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16話

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「別にこの学校をよりよくしてほしいと思って私たちのようなわけの分からない部活にそれを頼む生徒はいないでしょう。これなら活動内容も立派だし私たちも楽ができる。どうですか黒川先生」
「まっ、白鳥の言う通り活動内容は立派だな。これで受理しておくよ」

 撫子の言う通り、この活動内容は模範的な良い活動内容だろう。
 でも尚美はそういうのは多分気にしていないと思うから、もう少しふざけていても受理はしてくれていただろう。
 それは昔から尚美のことを知っている瑞希だからこそ容易に想像がつく。

「ちょっと待って。せっかく部活を作るんだからもっとパァーっとした部活じゃないの?」

 ここで約一名。納得していない人がいた。
 言わずもがな、金森舞である。

「別にこれは部活に入部したくない私たちが作った部活だもの。その……パァーっとした部活である必要はないわ」
「えぇーだってあたしたち高校生だよ。まさに青春だよ。もっと楽しいことしなきゃ損だよ」

 やはりというか、見た目から陽キャな舞はとても不服そうな顔をしていた。
 また嫌な言葉が耳に入る。
 どうして、大多数の人間は高校生ということだけで『青春』を謳歌しなければ損だと言うのだろう。
 そもそも大多数が思う『青春像』というものがおかしい。
 多分、大多数の人間が思う青春とは、たくさんの友達に囲まれ、放課後になったら部活に打ち込んだり、帰りは友達と夕飯前に間食を食べたり、友達と一緒に遊びに出かけることを差すのだろう。
 はっきり言って瑞希からすれば大きなお世話である。
 そもそも青春=楽しいは誰が決めたのだろうか。
 瑞希にとっては一人穏やかに過ごす時間こそが青春……というか至福の時であり別にわざわざ友達と馴れ合いたいとは思っていない。
 だから舞の青春を押し付けないでほしい。

「そもそも金森が言った青春の意味が分からないのだけれど。私と白鳥は部活を楽しむために部活を作ったわけではない。部活に入りたくないから部活を作ったんだ」
「えっ、なにそれっ」

 部活に入りたくないから部活を作る。
 確かに傍からすれば矛盾した理論だ。
 そう言えばこのことも舞には伝え忘れていたと瑞希は反省する。

「だから別に部活に楽しさを求めてはいない。私たちは自分の時間を好きに使いたいだけだからな。だから活動しなくてもいい部活を作った」
「別に嫌なら入らなくても良いわよ金森さん。他の人を探すだけだから」

 だから部活には楽しさを求めていないと瑞希は舞に説明する。
 だが、一連の舞の言い方と言うか言葉が気に食わなかったのか撫子が舞を拒絶するような言葉を吐く。
 知り合って間もない瑞希でも分かるぐらい、撫子の視線は鋭かった。

「……別に嫌とは言ってないけど……」
「せっかく金森が入るって言ってくれてるんだ。そうじゃないと困るのは私たちの方だろ」
「別に一人ぐらい気合いでなんとかするわ」
「精神論かよっ」

 いつも冷静に見える撫子には似つかわしくない精神論を言う撫子に瑞希は反射的にツッコミを入れる。
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