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番外編(作品ができるまでの経緯)
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これは、2月8日~ 17日まで福岡の甘棠館Show劇場で公演される「選挙でGO」の制作過程です。
家を出て三瀬峠を登って下り、北山ダム沿いから北天グリーンロードを走り、県道12号線を登って糸島に出てから福岡に戻る。二つの峠を含む約60キロの道のり。
それが3年前から始めたロードバイクのトレーニングコースの一つです。12号線を自転車で登っている途中、羽金山の黄金伝説が書かれた看板があります。
それによると、1637年、天草四朗が率いた島原の乱が起きた時、幕府は九州の大名に軍の派遣を求めます。それに応じて当時の黒田家藩主、黒田忠之は50万両の軍資金を持って軍を進めました。ところが、山賊達に軍資金の一部10万両を奪われてしまいます。その奪われた軍資金は羽金山の巨石群の中に隠されたそうです。
当然のことですが、この10万両は発見されていません。現在では、本当は50万両も軍資金を集めることができなかった為、山賊に奪われた事にしたのではないか。という説が有力なようです。
それも当然で、この時に黒田藩が率いた軍勢は1万8000人。徳川家康の天下統一により戦は無くなっていたとは言え、未だ武の盛んな時期です。山賊如きに軍資金を奪われるでしょうか?
黒田忠之というと、黒田騒動で栗山大膳と反目した藩主です。一般的なイメージでは暗愚とされていますが、父の黒田長政、祖父の黒田官兵衛に比べればという事で、実際はそこまで暗愚ではありません。
埋蔵金の真相はどうなのか? いつか芝居の題材として使いたいなと、12号線の峠を登るたび、想像を膨らませていました。
これが、一つの要素です。
2019年の本公演の企画自体は2017年の暮れには決まっていました。2019年は統一地方選挙が行われる年ですので、選挙をテーマに作品を作ったらどうだろうと思いました。
2017年に公演した「The NIWAKA」という博多にわかをテーマにした芝居の資料として、過去の公演を調べていた時の事ですが。段物にわかに「国勢調査」や「公共衛生」とテーマにしたものがあります。啓蒙にわか劇とでも言うのでしょうか、テレビやラジオがそんなに普及していなかった時代、芝居は宣伝の手段でもあったのだと思います。
風刺をモットーとするにわか劇が、行政と組むのは不思議な感じですが、それも時代の流れだったのでしょう。
ただ、そういう啓蒙にわか劇があったのなら、それを現在でしても面白いのではないかと思いました。
2017年の10月に行われた衆議院選挙、福岡市中央区(第2区)では二人の候補、鬼木誠さんと稲富修二さんが接戦を繰り広げていました。開票日は台風が接近して風の強い日。自分はその日、筑豊地区の高校演劇の審査員の仕事で嘉穂劇場にいました。(もちろん、期日前投票はしていました)帰りの車の中でもずっとラジオで開票速報を聞いていましたし、家についてからもテレビの選挙速報を見ていました。開票時の不手際もあり、当確が出たのは日付が変わってからです。
結果は僅差で鬼木誠さんの勝利。稲富修二さんも比例代表で当選しました。
人生を賭けて選挙に臨んでいる方々には、本当に申し訳ないのですが「やっぱり選挙って面白いな」と思いました。
たまにテレビである〇〇総選挙。(アイドルではないほうです)例えば、アイス総選挙みたいな全国の視聴者が選んだアイス、ベスト〇〇とかの番組。これを見ると、人はやはり何かを選ぶこと、自分が選んだものが他人にも選ばれること、もっと言えば順位がつくことが好きなんだと思います。
ところが、政治の選挙になると様相が違います。昨年行われた福岡市長選挙の投票率は過去最低の31.42%でした。選挙前の筋トレという福岡市が投票を呼びかける動画が、ネットで話題になりましたが、実際の投票率には繋がらなかったようです。
特に若い人達の選挙離れは深刻なようです。選挙に行かない人達に、その重要性を説いたところで、義務感で行くような人なら最初から行っています。
選挙に行かない理由は簡単で、面白さをわかっていないからだと思います。
そこで、選挙の中でも最も激しくなると言われる、村長選挙をテーマに決めました。
小さな村ほど、選挙は激しくなり、投票率も高いそうです。なぜなら、顔が見えるからです。誰が誰に投票したかなんて、簡単にわかるそうです。
大分の国東半島の先にある姫島という島では60年以上もの間、村長選挙は行われず、最近まで二世代に渡って世襲で村長を務めていたそうです。その島では以前の選挙で島内が真っ二つに割れて、互いに疑心暗鬼になりました。それから「選挙は島を割る」と言われ、対立候補として出ることは禁忌となっていたのです。
人同士の関係が密な、島か村で行われる選挙戦のほうが題材にしやすいのではないかと、思いました。
そこで、羽金山の麓に架空の村を設定しました。そうして誕生したのが猪鹿村です。
家を出て三瀬峠を登って下り、北山ダム沿いから北天グリーンロードを走り、県道12号線を登って糸島に出てから福岡に戻る。二つの峠を含む約60キロの道のり。
それが3年前から始めたロードバイクのトレーニングコースの一つです。12号線を自転車で登っている途中、羽金山の黄金伝説が書かれた看板があります。
それによると、1637年、天草四朗が率いた島原の乱が起きた時、幕府は九州の大名に軍の派遣を求めます。それに応じて当時の黒田家藩主、黒田忠之は50万両の軍資金を持って軍を進めました。ところが、山賊達に軍資金の一部10万両を奪われてしまいます。その奪われた軍資金は羽金山の巨石群の中に隠されたそうです。
当然のことですが、この10万両は発見されていません。現在では、本当は50万両も軍資金を集めることができなかった為、山賊に奪われた事にしたのではないか。という説が有力なようです。
それも当然で、この時に黒田藩が率いた軍勢は1万8000人。徳川家康の天下統一により戦は無くなっていたとは言え、未だ武の盛んな時期です。山賊如きに軍資金を奪われるでしょうか?
黒田忠之というと、黒田騒動で栗山大膳と反目した藩主です。一般的なイメージでは暗愚とされていますが、父の黒田長政、祖父の黒田官兵衛に比べればという事で、実際はそこまで暗愚ではありません。
埋蔵金の真相はどうなのか? いつか芝居の題材として使いたいなと、12号線の峠を登るたび、想像を膨らませていました。
これが、一つの要素です。
2019年の本公演の企画自体は2017年の暮れには決まっていました。2019年は統一地方選挙が行われる年ですので、選挙をテーマに作品を作ったらどうだろうと思いました。
2017年に公演した「The NIWAKA」という博多にわかをテーマにした芝居の資料として、過去の公演を調べていた時の事ですが。段物にわかに「国勢調査」や「公共衛生」とテーマにしたものがあります。啓蒙にわか劇とでも言うのでしょうか、テレビやラジオがそんなに普及していなかった時代、芝居は宣伝の手段でもあったのだと思います。
風刺をモットーとするにわか劇が、行政と組むのは不思議な感じですが、それも時代の流れだったのでしょう。
ただ、そういう啓蒙にわか劇があったのなら、それを現在でしても面白いのではないかと思いました。
2017年の10月に行われた衆議院選挙、福岡市中央区(第2区)では二人の候補、鬼木誠さんと稲富修二さんが接戦を繰り広げていました。開票日は台風が接近して風の強い日。自分はその日、筑豊地区の高校演劇の審査員の仕事で嘉穂劇場にいました。(もちろん、期日前投票はしていました)帰りの車の中でもずっとラジオで開票速報を聞いていましたし、家についてからもテレビの選挙速報を見ていました。開票時の不手際もあり、当確が出たのは日付が変わってからです。
結果は僅差で鬼木誠さんの勝利。稲富修二さんも比例代表で当選しました。
人生を賭けて選挙に臨んでいる方々には、本当に申し訳ないのですが「やっぱり選挙って面白いな」と思いました。
たまにテレビである〇〇総選挙。(アイドルではないほうです)例えば、アイス総選挙みたいな全国の視聴者が選んだアイス、ベスト〇〇とかの番組。これを見ると、人はやはり何かを選ぶこと、自分が選んだものが他人にも選ばれること、もっと言えば順位がつくことが好きなんだと思います。
ところが、政治の選挙になると様相が違います。昨年行われた福岡市長選挙の投票率は過去最低の31.42%でした。選挙前の筋トレという福岡市が投票を呼びかける動画が、ネットで話題になりましたが、実際の投票率には繋がらなかったようです。
特に若い人達の選挙離れは深刻なようです。選挙に行かない人達に、その重要性を説いたところで、義務感で行くような人なら最初から行っています。
選挙に行かない理由は簡単で、面白さをわかっていないからだと思います。
そこで、選挙の中でも最も激しくなると言われる、村長選挙をテーマに決めました。
小さな村ほど、選挙は激しくなり、投票率も高いそうです。なぜなら、顔が見えるからです。誰が誰に投票したかなんて、簡単にわかるそうです。
大分の国東半島の先にある姫島という島では60年以上もの間、村長選挙は行われず、最近まで二世代に渡って世襲で村長を務めていたそうです。その島では以前の選挙で島内が真っ二つに割れて、互いに疑心暗鬼になりました。それから「選挙は島を割る」と言われ、対立候補として出ることは禁忌となっていたのです。
人同士の関係が密な、島か村で行われる選挙戦のほうが題材にしやすいのではないかと、思いました。
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