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3話

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「ゴホン。とりあえずうちの高校は部活動強制だから今週末までにはどこかの部活に入部届を出さなければならない。別に深く考えずに好きな部活に入ってくれればそれで良い」
「そもそも部活動とは生徒の自主性を重んじで入部する活動であって、それが強制になってしまうとその理念に反するのではないんですか」
「そういうルールなんだようちの高校は」

 そもそも部活動は生徒の自主性を重んじて入部し活動するものであり、それが強制となってしまうと本末転倒も良いところである。

「それが例え間違ったものでもルールだから容認してしまうのですね」
「いや、だからな。大人には大人のルールっていうものがあってな……はぁ~」

 瑞希が鋭いところをツッコむと、尚美は困ったような表情を浮かべながらため息を吐き出す。
 先生も公務員という立場から上にはなかなか言いづらいポジションなのだろう。
 特に若い先生にとっては。

「もし、既存の部活が嫌なら自分たちで部活動を作ると良い。この高校は他の学校よりも部活動創立のハードルが低くてな部員三人と顧問がいればすぐに作ることができる。顧問の名前ぐらいなら私が貸してやる。どうせ柊のことだ、そんなハードな部活なんて作る気はないだろ」
「……そうですね。それで手を打ってあげます。ですので、その約束、反故しないでくださいよ」
「分かってるよ。先生が一度決めたことに二言はない」

 粘ったおかげで、なんとか良い塩梅なところで尚美が折れてくれた。
 今、すでにある部活は内容がハードなものが多く、文化系の少人数の部活ももうすでに人間関係ができている。
 そこに入るのはそれはそれで面倒なものである。
 だから、新しく部活を作った方が楽である。
 そこで重要になってくるのが顧問の存在である。
 いくら部活をしたくないと思っているも熱血の先生が顧問になったら、今までの苦労が水の泡になる。

「なぜ、部活動に入らなければならないのか、ご説明をお願いします」
「だからね、白鳥さん。それはこの高校のルールで――」
「そんなことに使っている時間はありません。それにそんな理由では納得できません。そもそも部活は生徒の自主性を重んじるものです。ですので私は帰宅部にさせていただきます」

 隣でも瑞希と同じようなことを言い部活に入りたがらない女子生徒がいた。
 そっちの女子生徒を対応している先生はかなり気弱な先生らしく、生徒に威圧されオロオロしている。
 なぜその生徒が男の娘ではなく女の子だと分かったかというと、スカートを履いていたからである。
 基本、男の娘はスラックス、女の子はスカートの着用が義務付けられている。
 そして制服は紺を基調にしており、男の娘はネクタイ、女の子はリボンを付けている。
 ちなみにネクタイ、リボンの色は一年生は赤で二年生は黄色で三年生は青である。

「水谷先生、少しご相談があるんですけど」
「はい、なんですか黒川先生」

 生徒の対応で困っている水谷を不憫に思ったのか、尚美が助け舟を出す。
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