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「選挙でGO」公演台本~エピローグ、京香~
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〇京香が当選。
赤木 当選、おめでとうございます。
京香 ありがとう。
赤木 これで山鹿氏の政策は撤廃。移住者も、この村から去ることでしょう。猪鹿村から余所者はいなくなるのです。
京香 これで、よかったのよね。
赤木 はい。移住者がそのまま住み着いたら、土地の購入も難しくなるとこでした。
京香 土地の購入?
赤木 ああ、御存じなかったのですか。もはやこの村の土地のほとんどは、私の斡旋で、中国系の企業が買い取る事になっていたんです。山鹿氏が余計な事をしなければ、もっと早く進んでいたのに。残りは彼とあなただけです。
京香 あなた、何をするつもりなの。
赤木 カジノを目玉とした総合リゾート地の誘致ですよ。港にも空港にも一時間ちょっとでいける。近くには温泉も出る。こんな田舎の土地でも使いようによっては価値があるんです。
京香 そんな事、村の人達が許すと思っているの
赤木 村の人ですって? 後10年もしたら、誰もいなくなりますよ。あなたのお陰でね。
京香 そんな……。
赤木 僕はね、子ども頃思っていたんです。バブル絶頂の時、東京23区の土地の値段でアメリカ全土を買えると言われていた。それなのに、どうして大人達はアメリカを買わないんだろうって。
京香 何を言いたいのよ。
赤木 現在、中華マネーが日本の土地を買い占めています。近い将来、中華街が日本各地にできる事でしょう。その最初の波に、私は乗るんです。
京香 私は、決して村を売らないわよ。
赤木 あなたは彼らのやり方をご存じない。これは、合法的な植民地支配なんです。世界の様相は変わっていく。立ち止まることは、置いていかれることです。まぁ、私も早急に物事を進める気はありません。ゆっくりと、この村が朽ちていくのを見守る事といたします。
赤木去る。見送る京香。
舞台暗転。
キリカの選挙事務所。
キリカ すいません、皆さん。私の力が及ばず。
雨雲 敵は巨大だったな。
梅田 仕方ないよ。やっぱり移住者が受かるのは難しいってことさ。
キリカ 月影さんも、結婚できなくなっちゃいましたね。
月影 ああ、気にしないで。
桐谷 ねぇ、キリカさん。私達、糸島に移ることにしたの。
キリカ そうですか。
桐谷 あなたは、どうするの?
キリカ そうですね。もう少しだけ、この村に残ってみようかな。
桜庭 何のために?
キリカ うん、理由はないんだけど。何て言うか……。
山鹿、青井登場。
山鹿 いやぁ、みんなお疲れ様。
キリカ 村長。
山鹿 もう村長じゃない。もちろん、社長でもないが。
キリカ なんか、いがいに元気なんですね。
山鹿 くよくよしてる暇なんて無いからな。
青井 社長、今は四年後に向けて御身体を。
キリカ 四年後?
山鹿 そうだ、諦めたら、そこで試合終了だからな。人に理解してもらうのには、時間がかかる。だが、やらなければいけない。ただ、それだけだ。
終了。
赤木 当選、おめでとうございます。
京香 ありがとう。
赤木 これで山鹿氏の政策は撤廃。移住者も、この村から去ることでしょう。猪鹿村から余所者はいなくなるのです。
京香 これで、よかったのよね。
赤木 はい。移住者がそのまま住み着いたら、土地の購入も難しくなるとこでした。
京香 土地の購入?
赤木 ああ、御存じなかったのですか。もはやこの村の土地のほとんどは、私の斡旋で、中国系の企業が買い取る事になっていたんです。山鹿氏が余計な事をしなければ、もっと早く進んでいたのに。残りは彼とあなただけです。
京香 あなた、何をするつもりなの。
赤木 カジノを目玉とした総合リゾート地の誘致ですよ。港にも空港にも一時間ちょっとでいける。近くには温泉も出る。こんな田舎の土地でも使いようによっては価値があるんです。
京香 そんな事、村の人達が許すと思っているの
赤木 村の人ですって? 後10年もしたら、誰もいなくなりますよ。あなたのお陰でね。
京香 そんな……。
赤木 僕はね、子ども頃思っていたんです。バブル絶頂の時、東京23区の土地の値段でアメリカ全土を買えると言われていた。それなのに、どうして大人達はアメリカを買わないんだろうって。
京香 何を言いたいのよ。
赤木 現在、中華マネーが日本の土地を買い占めています。近い将来、中華街が日本各地にできる事でしょう。その最初の波に、私は乗るんです。
京香 私は、決して村を売らないわよ。
赤木 あなたは彼らのやり方をご存じない。これは、合法的な植民地支配なんです。世界の様相は変わっていく。立ち止まることは、置いていかれることです。まぁ、私も早急に物事を進める気はありません。ゆっくりと、この村が朽ちていくのを見守る事といたします。
赤木去る。見送る京香。
舞台暗転。
キリカの選挙事務所。
キリカ すいません、皆さん。私の力が及ばず。
雨雲 敵は巨大だったな。
梅田 仕方ないよ。やっぱり移住者が受かるのは難しいってことさ。
キリカ 月影さんも、結婚できなくなっちゃいましたね。
月影 ああ、気にしないで。
桐谷 ねぇ、キリカさん。私達、糸島に移ることにしたの。
キリカ そうですか。
桐谷 あなたは、どうするの?
キリカ そうですね。もう少しだけ、この村に残ってみようかな。
桜庭 何のために?
キリカ うん、理由はないんだけど。何て言うか……。
山鹿、青井登場。
山鹿 いやぁ、みんなお疲れ様。
キリカ 村長。
山鹿 もう村長じゃない。もちろん、社長でもないが。
キリカ なんか、いがいに元気なんですね。
山鹿 くよくよしてる暇なんて無いからな。
青井 社長、今は四年後に向けて御身体を。
キリカ 四年後?
山鹿 そうだ、諦めたら、そこで試合終了だからな。人に理解してもらうのには、時間がかかる。だが、やらなければいけない。ただ、それだけだ。
終了。
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