手が握られただけでもドキドキしてしまう。
男の娘とは違う、プニプニとした触り心地が気持ち良かった。
その後、教科書を貸すために机をくっ付けて教科書を真ん中に置き、二人で瑞希の教科書をシェアする。
「ありがとう瑞希ちゃん。また助けてくれて」
「また? 私と金森はこの高校が初対面のはずだけど」
舞と会ったのはこの高校が初めてある。
同じ中学の出身ではないはずだ。
まだ出会って一週間ぐらいしか経っていない。
もし、高校で舞を助けたのなら記憶に残っているはずである。
「もしかして昨日のことか」
すぐに昨日舞を助けた(瑞希的には助けたとは思っていない)ことを思い出し、舞に聞く。
「ううん。そっか、あの時は今とはずいぶん違かったもんね。覚えていないのも無理ないか……入試の時は全然違かったもんね」
俯きながらなにかを懐かしむような呟く舞。
声が小さかったため、正確になんて言ったのか分からないが『入試?』と言っただろうか。
だから瑞希は入試のことを思い出してみる。
あの時は、緊張していたため入試問題すら覚えていない。
だが一つだけ覚えていることがある。
それは隣の席の人が筆記用具一式忘れてきたと言うことだ。
あれは本当に傑作だった。
入試当日に筆記用具を忘れてくる馬鹿がどこにいるだろうか。
しかも見た目は黒髪ロングで、髪も手入れされていないボサボサで眼鏡の女の子だ。
明らかにがり勉ちゃんというか喪女だった。
予備を持っていた瑞希はその女の子があまりにも不憫に思い、気まぐれで貸したのだ。
まさか自分の絶体絶命のピンチを助けてくれる人がいると思っていなかったその少女は、何度も瑞希に頭を下げ感謝していた。
こんな印象深い出来事、忘れるわけがない。
そのおかげで緊張が解けリラックスすることができた。だけど入試問題は覚えていない。
「……もしかして」
「さぁー授業始めるぞ。席に着いた着いたー」
瑞希がその入試のことを確認しようと舞に話しかけようとした瞬間、チャイムが鳴り数学の先生が入ってくる。
授業が始まった手前、無理焼き聞き出すわけにもいかず瑞希はいつも通り授業を受ける。
当たり前と言えば当たり前だが授業中に私語は厳禁だ。
だから授業中に舞に聞くわけにもいかず、瑞希は悶々と過ごすことになる。
ただ途中からお腹も減り始め、授業が終わる頃にはすっかり瑞希はそのことを忘れていた。
「あっ、あたし教科書忘れちゃった。次の授業見せてください」
三時間目の休み時間。
数学の教科書を忘れた舞は頭を下げ、その頭の前で手を合わせ誠心誠意お願いした。
「別に良いよ。っていうか大げさすぎでしょ。そんなにお願いしなくても見せるから」
「ありがとう、瑞希ちゃん」
舞は瑞希の両手を自分の両手で包み込むように感謝の気持ちを伝える。
舞という少女は結構スキンシップが激しい。
ボッチだった瑞希は今まで女の子からスキンシップを受けることがなかった。
そのせいで、たった手が握られただけでもドキドキしてしまう。
男の娘とは違う、プニプニとした触り心地が気持ち良かった。
その後、教科書を貸すために机をくっ付けて教科書を真ん中に置き、二人で瑞希の教科書をシェアする。
「ありがとう瑞希ちゃん。また助けてくれて」
「また? 私と金森はこの高校が初対面のはずだけど」
舞と会ったのはこの高校が初めてある。
同じ中学の出身ではないはずだ。
まだ出会って一週間ぐらいしか経っていない。
もし、高校で舞を助けたのなら記憶に残っているはずである。
「もしかして昨日のことか」
すぐに昨日舞を助けた(瑞希的には助けたとは思っていない)ことを思い出し、舞に聞く。
「ううん。そっか、あの時は今とはずいぶん違かったもんね。覚えていないのも無理ないか……入試の時は全然違かったもんね」
俯きながらなにかを懐かしむような呟く舞。
声が小さかったため、正確になんて言ったのか分からないが『入試?』と言っただろうか。
だから瑞希は入試のことを思い出してみる。
あの時は、緊張していたため入試問題すら覚えていない。
だが一つだけ覚えていることがある。
それは隣の席の人が筆記用具一式忘れてきたと言うことだ。
あれは本当に傑作だった。
入試当日に筆記用具を忘れてくる馬鹿がどこにいるだろうか。
しかも見た目は黒髪ロングで、髪も手入れされていないボサボサで眼鏡の女の子だ。
明らかにがり勉ちゃんというか喪女だった。
予備を持っていた瑞希はその女の子があまりにも不憫に思い、気まぐれで貸したのだ。
まさか自分の絶体絶命のピンチを助けてくれる人がいると思っていなかったその少女は、何度も瑞希に頭を下げ感謝していた。
こんな印象深い出来事、忘れるわけがない。
そのおかげで緊張が解けリラックスすることができた。だけど入試問題は覚えていない。
「……もしかして」
「さぁー授業始めるぞ。席に着いた着いたー」
瑞希がその入試のことを確認しようと舞に話しかけようとした瞬間、チャイムが鳴り数学の先生が入ってくる。
授業が始まった手前、無理焼き聞き出すわけにもいかず瑞希はいつも通り授業を受ける。
当たり前と言えば当たり前だが授業中に私語は厳禁だ。
だから授業中に舞に聞くわけにもいかず、瑞希は悶々と過ごすことになる。
ただ途中からお腹も減り始め、授業が終わる頃にはすっかり瑞希はそのことを忘れていた。
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