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雑記その2~物語ができるまで~
しおりを挟む「選挙でGO」は2017年の暮れに、だいたいの概要は書いていました。その時の粗筋はこんな感じです。
「選挙でGO~この村を今一度センタクするばい~」
引きこもり生活を続けていたカケルは、人生をやり直す為、祖父の故郷であった村に移住した。そこでクラウドワーカーとして細々と暮らしていたが、貯蓄も尽きかけ、とりあえず仕事を探すことに。村では村長選を控えており、その選挙事務所のアルバイトをすることに。
ところが、出馬予定の前職村長がスキャンダルにより、急遽出馬を断念する事態に。後継ぎの候補もおらず、困り果てた事務所は、カケルを村長の息子という設定で、立候補させることに。
対立候補は、村での女性の地位向上訴える女性候補に、落ち目のローカルタレント等。村の事も、政治も全くわからないカケルは、果たして当選できるのか?
2019年の統一地方選を前に、選挙の裏事情や面白さ、そして選挙制度の問題点を描く。
こう書いていたように、最初の主人公は男の設定で立候補者も複数でした。
世間は田舎への移住ブーム(糸島市は全国でも随一の移住人気候補です)。そこで、選挙を中心に、先住者と移住者の対立、次世代通信規格(5G)の移行に伴う社会の変移などをメインテーマに、羽金山の埋蔵金伝説を物語に絡めたいと考えていました。
そんな時、葉室麟さんが黒田騒動を題材に書いた小説「鬼神の如く~黒田叛臣伝~」を読みました。(黒田騒動は自分も約10年前に舞台を現代に置き換え、栗山大膳をキャリアウーマンという設定で書いて演出したことがあります)
昨年の9月、大分県日田市で日田出身の教育者、広瀬淡窓を主人公とした芝居を制作し、上演しました。その脚本の打ち合わせで2017年の12月に日田に打ち合わせをしている時、葉室さんが、資料調べで日田にいらしていると聞き、お会いできるかもと思っていたのですが、その後すぐに体調を崩されてると聞きました。その後は皆さんもご存じのとおりです。
小説と戯曲と立場は違えど、同じように郷土の歴史を書いている人としてはもちろん。その作品の中に流れる涼し気な風と人の高潔さが好きで、葉室さんは尊敬している作家の一人です。廣瀬淡窓を書いた「霖雨」という小説はとても良い小説で、ぜひ一度読んでもらいたい作品です。
葉室さんは、洗礼を受けたキリシタン大名としての側面から見た黒田官兵衛を「風渡る」という小説で書いています。「鬼神の如く」という小説の中でも、そこに触れられていました。物語の最終的な着想は、ここから思いつきました。そういう意味では、ぜひこの小説を手にとって読んで頂きたいです。
今回のお芝居は、選挙や世の中の変移、移住者の問題等を扱いつつも、自分が長年書き続けてきた、郷土の歴史を加え、さらに葉室さんへの追悼と尊敬が練り込まれております。
この作品は架空の村をテーマにしたフィクションですが、歴史的な事実と現実、そして葉室さんの世界観を繋げる物語です。
舞台では書ききれない無数のエピソードは公演終了後に、後日談として書いていきたいと思っておりますので、そちらも楽しんでいただけたらと思います。
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