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22話

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「あっ、瑞希ちゃん、撫子ちゃん。おはよー」
「おはよう金森」
「おはよう金森さん」

 そこにタイミングが良いのか分からないが、登校してきた舞と遭遇する。
 舞は手際よく上履きに履き替えると、自然と二人に溶け込んだ。

「二人は一緒に登校してきたの」
「いや、たまたま昇降口で会っただけだ」
「そうなんだ。それじゃーあたしもたまたまだからこれは運命だね」
「「……う、うんめい?」」

 見た目と昨日少し話した印象から、もしかしたらそうなのかもしれないと思っていたが、舞は結構ロマンチックらしい。

「あれ、なんで二人とも引いてるのっ」

 ロマンチストな舞も人の機微には敏感らしい。
 引くのは心外だと言うかのように声を少し荒げる。

「日常会話で『運命』なんていう人、初めて見たわ」
「白鳥に同感だ」
「えっ、そうなの?あ、あたしっておかしい」
「別におかしくはないけど、初めて日常会話で聞いたから少し驚いただけよ」
「そうだな。別におかしくはないと思うよ。日常的に運命って言う人もいるだろうし」
「そっか……良かった……」

 撫子も瑞希も舞のことをおかしいとは思わない。
 もしおかしい人がいるならそれは亜美である。
 あの姉は一回脳神経外科で頭の中を見てもらった方が良い。
 あれはブラコンを通り越して病気である。
 二人に肯定された舞は、本当に安堵な表情を浮かべる。
 そんなに安心することだろうかと瑞希は心の中で首を傾げた。

「なぁ、白鳥。今少し気になったところがあるんだが、聞いても良いか」

 廊下を三人で横に広がって歩きながら瑞希は撫子に話しかける。

「それは内容にもよるけど、よほど変な質問でなければ良いわ」

 言った後に気づいたが、確かにこんな言い方をされれば警戒もするし、不審そうな表情を浮かべるのも分かる。
 瑞希もこんな聞き方をされれば間違いなく身構える。

「白鳥ってこの間『別にクラスメイトだからと言ってあいさつをする必要はないと私は思うわ。所詮、クラスメイトと言えども他人だもの』とか言ってたよな。でも今日、普通の私や金森にあいさつしてるけどどんな心境の変化があったの」
「あっ、それはあたしも思った。昨日はあんなにあたしに対してツンケンしてたくせに、今日は普通にあいさつしてくれた。う、嬉しいんだけど、なんか複雑」
「あ、あれは、少し機嫌が悪かっただけよ。部活の入部締め切りが迫っていたし」

 撫子はバツが悪いのか、頬を膨らませて反論する。
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