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王家の絆編
PART42 超新星の目覚め
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時は{数分前}に巻き戻る
坂巻機をシン・ファノサイスに向かわせ
後に残った敵烏400機の内{撃墜・大破}
させた分を除き300を余裕で越える敵残存数と
{スターファルコン隊}{サンダーシャーク隊}
{アローホーク隊}戦闘に使える
残存ミサイルの少なさがその激闘の凄まじさを
物語ってる
カラメティドラゴンの足止任務から
解放され自由となった大烏群が
次に目を付けるのは、弱体し反撃も出来ない
状態に陥った神風型宇宙駆逐艦ハヤテだった
今のハヤテは大きさが
本来の1330メートルに戻され
全てのデーターを初期化までされて
満足に戦える状態ではない
「不味いぞ奴等・・ハヤテを狙ってやがる」
西沢はアローホークのミサイル残弾数が
例え0でも戦う覚悟だ
50Mの巨大な大烏は対空ミサイルでなければ
有効打に成り得ないのは解っている
<目標ハヤテ・・攻撃ヲ開始スル>
冷たい無機質な機械音声でそう告ると
300機以上の大烏がハヤテに向かい
攻撃態勢に入る
<殺らせるかよ、こうなったら
{機銃だけで}戦ってやるさ>
西沢の言葉に合わせるように清水も
<良いですね一機でも多く道連れに
してやりましょう>
<殺ってやるぜ> <ハヤテは俺達の家だ>
<絶対に手出しはさせねえからな!>
西沢を始め全パイロットが
命を賭して戦う覚悟をした
____________________
★付箋文★
超宇宙戦艦ハヤテ・第一艦橋
「全戦闘機部隊、敵防衛戦闘兵器と戦闘を
再会します」
『駄目だ戦闘機部隊は既に限界だ
このままでは全滅してしまう!』
大城艦長代行はハヤテの撤退さえも考慮する事態に
追い込まれた『銀河の危機を救う』
お題目は立派だが命あっての物種とも言う
引き際を見極めなければハヤテの皆を無駄死に
させるだけだ
『坂巻・・こんな時にお前が居れば』
大城誠矢は滅多な事では弱音は吐かない
だが坂巻を生還不可能な任務に行かせた負い目が
知らず知らずの内にいつもの大胆さを奪っていた
坂巻を想い誠矢はシン・ファノサイスを
目で追っていった
カラメティドラゴンの飛去った宇宙を見る
すると一瞬だが気になる蒼い輝きが見えた
其れは銀河中心部に形成された巨大時計の
主軸に当たる先端部からだと直感する
こうした遠くの映像を観るには
真耶の力を借りるしか方法がない
<真耶隊員、あの部分をクレアボアンスで
拡大して見せてくれ>
コンピューター関連が総て初期化された
今のハヤテが当てに出来るのは
コンピューターに頼らない真耶の超能力だけだ
真耶は兄の望みに答え{日頃の鍛錬の成果}を
此処で見せようと頑張る
ハヤテの空白になった人工頭脳にアクセスし
其処から先・・が解らない
『一体どうしたら・・良いの?』
誠矢が真耶にアドバイスを送る
「坂巻がカラメティドラゴンとやった
人機一体の様に機械を自分の体の一部とし」
「電子ケーブルを自分の血管か
神経だと思うんだ」
誠矢は坂巻からカラメティドラゴンを
あたかも自分の体の延長であるように
扱えると聞いていた
そのアドバイスを信じるなら
1光年先であろうとハヤテの機能を使えれば
問題なく観れるとは思う・・
クレアボアンスとは透視能力であり
真耶がコンピューターを見つめると
『電子の流れと粒子の輝く道が見える
此の回路を通せば自分の眼に出来そう』
そして真耶は自分の視力が物凄い距離を進み
太陽光所か赤外線や紫外線の光まで認識出来
そればかりか魔導光まで見える様になる
全てはハヤテの望遠機能と光学感知機器を
超能力により繋ぐ事が出来た結果である
『凄いわ、まるで自分の眼の様に見えるわ』
けれど此は・・超能力よりもっと別の力が
働いている様な・・・と真耶は感じたが
「凄いぞ真耶!」
その声が真耶の疑問を中断しギクリとさせる
声の主はジョン・スミス
気が着くとハヤテのメインモニターに
一光年先とは思えない鮮明な光景が映っていた
「一光年先とはとても思えない・・まるで
100m以内の高画質映像だ」
誠矢は真耶の体から発する
蒼い光のオーラに注視した
『あの{気の様な物}が坂巻が
言っていた魔導と機械とを繋ぐ鍵か・・』
そして自分自身の手を見つめ
その手に魔導力を込めた
『俺の体に流れるこの膨大な魔導力を
ハヤテに流せば・・本当に暴発せず、
あんな風に繋がるのか?』
誠矢は大き過ぎる自分の力のせいで何度も
自爆し、時には大怪我まで負って来た
『この絶体絶命の危機にもし失敗したら
俺のせいでハヤテは全滅だ』
そう思うだけで手が震える
{仲間達を巻き込む}と言う恐怖が
いつも自信家である誠矢の勇気を挫く
それは大城誠矢が今迄経験した事がない
特大のプレッシャーであった
「待て!シン・ファノサイスを見てみろ!」
そう指摘したのはジョンだった
その声に次々に他の隊員達も
「敵艦船底部に孔が開いた
・・何をする気だ?」
シン・ファノサイスの孔の目指す先には
星雲時計の主軸があるが、其れで
何をするか迄は未だ不明である
「見て下さい!あれは坂巻隊長の
カラメティドラゴンじゃないですか?」
イザベルの声に全員の目が
鮮やかな紅い色の機体に注がれる
「本当だ坂巻さんだわ!」
「坂巻!!」「進吾さん!!」
真耶と響の声に引き続いて
春吉がシン・ファノサイスの変化を説明した
「星雲時計を起動するには、時間操作能力を持つ
能力者の犠牲が必要だと坂巻君から聞いた」
「犠牲・・」その言葉の意味は一つ
・・シン・ファノサイスの
中に、その能力者が存在するのだ
だが既に時遅くシン・ファノサイスは
その巨体を徐々に降下し始める
「いけない!奴がタイムマシン兵器のトリガーだ
アレと連結させては成らない」
春吉が思わず叫ぶと同時に
カラメティドラゴンが飛び出し光弾となって
シン・ファノサイスに向かう
だがまるで豆粒だ・・こんなに小さくて
あの巨鯨にどう立ち向かうと言うのか
『無理だ・・もう良いんだよ・・坂巻・・
それ以上無茶するな』
誠矢の祈りが星雲時計の虚無空間を伝わり
それが坂巻に届く
シン・ファノサイスがいよいよ
船底を突き刺す動きを見せたその時だった
カラメティドラゴンの蒼い光跡が・・
その巨鯨の腹底に消えたのは
『何だ・・・坂巻・・何をした?』
其れは子猫が車道に出るのを見たとき
思わず体が動いて助けてしまう本能的な行動か
海で溺れている子供を見掛けたら
例え自分が泳げなくても反射的に
飛び込んでしまう{自己犠牲}・・
自然と体が動いてしまう
そんな当たり前の人間共通の行動
何がそうさせるか解らない・・
だが彼は実に人間らしい行動に出た、
「そんな事をしても巨大な鯨を止める事など
只の人間に出来る筈がない」のに
「支えようとしても直ぐに重さに押し潰され
命を無駄にするだけ」なのに、冷静になって
後で考えてみれば「自分でも無謀な行為
だった」と反省するかも知れない
巨鯨が腹の孔で星雲時計と連結するのを
阻止する坂巻機が{豆粒大}しかない事実
{心ない言葉で此を蛮勇と呼ぶ}
此は他者に否定も嘲笑も出来ない
「坂巻は馬鹿な事をした」と言えるのは
彼を大切に思う者だけに許される
だが・・信じられない事に坂巻機が
巨鯨の超重量を支えている
魔導力全開で障壁を限界を超え圧縮強化し
蒼い生命の輝きの力強さが
{逆に坂巻の命を削っていく}と知れば
「頼むからもうやめてくれ」と、
誠矢が叫ぶのも無理からぬ事だ
真耶のクレアボアンスには坂巻の生命力が
どんどん弱まっていく様子が見える
『もう止めて進吾さんが死んじゃう』
真耶にとって子供の頃から頼り甲斐のある
お兄さんで、一番強くて優しい坂巻が
銀河の運命を守るため命を削り戦っているのだ
不純物の一切ない虚無空間ならではの環境が
1光年の距離を物ともせず
脳粒子波の繋がりでハヤテの真耶を通し
シン・ファノサイスが
坂巻機を押し潰す様子が鮮明に観える
それは誠矢のみならず響に景子
そしてジョンにイザベルや春吉までが
まるでその場に居る様に感じた
脳粒子波が観測する力は遂に
仮想世界にまで繋がり
ギルザート18世が王錫で坂巻機を
潰そうとする光景をも観せた
感覚では大きな川辺の反対側程度の距離で
大きな声で叫んでも1光年の距離は遙かに遠く
届くことは{不可能}聞くのも無理だ
ギルザート18世は坂巻から聞いていたから
その男だと直ぐ誠矢は気が着いた
坂巻が{高い評価}をしていたその男が
蒼い光の粒を今にも王錫で潰そうとしている
『やめろギルザート!坂巻に手を出すな
お前が潰そうとしているその男は
俺にとって掛け替えのない無二の親友なんだ』
魂の怒りが・・腹の底から沸き上がる
だがギルザート18世は止めるどころか・・
卑怯にも自分の力だけでは押し潰せないのか
背後から自分より力の有る大男に手伝わせた
「ギルザート!!」
誠矢の叫びを無視して星帝は
坂巻の命の灯火を・・無惨にも
打ち砕いてしまった
「いやあああああああーーーーーーっ!!」
景子の悲鳴がハヤテの第一艦橋内に
響き渡り、真耶の絶叫が心を抉る
そして誠矢の中の何かがブツリと音を立て
切れる音がした
その時だ・・静寂に一瞬その場が包まれた刹那
誠矢の中で何かが輝きを発し、次の瞬間
超新星の大爆発が宇宙を揺るがし轟いた
そしてハヤテから蒼い光が溢れ出し
その光がハヤテ中枢部に秘匿された
ブラックボックスに吸い込まれると・・
石碑に記されたアトランテス文字が
黄金の稲妻で光輝き、光線模様が刻み込まれた
<アトランテック能力解放ー
シルヴァニア圧縮機関始動開始>
石碑がハヤテのコンピューターを解し
新たなプログラムを起動し始める
次の瞬間にはハヤテの艦体を現代の科学では
成し遂げ得ない規模の情報の塊と化した
模様とも文字とも計り知れない光輪が発生して
艦がその中に沈下すると中から
全長1330Mの巨体から{133Mに圧縮}された
元の{駆逐艦サイズ}と成ったハヤテが
出現した、だが・・何かが違う
其れは元のハヤテとは似て非なる物であり
新たな{怪物}の誕生であった。
______________________
★付箋文★
アビス・レイブン残数368機は
ハヤテの戦闘機部隊を追い詰めつつあった
如何にエース級揃いであっても
対空ミサイルの残弾は既に尽き
機銃程度では歯が立たない敵相手に
操縦技術のみで時間稼ぎを続けるのも
限界だ。
西沢が5機の大烏に取り囲まれ
逃げるに逃げられない危機的状態に陥り
<西沢さん!> 清水も3機に取り囲まれ
助けに向かうことも困難な状況だ
5機の大烏の群が紅い光を発し西沢の
アローホークを射程に捕らえ5方向から
体当たりをする為の砲弾状態に移行する
紅いレーザーポインターが5つ灯り
操縦席の西沢に其れが集中した刹那
5機のアビスレイブンは一瞬で消滅した
<何!何だ?何が起きた!?>
そして清水機を取り囲んでいた3機も
又同じように一瞬で破壊される
困惑する西沢と清水に通信が入り
<こちらハヤテ、戦闘機部隊は直ちに
ハヤテ後方の安全空域まで退避して下さい>
その通信の主はジョン・スミスである
戦闘機部隊は慌ててハヤテの指示に従うと
脱兎の勢いでハヤテに向かって飛んで逃げた
アビスレイブンはそれを追おうとしたが
その行動は完全に間違いであると西沢には解る
『凄いぞ・・何だあのハヤテは・・?
今迄だって大概化け物だったのに
あの迫力はファノサイスさえ超えている』
その存在感はとてもではないが、もう
一隻の宇宙戦艦の域を遙かに超えた領域だ
その証拠にハヤテに接近する間も無く
アレ程、西沢達が手こずった大烏共を
ハヤテはまるで無造作に凪ぎ払いながら進む
もうバリヤーもクソもない
それはとても133Mしかない駆逐艦の出来る
所業ではなかった
<凄いな訳解らん強さだ・・砲を撃つ訳でもなく
どうやって破壊しているのか全く見当がつかない
あれじゃまるで・そう・坂巻だ・・>
西沢は一瞬、坂巻が人機一体となって戦う
無敵のカラメティドラゴンの戦いを思い出す
<坂巻流{番外席}魔銃拳>
それは魔導力を旨く扱えない誠矢が
ほんの少量の魔導力で戦う手段として
編み出された戦闘術
坂巻流{番外席}魔銃拳
{魔導力が大き過ぎて肉体が耐えられない誠矢を
進吾が手伝い生まれた新流派}
大城誠矢は坂巻流{番外席}修得により
初めて坂巻流{神髄}の修練を許され
坂巻流の奥義の全てを修得出来た
坂巻流はその絶大な威力から門外不出
たとえ王族と言えどもその例外は無く
歴史上初めて王家直系の者がその神髄に
触れたのだ
此は坂巻進吾と大城誠矢が主従関係を超えた
無二の親友同士だからこそ成し遂げた友情が
起こした奇跡
誠矢にとって坂巻進吾とは兄であり、
武の師であり人生の目標でもあり、そして
最高の英雄だった
その坂巻を目の前で殺された誠矢は
沸き上がる怒りの全てをハヤテに注ぐ
するとハヤテが誠矢の魔導力を吸収し
一瞬で石碑が発動し{シルヴァニア効果が復活}
気がつけばハヤテの機能の全てが誠矢にとって
肉体の延長となる感覚に目覚めていた
蒼の魔導が真耶の破壊型超能力さえ取り込み
その力を石碑に吸収する
真耶が自分の大き過ぎる超能力で{肉体が
壊れ掛けているのも}この時初めて誠矢は
気が着いた、真耶もまた誠矢と同じで
人の体では耐えられない膨大な力で
自滅の道を歩んでいたのだ
『・・Jジョーカーは此が理由で真耶の為に
冥王星の超能力研究データーを消去したのか』
ハヤテの全機能を完全に掌握した誠矢は
戦闘機部隊が窮地に陥っている所を見て
まず使い慣れている坂巻流魔銃拳で
5機のアビスレイブンを打ち抜いた
敵は一瞬にして消滅したのだが
『まるで手応えがない・・例えるなら
霞を撃った気分だ・・』
此は友軍機に少しでも掠るとそれだけで
同じ事になる{ジョンに指示を出し}
戦闘機部隊を全機ハヤテの後方に退避させた
それから邪魔な大烏を手で祓うように
ハヤテを前進させるだけで
敵は黒い墨のように流れて消えていった
敵の大烏は紅い魔導力を纏い
魔導光弾となってハヤテに体当たりを
してくるが誠矢が魔銃拳で撃ち抜くと
今まで対空ミサイルで何発撃っても
効果がなかった大烏の紅光弾丸が
ハヤテから放たれた蒼い光弾に次々に
貫き貫通されバラバラに砕け散り爆散していく
300を超えた大烏は瞬く間に消滅していった
残数が数えるほどになっても、大烏は
シン・ファノサイスの元に行かせまいと
ハヤテに紅光弾となって食い下がり
突進してくるが最早ハヤテの敵ではない
覚醒したハヤテは其れこそ鬼の強さを見せつけ
此までにも増して恐ろしい地獄の戦闘力を発揮する
ハヤテはたった133Mしかない、それが
羽を広げれば50Mはある大烏を一撃で
爆散させる攻撃力に息を呑む
全長1300Mもあった時のハヤテより今の
小さくなったハヤテの方が遙かに力強く
頼もしくさえ感じる
そしてそんなハヤテが1光年先にいる
怨敵であるシン・ファノサイスの元に向かう
<全機その場で待機、回収は敵を滅した後でする>
此は誠矢の声だ・・
『本音では今すぐにでも回収して欲しい所だが、
あの敵に少しでも時間を与えるのは悪手だろうな』
西沢は誠矢{艦長}の判断に従った
<全戦闘機チーム了解、この場で待機します>
誠矢の声が怒りと緊張で少し高ぶっていたな・・
一体何があった? この時の西沢はまだ
坂巻の死を知らずにいた。
_______________________
★付箋文★
シン・ファノサイスは星雲時計の主軸との
連結をカラメティドラゴンに邪魔を去れ
致命的な失敗を犯した
唯一、星雲時計を起動する引き金の
No.4の脳幹シリンダーを無駄撃ち
無駄死にさせてしまったのだ
取り返しがつかない最悪の展開・・その上に
坂巻進吾の予言通り・・大城誠矢が
友の死を切っ掛けにして
あのハヤテを覚醒させてしまったのだ
アレは紅の魔導に予知夢で見せられた
覚醒ハヤテだ・・あのハヤテが{更に進化し}
・・我がガルスグレーサーは滅ぼさる
だが・・させぬ・・シン・ファノサイスは
ガルスグレーサー最強なのだ
ギルザート18世は脳幹シリンダーをNo.4から
No.2ファノクロスに切り替える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
魔導兵器・液体重金属砲
{ファノクロス伝説で語られる有名な一節には
天空を覆い尽くす夜の羽衣が漆黒の闇で
全ての罪人を呑み込み天の裁きを与えるという}
.━━━━━━━━━━━━━━━━━━
攻防一体の力を見るがいい・・
シン・ファノサイスの周りの空間に
液体重金属が生き物の様に蠢きながら
全長6キロを超える船体をも覆い尽くす
大きさになった
『確かに・・覚醒ハヤテは凄まじい強さだ・・
それは認めるが・・』
ギルザート18世はハヤテの強さに
懐疑的になる理由がある
2万年前の{太陽の船アトランテス}程では
あるまいと、ギルザート18世には思える確証があった
{真のアトランテス}は全長20㎞もの
移民船だったが「太陽の船}こそ
地球にアトランテス文明人が
惑星移住するのに使った唯一の移民船であり
戦う船であったのだ。
それがムー文明と戦争状態となり魔導石碑の
シルヴァニア現象で20㎞もの船体を10分の1に
圧縮し2㎞の大きさの戦闘船に生まれ変わった
その力でムー文明の最強巨人艦隊ファノ
約1万5千隻を相手に圧勝した
残った艦は僅かに5隻・・恐るべき戦歴だ
だが・・ハヤテは全長1330メートルしかなく
其れを圧縮し133M・・戦闘力も知れている
10倍以上の大きさを誇った
{太陽の船アトランテス}と格が違うのだ、
オリジナルには遠く及ぶまい・・
其れに比べこのシン・ファノサイスは
{太陽の船殺し}として
ファノサイスを改造し6個の脳幹シリンダーを
持つ特別なファノなのだ
『負けはせぬ・・シン・ファノサイスの
威力で貴様を葬り去ってやる』
{天体級大円盤}をこの場に迎え
新たな生け贄を何としてでも
用意し<星雲時計のトリガーを引き
この銀河の完全支配を成し遂げる>
星帝は銀河征服を全く諦めてはおらず
覚醒ハヤテさえも恐れていない
それが星帝と言う希代の英雄王の生き様である。
______________
★付箋文★
斯くして遂に銀河史上最強の二大怪物による
最終決闘が勃発する
どちらも只一隻で銀河規模の
大艦隊を一蹴する怪物達
圧倒的破壊力を有する猛者同士が
銀河中心部に形成された闘技場
半径5千万光年の{星雲時計領域}で
雌雄を決するのだ!!
この戦闘は銀河内では観測不能
銀河外に位置する銀河連邦艦隊と
睨み合うガルスグレーサー艦隊の両陣営が
一番席の貴賓席と成るのである。
丁度一時停戦状態であるのも手伝い
銀河連邦のユニオンもガルスグレーサーも
その戦いの行方に注目した
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その中で2大勢力を停戦に持ち込んだ
功労者であるシルバーソーサー円盤群の
アストラ大使は、ターナーシンジゲートの一人
シルカースに隠れて耳打ちする
<この戦いが終わると当時に
私達をハヤテFに転送して君達は
早々に引き上げてくれたまえ>
シルカースは成る程と了解する
『この戦いの勝者が決まれば、もう其れで
俺達はお役御免と言う訳か?』
「解りました、発注内容はMr.をハヤテFに
送り届け、それから他の円盤で運んできた
荷物の搬入をすれば無事に配送完了ですね?」
<その通りだ・・最後に私がサインをすれば
君の仕事は完璧に完了だよ>
「有り難い、此で俺もボスに顔が立ちます」
━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
ギルザート18世は外野の事など今は
意に介さず、其れよりも目の前の
厄介者を早く片付けたかった
頭ではシン・ファノサイスの敵ではない事は
理解しているのだが、何か途轍もない力を感じる
『何だというのだ、一体・・』
<よくも・・ろ・したな・・>
<あ??> 何だこの声は・・
ギルザート18世は聞き覚えのない声を耳にした
だが・・何故か無視出来ない巨大な力を感じる
そんな声だ
脳粒子波が細長く延びて其処にまで届き
それを辿って声が迫ってくる
そして星帝は対岸から歩いてくるその
青年の姿を見た
<貴様・・何者だ?>
只者ではない・・他の者とは
纏っているオーラが違う、其れは
言うなれば王者の持つ黄金のオーラだ
星帝はすぐさまその正体に行き着いた
<貴様が・・アトランテス王国最後の王
・・アストラか・・・>
誠矢はその問いに王など知るか
<俺は大城誠矢、貴様が殺した
坂巻進吾の友だ!!>
『王とかアストラとか今はどうでも良い』
その怒りは蒼い光に包まれる彼の後ろの
若者達からも星帝は感じた
<坂巻さんをよくも・・許さない!!>
真耶の蒼い光はその中で特に異質だ
アレがハヤテの資料にあった破壊型超能力者か
だが、この力は・・破壊型所か・・
スーパーデストロイヤー(超破壊型)級だ
<他にも誰一人として無視出来る
蒼の魔導力の持ち主はいない
何とも化け物ばかりを揃えたものだ・・>
だが此程の怒りを買う覚えがない
<坂巻は自ら望み余と死闘を演じた勇者・・
其れを殺したのも確かに余、だが其れを恨むか?>
ギルザート18世の言葉に誠矢は
<貴様は大男に協力させて坂巻を殺した
俺達は確かに見たぞ・・この卑怯者め!>
ギルザート18世は誠矢の言葉に内心呆れた
『何という酷い誤解だ・・寄りにもよって
そんな風に見えたのか・・
(そしてル・リオンの残骸を見て)
寄りに寄って此奴と同類に扱われるとは・・』
・・この酷い誤解を訂正しなければ
後々の世まで醜聞と成るは必死だろう
だが併し{訂正して何になる?
言い訳をしてから、この者達を殺すのか?
歴史は所詮勝者が作るもの・・是非も無い}
誠矢はギルザート18世を睨みつけながら
言葉に詰まった様子に見える相手に
<何だ?何か言いたい事があるか>と問いただす
だがギルザートは
<そう見えたのなら仕方あるまい・・
此から死を与える者と此以上語る
必要はない>とだけ言い
ギルザート18世は
シン・ファノサイスの威力を使う
<さあハヤテ存分に戦おうぞ!>
<喰らえNo.2液体重金属砲発射!!>
転移ゲートが発生し其処から
液体重金属がブワッと勢いよく
吹き出したかと思えば
其れが生き物の様にハヤテに襲いかかり
金属の幕から無数の鋭いトゲが生え
ハヤテに向かって延びて突き刺そうとする
だが誠矢が其れを避けようと考えるだけで
あたかも脳が命じ体が自然に反応したかの如く
ハヤテがその攻撃を瞬時に避けた
この反応速度は通常の戦艦の命令系統では
絶対不可避のものだった、だが其れを
覚醒ハヤテは難なくやってのけたのである
魔導エネルギーで紅光輝くトゲ槍を
突き刺そうとハヤテを追う
シン・ファノサイスの重液体金属だが
トゲ槍から更に形状を鎌状に変え
何枚もの鎌が縦横無尽に斬り掛かる
この鎌も又、紅の魔導で圧縮力を増しており
ハヤテの超高密度装甲オスミウムでさえ
バターのように簡単に斬られてしまいそうだ
<そう簡単に逃がしはせんぞハヤテ>
ギルザート18世は脳粒子派で液体金属を
巧みに操り得意の槍術を繰り出した
鎌をかわした先に強力な魔導棒が振り降ろされる
だが誠矢はその棒術を坂巻から聞いていた
魔導を込めた王錫の魔導攻撃が
坂巻の致命になったらしいが、
そんな手は知っていれば喰らう事はない
ハヤテは{王錫の柄}の部分を狙い
主砲の魔導剣で弾いて後方から
追撃してきた何枚もの鎌を弾いて
王錫を利用して叩き折る
『今の攻撃は・・ギルザートも魔導武術を
戦法に組み込み始めたか』誠矢は
棒術を使う超達人と相対し構えを直す
覚醒ハヤテとシン・ファノサイスが
星雲時計・虚無空間で対峙し睨み合いになる
________________
★付箋文★
『・・ギルザート18世の繰艦技術はやはり
俺と同じ魔導拳だ此処まで一緒とは・・だが妙だ』
魔導力による脳粒子波繰艦術は
アトランテス特有のもの
出自が同じなのだから不思議はないが
ギルザート18世は違う疑問を抱いていた
『シン・ファノサイスと此処まで戦えるとは』
想定では太陽の船の10分の1程度しか戦闘力が
無い筈なのに此ほど手間取るのは不可解
シン・ファノサイスは液体重金属を
クロスワイヤー状に展開してハヤテの周りに
張り巡らせると紅い魔導糸で切り裂こうとする
<レッド・ワイヤーストリングス>
この攻撃は全方位から包囲し
敵に逃げ場のない不可避の攻撃だ
<坂巻流{真魔導拳秘義}流水波弾丸>
此は鉄糸の使い手を想定した技で
魔導力を水の拳にして敵本体を攻撃する
投擲技である
ハヤテから放たれた{流水波弾丸}は
変幻自在にシン・ファノサイスの
漆黒の船体にダメージを与える
その威力は川の氾濫した強力な水鉄砲に
頑丈な岩壁が直撃され亀裂が入る感じだ
シン・ファノサイスの重厚な装甲が軋み
内側に抉るように凹みひっしゃげた
全長6キロある巨体が{流水波弾丸}の
与える衝撃で大きく持ち上がる
133mの小兵が放った一発がこの威力
明らかに異常な威力<何だこのパワーは?
本当に此が{太陽の船の10分の1}か?>
ギルザート18世は血痰を吐きながら
よろめき片膝を着いた
その影響がシン・ファノサイスでは
艦体が震え漆黒鯨の苦悶の声を上げながら
傾く様下を見せたのである
<駄目だ・・液体重金属砲では
この・・相手に通用しない・・>
ギルザート18世は此以上の液体金属による
攻撃は無意味と思い脳幹カートリッジを切り替え
No.3ファノムートにチェンジした
魔導兵器・空間斬殺砲
{ファノムート伝説には星が邪魔をして
商船を通さないので、あの星に
退くよう説得して欲しいと頼まれ
ファノムートは星に退くよう頼むが
星は回り道しろと言い、そこで
ファノムートは仕方なく空間を割って
商船の通り道を作ったと言う}
ハヤテの超高密度装甲でも
空間まる如切り裂けば関係ないと言う
物理を超えた発想だ
<空間諸共に斬れろハヤテ!!>
ギルザート18世が空間斬撃を放つとハヤテが
斬れた・・様に見えたが、それが幻で
一瞬でシン・ファノサイスの上空を取り
強力な念動力の拳で殴りつけた
<坂巻流{真魔導拳秘奥義}大闇黒天殴殺>
<ぐわぁあ!!>
ギルザート18世は信じ難い重さの一撃を
背中に喰らった
真耶の超能力で攻撃を予知をし
一瞬速く瞬間移動が出来るハヤテには
例え敵攻撃速度が0秒であっても
当たらないと誠矢は豪語する
<坂巻流真魔導拳の奥義には実現不可能な
謎の秘技が数多く存在するが{その正体は}
超能力が必須だったんだ>
ギルザート18世は敵の念動力の威力が
破壊型超能力を超越していると感じ
<間違いない此は超破壊型の力だ>
<シルヴァニア現象の影響がまさか
超能力まで密度を上げると言うのか?
馬鹿な!!>
シルヴァニア現象の力を借り
真耶の超能力が10分の1に圧縮され殴られたら
シン・ファノサイスの分厚さ50Mの
多重重装甲といえど絶対耐えられない、
殆ど大隕石に高速で衝突された威力だ
・・それも鋼鉄塊の大隕石にである
多重装甲に亀裂が走り内部の光り輝く
赤い魔導光が鮮血の如く迸る
シン・ファノサイスの受けたダメージは深刻だ
ハヤテが超能力戦艦なら現状のNo.3モード・
ファノムート(液体重金属)では分が悪い
No.5ファノギウス
魔導兵器・超神域電磁砲
{ファノギウス伝説では龍が雷の檻を作り
その中に敵の星を閉じこめることで
無傷で星の果実を得たとある}
『ギウスの力なら超破壊型に対抗出来る』
脳幹シリンダーを回し
(この能力を切り替えるタイムラグの
4秒間がシン・ファノサイス最大の欠点である)
ギウスに切り替えシン・ファノサイスは
電気の力を自在に使える電気鯨となる
超高電圧がシン・ファノサイスを取り巻く
空間に満ち満ちて凄まじい稲妻放電砲が
ボイド(虚無)空間で鳴り響き
障害物無しの超雷砲がダイレクト速度の
威力でハヤテを襲う
雷がハヤテに当たるとその威力で
稲妻を放電しながら横滑りに
艦体を傾かせ乍押しやられる
<電気攻撃は熱電撃なら金属でも焼き切るし
電気系統の機械をショートさせる
攻撃バリエーションが実に多い>
ギルザート18世の言葉通り
確かに電気攻撃は厄介だが・・
<残念だが坂巻流奥義の中には電撃対策の
技も有るんだ!>
放電しながら横滑りする艦体を
響はハヤテの艦主を
シン・ファノサイスに向け
誠矢が主砲で狙いを付ける
(全てのプログラムが消えた今、坂巻流の技を
この砲で放つことが出来るのか!?)
頭の中に記憶する坂巻流の技の中で
最も有効な遠距離攻撃技は
<坂巻流{真魔導拳秘奥義}迦桜羅流星砲弾>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その瞬間だった銀河連邦の旗艦
大要塞円盤・ユニオンソーサーが
全銀河にある文明圏を捜索し
長年探し求めていた{物}が検出されたのは
<ベルテリオン粒子反応検出!!>
Uゼロワンを始めUゼロツーも友に
その幻の粒子の突然の出現に息を呑んだ
<ベルテリオンだって!?
一体何処から??>
ベルテリオンとは銀河連邦が長年に渡り
研究し続け{遂に研究を放棄}した
幻のエネルギーであり
其れが実現出来れば{不老不死に不死身}
過去未来に自在に旅が出来て生命さえも
造れるという{神の粒子}エネルギーである
今はすっかり諦め<ベルテリオン(神の粒子)など
所詮{世迷い言}の戯言レベルに過ぎず・・
伝承ではアトランテス文明もムー文明も
奇跡を何度も起こしたと碑文に記されるも
誰にも其れは立証出来なかった>
その神の粒子が銀河連邦{創立}以来初めて
観測されたのが、銀河大戦争の真っ直中だとは
皮肉にも程があった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
蒼の魔導力を圧縮{凝縮砲弾}して
発射する、この発想は実現困難で
人類には到底実現出来ず、昔から
大砲を魔導で覆い発射台を強化して
強力な火薬で打ち出すのが現実的で
大城誠矢は此処に来てハヤテの主砲を同じ様に
魔導力の塊を撃つだけの道具と言う発想に至る
「照準合わせ・・撃ち方用意~」
砲門がシン・ファノサイスに向いた上に
照準まで合わせてくれば次に何をするかは
ギルザート18世でなくとも容易に予想がつく
<させるか!>
サイボーグ戦艦の優位性を此処で発揮し
シン・ファノサイスの周りに
超電磁障壁を形成させる
反射的に此が出来るのは殆ど反則である
一時はコンピューターが
初期化され攻撃手段を全て失ったハヤテだったが
今は信じられない戦闘能力を発揮する
「坂巻流{真魔導拳秘奥義}迦桜羅流星砲弾!!」
その瞬間、蒼い魔導力の塊が主砲から発射され
弾頭には黄金色の金属が形成されていた
シン・ファノサイスの超電磁障壁に
魔導力が凝縮した砲弾が衝突すると
蒼い軌跡を残し貫通する
<何いっ!?>
障壁が意味をなさない
6枚張った超多重防護障壁が何も役目を
果たせないまま紙の様に破られ貫通し
身の危険を感じたギルザート18世は
シン・ファノサイスを超電磁移動で動かし
敵艦からの砲撃を緊急回避した
9本の砲弾が艦体を掠るだけで信じ難い事に
重厚で強靱なシン・ファノサイスの多重装甲が
深々と抉り取られる
9本の筋が痛々しく刻み込まれた漆黒の鯨
ギルザート18世はハヤテの追撃に備えて
雷光の柱を9本発生させた
<あの砲弾を防ぐに面ではどうにも成らん・・
対抗するには雷を固めるしか手は有るまい>
そしてギルザート18世は9本の雷柱を
如意棒の様に操りだした
延びる雷光の如意棒にギルザート18世の棒術が
組合わさるのは脅威としか言いようがない
響の繰艦テクニックを持ってしても
達人の棒術と変幻自在の攻撃に
何発も被弾するが、雷光如意棒の超威力も
今のハヤテの防御力を突破は出来ない様だ
だがギルザート18世の目的は破壊ではなく
ハヤテから発射された一撃必殺の
(迦留羅流星)砲弾を回避する事
衝撃で敵を{叩いて動かす}事で弾道を
シン・ファノサイスから逸らせて
命中させないのが狙いだった
雷光如意金箍棒の与える衝撃は艦は平気でも
中の乗員はたまった物じゃない!
真耶の念動で護られた第一艦橋以外に居る
他部署の隊員達は壁や天井に叩きつけられる。
「全艦で怪我人が多数出ています!!」
生活班長の報告が誠矢に伝わり敵の狙いが解る
「奴め・・(艦)ハヤテではなく
中の乗組員に狙いを変えたか・・」
坂巻の言うとおりギルザート18世は
戦術に長けた武人の様だな
9本柱の電光如意棒をクルクルと振り回し
威嚇する星帝&シン・ファノサイス
『野郎・・想像以上に厄介で手強い』
誠矢は覚醒したハヤテでも追い込み切れない敵に
逆に興奮する、誠矢の戦魂に火が着いた
その力は恨みや憎しみの仇討ちなどで
決して発動しない闘志の輝き
純粋な戦士の本能が目覚めた時のみ
発動するものだ!
誠矢の中に今その力が目覚めた
蒼い魔導力が黄金の輝きに飲み込まれ
エンジンコアに組み込まれた
太陽神の護身体(モノリス)が目映く
黄金色に輝きだす、その黄金の光が顕現物質化
ベルテリオンが生み出す究極物質オリハルコン
其れが二つのパーツに成りハヤテを2万年前の石碑に
記憶された太陽の舟に変貌させる
ギルザート18世が予知夢で紅光の魔導に見せられた
正しくあの{太陽の舟}の再来
ハヤテ本体が黄金に輝くAパーツとBパーツと合体
有翼戦艦の姿となる、その全長160M
そのデザインは2万年の時を超え
太陽の舟アトランテスシップそのものと成った
<そうか遂に・・覚醒したのか・・
恐れていた事が現実となった・・>
黄金に輝くその姿・・其れは
ガルスグレーサーに伝わる伝説の災厄
<太陽の舟アトランテス>
だがもうギルザートは気づいていた
過去のアトランテスシップよりも
目の前にいる敵は遙かに強いと・・・
<だが其れがどうした!!>
ギルザート18世は此まで常勝無敗だった
大宇宙に敵無しの頂点に君臨し
何時しか武人として孤高と成り果てて
だが今我が目の前にいるのは間違いなく
生涯最強にして最恐の強敵、遂に出会った
人生最大の好敵手に
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
『余は・・思い違いをしていた』
2万年前・・
ファノ艦隊1万5千を殲滅した災厄・・
太陽の船アトランテス
全長20㎞の巨大船は戦いに望む時
シルヴァニア効果により
10分の1に圧縮され2000Mサイズに
その戦闘力は壮絶を絶したと言う
<ベルテリオン粒子による奇跡の力・・>
<元の大きさが全長1300M程度では
其れに遠く及ぶまいと
余は勝手に思い込んでおったが・・
其れは大いなる誤りであった・・>
そしてギルザート18世は改めて
神の黄金律を具現化した相手を視た
<魔導力を完全にコントロールするなら
小さい方が{圧倒的に有利}だ・・余りに
単純過ぎて、そんな当たり前の事に
此まで気が着かなかった・・>
<坂巻進吾が・・人間ながら魔導力を彼処まで
完璧に操れたのはそう言う理屈だったのだ・・>
<四方や・・巨人の体躯の大きさが、
魔導力を上手くコントロール出来ない
主たる原因だったとは・・どうりで
2万年以上も掛けて成果が出ない訳だ>
そしてハヤテと名乗るあの宇宙戦艦が
あの太陽の舟を遙かに凌駕する怪物だと
改めて認識を改めた
<戦闘力は太陽の舟どころではなく
逆に数倍と・・考えを切り替えねば・・>
いつの間にかギルザート18世は笑っていた
太陽の舟以上ならシン・ファノサイスと
同等の戦闘力でも納得はいく・・
そしてハヤテのエンジン部分にある蒼い輝きが
更に熱を増し超新星を思わせるモノに変貌した
<まるで超新星だな・・>
武者震いと苦笑いが止まらない中
ギルザート18世は其の名が自然と沸いて出た
<アトランテスノヴァ>
<それが銀河の英雄戦艦には
相応しいネーミングであろう>
誠矢はギルザート18世がハヤテに名付けた
この新たな名称に、ハヤテが黄金の
オリハルコンアーマーを纏った時に
名乗る名としては相応しいと認めた
「銀河の英雄戦艦・アトランテスノヴァ
悪くない名だ・・此から有り難く
使わせて貰おう・・貴様の遺言としてな!」
ギルザート18世は大いに笑いながら
<ほざけ小童!> と吠えた
<アトランテスノヴァの脅威に際し
シン・ファノサイスを用意したのは
この様な戦いを期待していたからだ!!>
ギルザート18世にとって今日は
長年待ち望んでいた最強の敵に出会えた
最悪にして最良の日となった。
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電光如意金箍棒9柱がアトランテスノヴァの
船体に一度にぶつかるが、その電撃を
電撃で凪祓い返す━━━━
春吉進一郎は、銀河連邦が地球を何故
保護観察にして隔離政策を推し
情報を秘匿していたのか解った気がした
そしてJジョーカーから渡された
ガルスグレーサー機密文書にある
{神の粒子ベルテリオン}と言う
謎のエネルギーの真相
其れが今、ハヤテの中で多くの偶然と
人の起こす奇跡が集約し顕現したのだ
「曰くベルテリオンとは万物に変幻自在な
万能粒子・・そんな都合の良い物質が
此の世にある筈が無いと此まで決め込んでいたが」
何のプログラムもエネルギー理論も関係無く
ハヤテはシン・ファノサイスの
電撃攻撃を完全に模倣した
『この短時間での解析は私にも不可能か・・』
誠矢君はギルザート18世の真似をして
電光如意金箍帽を20本ほど一度に再現した
「此はもう科学者として脱帽の域だ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
艦体の対比が160Mと6000Mとでは
比較にも成らないが電柱の大きさと数は
アトランテスノヴァの方が上である
ギルザート18世は歯軋りし
<能力差を・・見せつけるか!>
一体どうやったらそんな芸当が出来るのか
まるで見当がつかない
確かなのは電光如意金箍棒を同じ電撃で防がれた
其の事実だけだ
『シン・ファノサイスの能力をコピー
するだと?戯けおって!』
幾ら伝説の艦とはいえ出鱈目過ぎる
しかも信じ難い事に奴は何の代償も無しに
其の力を見せびらかす様に使って見せたのだ、
この事実はギルザートとして実に受け入れ難い
ファノサイスを始めファノシリーズを扱うには
王族一人の脳を取り出し寿命を差し出す
其処までしなければ大いなる力は振るえない
<其れを奴は代償も無しに・・>
この戦力差は言うまでもない
<そして・・あの二人の力量は
・・我等巨人族と同等だ・・>
大城誠矢と大城真耶
ギルザート18世の魔導眼で見ると
坂巻進吾の蒼の魔導気は人間クラスだが
大城兄妹の力はどちらも巨人クラスだ
『先祖帰りだ・・2万年前の巨人遺伝子が
隔世遺伝で蘇ったのだ』
その影響で・・
大城真耶は力が体に納まりきれず
自己の肉体を攻撃し死に瀕し
大城誠矢は力の出口が狭く少量しか
力が引き出せない状態だったのだ
其れが今やハヤテという巨大な器が二人の力の
受け皿となり最良の効率で力を扱えている
<恐れ入ったな・・2万年目にして
ベルテリオンを完成させたのが・・まさか
地球人と同化したアトランテスの子孫だとは>
誠矢は真耶の超破壊型超能力を使い
雷光を丸いリング状に加工し
艦体を覆うリングとして防御に回す
名付けて{電光サンダーリング}
此がアストラが達人ギルザート18世の棒術に
対抗する手段として編み出した必勝の防御戦法である
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その雷光サンダーリングが、ギルザート18世の
棒術の所作に反応して回転を始めた
<此では流石に打ち込む隙が見つからん>
巨大である事に固執し続けた
ガルスグレーサーのムー文明と
其れに拘らず環境に応じて進化し続けた
アトランテス文明との差が遂に結実した
<だが・・如何に効率が悪かろうと
寿命さえ差し出せば対抗出来るのだ!!>
効率の悪さ・・其れは戦場では致命傷
如何なる高性能でも燃費が悪いだけで
取り返しの着かない結果になる
『だが、如何なる犠牲を払おうとも
アトランテスノヴァだけは・・此処で
破壊する・・せねばならぬ!!』
ギルザート18世は脳幹シリンダーを
己の脳が入ったカートリッジ
No.1ファノサイスに切り替えた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
攻撃特化型魔導兵器・破壊滅却砲キルギス
{ファノサイス伝説の一つとして語られるのは
その龍こそが全ての龍の根源であり全てを統べる
炎の王でもあり、あらゆる物を飲み込み
炎の力に変えて吐き出す災害権化と化す}
.━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この脳幹はギルザート18世本人の脳であり
ファノシリーズで最強の攻撃力を誇るものだ
<超破壊滅却砲キルギス>
ギルザート18世の寿命を50年消費し
50発の光弾をチャージする
此を使うのは2度目であるが1度目では
ガルスグレーサー本星が敵の罠にはまり
巨大恒星の引力に囚われ絶体絶命の危機に
瀕した事がある
その際、巨大恒星を{敵艦隊諸共}消滅させた
文字通り切り札中の切り札
其れこそがファノサイスの最終兵器
超破壊滅却砲キルギスであった
『巨大恒星を破壊する力を50回撃てる
この圧倒的火力に、アトランテスノヴァが
どう抗がうか見物よな』
シン・ファノサイスの魔導転移大口径ゲートに
赤紫色の光が満ちて其れが{地球方向}に向け
ロックオンされる
「!!」
その瞬間恒星をも破壊する
破壊滅却砲が発射された
アトランテスノヴァはその光線の真っ正面で
受けて立ち、プラズマと可電粒子の塊の様な
エネルギーの奔流を迎え撃つ
『こいつめ・・地球を狙えば
アトランテスノヴァが庇うと
予測してやがったな』
そう言って誠矢が舌打ちする
アトランテスノヴァが防ぎ分散させた
キルギス砲の破壊エネルギーの余波が
銀河中心部近接の星々に被弾し
次々に消滅させていった
銀河系外からそれを観測する
銀河連邦のユニオン艦隊から悲鳴があがる
自分の故郷星が今の攻撃の影響を受けて
消滅したのではと恐れたからだ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
銀河中心部に近接する惑星約80程が
シン・ファノサイスの只1撃だけで消滅した
想像を絶する
キルギス超破壊滅却砲の破壊力に
言葉を無くす銀河連邦旗艦
大円盤要塞ユニオンソーサー
U星人ゼロナンバーの二人はこの戦いで
銀河そのものが破壊される可能性まで考えた
<ガルスグレーサー文明は宇宙の害悪だ
何が有ろうと絶対に消滅させなければ成らない>
Uゼロワンの過激な物言いに普段なら
反対意見を言うのが仕事のUゼロツーも
この時ばかりは同意見となる
<・・私も同じ意見だUゼロワン
ジャッジの際にはその判断に従おう>
一つの文明を消滅させる判断は
重要過ぎるため殆ど一致しない議題
だが、この時Gユニオンの総意は
迷うことなく一致したのだった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
超高火力の荷電粒子と重力場の発生により
虚無ボイド空間であるにも関わらず
キルギス超破壊滅却砲発射の余波は
視界不良に成るほどの残渣が残る状態で
アトランテスノヴァの残骸さえ
確認する事が困難となっている・・
<我ながら凄まじき威力・・此程の直撃を
喰らっては、さしもの奴も・・>
<うお!>
ギルザート18世が呻き声をあげる
その視界に黄金の装甲を輝かせ
アトランテスノヴァが一瞬、
残留物質の爆煙の中から
垣間見得た気がしたからだ
『まさか・・アレの直撃に
耐えたと言うのか!!』
ギルザート18世にしてみれば
最早悪夢でしかない
<巨大恒星を破壊する力だぞ・・
それが直撃して無傷などと・・冗談でも笑えぬ>
そして爆煙が晴れると恐れていた事実が
其処に颯爽と現れる、黄金に輝く金属は
{不懐}と言われ、その鎧を身に纏うだけで
光の速度で移動でき数々の奇跡の力を
持たらす伝説級防具<オリハルコン・アーマー>
アトランテスノヴァの纏う黄金のアーマー{装甲}は
古から語られる、そんな曰く付きの代物なのである
<一度で破壊出来ぬなら何度でも撃ってやる
何しろ此方にはまだ49発も残弾があるのだ!>
ギルザート18世は己の信念の為には
非情にはなるが卑怯ではない
{地球を狙った}のも誠矢へ
逃げるなという意思表示からだ
同じ王として国を守り通せるかどうかで
その器の大きさを計ったのだ
<行くぞ銀河英雄戦艦アトランテスノヴァ
宇宙の王者たる我がシン・ファノサイス
超破壊滅却砲を喰らうが良い!>
シン・ファノサイスの口の前に巨大な
転移ゲートが出現し、其れから
超破壊滅却砲が発射される
普通の砲門からの発射では此程出力の高い
荷電粒子を連発するのは不可能だ
だが・・転移ゲートを利用しての砲撃なら
その物理的な問題は消える
魔導兵器の真の恐ろしさは物理的な制約を
突破した先にあるのだ
素早い動きが取れないシン・ファノサイスは
地球へ狙いを定め斜線状にアトランテスノヴァを
釘付けキルギス超破壊滅却砲を連発する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アトランテスノヴァは此を避ける訳にいかず
地球を背に庇う不利な状況で絶体絶命だった
だが大城誠矢は{余裕の態度}で
『物凄い隠し玉を持っているじゃないか・・
まさか此ほどとはな・・』
迫りくる荷電粒子光弾に為す術のない
アトランテスノヴァ最早此処までと思われた
だがまず1発目が命中するが
アトランテスノヴァはまるで無傷
<何だとぉ!>
ギルザート18世は我が目を疑う
そして2発目が来た時に大城誠矢は
アトランテスノヴァの前面に
巨大な転移ゲートを発生させて
その中から吸収していた1発目の
荷電粒子光弾を送り返した
其れが2発目を相殺
この攻防を攻撃が尽きるまで繰り返した
静寂が戻り、誠矢は静かに敵を見据えた
『不思議だ・・もう坂巻の事での怒りはない
其れよりも今はこのギルザート18世と言う
偉大な星帝との決着を付けたいとしか思わない』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
キルギス超破壊滅却砲
転移ゲートからの出入りだけでも
大きな力が発生する、其れに
星が蒸発する熱衝撃に耐える
オリハルコンアーマー
<流石だなアトランテスノヴァ>
敵の健闘を称えつつ
一方でギルザート18世は思考を巡らせる
<動かない的を狙えば返すのも可能・・
成る程単純な話だ>
シン・ファノサイスの能力は
アトランテスノヴァに決して
負けていない・・劣るとすれば
オリハルコンアーマー
『物質的な力ではなくアレは次元障壁
キルギス超破壊滅却砲、頼りの力押しでは
破壊は難しい・・・・やるかアレを』
ギルザート18世は脳幹シリンダーを
限界を超えて回転させ1秒で切り替えが
出来る様にした
<キルギス超破壊滅却砲発射!!>
当然こんな事をすれば只で済む訳が無く
脳に掛かる負担は相当な物になる
だがこの戦いは負ける事が許されない
戦いだNo.6<ファノライエ転移!>
巨体のシン・ファノサイスが素早く動く
唯一の方法とは空間転移による移動のみ
超破壊滅却砲を発射した直後にほんの4秒で
ファノライエに脳幹シリンダーを回して
切り替え、トリガーに点火し能力を発動
シン・ファノサイスは1光年下方に移動し
アトランテスノヴァに向けて艦主を上げ狙い撃つ
<キルギス超破壊滅却砲、発射!!>
<次だ!> <次!> <次!>
・・この後シン・ファノサイスは
全部で5カ所ランダムに空間転移して
現れては攻撃を繰り返す
1秒で能力を切り替え15発の破壊光線の
発射を実現させた
シン・ファノサイスはまるで15隻が
順番に攻撃している様に観測される
一カ所に恒星をも破壊する破壊砲が15本集中する
だがアトランテスノヴァは今度は
その破壊砲全弾を散らす事なく全て受け止める
<オオオオ~> ギルザート18世が見た
アトランテスノヴァの周りに
<光の・・輪が・・回っている・・
キルギス破壊滅却砲を湾曲させ
光輪にしてしまったのか!>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
「坂巻流{真魔導拳秘奥義}天輪明王」
真耶の超能力を利用する坂巻流の
{秘奥義}である
『輪の大きさは最大50㎞最小10㎞、
輪の数が15本・・全部取られたのか?』
更に言えば、輪の光が細く強く輝き
星雲時計の光輪に酷似して見える
ギルザート18世の分析は正確だ
<奴め{星雲時計}の光輪を模倣したか>
息を呑むギルザート18世に向かって
アトランテスノヴァが光輪を自由自在に
回しながら前進を始める。
_______________________
★付箋文★
「馬鹿な!キルギス超破壊滅却砲を
あの様にして防ぐのか!?」
ガルスグレーサー大艦隊{旗艦ファノタウリ}
(搭載兵器{魔導兵器・高次元振動砲}
※現在使用不可)この星帝級の巨大戦艦に乗り
述べ280万隻もの大艦隊を指揮するのは
ガルスグレーサー帝国宰相リンクス3世だ
銀河連邦ユニオン艦隊と対峙しながら
アトランテスノヴァとシン・ファノサイスの
対決を息を呑み見守っていたが、
予想を遙かに超える展開に彼は目が離せないでいた。
『シン・ファノサイスならば覚醒ハヤテを
破壊する可能性は100%だった』
だが今ギルザート18世から送られてきた
ハヤテの進化形態は計算を完全に上回る
戦闘力だ「信じられん!」
星帝様が名付けたアトランテスノヴァとは
覚醒ハヤテがオリハルコンアーマーと
ドッキングした強化型らしいが・・
そのオリハルコンの構築にハヤテが
伝説のベルテリオン粒子を使用したのを
確認したと報告されて、余りに突然の話に
何かの間違いだと思いたかった
観測班が確かにベルテリオン粒子反応を確認し、
今又あのキルギス超破壊滅却砲をも
光線をリング状に変形させるという
我が目を疑う様な方法で塞ぐのを見せつけられ
今はもうアトランテスノヴァが間違いなく
ベルテリオンを使用していると認めざるをえない
「だが星帝様は・・戦いを止めはしない
其れがあの方の生き様なのだ」
リンクスはギルザート18世と言う人物を
誰よりも深く理解していた。
______________________
★付箋文★
『キルギス超滅却砲を防ぐ者が
この宇宙に存在するとは驚くより他あるまい』
ギルザート18世であっても考え得る限り
最大最強の破壊力を持つ破壊砲である、
其れも自分の命を削ってまで用意した、
『だが・・この世に絶対は無い』
詰まり・・
アトランテスノヴァとて{浮沈}と言う
事はあるまい、ギルザート18世は次の戦略を考える
シン・ファノサイスでなければとっくに
打つ手が無くなっている所だが・・
6つの威力を総動員すれば、否
既に一つの能力は坂巻に潰されておったな
(此処に来て・・手痛い出費だ)
在庫の残りを確かめ次に使える手は・・
No.6ファノライエ{魔導兵器・超空間転移砲}
{ファノライエ伝説で銀河の星の数もある敵が
光の矢を撃って来たのを全て空間を入れ替え
敵に返して撃退したと言う1節がある}
不本意ながらも、奴を織り込んでの
戦略を練る必要があるな・・
そう言ったギルザート18世の視線が意味深げに
胸まで復元し床にへばりつくル・リオンに
注がれるが??急速の老化で知性の衰えた
ル・リオンは何の事か解らず呆けていた
『愚か者め、貴様の寿命など使い切ってくれる』
ギルザート18世の中に、
この甥に対する情など微塵もない
キルギス超破壊滅却砲を光輪にした事から
春吉にキルギス光輪と銘々された其れを
回転させながらアトランテスノヴァは
シン・ファノサイスに向かって接近を始める
此では同じ攻撃を繰り返しても
更に敵に利用されて終わりだ
<此以上は撃たせないつもりか・・>
ギルザート18世は思わずニヤリとしたが
違うな・・と思った瞬間ギウス光輪が
ワープ速度で飛んできた
『光の速さを超えるか・・』
星帝は避けるのは無理だと判断し
転移によりその場から異常な速度で移動する
光輪はシン・ファノサイスが居た地点で停止し
その場で自転しながら止まる
誠矢は{景子}に代わり{イザベル}に
敵の移動場所をアトランテスノヴァの
耳(レーダー)で探知するよう
脳粒子波で瞬時に伝えた、
ノヴァのレーダー探知能力は凄まじく
時空間転移中でさえその位置を捕捉した
「敵が時空間内を移動する様子が見える」
「此ならシン・ファノサイスの出現場所まで
特定出来るぞ!!」
誠矢は響に艦を敵の出現すると予想される
2光年先に先回りさせる
「此で出て来た所をキルギス光輪で真っ二つだ」
予想地点に着いたがシン・ファノサイスは
中々現れない、転移中の状態を維持する
その意味は?
誠矢は嫌な予感がしてその場から移動しようと
響に脳粒子波で反射で命令を下した、が遅かった
「直上に敵艦出現!突進してきます!!」
景子の警告で誠矢は上を見上げるが
アトランテスノヴァはシン・ファノサイスの
猛烈な頭突きでキルギス光輪の輪から
弾き飛ばされる
{シン・ファノサイスは
光輪内径10キロの隙間にギリギリ艦を傾け
角度を付けて6㎞もの巨体を潜ませた}
アトランテスノヴァが先回りをするのを予測し
光輪内部で艦体を遮蔽して隠れると言う
何ともその巨体に似合わない器用な事をしていた
アトランテスノヴァのアーマーの
堅さから、衝突部分は
シン・ファノサイスの方が大きく破損した
だが何度も言うが巨鯨は無人である
その衝撃で機械部分は破壊されても
人的被害は出ない
一方アトランテスノヴァは人が乗って居る
この衝撃は中の乗員を多数気絶させると
同時に生命にも危機が及んだ筈だ
<質量は大きな武器になる、小さい貴様に
シン・ファノサイスの重さをぶつければ、
其れだけで大ダメージになるであろう>
堅い殻の中身は卵の黄身だと見抜き
船体が砕けるのも気にせず
艦体を金槌にして衝突してくる、
サイボーグ戦艦は想像を絶する戦術を行う
誠矢は近接戦闘はハヤテの
得意分野だと思っていたが
事、シン・ファノサイスの様に
巨体を武器にする巨大戦艦相手では
時として不利に成る事を学んだ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
2隻の衝突は強力な重力波を発生させ
観測器は有り得ない数値を弾き出す
<此は戦艦同士の衝突が引き起こす重力波ではない
天体同士が衝突して起こす規模の重力波だ!>
Gユニオン・連邦艦隊旗艦
大要塞円盤・ユニオンソーサー
その観測班が計測した数値に背筋が凍る
U星人の二人(中身は一人1万人)
その場に自分達が居ない事を神に感謝した
<間違いなくあの場にいたら200万隻だろうが
2千万、否たとえ2億でも一溜まりもなく・・>
二人の声が同じ言葉で重なる
<全滅だ>
質量が戦艦サイズを遙かに上回るのは
純粋に両艦の激突するパワーが
桁違いである事と当然速度が関係する
光速をも遙かに超える両艦の激突が
惑星規模同士の激突する重力波を発生させ
衝撃波となって辺り構わず破壊する
あの宙域内に一歩でも足を踏み入れれば
間違いなく確実な死を迎える事は間違いない
其れは計測された破壊エネルギーの数値を
見るだけで容易に理解できた
彼等銀河外から観測する者だけが
こうして生きて観る事が可能な天体ショーだ
Uゼロワンとゼロツーの今やれる事は
<銀河の盾・・アトランテスの船に
勝って貰うしか我等が生き残るチャンスはない>
<勝ってくれ> と願う以外無かった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
戦いは壮絶を極めた
アトランテスノヴァを体当たりで吹き飛ばし
其処から転移で移動して待ちかまえ激突する
を繰り返すシン・ファノサイス
上に下に右に左に漆黒の鯨が
アトランテスノヴァを四方八方に激突させると
激突する度にシン・ファノサイスの
漆黒の装甲にヒビが入り砕け散る
厚さ50Mの多重装甲もボロボロに
成り果てるがギルザート18世は諦めない
止めようとしない
アトランテスノヴァの方も
最初こそ力をまともに受けていたが
何度も繰り返す内に、その衝撃を
オリハルコンアーマーで受け流す事が
出来る様になってきた
『いつまでも同じ攻撃が通用すると思うなよ』
次に激突してきた時にアトランテスノヴァは
強力な反撃に打って出た
魔導{速射}破壊砲
(魔導ガトリング)2門(毎秒100発)
此は春吉科学班長が対ファノサイス様に
新たらしく開発した魔導弾を直接敵に
撃ち込むハヤテのガトリング式機銃だ
その1発の威力は主砲には及ばないが
速射速度と命中率は比類無い威力を発揮する
ハヤテは此を系2門{艦主部}に装備している
この艦主連射砲はコンピュータの力を借りず
魔導弾を機械式で撃てる特別仕様だ
「魔導ガトリング発射用意」
艦主さえ敵に向いていれば後は
引き金を引くだけで魔導の爆発力で
(蒼く輝く)
魔導光弾が飛び出し敵に向かって
飛んで行くと言う実にシンプルな新兵器だ
この兵器のトリガーは響の操縦桿にあった
「魔導速射破壊砲発射!!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その構造から戦闘機の機銃に酷似している為
発射装置を操縦師に任せる事が理に叶うと
後の銀河英雄伝記に春吉科学班長は語る
其れは後の世にアトランテスノヴァの秘密が
銀河大統領の指示により開示された
{150年後}の未来での話である。
______________________
★付箋文★
激突で弾き飛ばされたアトランテスノヴァは
艦の艦主を獲物を待ち構える巨鯨
シン・ファノサイスに向け
{新兵器}魔導速射破壊砲を発射した
ドン!ズドドド!と言う腹に響くガトリングの放つ
重低音、その音に相応しい破壊力がこの武器にはある
シン・ファノサイスの丈夫で分厚い多重装甲が
アトランテスノヴァとの衝突を繰り返し
ヒビだらけとなった箇所にトドメとばかりに
強力な魔導超光弾が咆吼をあげながら撃ち込まれ
6000mの全長の内200m程度が吹き飛び
4万トン以上の装甲が砕け散りながら
金属塊が宙に舞うと巨鯨は絶叫し
虚無空間の海に沈んだ
その海にアトランテスノヴァも飛び込み
沈んでいくシン・ファノサイスを追う
2隻が沈んでいった虚無(ボイド)空間には
巨大な重力の渦が発生し大口を開けている
その底には地獄に繋がる様に不気味な重力が
渦巻いており、電光同士が激しく衝突し
放電を繰り返していた
虚無空間内では真耶の超能力が威力を発揮した
元々真耶の体では過剰すぎた超能力が
アトランテスノヴァと言う巨大な受け皿により
無限に引き出され超パワーに満ちている
シン・ファノサイスとの
圧倒的な重量差を乗り越え余りある膂力で
敵艦の艦体を捕まえると
そのまま通常空間に引きずり出してしまう
<グオオオオオオーーーッ!!>
虚無の宇宙渦から引きずり出された巨鯨は
姿勢が定まらず渦に捕らわれ身動きが取れない
其処にアトランテスノヴァが魔導ガトリング
{速射破壊砲}で波状攻撃を仕掛けた
強化多重装甲に穴ではなく
弾がめり込み貫通せず止まるが
既にヒビが入った場所にヒットすると
紅い魔導結晶が飛び散り装甲が砕け
内部の機械構造部が晒され露わとなる
そうなれば魔導ガトリングの威力が
ダイレクトにシン・ファノサイスの骨身に伝わり
サイボーグ艦の頭脳であるギルザート18世にも
流石にダメージが通った
「此処が攻め時だ!」
誠矢は響に魔導ガトリングによる牽制を任せ
自分は大技を仕掛ける用意に入った
「此以上の激突はアトランテスノヴァの
乗員達が持たない此処で決める!」
そう決意すると
『坂巻・・机上の空論と諦めていた
{あの技}を使う時が来た様だ』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
だがその技の発動には準備時間が必要だった
坂巻進吾との技の談義で、もしも魔導力が
今の十倍使えたらと言う話になり
「其れだけ力の余裕があれば自分の体を
軸にして魔導の長槍を敵にぶち込む、
此なら鯨でも心の臓に突き刺さるだろうな」
奇しくも相手は鯨だ・・使わせて貰うぞ
「坂巻流{真魔導拳秘奥義}帝釈天戟」
この技は・・真耶の超能力と同調し
戟のイメージを具現化する必要がある
そのイメージに合わせ力を練り込むのだ
『具体的な・・戟のイメージか・・」
その時、大城誠矢はこの世で最も巨大で
破壊力のある戟をイメージした
━━━━━━━━━━━━━━━━━━即ち
その間にもシン・ファノサイスと
アトランテスノヴァは熾烈な攻防を
繰り返していた
魔導ガトリングを撃ちまくる
アトランテスノヴァに
被弾も躊躇せず一番丈夫な頭部で
攻撃してくるシン・ファノサイス
空間転移を100回以上繰り返し
執拗に衝突して来るシン・ファノサイスに
響は魔導ガトリングで応酬するが
ギルザート18世は自艦を
アトランテスノヴァの側面に転移し
正面を向かせない状態で艦の横腹に
頭突きで攻撃してきた
「こ・・の!」
『戦闘慣れした奴だ・・それに・・
物凄い戦闘センスだぜ!』
頭突きを何とかかわしても
ギルザート18世はシン・ファノサイスを
今度はアトランテスノヴァに衝突出来る場所に
すぐさま転移し其処に体当たりをする
衝突の衝撃をいなす様に
艦を僅かに衝突に合わせて動かす響だが
休む間もなく繰り返されるこの行為にだんだん
かわし切れなく成っていく
<良いぞ・・心なし動きが鈍った様だ>
まさかル・リオンの愚か者の力が
アトランテスノヴァに対する一番の
有効手段に成るとは・・・
苦労が身に成りギルザート18世は喜んだが
そんな星帝の足下にヨボヨボに嗄れた手が
縋りつく
<お・・叔父う・え・・殿
・・お助け・・下さい>
一体どうしてしまったのか、其れは
枯れ木の様に萎びれてしまった
ル・リオンの哀れな姿だった
シン・ファノサイスに寿命を捧げ
生命力や若さを吸い尽くされる
彼の姿はギルザート18世よりも遙かに
年老いた老人に見える
<お・・お願い申し上げ・・ます・・
此以上・・寿命を・・取り上げないでく・
・らさ・・ひぃ>
星帝は冷たく老いさらばえた甥の
縋る手を払いのけ
<何だと自分の様な下衆の命で伝説の
太陽の船を追い込めて光栄と申すか?>
<もっと敵を追い込むために
搾り尽くすまで寿命を使ってくれとは
実に潔い覚悟だ>
星帝の言葉にル・リオンは泣いて訴える
<そ・・その様な事・・一言も・一言も・
言っていない・>
だがル・リオンの訴えなど意に介さず
ギルザート18世は更に苛烈な勢いで
空間転移を多用する
<もう50年追加だ!>
ルリオンの歯が抜け落ちる
<や・・やめで・・>
<更に50年追加>
ル・リオンの目が白く濁り白内障になった
<だ・・だずげ・・>自我の総てが崩壊を起こし
<更に50・・否100年だ!>
その時点でル・リオンの脳活動は停止し
脳粒子波空間にある幻の肉体も朽ち果てると
最後は砂のように惨めに崩れ去った
<此で後100回は空間転移が可能だ!>
星帝がそう呟いた時だった
その異様な力に気がついたのは。
______________________
★付箋文★
天空には太陽の船が陣取っていた
圧倒的な存在感である
『なっ・・・』
ギルザート18世は其処に有っては成らない
力を見た『・・・アトランテスノヴァ・・
貴様・・何をした?』
其処にあるのは星雲時計の秒針を
自在に使う神の依り代であり
アトランテスノヴァを中心に
神の秒針が回転し始める
この秒針の長さが5光年もあるのは
天の川銀河の大きさからしても大きい
<超新星と同じ温度のエネルギーを
ベルテリオン(神の粒子)で生み出し
星雲時計の秒針を模倣したのか>
ギルザート18世は驚愕する
此こそ正に神の創造した破壊秒針
{セコンドハンド・ベルテリオン}
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
想像していた物と明らかに違う物を{創造}した
大城誠矢も又、この巨大過ぎる力に戸惑う
この膨大な破壊力が消えずに形を無し
継続し続けている・・その意味を理解すれば
どれほど途轍もない力を自分が手にしたか
理解しなければならない。
「俺は星雲時計の秒針を手に入れたのか?」
ギルザート18世は星雲時計起動のトリガーを
持ってはいるが時計の所有者と言う訳ではない
逆に大城誠矢は一部とは言え秒針の所有権を握った
<どうやら・・生きて帰還するのは
最早不可能な様だ・・すまんなリンクス>
星帝は死を覚悟した
『この様な力を我が子等に向かわせる
訳には行かん・・この命を犠牲にしてでも
阻止してみせよう!!』
<シン・ファノサイス魔導路心・完全解放!!>
<魔導炉心を暴走させ臨海状態にし
魔導力の総てを破壊力に転換する>
星帝に残された最終手段、それは
シン・ファノサイスそのものを
魔導核弾頭に変えアトランテスノヴァに
特攻差し違える事だった。
炉心が融解を始め紅い魔導力が核汚染煙を
まき散らし空間を浸食し始める
シン・ファノサイスの巨体を隅々まで
充満しながら破壊的な力が凝縮していくと
ギルザート18世達の脳が収容される
{最重要施設}脳幹シリンダーにも
破滅の時が訪れる
全ての景色が真っ赤に染まり紅い魔導力に
押し潰されながら・・星帝は坂巻進吾の
最後の警告を思い出していた
<・・誠矢に殲滅兵器を使う理由を与えるな
彼奴は其れを待っているんだ>
『坂巻進吾は奴が最終兵器を使うとすれば
何か理由が揃った時だと言ったが』
復讐心を隠し大儀が揃えば迷わず
誠矢は兵器を使用すると言った
<誠矢(彼奴)はアンタと何処か似ている
間違いだと解っていても民の為に
敢えて間違いを犯すアンタにな>
ギルザート18世は最後の最後に
リンクス3世に向けメッセージを送った
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
我が親愛なる国民達よ・・長きに渡り
大宇宙を共に旅をした多くの親民よ・・
余はギルザート18世
此より最後の命令を伝える
1つ
巨人から小人化する法的な制限を
今より全て撤廃する
2つ
銀河への移住に関しても望む者は
自由に私財を携え行くことを許そう
3つ
ヘルターナーにガルスグレーサー大使として
将軍クラスの権限と地位を与える
4つ
銀河に対し最大限の謝罪と戦争犯罪の賠償を
保証し、同様に侵略により被害を被った
多くの惑星にも保証を約束する
5つ
銀河連邦ユニオンと終戦協定を結ぶ事を許す
6
銀河連邦と和睦しガルスグレーサーは
永久中立の立場を取る事を命じる
理由の如何を問わず此を破ってはならない
以上が ギルザート18世の終戦宣言である
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『余の犠牲一つでアトランテスノヴァを
しとめられれば、この文章を生かす
必要は無いのだが・・』
全速前進でアトランテスノヴァに
突っ込んでいくシン・ファノサイス
激突コースを轟音をたて獲物に迫る
漆黒の巨鯨が紅い魔導原子の塊と化した
星帝の意図に気づきアトランテスノヴァの
誠矢はゆっくりと、その秒針を
魔導核爆弾と化したシン・ファノサイスに
振り向けた
魔導核爆弾の破壊力ならば理論上
100光年を原初の炎で吹き飛ばす
小ビックバンを引き起こせる
それが星雲時計の秒針と言う説明のつかない
約5光年と言う天体規模の
神の秒針兵器に呑み込まれた瞬間
その存在自体が一瞬で飲み込まれてしまう
余りに当然過ぎる結果となった
この秒針は銀河中心の6個ある
巨大ブラックホールのクエーサーが
凝縮され物理的に創造された神器なのだ
ギルザート18世は最後に愛する者達に別れを
告げる暇もなく因果地平の彼方に
一瞬にして消滅したのである
長きに渡る大戦は此処で終焉を迎える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 筈だった
星雲級破壊秒針兵器・神の秒針
{セコンドハンド・ベルテリオン}
その秒針を元の星雲時計に返すと
針は一瞬にしてアトランテスノヴァの元から
離れると同時に消えた、だが再び使う際は
何時でも直ぐに取り寄せられる仕組みである
所有権は既に大城誠矢の物になっているのだ
シン・ファノサイスの巨大な姿は
今は跡形もなく破片の一欠片さえ見つからない
其れは余りにも呆気のない幕引きだった
響きは誠矢を見ながら
「此で終わったのか・・?結果的に
アトランテスノヴァの圧勝だったな」
「確かにあの激闘の決着としては驚くほど
呆気ない幕引きだね」と春吉
「イヤ・・ギリギリだったよ」
艦自体に被害はない・・だが
中の乗員達は死者さえ居なかったものの
軽傷200人
重傷50人
意識不明8人
軽自動車が何度も何度も大型トラックに
体当たりされた割には軽微ではあるが・・
Dr.北本は手の空いて動ける隊員を
全部こっちに寄越せと言ってきた
誠矢は気を取り直してマイクを握り
<承知しました北本先生>
そして
<俺だ大城だ>
その放送にハッと我に返る隊員達
<動ける者は側で怪我した隊員を連れ
医療区に向かって欲しい、そして
手の合いている隊員は出来るだけ
北本先生の手伝いを頼む>
廊下に投げ出された怪我人に肩を貸し
隊員達は医療区へと向かう
中には動かすのが危険と判断し
担架で運ばれる患者が優先され
Dr.北本の診断を受けた
此処で滝沢鏡子がサイバドック隊を率い
患者の看病にあたる
医療室で手伝うなら此を着るのが作法だよ
そう言って鏡子が着せられたのは
7号が医療室から失敬していたナース服だ
精神的に患者が落ち着くからとか
衛生的にどうとかこうとか適当に
理由を並べ立て鏡子に無理に着させた
まあ本人も満更でない様子なのだが
この格好の御陰でかは知らないが
戦々恐々としてても可笑しくないこの状況で
怪我人達は取り敢えず落ち着きを取り戻し
冷静に行動出来ている
だが自分の所に犬が来た隊員は
「犬が看病なんか出来るのかよ?」
ベットに寝かされた隊員がそう文句を言う
「犬は昔から看護犬として
重宝されてるのを知らないの?お兄さん」
7号が看護婦のコスプレ姿で腰に手を当て
注射器を握りポーズを取る
「コラコラ注射を打とうとするなよ
俺が悪かったって」
握った注射の中身は只の栄養剤だったが
その隊員がビビったのは握った注射を
突き立てて刺そうとしたからだ。
其処に鏡子が割って入り7号から
注射器を取り上げた
「コラ!今時こんな道具使わないでしょ?
虐めちゃ駄目よ」
看護婦姿の鏡子の美しさに感動し
患者の隊員達は思わず
自分が怪我をした事を感謝した
「やったぞ!ハヤテ美女5人衆の一人に
看護して貰えるなんて最高だ」
「瓢箪から駒だよな」
「これぞ神の采配だ」
だが誠矢の指示で医療班の手伝いに来る
無傷だった隊員の殆どは
戦車隊や戦闘機隊のゴツイ男ばかり・・
幸せの中にいる今の彼等は知る由もない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
シン・ファノサイスとの戦闘に
やっと決着が着いたアトランテスノヴァは
残してきた戦闘機部隊の回収に向かった
<各機直ちに転移ゲートで回収します>
<自力で動けない機は自己申告して下さい
輸送機で牽引します>
其れを聞いた西沢は感謝を述べ
自分より先に中破した部下の機を
優先するように頼む
<隊長すいません・・この程度の怪我で>
<良いから先に行け気にするな>
清水も同じように部下を先に行かせる
<どうやら生き延びたな清水・・>
<ええ・・でも坂巻総隊長が・・>
西沢は今でも其れが信じられない思いだった
『俺は・・俺は信じないぞ・・
お前が死んだなんて』
戦闘機部隊も奇跡的に撃墜された機は
1機もなかった・・其れが寄りにもよって
ハヤテで只一機・・犠牲に成ったのが
白竜の異名を持つ最強の男だとは
坂巻進吾のカラメティドラゴン
彼の伝説を知る者にその事実を簡単に
受け入れられる者は誰一人として居なかった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
銀河中心部を観測していたGユニオンの
要塞大円盤の司令室では余りの出来事に
場が静まりかえっていた
<ファノサイスと呼ばれる巨人要塞戦艦の
消滅が確認されました>
撃沈ではなく消滅と言うパワーコードに
寒気が走る
<奴が最後に見せた恒星核爆弾級の
威力は推定でも100光年を3000億度の
地獄に変える可能性があった・・>
Uゼロワンは言葉を詰まらせ息が荒い
<其れを・・消滅させたのか・・あの艦は?>
Uゼロツーは首を振り
<厳密にはアトランテスの船ではなく・・
あの星雲時計の秒針の破壊力でだ>
そう言って震える指で銀河中心部に見える
シン・ファノサイスによって作られた
星雲大の時計を指し示す
其の時計の針が今も現実に1秒の時を刻む
<計器の異常でも集団幻覚でもない・・
あの時計は確かに実在している>
Uゼロワンも其の事実は認める
<では何故ファノサイスが消えた今でも
あの呪われた時計が存在するのか
問題は其処だ・・>
<もはや想像でしかないが・・
銀河自体あの姿に造り替えられて
しまったのかも知れない>
<馬鹿な!>
Uゼロワンの発言にUゼロツーは
<其れは改造されたと言う事か>
其れを聞くだけでガルスグレーサーに対し
激しい怒りが湧き出してくる
<もう元には戻せないだろう>
<戻せないって・・アレを我々で
何をどうしろと言うのか教えてくれ>と珍しく
Uゼロツーは同僚に毒を吐いた
<あの形態で安定しているんだ・・下手に
手を出して銀河そのものが崩壊でもしたら
取り返しが着かなくなる>とゼロワンが弱腰だ
だがそんなのは只問題の先送りをしているだけで
今の差し迫った問題に比べたら緊急性は低い
<アトランテスの艦が勝った・・取り敢えず
緊急の危機は回避出来たと考えて良いだろう>
Uゼロワンは自分が対応を誤った相手だと
解った上でその勝利を喜んだ
その上でUゼロツーに対し
<無論承知しているよ、まずは
彼等に対して謝罪だろ?解っているさ>
<良いぞ実に冷静な判断だ、どうやら君は
統合意識をリセットし直しアルゴリズムを
再配列し論理思考を上位修正する事に
成功したのだな>
(此を自己判断)で即時
出来る所がU星人最大の強みなのだ
全ての政治家がこの自浄化が
出来れば理想的なのだが
UゼロツーはUゼロワンの権限を
一時凍結したが、悪まで其れは
緊急時対応であり安全対策の一環だ
此ならもう権限を戻しても問題はないだろう
そうUゼロワンに提案したが
<否・・前のゼロワンはかなり危険な思考だった
君の判断は的確だ少なくともアトランテス艦と
交渉が終わるまではゼロツーに権限を預けて置く>
驚く程、冷静な判断である。
そしてU星人のゼロツーが一つの動きに
注目した所・・
星雲時計から直接一つの光がGユニオン艦隊に
向かってリープ速度で飛んでくる
そのタイミングで戦場を支えていた
48機のシルバーソーサー群が前触れ無く
リープ航法で一斉に銀河方面に飛去った
<何て素早い行動だ>
そして其れと入れ替わり48の光跡の横を
一筋の黄金光が横切る様に飛んで来る
其れがアトランテスノヴァである事は
誰の目にも明らかであった
そして光はGユニオン旗艦である
要塞大円盤ユニオンソーサーの前で停止した
全長が1800Mある大円盤から見れば
まるで極小艦だ
『全長160M位か(オリハルコンアーマー)
・・こんな小さい戦艦が
あの巨大な要塞戦艦ファノサイスを単独で
撃破したかと思うと、目の前の小型艦が
途轍もなく巨大に思えるな』
其処に問題の小型艦から通信が入る
<アトランテス艦から通信です!>
ゼロツーは通信士に通信を繋ぐよう指示を与える
<こちら銀河の盾>
<Gユニオンソーサーに報告する
シンファノサイスの排除は完了したが
我が艦もダメージを受けた為
此より戦場を一時離脱する>
<それは不味いガルスグレーサーが
黙っていないだろう>
Uゼロワンの指摘にゼロツーも同意見だ
マイクに向かい
<こちらGユニオン司令代行Uゼロツーです
先程は旗艦に対し大変無礼な態度をとり
申し訳ありませんでした>
<出来れば映像通信でお話したいのですが
宜しいでしょうか?>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━映像が繋がる
<まず最初に此までの無礼をお許し頂きたい>
今度の奴は偉く低姿勢だなと誠矢は思い
無礼には無礼で礼節には礼節で返すが
信条の誠矢は快く映像通信に応じた
そしてゼロツーと名乗る生命体の
多重精神構造と言う異様さに気が着く
<こいつ等・・頭に物凄い数の意識が連結し
空間越に繋がって一つの人格になっているぞ>
もう一人の殊勝に構える人物も同じ精神構造だ
<凄いな、此でどうやって考えを纏めるんだ?>
数千・・否もっとだ・・
多重人格で人格崩壊しそうなもんだが・・と
誠矢が考えていると春吉が
<統合意識体として人格アルゴリズムを再構築
しているのだろう実に興味深いよ>
そんな解るようで解らない解説をしてきた
春吉は誠矢に<解りやすく例えれば
我々が今やってる脳波会議の上位版だよ>
其れを聞いて<エッ>とは思ったが遅かった
脳粒子波に中継が外から繋がり
<何だ君らも此方側の人間だったのか?>
その声は総合意識体と呼ばれるU星人
ゼロツーの言葉だった
_____________________
★付箋文★
しまった、と思った時にはもう遅かった
『一番知られたくない連中に秘密が』
<そんなに用心しないで欲しい、我々は
君達銀河の盾と事を構えるほど愚かではない
それどころか有効な関係を望んでいるのだ>
誠矢は此処はもう開き直るしか無いと思った
<解った、其れなら個人的な関係で
アンタ個人との有効関係を結ぶならオッケーだ>
個人と言っても相手は1万もの
総合意識生命体らしいが
ゼロツーと名乗るこのU星人は
話が通じそうだ、その証拠に
<其れは良い互いにメリットのある提案だ
喜んでお受けしよう>と即座に答えた
気持ちの通じる奴だと誠矢は思う
何より前回こっちを敵視していた奴は
人が変わった様に大人しく成っている
何かバリヤーみたいな物に閉じこめられ
罰でも受けている様下だ
恐らく前の事は全部あいつの仕業なのだろう
<先刻はゼロワンが失礼しました、もう二度と
あの様に無礼な態度は取らせないのでどうか
許して貰えないでしょうか>
<はあ・・まあ其れなら構わないが>
銀河連邦の最高意志決定機関とも呼ばれる
U星人が此処まで折れるのも凄い事だと
誠矢は逆にU星人の対応力の高さに感心した
<まあ今更聞くまでも無いとは思いますが
貴方があのアストラ大使その人なんですね?>
誠矢は映像通信ではフルフェイスで
顔を隠しているのに脳粒子波の中では
剥き出しの自分になって意味がないよな
そう思うと笑いが少しだけこみ上がってくる
<確かにアストラは俺だ、まさか
こんな形で素顔を知られるとは思わなかった>
ゼロツーは当然誠矢の素性は知らない
だが一目見ただけで、まだ若い青年で
ありながら覇王の片鱗を感じた
この若者が今や銀河中にその名を轟かす
銀河の盾代表アストラなのだ
ゼロツーは此処からの会話に銀河全体の運命が
掛かっていると理解した上で話しかける
<其れで、あなた方の船を当方は
何とお呼びすれば宜しいでしょうか?>
艦名を聞かれた誠矢は早速
ギルザート18世に付けられれた名を利用した
<此の船の名はアトランテスノヴァ
此からはそう呼んで頂きたい>
『自ら超新星を語るとは又大胆な・・・』
ゼロツーは一瞬そうは思ったが顔には出さず
先ずは有効関係を目指し交渉を志す
<アトランテスノヴァ・・良い名です
シルバーソーサーよりシックリくる>
誠矢はゼローツーがシルバーソーサーの名を
出した時点で、ハヤテの名も出されると思い
警戒したが
<どうやらアトランテスノヴァには
此まで幾つもの船に化けて
我等の銀河を救って下さっていた様ですね>
どうやらアトランテスノヴァが
ハヤテや複数の船に姿を偽装する事で
正体を隠しているんだと誤解してくれたみたいだ
『成る程、脳粒子波で考えを読まない流儀か』
ゼロツーは常識ある性格をしている様である
<もしかしたら相当前からあなた方の
アトランテスノヴァが姿と名を変え
密かに大活躍なされていたのでは?>
其れを聞き誠矢は素っと呆けて
<そうだな~此方も色々手を尽くしたけれど
どうやら正体がバレてしまったかな?>アハハ
ゼロツーは自分の推理が的中した事で
気を良くしたのか満足そうに笑顔となり
<いや・・此まで騙し通されただけでも
大したものですよ、キャプテン・アストラ>
場の空気が緩んだ所で本題に入る
<デ早速ですが、此処から引き上げると言うのは
少々待って貰えませんか?>
例え若者でろうとその力は今や銀河最強、
低姿勢で話すのに抵抗はない
<アトランテスノヴァが引き上げた途端
ファノサイスクラスの要塞戦艦が攻め込んで来る
可能性があるのでね>
誠矢はゼロツーに
<其れはない、星帝ギルザート18世は死ぬ間際に
この俺にリンクス宰相宛に銀河との
和平条約の文書を送ったと言っていたからな>
脳粒子波での遣り取りで戦いの最中に
星帝と会話を交わした事は恐らく事実だろう
其れに圧倒的なアトランテスノヴァの力を見れば
帝国が和平を決意する理由としては十分だ
<成る程・・其れなら今すぐ
ガルスグレーサーに終戦の
意思確認をしましょう>
誠矢は腰に手を起き
<ああ、そうしてくれ逆にアトランテスノヴァは
この場に居ない方が話が上手く行くだろう
相手に脅しを掛けながらの交渉と取られ兼ねないし
ガルスグレーサー軍も都合が悪いだろうからな>
確かに星帝を殺害した張本人が同席する場所で
まともな話し合いに成る訳がない
<了解しました、逆に其れをアストラ大使から
言い出してくれて助かります>
『本当に腰の低い良い奴だ・・だけど
此奴の中には1万人の人間が詰まってんだよな』
個人的には信用できると思っても・・だ
誠矢は一人の後ろに1万もの人間の
意志があると思うと、其れだけで圧力を感じた
{1万の意識が協力し合い一人の政治家として
国の政事をするシステム}ってどうなんだ?
U星人と言う希有な存在は
大城誠矢が抱く理想的な
政治システムだと言えなくもない
<出来れば俺の素性はアンタの・・アンタ達か?
胸の中だけに止めてくれると有り難いんだがね>
1万の人間に顔が割れては中々厳しいか?
<勿論そのつもりです、只其方の脳粒子波の
セキュリティーは甘すぎるから私のシステムを
コピーして使うと良いでしょう、
あなた方のエンジニアなら此を解析して
自己流にアレンジ出来る筈です>
そう言いながらUゼロツーはシステムを
春吉{科学班長}に提示した
凄まじい量の情報が春吉の手に渡される
<此は素晴らしい・・有り難く使わせて貰うよ>
春吉の手に掛かればどんな技術解析も
あっという間である
<何しろあのベルテリオンを
保有しているのだから遣り方さえ解れば
不可能はほぼない筈ですしね>
Uゼロツーにとってはアトランテスノヴァと
常に連絡が取り合える事は政治的に大きな
アドバンテージとなる
無論そんな事は大城誠矢も百も承知だ
そして、春吉科学班長は
渡されたデーターをベルテリオン粒子で
複製する事で一瞬にして100年分の
脳粒子技術に進化させUゼロツーとの
占有回線を結ぶ事に成功する
そしてこの事はUゼロワンにも無論秘密だ
<ワンには悪いが秘密を知る者は少ない方が
守るには都合が良いからね>
此はツーの中の意志1万人の総意である
そして・・・
U星人と脳粒子波空間内での会談を終了した
アトランテスノヴァは銀河に向かって
発進したかと思うと、鮮やかな
一筋の黄金光跡を残し消え去った
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
其れはガルスグレーサー軍にとっても
宰相リンクス3世にとっても・・
最悪の出来事だった
「そ・・そんな・・ギルザート様・・」
280万隻の大艦隊が陣を張る
ガルスグレーサー大艦隊
その旗艦として圧倒的な存在感を放つ
星帝級巨人要塞戦艦
ファノタウリ(リンクス艦)
魔導兵器・高次元振動砲※(現在使用不可)
{ファノタウリ伝説では大地の存在しない世界で
龍が地震を起こし全ての敵を葬り去ったと言う}
その艦橋で指揮をとるのが
ギルザート18世の懐刀とも最後の切り札とも
言われる万能の天才、宰相リンクス3世
彼はギルザート18世の勝利を
信じて疑わなかっただが、事実は残酷である
戦の神として歴代最強のギルザートとして
崇められた18世が其の命運を掛け
シン・ファノサイスと言う禁断の封印を解いてまで
挑んだ戦いに破れ、その命を失ったのだ。
「その尊い御方の命を奪ったのは
只一隻の地球の駆逐艦・・ハヤテ」
「己・・・たかが地球の舟如きが・・」
否・・違う・・其れではギルザート18世様の
相手に相応しくない、英雄の死には
其れに相応しい{格}が必要だ
星帝様が戦った相手は悪まで
アトランテスノヴァと言う
大物でなければならない
「真の正体など問題ではない!
星帝様の名誉の為には絶対に相手は
地球の詰まらない小型艦などで
あっては成らないのだ!」
{星帝様が戦ったのは
アトランテスノヴァと言う屈指の強敵だ}
リンクスは自らの手で{ハヤテ}に関する
あらゆる情報を握り潰した
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
そしてギルザート18世から最後に
自分宛に送られてきた極秘文章を見て
リンクス3世は更に衝撃を受ける
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
我が親愛なる国民達よ・・長きに渡り
大宇宙を共に旅をした多くの親民達よ・・
余はギルザート18世
此より最後の命令を伝える
1つ
巨人から小人化する法的な制限を
今より全て撤廃する
2つ
銀河への移住に関しても望む者は
自由に私財を携え行くことを許そう
3つ
ヘルターナーにガルスグレーサー大使として
将軍クラスの権限と地位を与える
4つ
銀河に対し最大限の謝罪と戦争被害の賠償を
保証し、同様に侵略により被害を被った
多くの惑星にも保証を約束する
5つ
銀河連邦ユニオンと終戦協定を結ぶ事を許す
6
銀河と和睦しガルスグレーサーは
永久中立の立場を取り
理由の如何を問わず此を破ってはならない
以上が ギルザート18世の終戦宣言である
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
「星帝様は・・私に仇討ちさえ許さないと
仰るのですか?」
だがリンクス宛にもう一通の裏文章なるものが
ギルザート18世より送られていた
「こ・・此は!?」
其れを見たリンクスは何か納得した顔になり
そしてある決意を心に決める
その内容は実に恐るべき内容だった
<お前が此を見ているという事は余は恐らく
アトランテス艦に破れたと言う事だろう・・>
「星帝様・・」リンクスには其れが遺言だと
思っていたのだが読み進む内に
<余はシン・ファノサイスの敗北もあり得ると
予想し、予備策として・・>
『予備策・・流石は星帝様・・まだ勝ち筋を
諦めておられぬ』
<余は坂巻という名の
アトランテス戦士と戦い
己の犯した過ちを知った・・其れも
取り返しの着かない大きな過ちをだ>
<過ち・・星帝様が?>
<シン・ファノサイスが沈んだ時の予備策は
ガルスグレーサー本星(天体級大円盤ムー)を
{時空転移}させ星雲時計のトリガーにする事だ>
<そうか・・天体級大円盤ムーにも
No.4ファノアマトと同じく
時空操作能力が備えてあるから其れを>
{天体級大円盤の中枢にある時空転移コアに
ギルザート血統の脳幹を生け贄に捧げ
トリガーとして使用すると言う方法だった}
<脳幹は{クローンの脳}でも理論上
トリガーとしての機能に問題はない・・
但し此処からが問題なのだ>
<使用に足るクローン培養に掛かる時間は
約2ヶ月、ギルザート血統のクローンなど
問題が多過ぎて今迄はとても手が出せずにいた>
<今となっては悔やまれるが
余は星帝として{緊急時特例}として
1体だけクローンの製造を認める・・但し
脳以外の部位は必ず破壊処分せよ>
此は確かに王位継承に抵触する大問題
だが問題は其処ではない
<其れで問題は無い筈だった・・・>
<アストラがもし此の事実を知れば
我等を滅ぼす絶好の理由を与える事になる>
<アトランテスノヴァは既に星雲時計の
神の秒針の所有権を握ってしまった・・
だからこそ時間を稼ぐ必要があるのだ>
リンクスはギルザート18世の言いたい事と
自分が何を成さねば成らないかを知った
<時空間転移は固定式で、一度起動させると
もう取り消しが出来ない・・奴に
トリガー装置があると知られれば・・>
<アトランテスノヴァはムーをあの
神の秒針で躊躇無く破壊するであろう・・・>
<この秘密だけは絶対に守れ・・必ず守るのだ
宰相リンクス3世よ!!>
リンクスは時を稼ぐ目的で銀河連邦との
終戦交渉の席に着くことを決意した。
現状━━━━━━━━━━━━━━━━━━
280万隻の大艦隊とファノシリーズ4隻が
ほぼ無傷で存在する状態で
銀河系間近まで迫っての交渉であり
ガルスグレーサーにとって其れ程
不利な戦況ではない
アトランテスノヴァの存在さえなければ
強気で銀河連邦ユニオンに降伏勧告出来る程の
圧倒的な戦力差だった。
だがアトランテスノヴァの破壊力を
目の当たりにした今、此以上の戦争継続は
望ましくない
そしてガルスグレーサー本星が今
銀河に向け時空間転移のカウントダウン
状態にあり星雲時計のトリガーまで知れれば
アトランテスノヴァは間違いなく
本土攻撃を仕掛けて来るのは必死だ
『ハヤテを秘密裏に破壊出来れば
アトランテスノヴァの脅威は無くなるが・・』
地球がハヤテの帰還を許さない限り
その隙が無い事をリンクスは知っていた
「現政権に潜り込んでいるムーの末裔を動かし
ハヤテの帰還を促す様に命じるか?」
此まで何度も破壊工作を仕掛けては失敗した
ハヤテ乗組員の暗殺計画も含めてだ
今は神の秒針を武器に持つ奴等は
単独でガルスグレーサーを滅ぼす事が出来る
下手に刺激するには余りに危険極まりない
存在に成っている
それなら地球に一時帰還させ政治的圧力により
数日間足止めすれば良い、それで時間を稼ぎ
ガルスグレーサー本星の転移を成功させれば
「2ヶ月後にはギルザート血統の
クローン体が完成し{脳幹}が手に入る・・」
「其れから銀河の覇権を
ガルスグレーサーが握る事が出来れば
ギルザート18世様が思い描いた
完全なる楽園が実現可能と成るのだ」
ガルスグレーサー本星{天体級大円盤ムー}
直径40万キロM 全高3~6万キロM
その時空間転移距離は最大で100万光年
転移開始時間まで残り 162時間
to be continued.
坂巻機をシン・ファノサイスに向かわせ
後に残った敵烏400機の内{撃墜・大破}
させた分を除き300を余裕で越える敵残存数と
{スターファルコン隊}{サンダーシャーク隊}
{アローホーク隊}戦闘に使える
残存ミサイルの少なさがその激闘の凄まじさを
物語ってる
カラメティドラゴンの足止任務から
解放され自由となった大烏群が
次に目を付けるのは、弱体し反撃も出来ない
状態に陥った神風型宇宙駆逐艦ハヤテだった
今のハヤテは大きさが
本来の1330メートルに戻され
全てのデーターを初期化までされて
満足に戦える状態ではない
「不味いぞ奴等・・ハヤテを狙ってやがる」
西沢はアローホークのミサイル残弾数が
例え0でも戦う覚悟だ
50Mの巨大な大烏は対空ミサイルでなければ
有効打に成り得ないのは解っている
<目標ハヤテ・・攻撃ヲ開始スル>
冷たい無機質な機械音声でそう告ると
300機以上の大烏がハヤテに向かい
攻撃態勢に入る
<殺らせるかよ、こうなったら
{機銃だけで}戦ってやるさ>
西沢の言葉に合わせるように清水も
<良いですね一機でも多く道連れに
してやりましょう>
<殺ってやるぜ> <ハヤテは俺達の家だ>
<絶対に手出しはさせねえからな!>
西沢を始め全パイロットが
命を賭して戦う覚悟をした
____________________
★付箋文★
超宇宙戦艦ハヤテ・第一艦橋
「全戦闘機部隊、敵防衛戦闘兵器と戦闘を
再会します」
『駄目だ戦闘機部隊は既に限界だ
このままでは全滅してしまう!』
大城艦長代行はハヤテの撤退さえも考慮する事態に
追い込まれた『銀河の危機を救う』
お題目は立派だが命あっての物種とも言う
引き際を見極めなければハヤテの皆を無駄死に
させるだけだ
『坂巻・・こんな時にお前が居れば』
大城誠矢は滅多な事では弱音は吐かない
だが坂巻を生還不可能な任務に行かせた負い目が
知らず知らずの内にいつもの大胆さを奪っていた
坂巻を想い誠矢はシン・ファノサイスを
目で追っていった
カラメティドラゴンの飛去った宇宙を見る
すると一瞬だが気になる蒼い輝きが見えた
其れは銀河中心部に形成された巨大時計の
主軸に当たる先端部からだと直感する
こうした遠くの映像を観るには
真耶の力を借りるしか方法がない
<真耶隊員、あの部分をクレアボアンスで
拡大して見せてくれ>
コンピューター関連が総て初期化された
今のハヤテが当てに出来るのは
コンピューターに頼らない真耶の超能力だけだ
真耶は兄の望みに答え{日頃の鍛錬の成果}を
此処で見せようと頑張る
ハヤテの空白になった人工頭脳にアクセスし
其処から先・・が解らない
『一体どうしたら・・良いの?』
誠矢が真耶にアドバイスを送る
「坂巻がカラメティドラゴンとやった
人機一体の様に機械を自分の体の一部とし」
「電子ケーブルを自分の血管か
神経だと思うんだ」
誠矢は坂巻からカラメティドラゴンを
あたかも自分の体の延長であるように
扱えると聞いていた
そのアドバイスを信じるなら
1光年先であろうとハヤテの機能を使えれば
問題なく観れるとは思う・・
クレアボアンスとは透視能力であり
真耶がコンピューターを見つめると
『電子の流れと粒子の輝く道が見える
此の回路を通せば自分の眼に出来そう』
そして真耶は自分の視力が物凄い距離を進み
太陽光所か赤外線や紫外線の光まで認識出来
そればかりか魔導光まで見える様になる
全てはハヤテの望遠機能と光学感知機器を
超能力により繋ぐ事が出来た結果である
『凄いわ、まるで自分の眼の様に見えるわ』
けれど此は・・超能力よりもっと別の力が
働いている様な・・・と真耶は感じたが
「凄いぞ真耶!」
その声が真耶の疑問を中断しギクリとさせる
声の主はジョン・スミス
気が着くとハヤテのメインモニターに
一光年先とは思えない鮮明な光景が映っていた
「一光年先とはとても思えない・・まるで
100m以内の高画質映像だ」
誠矢は真耶の体から発する
蒼い光のオーラに注視した
『あの{気の様な物}が坂巻が
言っていた魔導と機械とを繋ぐ鍵か・・』
そして自分自身の手を見つめ
その手に魔導力を込めた
『俺の体に流れるこの膨大な魔導力を
ハヤテに流せば・・本当に暴発せず、
あんな風に繋がるのか?』
誠矢は大き過ぎる自分の力のせいで何度も
自爆し、時には大怪我まで負って来た
『この絶体絶命の危機にもし失敗したら
俺のせいでハヤテは全滅だ』
そう思うだけで手が震える
{仲間達を巻き込む}と言う恐怖が
いつも自信家である誠矢の勇気を挫く
それは大城誠矢が今迄経験した事がない
特大のプレッシャーであった
「待て!シン・ファノサイスを見てみろ!」
そう指摘したのはジョンだった
その声に次々に他の隊員達も
「敵艦船底部に孔が開いた
・・何をする気だ?」
シン・ファノサイスの孔の目指す先には
星雲時計の主軸があるが、其れで
何をするか迄は未だ不明である
「見て下さい!あれは坂巻隊長の
カラメティドラゴンじゃないですか?」
イザベルの声に全員の目が
鮮やかな紅い色の機体に注がれる
「本当だ坂巻さんだわ!」
「坂巻!!」「進吾さん!!」
真耶と響の声に引き続いて
春吉がシン・ファノサイスの変化を説明した
「星雲時計を起動するには、時間操作能力を持つ
能力者の犠牲が必要だと坂巻君から聞いた」
「犠牲・・」その言葉の意味は一つ
・・シン・ファノサイスの
中に、その能力者が存在するのだ
だが既に時遅くシン・ファノサイスは
その巨体を徐々に降下し始める
「いけない!奴がタイムマシン兵器のトリガーだ
アレと連結させては成らない」
春吉が思わず叫ぶと同時に
カラメティドラゴンが飛び出し光弾となって
シン・ファノサイスに向かう
だがまるで豆粒だ・・こんなに小さくて
あの巨鯨にどう立ち向かうと言うのか
『無理だ・・もう良いんだよ・・坂巻・・
それ以上無茶するな』
誠矢の祈りが星雲時計の虚無空間を伝わり
それが坂巻に届く
シン・ファノサイスがいよいよ
船底を突き刺す動きを見せたその時だった
カラメティドラゴンの蒼い光跡が・・
その巨鯨の腹底に消えたのは
『何だ・・・坂巻・・何をした?』
其れは子猫が車道に出るのを見たとき
思わず体が動いて助けてしまう本能的な行動か
海で溺れている子供を見掛けたら
例え自分が泳げなくても反射的に
飛び込んでしまう{自己犠牲}・・
自然と体が動いてしまう
そんな当たり前の人間共通の行動
何がそうさせるか解らない・・
だが彼は実に人間らしい行動に出た、
「そんな事をしても巨大な鯨を止める事など
只の人間に出来る筈がない」のに
「支えようとしても直ぐに重さに押し潰され
命を無駄にするだけ」なのに、冷静になって
後で考えてみれば「自分でも無謀な行為
だった」と反省するかも知れない
巨鯨が腹の孔で星雲時計と連結するのを
阻止する坂巻機が{豆粒大}しかない事実
{心ない言葉で此を蛮勇と呼ぶ}
此は他者に否定も嘲笑も出来ない
「坂巻は馬鹿な事をした」と言えるのは
彼を大切に思う者だけに許される
だが・・信じられない事に坂巻機が
巨鯨の超重量を支えている
魔導力全開で障壁を限界を超え圧縮強化し
蒼い生命の輝きの力強さが
{逆に坂巻の命を削っていく}と知れば
「頼むからもうやめてくれ」と、
誠矢が叫ぶのも無理からぬ事だ
真耶のクレアボアンスには坂巻の生命力が
どんどん弱まっていく様子が見える
『もう止めて進吾さんが死んじゃう』
真耶にとって子供の頃から頼り甲斐のある
お兄さんで、一番強くて優しい坂巻が
銀河の運命を守るため命を削り戦っているのだ
不純物の一切ない虚無空間ならではの環境が
1光年の距離を物ともせず
脳粒子波の繋がりでハヤテの真耶を通し
シン・ファノサイスが
坂巻機を押し潰す様子が鮮明に観える
それは誠矢のみならず響に景子
そしてジョンにイザベルや春吉までが
まるでその場に居る様に感じた
脳粒子波が観測する力は遂に
仮想世界にまで繋がり
ギルザート18世が王錫で坂巻機を
潰そうとする光景をも観せた
感覚では大きな川辺の反対側程度の距離で
大きな声で叫んでも1光年の距離は遙かに遠く
届くことは{不可能}聞くのも無理だ
ギルザート18世は坂巻から聞いていたから
その男だと直ぐ誠矢は気が着いた
坂巻が{高い評価}をしていたその男が
蒼い光の粒を今にも王錫で潰そうとしている
『やめろギルザート!坂巻に手を出すな
お前が潰そうとしているその男は
俺にとって掛け替えのない無二の親友なんだ』
魂の怒りが・・腹の底から沸き上がる
だがギルザート18世は止めるどころか・・
卑怯にも自分の力だけでは押し潰せないのか
背後から自分より力の有る大男に手伝わせた
「ギルザート!!」
誠矢の叫びを無視して星帝は
坂巻の命の灯火を・・無惨にも
打ち砕いてしまった
「いやあああああああーーーーーーっ!!」
景子の悲鳴がハヤテの第一艦橋内に
響き渡り、真耶の絶叫が心を抉る
そして誠矢の中の何かがブツリと音を立て
切れる音がした
その時だ・・静寂に一瞬その場が包まれた刹那
誠矢の中で何かが輝きを発し、次の瞬間
超新星の大爆発が宇宙を揺るがし轟いた
そしてハヤテから蒼い光が溢れ出し
その光がハヤテ中枢部に秘匿された
ブラックボックスに吸い込まれると・・
石碑に記されたアトランテス文字が
黄金の稲妻で光輝き、光線模様が刻み込まれた
<アトランテック能力解放ー
シルヴァニア圧縮機関始動開始>
石碑がハヤテのコンピューターを解し
新たなプログラムを起動し始める
次の瞬間にはハヤテの艦体を現代の科学では
成し遂げ得ない規模の情報の塊と化した
模様とも文字とも計り知れない光輪が発生して
艦がその中に沈下すると中から
全長1330Mの巨体から{133Mに圧縮}された
元の{駆逐艦サイズ}と成ったハヤテが
出現した、だが・・何かが違う
其れは元のハヤテとは似て非なる物であり
新たな{怪物}の誕生であった。
______________________
★付箋文★
アビス・レイブン残数368機は
ハヤテの戦闘機部隊を追い詰めつつあった
如何にエース級揃いであっても
対空ミサイルの残弾は既に尽き
機銃程度では歯が立たない敵相手に
操縦技術のみで時間稼ぎを続けるのも
限界だ。
西沢が5機の大烏に取り囲まれ
逃げるに逃げられない危機的状態に陥り
<西沢さん!> 清水も3機に取り囲まれ
助けに向かうことも困難な状況だ
5機の大烏の群が紅い光を発し西沢の
アローホークを射程に捕らえ5方向から
体当たりをする為の砲弾状態に移行する
紅いレーザーポインターが5つ灯り
操縦席の西沢に其れが集中した刹那
5機のアビスレイブンは一瞬で消滅した
<何!何だ?何が起きた!?>
そして清水機を取り囲んでいた3機も
又同じように一瞬で破壊される
困惑する西沢と清水に通信が入り
<こちらハヤテ、戦闘機部隊は直ちに
ハヤテ後方の安全空域まで退避して下さい>
その通信の主はジョン・スミスである
戦闘機部隊は慌ててハヤテの指示に従うと
脱兎の勢いでハヤテに向かって飛んで逃げた
アビスレイブンはそれを追おうとしたが
その行動は完全に間違いであると西沢には解る
『凄いぞ・・何だあのハヤテは・・?
今迄だって大概化け物だったのに
あの迫力はファノサイスさえ超えている』
その存在感はとてもではないが、もう
一隻の宇宙戦艦の域を遙かに超えた領域だ
その証拠にハヤテに接近する間も無く
アレ程、西沢達が手こずった大烏共を
ハヤテはまるで無造作に凪ぎ払いながら進む
もうバリヤーもクソもない
それはとても133Mしかない駆逐艦の出来る
所業ではなかった
<凄いな訳解らん強さだ・・砲を撃つ訳でもなく
どうやって破壊しているのか全く見当がつかない
あれじゃまるで・そう・坂巻だ・・>
西沢は一瞬、坂巻が人機一体となって戦う
無敵のカラメティドラゴンの戦いを思い出す
<坂巻流{番外席}魔銃拳>
それは魔導力を旨く扱えない誠矢が
ほんの少量の魔導力で戦う手段として
編み出された戦闘術
坂巻流{番外席}魔銃拳
{魔導力が大き過ぎて肉体が耐えられない誠矢を
進吾が手伝い生まれた新流派}
大城誠矢は坂巻流{番外席}修得により
初めて坂巻流{神髄}の修練を許され
坂巻流の奥義の全てを修得出来た
坂巻流はその絶大な威力から門外不出
たとえ王族と言えどもその例外は無く
歴史上初めて王家直系の者がその神髄に
触れたのだ
此は坂巻進吾と大城誠矢が主従関係を超えた
無二の親友同士だからこそ成し遂げた友情が
起こした奇跡
誠矢にとって坂巻進吾とは兄であり、
武の師であり人生の目標でもあり、そして
最高の英雄だった
その坂巻を目の前で殺された誠矢は
沸き上がる怒りの全てをハヤテに注ぐ
するとハヤテが誠矢の魔導力を吸収し
一瞬で石碑が発動し{シルヴァニア効果が復活}
気がつけばハヤテの機能の全てが誠矢にとって
肉体の延長となる感覚に目覚めていた
蒼の魔導が真耶の破壊型超能力さえ取り込み
その力を石碑に吸収する
真耶が自分の大き過ぎる超能力で{肉体が
壊れ掛けているのも}この時初めて誠矢は
気が着いた、真耶もまた誠矢と同じで
人の体では耐えられない膨大な力で
自滅の道を歩んでいたのだ
『・・Jジョーカーは此が理由で真耶の為に
冥王星の超能力研究データーを消去したのか』
ハヤテの全機能を完全に掌握した誠矢は
戦闘機部隊が窮地に陥っている所を見て
まず使い慣れている坂巻流魔銃拳で
5機のアビスレイブンを打ち抜いた
敵は一瞬にして消滅したのだが
『まるで手応えがない・・例えるなら
霞を撃った気分だ・・』
此は友軍機に少しでも掠るとそれだけで
同じ事になる{ジョンに指示を出し}
戦闘機部隊を全機ハヤテの後方に退避させた
それから邪魔な大烏を手で祓うように
ハヤテを前進させるだけで
敵は黒い墨のように流れて消えていった
敵の大烏は紅い魔導力を纏い
魔導光弾となってハヤテに体当たりを
してくるが誠矢が魔銃拳で撃ち抜くと
今まで対空ミサイルで何発撃っても
効果がなかった大烏の紅光弾丸が
ハヤテから放たれた蒼い光弾に次々に
貫き貫通されバラバラに砕け散り爆散していく
300を超えた大烏は瞬く間に消滅していった
残数が数えるほどになっても、大烏は
シン・ファノサイスの元に行かせまいと
ハヤテに紅光弾となって食い下がり
突進してくるが最早ハヤテの敵ではない
覚醒したハヤテは其れこそ鬼の強さを見せつけ
此までにも増して恐ろしい地獄の戦闘力を発揮する
ハヤテはたった133Mしかない、それが
羽を広げれば50Mはある大烏を一撃で
爆散させる攻撃力に息を呑む
全長1300Mもあった時のハヤテより今の
小さくなったハヤテの方が遙かに力強く
頼もしくさえ感じる
そしてそんなハヤテが1光年先にいる
怨敵であるシン・ファノサイスの元に向かう
<全機その場で待機、回収は敵を滅した後でする>
此は誠矢の声だ・・
『本音では今すぐにでも回収して欲しい所だが、
あの敵に少しでも時間を与えるのは悪手だろうな』
西沢は誠矢{艦長}の判断に従った
<全戦闘機チーム了解、この場で待機します>
誠矢の声が怒りと緊張で少し高ぶっていたな・・
一体何があった? この時の西沢はまだ
坂巻の死を知らずにいた。
_______________________
★付箋文★
シン・ファノサイスは星雲時計の主軸との
連結をカラメティドラゴンに邪魔を去れ
致命的な失敗を犯した
唯一、星雲時計を起動する引き金の
No.4の脳幹シリンダーを無駄撃ち
無駄死にさせてしまったのだ
取り返しがつかない最悪の展開・・その上に
坂巻進吾の予言通り・・大城誠矢が
友の死を切っ掛けにして
あのハヤテを覚醒させてしまったのだ
アレは紅の魔導に予知夢で見せられた
覚醒ハヤテだ・・あのハヤテが{更に進化し}
・・我がガルスグレーサーは滅ぼさる
だが・・させぬ・・シン・ファノサイスは
ガルスグレーサー最強なのだ
ギルザート18世は脳幹シリンダーをNo.4から
No.2ファノクロスに切り替える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
魔導兵器・液体重金属砲
{ファノクロス伝説で語られる有名な一節には
天空を覆い尽くす夜の羽衣が漆黒の闇で
全ての罪人を呑み込み天の裁きを与えるという}
.━━━━━━━━━━━━━━━━━━
攻防一体の力を見るがいい・・
シン・ファノサイスの周りの空間に
液体重金属が生き物の様に蠢きながら
全長6キロを超える船体をも覆い尽くす
大きさになった
『確かに・・覚醒ハヤテは凄まじい強さだ・・
それは認めるが・・』
ギルザート18世はハヤテの強さに
懐疑的になる理由がある
2万年前の{太陽の船アトランテス}程では
あるまいと、ギルザート18世には思える確証があった
{真のアトランテス}は全長20㎞もの
移民船だったが「太陽の船}こそ
地球にアトランテス文明人が
惑星移住するのに使った唯一の移民船であり
戦う船であったのだ。
それがムー文明と戦争状態となり魔導石碑の
シルヴァニア現象で20㎞もの船体を10分の1に
圧縮し2㎞の大きさの戦闘船に生まれ変わった
その力でムー文明の最強巨人艦隊ファノ
約1万5千隻を相手に圧勝した
残った艦は僅かに5隻・・恐るべき戦歴だ
だが・・ハヤテは全長1330メートルしかなく
其れを圧縮し133M・・戦闘力も知れている
10倍以上の大きさを誇った
{太陽の船アトランテス}と格が違うのだ、
オリジナルには遠く及ぶまい・・
其れに比べこのシン・ファノサイスは
{太陽の船殺し}として
ファノサイスを改造し6個の脳幹シリンダーを
持つ特別なファノなのだ
『負けはせぬ・・シン・ファノサイスの
威力で貴様を葬り去ってやる』
{天体級大円盤}をこの場に迎え
新たな生け贄を何としてでも
用意し<星雲時計のトリガーを引き
この銀河の完全支配を成し遂げる>
星帝は銀河征服を全く諦めてはおらず
覚醒ハヤテさえも恐れていない
それが星帝と言う希代の英雄王の生き様である。
______________
★付箋文★
斯くして遂に銀河史上最強の二大怪物による
最終決闘が勃発する
どちらも只一隻で銀河規模の
大艦隊を一蹴する怪物達
圧倒的破壊力を有する猛者同士が
銀河中心部に形成された闘技場
半径5千万光年の{星雲時計領域}で
雌雄を決するのだ!!
この戦闘は銀河内では観測不能
銀河外に位置する銀河連邦艦隊と
睨み合うガルスグレーサー艦隊の両陣営が
一番席の貴賓席と成るのである。
丁度一時停戦状態であるのも手伝い
銀河連邦のユニオンもガルスグレーサーも
その戦いの行方に注目した
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その中で2大勢力を停戦に持ち込んだ
功労者であるシルバーソーサー円盤群の
アストラ大使は、ターナーシンジゲートの一人
シルカースに隠れて耳打ちする
<この戦いが終わると当時に
私達をハヤテFに転送して君達は
早々に引き上げてくれたまえ>
シルカースは成る程と了解する
『この戦いの勝者が決まれば、もう其れで
俺達はお役御免と言う訳か?』
「解りました、発注内容はMr.をハヤテFに
送り届け、それから他の円盤で運んできた
荷物の搬入をすれば無事に配送完了ですね?」
<その通りだ・・最後に私がサインをすれば
君の仕事は完璧に完了だよ>
「有り難い、此で俺もボスに顔が立ちます」
━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
ギルザート18世は外野の事など今は
意に介さず、其れよりも目の前の
厄介者を早く片付けたかった
頭ではシン・ファノサイスの敵ではない事は
理解しているのだが、何か途轍もない力を感じる
『何だというのだ、一体・・』
<よくも・・ろ・したな・・>
<あ??> 何だこの声は・・
ギルザート18世は聞き覚えのない声を耳にした
だが・・何故か無視出来ない巨大な力を感じる
そんな声だ
脳粒子波が細長く延びて其処にまで届き
それを辿って声が迫ってくる
そして星帝は対岸から歩いてくるその
青年の姿を見た
<貴様・・何者だ?>
只者ではない・・他の者とは
纏っているオーラが違う、其れは
言うなれば王者の持つ黄金のオーラだ
星帝はすぐさまその正体に行き着いた
<貴様が・・アトランテス王国最後の王
・・アストラか・・・>
誠矢はその問いに王など知るか
<俺は大城誠矢、貴様が殺した
坂巻進吾の友だ!!>
『王とかアストラとか今はどうでも良い』
その怒りは蒼い光に包まれる彼の後ろの
若者達からも星帝は感じた
<坂巻さんをよくも・・許さない!!>
真耶の蒼い光はその中で特に異質だ
アレがハヤテの資料にあった破壊型超能力者か
だが、この力は・・破壊型所か・・
スーパーデストロイヤー(超破壊型)級だ
<他にも誰一人として無視出来る
蒼の魔導力の持ち主はいない
何とも化け物ばかりを揃えたものだ・・>
だが此程の怒りを買う覚えがない
<坂巻は自ら望み余と死闘を演じた勇者・・
其れを殺したのも確かに余、だが其れを恨むか?>
ギルザート18世の言葉に誠矢は
<貴様は大男に協力させて坂巻を殺した
俺達は確かに見たぞ・・この卑怯者め!>
ギルザート18世は誠矢の言葉に内心呆れた
『何という酷い誤解だ・・寄りにもよって
そんな風に見えたのか・・
(そしてル・リオンの残骸を見て)
寄りに寄って此奴と同類に扱われるとは・・』
・・この酷い誤解を訂正しなければ
後々の世まで醜聞と成るは必死だろう
だが併し{訂正して何になる?
言い訳をしてから、この者達を殺すのか?
歴史は所詮勝者が作るもの・・是非も無い}
誠矢はギルザート18世を睨みつけながら
言葉に詰まった様子に見える相手に
<何だ?何か言いたい事があるか>と問いただす
だがギルザートは
<そう見えたのなら仕方あるまい・・
此から死を与える者と此以上語る
必要はない>とだけ言い
ギルザート18世は
シン・ファノサイスの威力を使う
<さあハヤテ存分に戦おうぞ!>
<喰らえNo.2液体重金属砲発射!!>
転移ゲートが発生し其処から
液体重金属がブワッと勢いよく
吹き出したかと思えば
其れが生き物の様にハヤテに襲いかかり
金属の幕から無数の鋭いトゲが生え
ハヤテに向かって延びて突き刺そうとする
だが誠矢が其れを避けようと考えるだけで
あたかも脳が命じ体が自然に反応したかの如く
ハヤテがその攻撃を瞬時に避けた
この反応速度は通常の戦艦の命令系統では
絶対不可避のものだった、だが其れを
覚醒ハヤテは難なくやってのけたのである
魔導エネルギーで紅光輝くトゲ槍を
突き刺そうとハヤテを追う
シン・ファノサイスの重液体金属だが
トゲ槍から更に形状を鎌状に変え
何枚もの鎌が縦横無尽に斬り掛かる
この鎌も又、紅の魔導で圧縮力を増しており
ハヤテの超高密度装甲オスミウムでさえ
バターのように簡単に斬られてしまいそうだ
<そう簡単に逃がしはせんぞハヤテ>
ギルザート18世は脳粒子派で液体金属を
巧みに操り得意の槍術を繰り出した
鎌をかわした先に強力な魔導棒が振り降ろされる
だが誠矢はその棒術を坂巻から聞いていた
魔導を込めた王錫の魔導攻撃が
坂巻の致命になったらしいが、
そんな手は知っていれば喰らう事はない
ハヤテは{王錫の柄}の部分を狙い
主砲の魔導剣で弾いて後方から
追撃してきた何枚もの鎌を弾いて
王錫を利用して叩き折る
『今の攻撃は・・ギルザートも魔導武術を
戦法に組み込み始めたか』誠矢は
棒術を使う超達人と相対し構えを直す
覚醒ハヤテとシン・ファノサイスが
星雲時計・虚無空間で対峙し睨み合いになる
________________
★付箋文★
『・・ギルザート18世の繰艦技術はやはり
俺と同じ魔導拳だ此処まで一緒とは・・だが妙だ』
魔導力による脳粒子波繰艦術は
アトランテス特有のもの
出自が同じなのだから不思議はないが
ギルザート18世は違う疑問を抱いていた
『シン・ファノサイスと此処まで戦えるとは』
想定では太陽の船の10分の1程度しか戦闘力が
無い筈なのに此ほど手間取るのは不可解
シン・ファノサイスは液体重金属を
クロスワイヤー状に展開してハヤテの周りに
張り巡らせると紅い魔導糸で切り裂こうとする
<レッド・ワイヤーストリングス>
この攻撃は全方位から包囲し
敵に逃げ場のない不可避の攻撃だ
<坂巻流{真魔導拳秘義}流水波弾丸>
此は鉄糸の使い手を想定した技で
魔導力を水の拳にして敵本体を攻撃する
投擲技である
ハヤテから放たれた{流水波弾丸}は
変幻自在にシン・ファノサイスの
漆黒の船体にダメージを与える
その威力は川の氾濫した強力な水鉄砲に
頑丈な岩壁が直撃され亀裂が入る感じだ
シン・ファノサイスの重厚な装甲が軋み
内側に抉るように凹みひっしゃげた
全長6キロある巨体が{流水波弾丸}の
与える衝撃で大きく持ち上がる
133mの小兵が放った一発がこの威力
明らかに異常な威力<何だこのパワーは?
本当に此が{太陽の船の10分の1}か?>
ギルザート18世は血痰を吐きながら
よろめき片膝を着いた
その影響がシン・ファノサイスでは
艦体が震え漆黒鯨の苦悶の声を上げながら
傾く様下を見せたのである
<駄目だ・・液体重金属砲では
この・・相手に通用しない・・>
ギルザート18世は此以上の液体金属による
攻撃は無意味と思い脳幹カートリッジを切り替え
No.3ファノムートにチェンジした
魔導兵器・空間斬殺砲
{ファノムート伝説には星が邪魔をして
商船を通さないので、あの星に
退くよう説得して欲しいと頼まれ
ファノムートは星に退くよう頼むが
星は回り道しろと言い、そこで
ファノムートは仕方なく空間を割って
商船の通り道を作ったと言う}
ハヤテの超高密度装甲でも
空間まる如切り裂けば関係ないと言う
物理を超えた発想だ
<空間諸共に斬れろハヤテ!!>
ギルザート18世が空間斬撃を放つとハヤテが
斬れた・・様に見えたが、それが幻で
一瞬でシン・ファノサイスの上空を取り
強力な念動力の拳で殴りつけた
<坂巻流{真魔導拳秘奥義}大闇黒天殴殺>
<ぐわぁあ!!>
ギルザート18世は信じ難い重さの一撃を
背中に喰らった
真耶の超能力で攻撃を予知をし
一瞬速く瞬間移動が出来るハヤテには
例え敵攻撃速度が0秒であっても
当たらないと誠矢は豪語する
<坂巻流真魔導拳の奥義には実現不可能な
謎の秘技が数多く存在するが{その正体は}
超能力が必須だったんだ>
ギルザート18世は敵の念動力の威力が
破壊型超能力を超越していると感じ
<間違いない此は超破壊型の力だ>
<シルヴァニア現象の影響がまさか
超能力まで密度を上げると言うのか?
馬鹿な!!>
シルヴァニア現象の力を借り
真耶の超能力が10分の1に圧縮され殴られたら
シン・ファノサイスの分厚さ50Mの
多重重装甲といえど絶対耐えられない、
殆ど大隕石に高速で衝突された威力だ
・・それも鋼鉄塊の大隕石にである
多重装甲に亀裂が走り内部の光り輝く
赤い魔導光が鮮血の如く迸る
シン・ファノサイスの受けたダメージは深刻だ
ハヤテが超能力戦艦なら現状のNo.3モード・
ファノムート(液体重金属)では分が悪い
No.5ファノギウス
魔導兵器・超神域電磁砲
{ファノギウス伝説では龍が雷の檻を作り
その中に敵の星を閉じこめることで
無傷で星の果実を得たとある}
『ギウスの力なら超破壊型に対抗出来る』
脳幹シリンダーを回し
(この能力を切り替えるタイムラグの
4秒間がシン・ファノサイス最大の欠点である)
ギウスに切り替えシン・ファノサイスは
電気の力を自在に使える電気鯨となる
超高電圧がシン・ファノサイスを取り巻く
空間に満ち満ちて凄まじい稲妻放電砲が
ボイド(虚無)空間で鳴り響き
障害物無しの超雷砲がダイレクト速度の
威力でハヤテを襲う
雷がハヤテに当たるとその威力で
稲妻を放電しながら横滑りに
艦体を傾かせ乍押しやられる
<電気攻撃は熱電撃なら金属でも焼き切るし
電気系統の機械をショートさせる
攻撃バリエーションが実に多い>
ギルザート18世の言葉通り
確かに電気攻撃は厄介だが・・
<残念だが坂巻流奥義の中には電撃対策の
技も有るんだ!>
放電しながら横滑りする艦体を
響はハヤテの艦主を
シン・ファノサイスに向け
誠矢が主砲で狙いを付ける
(全てのプログラムが消えた今、坂巻流の技を
この砲で放つことが出来るのか!?)
頭の中に記憶する坂巻流の技の中で
最も有効な遠距離攻撃技は
<坂巻流{真魔導拳秘奥義}迦桜羅流星砲弾>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その瞬間だった銀河連邦の旗艦
大要塞円盤・ユニオンソーサーが
全銀河にある文明圏を捜索し
長年探し求めていた{物}が検出されたのは
<ベルテリオン粒子反応検出!!>
Uゼロワンを始めUゼロツーも友に
その幻の粒子の突然の出現に息を呑んだ
<ベルテリオンだって!?
一体何処から??>
ベルテリオンとは銀河連邦が長年に渡り
研究し続け{遂に研究を放棄}した
幻のエネルギーであり
其れが実現出来れば{不老不死に不死身}
過去未来に自在に旅が出来て生命さえも
造れるという{神の粒子}エネルギーである
今はすっかり諦め<ベルテリオン(神の粒子)など
所詮{世迷い言}の戯言レベルに過ぎず・・
伝承ではアトランテス文明もムー文明も
奇跡を何度も起こしたと碑文に記されるも
誰にも其れは立証出来なかった>
その神の粒子が銀河連邦{創立}以来初めて
観測されたのが、銀河大戦争の真っ直中だとは
皮肉にも程があった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
蒼の魔導力を圧縮{凝縮砲弾}して
発射する、この発想は実現困難で
人類には到底実現出来ず、昔から
大砲を魔導で覆い発射台を強化して
強力な火薬で打ち出すのが現実的で
大城誠矢は此処に来てハヤテの主砲を同じ様に
魔導力の塊を撃つだけの道具と言う発想に至る
「照準合わせ・・撃ち方用意~」
砲門がシン・ファノサイスに向いた上に
照準まで合わせてくれば次に何をするかは
ギルザート18世でなくとも容易に予想がつく
<させるか!>
サイボーグ戦艦の優位性を此処で発揮し
シン・ファノサイスの周りに
超電磁障壁を形成させる
反射的に此が出来るのは殆ど反則である
一時はコンピューターが
初期化され攻撃手段を全て失ったハヤテだったが
今は信じられない戦闘能力を発揮する
「坂巻流{真魔導拳秘奥義}迦桜羅流星砲弾!!」
その瞬間、蒼い魔導力の塊が主砲から発射され
弾頭には黄金色の金属が形成されていた
シン・ファノサイスの超電磁障壁に
魔導力が凝縮した砲弾が衝突すると
蒼い軌跡を残し貫通する
<何いっ!?>
障壁が意味をなさない
6枚張った超多重防護障壁が何も役目を
果たせないまま紙の様に破られ貫通し
身の危険を感じたギルザート18世は
シン・ファノサイスを超電磁移動で動かし
敵艦からの砲撃を緊急回避した
9本の砲弾が艦体を掠るだけで信じ難い事に
重厚で強靱なシン・ファノサイスの多重装甲が
深々と抉り取られる
9本の筋が痛々しく刻み込まれた漆黒の鯨
ギルザート18世はハヤテの追撃に備えて
雷光の柱を9本発生させた
<あの砲弾を防ぐに面ではどうにも成らん・・
対抗するには雷を固めるしか手は有るまい>
そしてギルザート18世は9本の雷柱を
如意棒の様に操りだした
延びる雷光の如意棒にギルザート18世の棒術が
組合わさるのは脅威としか言いようがない
響の繰艦テクニックを持ってしても
達人の棒術と変幻自在の攻撃に
何発も被弾するが、雷光如意棒の超威力も
今のハヤテの防御力を突破は出来ない様だ
だがギルザート18世の目的は破壊ではなく
ハヤテから発射された一撃必殺の
(迦留羅流星)砲弾を回避する事
衝撃で敵を{叩いて動かす}事で弾道を
シン・ファノサイスから逸らせて
命中させないのが狙いだった
雷光如意金箍棒の与える衝撃は艦は平気でも
中の乗員はたまった物じゃない!
真耶の念動で護られた第一艦橋以外に居る
他部署の隊員達は壁や天井に叩きつけられる。
「全艦で怪我人が多数出ています!!」
生活班長の報告が誠矢に伝わり敵の狙いが解る
「奴め・・(艦)ハヤテではなく
中の乗組員に狙いを変えたか・・」
坂巻の言うとおりギルザート18世は
戦術に長けた武人の様だな
9本柱の電光如意棒をクルクルと振り回し
威嚇する星帝&シン・ファノサイス
『野郎・・想像以上に厄介で手強い』
誠矢は覚醒したハヤテでも追い込み切れない敵に
逆に興奮する、誠矢の戦魂に火が着いた
その力は恨みや憎しみの仇討ちなどで
決して発動しない闘志の輝き
純粋な戦士の本能が目覚めた時のみ
発動するものだ!
誠矢の中に今その力が目覚めた
蒼い魔導力が黄金の輝きに飲み込まれ
エンジンコアに組み込まれた
太陽神の護身体(モノリス)が目映く
黄金色に輝きだす、その黄金の光が顕現物質化
ベルテリオンが生み出す究極物質オリハルコン
其れが二つのパーツに成りハヤテを2万年前の石碑に
記憶された太陽の舟に変貌させる
ギルザート18世が予知夢で紅光の魔導に見せられた
正しくあの{太陽の舟}の再来
ハヤテ本体が黄金に輝くAパーツとBパーツと合体
有翼戦艦の姿となる、その全長160M
そのデザインは2万年の時を超え
太陽の舟アトランテスシップそのものと成った
<そうか遂に・・覚醒したのか・・
恐れていた事が現実となった・・>
黄金に輝くその姿・・其れは
ガルスグレーサーに伝わる伝説の災厄
<太陽の舟アトランテス>
だがもうギルザートは気づいていた
過去のアトランテスシップよりも
目の前にいる敵は遙かに強いと・・・
<だが其れがどうした!!>
ギルザート18世は此まで常勝無敗だった
大宇宙に敵無しの頂点に君臨し
何時しか武人として孤高と成り果てて
だが今我が目の前にいるのは間違いなく
生涯最強にして最恐の強敵、遂に出会った
人生最大の好敵手に
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
『余は・・思い違いをしていた』
2万年前・・
ファノ艦隊1万5千を殲滅した災厄・・
太陽の船アトランテス
全長20㎞の巨大船は戦いに望む時
シルヴァニア効果により
10分の1に圧縮され2000Mサイズに
その戦闘力は壮絶を絶したと言う
<ベルテリオン粒子による奇跡の力・・>
<元の大きさが全長1300M程度では
其れに遠く及ぶまいと
余は勝手に思い込んでおったが・・
其れは大いなる誤りであった・・>
そしてギルザート18世は改めて
神の黄金律を具現化した相手を視た
<魔導力を完全にコントロールするなら
小さい方が{圧倒的に有利}だ・・余りに
単純過ぎて、そんな当たり前の事に
此まで気が着かなかった・・>
<坂巻進吾が・・人間ながら魔導力を彼処まで
完璧に操れたのはそう言う理屈だったのだ・・>
<四方や・・巨人の体躯の大きさが、
魔導力を上手くコントロール出来ない
主たる原因だったとは・・どうりで
2万年以上も掛けて成果が出ない訳だ>
そしてハヤテと名乗るあの宇宙戦艦が
あの太陽の舟を遙かに凌駕する怪物だと
改めて認識を改めた
<戦闘力は太陽の舟どころではなく
逆に数倍と・・考えを切り替えねば・・>
いつの間にかギルザート18世は笑っていた
太陽の舟以上ならシン・ファノサイスと
同等の戦闘力でも納得はいく・・
そしてハヤテのエンジン部分にある蒼い輝きが
更に熱を増し超新星を思わせるモノに変貌した
<まるで超新星だな・・>
武者震いと苦笑いが止まらない中
ギルザート18世は其の名が自然と沸いて出た
<アトランテスノヴァ>
<それが銀河の英雄戦艦には
相応しいネーミングであろう>
誠矢はギルザート18世がハヤテに名付けた
この新たな名称に、ハヤテが黄金の
オリハルコンアーマーを纏った時に
名乗る名としては相応しいと認めた
「銀河の英雄戦艦・アトランテスノヴァ
悪くない名だ・・此から有り難く
使わせて貰おう・・貴様の遺言としてな!」
ギルザート18世は大いに笑いながら
<ほざけ小童!> と吠えた
<アトランテスノヴァの脅威に際し
シン・ファノサイスを用意したのは
この様な戦いを期待していたからだ!!>
ギルザート18世にとって今日は
長年待ち望んでいた最強の敵に出会えた
最悪にして最良の日となった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
電光如意金箍棒9柱がアトランテスノヴァの
船体に一度にぶつかるが、その電撃を
電撃で凪祓い返す━━━━
春吉進一郎は、銀河連邦が地球を何故
保護観察にして隔離政策を推し
情報を秘匿していたのか解った気がした
そしてJジョーカーから渡された
ガルスグレーサー機密文書にある
{神の粒子ベルテリオン}と言う
謎のエネルギーの真相
其れが今、ハヤテの中で多くの偶然と
人の起こす奇跡が集約し顕現したのだ
「曰くベルテリオンとは万物に変幻自在な
万能粒子・・そんな都合の良い物質が
此の世にある筈が無いと此まで決め込んでいたが」
何のプログラムもエネルギー理論も関係無く
ハヤテはシン・ファノサイスの
電撃攻撃を完全に模倣した
『この短時間での解析は私にも不可能か・・』
誠矢君はギルザート18世の真似をして
電光如意金箍帽を20本ほど一度に再現した
「此はもう科学者として脱帽の域だ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
艦体の対比が160Mと6000Mとでは
比較にも成らないが電柱の大きさと数は
アトランテスノヴァの方が上である
ギルザート18世は歯軋りし
<能力差を・・見せつけるか!>
一体どうやったらそんな芸当が出来るのか
まるで見当がつかない
確かなのは電光如意金箍棒を同じ電撃で防がれた
其の事実だけだ
『シン・ファノサイスの能力をコピー
するだと?戯けおって!』
幾ら伝説の艦とはいえ出鱈目過ぎる
しかも信じ難い事に奴は何の代償も無しに
其の力を見せびらかす様に使って見せたのだ、
この事実はギルザートとして実に受け入れ難い
ファノサイスを始めファノシリーズを扱うには
王族一人の脳を取り出し寿命を差し出す
其処までしなければ大いなる力は振るえない
<其れを奴は代償も無しに・・>
この戦力差は言うまでもない
<そして・・あの二人の力量は
・・我等巨人族と同等だ・・>
大城誠矢と大城真耶
ギルザート18世の魔導眼で見ると
坂巻進吾の蒼の魔導気は人間クラスだが
大城兄妹の力はどちらも巨人クラスだ
『先祖帰りだ・・2万年前の巨人遺伝子が
隔世遺伝で蘇ったのだ』
その影響で・・
大城真耶は力が体に納まりきれず
自己の肉体を攻撃し死に瀕し
大城誠矢は力の出口が狭く少量しか
力が引き出せない状態だったのだ
其れが今やハヤテという巨大な器が二人の力の
受け皿となり最良の効率で力を扱えている
<恐れ入ったな・・2万年目にして
ベルテリオンを完成させたのが・・まさか
地球人と同化したアトランテスの子孫だとは>
誠矢は真耶の超破壊型超能力を使い
雷光を丸いリング状に加工し
艦体を覆うリングとして防御に回す
名付けて{電光サンダーリング}
此がアストラが達人ギルザート18世の棒術に
対抗する手段として編み出した必勝の防御戦法である
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その雷光サンダーリングが、ギルザート18世の
棒術の所作に反応して回転を始めた
<此では流石に打ち込む隙が見つからん>
巨大である事に固執し続けた
ガルスグレーサーのムー文明と
其れに拘らず環境に応じて進化し続けた
アトランテス文明との差が遂に結実した
<だが・・如何に効率が悪かろうと
寿命さえ差し出せば対抗出来るのだ!!>
効率の悪さ・・其れは戦場では致命傷
如何なる高性能でも燃費が悪いだけで
取り返しの着かない結果になる
『だが、如何なる犠牲を払おうとも
アトランテスノヴァだけは・・此処で
破壊する・・せねばならぬ!!』
ギルザート18世は脳幹シリンダーを
己の脳が入ったカートリッジ
No.1ファノサイスに切り替えた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
攻撃特化型魔導兵器・破壊滅却砲キルギス
{ファノサイス伝説の一つとして語られるのは
その龍こそが全ての龍の根源であり全てを統べる
炎の王でもあり、あらゆる物を飲み込み
炎の力に変えて吐き出す災害権化と化す}
.━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この脳幹はギルザート18世本人の脳であり
ファノシリーズで最強の攻撃力を誇るものだ
<超破壊滅却砲キルギス>
ギルザート18世の寿命を50年消費し
50発の光弾をチャージする
此を使うのは2度目であるが1度目では
ガルスグレーサー本星が敵の罠にはまり
巨大恒星の引力に囚われ絶体絶命の危機に
瀕した事がある
その際、巨大恒星を{敵艦隊諸共}消滅させた
文字通り切り札中の切り札
其れこそがファノサイスの最終兵器
超破壊滅却砲キルギスであった
『巨大恒星を破壊する力を50回撃てる
この圧倒的火力に、アトランテスノヴァが
どう抗がうか見物よな』
シン・ファノサイスの魔導転移大口径ゲートに
赤紫色の光が満ちて其れが{地球方向}に向け
ロックオンされる
「!!」
その瞬間恒星をも破壊する
破壊滅却砲が発射された
アトランテスノヴァはその光線の真っ正面で
受けて立ち、プラズマと可電粒子の塊の様な
エネルギーの奔流を迎え撃つ
『こいつめ・・地球を狙えば
アトランテスノヴァが庇うと
予測してやがったな』
そう言って誠矢が舌打ちする
アトランテスノヴァが防ぎ分散させた
キルギス砲の破壊エネルギーの余波が
銀河中心部近接の星々に被弾し
次々に消滅させていった
銀河系外からそれを観測する
銀河連邦のユニオン艦隊から悲鳴があがる
自分の故郷星が今の攻撃の影響を受けて
消滅したのではと恐れたからだ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
銀河中心部に近接する惑星約80程が
シン・ファノサイスの只1撃だけで消滅した
想像を絶する
キルギス超破壊滅却砲の破壊力に
言葉を無くす銀河連邦旗艦
大円盤要塞ユニオンソーサー
U星人ゼロナンバーの二人はこの戦いで
銀河そのものが破壊される可能性まで考えた
<ガルスグレーサー文明は宇宙の害悪だ
何が有ろうと絶対に消滅させなければ成らない>
Uゼロワンの過激な物言いに普段なら
反対意見を言うのが仕事のUゼロツーも
この時ばかりは同意見となる
<・・私も同じ意見だUゼロワン
ジャッジの際にはその判断に従おう>
一つの文明を消滅させる判断は
重要過ぎるため殆ど一致しない議題
だが、この時Gユニオンの総意は
迷うことなく一致したのだった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
超高火力の荷電粒子と重力場の発生により
虚無ボイド空間であるにも関わらず
キルギス超破壊滅却砲発射の余波は
視界不良に成るほどの残渣が残る状態で
アトランテスノヴァの残骸さえ
確認する事が困難となっている・・
<我ながら凄まじき威力・・此程の直撃を
喰らっては、さしもの奴も・・>
<うお!>
ギルザート18世が呻き声をあげる
その視界に黄金の装甲を輝かせ
アトランテスノヴァが一瞬、
残留物質の爆煙の中から
垣間見得た気がしたからだ
『まさか・・アレの直撃に
耐えたと言うのか!!』
ギルザート18世にしてみれば
最早悪夢でしかない
<巨大恒星を破壊する力だぞ・・
それが直撃して無傷などと・・冗談でも笑えぬ>
そして爆煙が晴れると恐れていた事実が
其処に颯爽と現れる、黄金に輝く金属は
{不懐}と言われ、その鎧を身に纏うだけで
光の速度で移動でき数々の奇跡の力を
持たらす伝説級防具<オリハルコン・アーマー>
アトランテスノヴァの纏う黄金のアーマー{装甲}は
古から語られる、そんな曰く付きの代物なのである
<一度で破壊出来ぬなら何度でも撃ってやる
何しろ此方にはまだ49発も残弾があるのだ!>
ギルザート18世は己の信念の為には
非情にはなるが卑怯ではない
{地球を狙った}のも誠矢へ
逃げるなという意思表示からだ
同じ王として国を守り通せるかどうかで
その器の大きさを計ったのだ
<行くぞ銀河英雄戦艦アトランテスノヴァ
宇宙の王者たる我がシン・ファノサイス
超破壊滅却砲を喰らうが良い!>
シン・ファノサイスの口の前に巨大な
転移ゲートが出現し、其れから
超破壊滅却砲が発射される
普通の砲門からの発射では此程出力の高い
荷電粒子を連発するのは不可能だ
だが・・転移ゲートを利用しての砲撃なら
その物理的な問題は消える
魔導兵器の真の恐ろしさは物理的な制約を
突破した先にあるのだ
素早い動きが取れないシン・ファノサイスは
地球へ狙いを定め斜線状にアトランテスノヴァを
釘付けキルギス超破壊滅却砲を連発する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アトランテスノヴァは此を避ける訳にいかず
地球を背に庇う不利な状況で絶体絶命だった
だが大城誠矢は{余裕の態度}で
『物凄い隠し玉を持っているじゃないか・・
まさか此ほどとはな・・』
迫りくる荷電粒子光弾に為す術のない
アトランテスノヴァ最早此処までと思われた
だがまず1発目が命中するが
アトランテスノヴァはまるで無傷
<何だとぉ!>
ギルザート18世は我が目を疑う
そして2発目が来た時に大城誠矢は
アトランテスノヴァの前面に
巨大な転移ゲートを発生させて
その中から吸収していた1発目の
荷電粒子光弾を送り返した
其れが2発目を相殺
この攻防を攻撃が尽きるまで繰り返した
静寂が戻り、誠矢は静かに敵を見据えた
『不思議だ・・もう坂巻の事での怒りはない
其れよりも今はこのギルザート18世と言う
偉大な星帝との決着を付けたいとしか思わない』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
キルギス超破壊滅却砲
転移ゲートからの出入りだけでも
大きな力が発生する、其れに
星が蒸発する熱衝撃に耐える
オリハルコンアーマー
<流石だなアトランテスノヴァ>
敵の健闘を称えつつ
一方でギルザート18世は思考を巡らせる
<動かない的を狙えば返すのも可能・・
成る程単純な話だ>
シン・ファノサイスの能力は
アトランテスノヴァに決して
負けていない・・劣るとすれば
オリハルコンアーマー
『物質的な力ではなくアレは次元障壁
キルギス超破壊滅却砲、頼りの力押しでは
破壊は難しい・・・・やるかアレを』
ギルザート18世は脳幹シリンダーを
限界を超えて回転させ1秒で切り替えが
出来る様にした
<キルギス超破壊滅却砲発射!!>
当然こんな事をすれば只で済む訳が無く
脳に掛かる負担は相当な物になる
だがこの戦いは負ける事が許されない
戦いだNo.6<ファノライエ転移!>
巨体のシン・ファノサイスが素早く動く
唯一の方法とは空間転移による移動のみ
超破壊滅却砲を発射した直後にほんの4秒で
ファノライエに脳幹シリンダーを回して
切り替え、トリガーに点火し能力を発動
シン・ファノサイスは1光年下方に移動し
アトランテスノヴァに向けて艦主を上げ狙い撃つ
<キルギス超破壊滅却砲、発射!!>
<次だ!> <次!> <次!>
・・この後シン・ファノサイスは
全部で5カ所ランダムに空間転移して
現れては攻撃を繰り返す
1秒で能力を切り替え15発の破壊光線の
発射を実現させた
シン・ファノサイスはまるで15隻が
順番に攻撃している様に観測される
一カ所に恒星をも破壊する破壊砲が15本集中する
だがアトランテスノヴァは今度は
その破壊砲全弾を散らす事なく全て受け止める
<オオオオ~> ギルザート18世が見た
アトランテスノヴァの周りに
<光の・・輪が・・回っている・・
キルギス破壊滅却砲を湾曲させ
光輪にしてしまったのか!>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
「坂巻流{真魔導拳秘奥義}天輪明王」
真耶の超能力を利用する坂巻流の
{秘奥義}である
『輪の大きさは最大50㎞最小10㎞、
輪の数が15本・・全部取られたのか?』
更に言えば、輪の光が細く強く輝き
星雲時計の光輪に酷似して見える
ギルザート18世の分析は正確だ
<奴め{星雲時計}の光輪を模倣したか>
息を呑むギルザート18世に向かって
アトランテスノヴァが光輪を自由自在に
回しながら前進を始める。
_______________________
★付箋文★
「馬鹿な!キルギス超破壊滅却砲を
あの様にして防ぐのか!?」
ガルスグレーサー大艦隊{旗艦ファノタウリ}
(搭載兵器{魔導兵器・高次元振動砲}
※現在使用不可)この星帝級の巨大戦艦に乗り
述べ280万隻もの大艦隊を指揮するのは
ガルスグレーサー帝国宰相リンクス3世だ
銀河連邦ユニオン艦隊と対峙しながら
アトランテスノヴァとシン・ファノサイスの
対決を息を呑み見守っていたが、
予想を遙かに超える展開に彼は目が離せないでいた。
『シン・ファノサイスならば覚醒ハヤテを
破壊する可能性は100%だった』
だが今ギルザート18世から送られてきた
ハヤテの進化形態は計算を完全に上回る
戦闘力だ「信じられん!」
星帝様が名付けたアトランテスノヴァとは
覚醒ハヤテがオリハルコンアーマーと
ドッキングした強化型らしいが・・
そのオリハルコンの構築にハヤテが
伝説のベルテリオン粒子を使用したのを
確認したと報告されて、余りに突然の話に
何かの間違いだと思いたかった
観測班が確かにベルテリオン粒子反応を確認し、
今又あのキルギス超破壊滅却砲をも
光線をリング状に変形させるという
我が目を疑う様な方法で塞ぐのを見せつけられ
今はもうアトランテスノヴァが間違いなく
ベルテリオンを使用していると認めざるをえない
「だが星帝様は・・戦いを止めはしない
其れがあの方の生き様なのだ」
リンクスはギルザート18世と言う人物を
誰よりも深く理解していた。
______________________
★付箋文★
『キルギス超滅却砲を防ぐ者が
この宇宙に存在するとは驚くより他あるまい』
ギルザート18世であっても考え得る限り
最大最強の破壊力を持つ破壊砲である、
其れも自分の命を削ってまで用意した、
『だが・・この世に絶対は無い』
詰まり・・
アトランテスノヴァとて{浮沈}と言う
事はあるまい、ギルザート18世は次の戦略を考える
シン・ファノサイスでなければとっくに
打つ手が無くなっている所だが・・
6つの威力を総動員すれば、否
既に一つの能力は坂巻に潰されておったな
(此処に来て・・手痛い出費だ)
在庫の残りを確かめ次に使える手は・・
No.6ファノライエ{魔導兵器・超空間転移砲}
{ファノライエ伝説で銀河の星の数もある敵が
光の矢を撃って来たのを全て空間を入れ替え
敵に返して撃退したと言う1節がある}
不本意ながらも、奴を織り込んでの
戦略を練る必要があるな・・
そう言ったギルザート18世の視線が意味深げに
胸まで復元し床にへばりつくル・リオンに
注がれるが??急速の老化で知性の衰えた
ル・リオンは何の事か解らず呆けていた
『愚か者め、貴様の寿命など使い切ってくれる』
ギルザート18世の中に、
この甥に対する情など微塵もない
キルギス超破壊滅却砲を光輪にした事から
春吉にキルギス光輪と銘々された其れを
回転させながらアトランテスノヴァは
シン・ファノサイスに向かって接近を始める
此では同じ攻撃を繰り返しても
更に敵に利用されて終わりだ
<此以上は撃たせないつもりか・・>
ギルザート18世は思わずニヤリとしたが
違うな・・と思った瞬間ギウス光輪が
ワープ速度で飛んできた
『光の速さを超えるか・・』
星帝は避けるのは無理だと判断し
転移によりその場から異常な速度で移動する
光輪はシン・ファノサイスが居た地点で停止し
その場で自転しながら止まる
誠矢は{景子}に代わり{イザベル}に
敵の移動場所をアトランテスノヴァの
耳(レーダー)で探知するよう
脳粒子波で瞬時に伝えた、
ノヴァのレーダー探知能力は凄まじく
時空間転移中でさえその位置を捕捉した
「敵が時空間内を移動する様子が見える」
「此ならシン・ファノサイスの出現場所まで
特定出来るぞ!!」
誠矢は響に艦を敵の出現すると予想される
2光年先に先回りさせる
「此で出て来た所をキルギス光輪で真っ二つだ」
予想地点に着いたがシン・ファノサイスは
中々現れない、転移中の状態を維持する
その意味は?
誠矢は嫌な予感がしてその場から移動しようと
響に脳粒子波で反射で命令を下した、が遅かった
「直上に敵艦出現!突進してきます!!」
景子の警告で誠矢は上を見上げるが
アトランテスノヴァはシン・ファノサイスの
猛烈な頭突きでキルギス光輪の輪から
弾き飛ばされる
{シン・ファノサイスは
光輪内径10キロの隙間にギリギリ艦を傾け
角度を付けて6㎞もの巨体を潜ませた}
アトランテスノヴァが先回りをするのを予測し
光輪内部で艦体を遮蔽して隠れると言う
何ともその巨体に似合わない器用な事をしていた
アトランテスノヴァのアーマーの
堅さから、衝突部分は
シン・ファノサイスの方が大きく破損した
だが何度も言うが巨鯨は無人である
その衝撃で機械部分は破壊されても
人的被害は出ない
一方アトランテスノヴァは人が乗って居る
この衝撃は中の乗員を多数気絶させると
同時に生命にも危機が及んだ筈だ
<質量は大きな武器になる、小さい貴様に
シン・ファノサイスの重さをぶつければ、
其れだけで大ダメージになるであろう>
堅い殻の中身は卵の黄身だと見抜き
船体が砕けるのも気にせず
艦体を金槌にして衝突してくる、
サイボーグ戦艦は想像を絶する戦術を行う
誠矢は近接戦闘はハヤテの
得意分野だと思っていたが
事、シン・ファノサイスの様に
巨体を武器にする巨大戦艦相手では
時として不利に成る事を学んだ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
2隻の衝突は強力な重力波を発生させ
観測器は有り得ない数値を弾き出す
<此は戦艦同士の衝突が引き起こす重力波ではない
天体同士が衝突して起こす規模の重力波だ!>
Gユニオン・連邦艦隊旗艦
大要塞円盤・ユニオンソーサー
その観測班が計測した数値に背筋が凍る
U星人の二人(中身は一人1万人)
その場に自分達が居ない事を神に感謝した
<間違いなくあの場にいたら200万隻だろうが
2千万、否たとえ2億でも一溜まりもなく・・>
二人の声が同じ言葉で重なる
<全滅だ>
質量が戦艦サイズを遙かに上回るのは
純粋に両艦の激突するパワーが
桁違いである事と当然速度が関係する
光速をも遙かに超える両艦の激突が
惑星規模同士の激突する重力波を発生させ
衝撃波となって辺り構わず破壊する
あの宙域内に一歩でも足を踏み入れれば
間違いなく確実な死を迎える事は間違いない
其れは計測された破壊エネルギーの数値を
見るだけで容易に理解できた
彼等銀河外から観測する者だけが
こうして生きて観る事が可能な天体ショーだ
Uゼロワンとゼロツーの今やれる事は
<銀河の盾・・アトランテスの船に
勝って貰うしか我等が生き残るチャンスはない>
<勝ってくれ> と願う以外無かった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
戦いは壮絶を極めた
アトランテスノヴァを体当たりで吹き飛ばし
其処から転移で移動して待ちかまえ激突する
を繰り返すシン・ファノサイス
上に下に右に左に漆黒の鯨が
アトランテスノヴァを四方八方に激突させると
激突する度にシン・ファノサイスの
漆黒の装甲にヒビが入り砕け散る
厚さ50Mの多重装甲もボロボロに
成り果てるがギルザート18世は諦めない
止めようとしない
アトランテスノヴァの方も
最初こそ力をまともに受けていたが
何度も繰り返す内に、その衝撃を
オリハルコンアーマーで受け流す事が
出来る様になってきた
『いつまでも同じ攻撃が通用すると思うなよ』
次に激突してきた時にアトランテスノヴァは
強力な反撃に打って出た
魔導{速射}破壊砲
(魔導ガトリング)2門(毎秒100発)
此は春吉科学班長が対ファノサイス様に
新たらしく開発した魔導弾を直接敵に
撃ち込むハヤテのガトリング式機銃だ
その1発の威力は主砲には及ばないが
速射速度と命中率は比類無い威力を発揮する
ハヤテは此を系2門{艦主部}に装備している
この艦主連射砲はコンピュータの力を借りず
魔導弾を機械式で撃てる特別仕様だ
「魔導ガトリング発射用意」
艦主さえ敵に向いていれば後は
引き金を引くだけで魔導の爆発力で
(蒼く輝く)
魔導光弾が飛び出し敵に向かって
飛んで行くと言う実にシンプルな新兵器だ
この兵器のトリガーは響の操縦桿にあった
「魔導速射破壊砲発射!!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その構造から戦闘機の機銃に酷似している為
発射装置を操縦師に任せる事が理に叶うと
後の銀河英雄伝記に春吉科学班長は語る
其れは後の世にアトランテスノヴァの秘密が
銀河大統領の指示により開示された
{150年後}の未来での話である。
______________________
★付箋文★
激突で弾き飛ばされたアトランテスノヴァは
艦の艦主を獲物を待ち構える巨鯨
シン・ファノサイスに向け
{新兵器}魔導速射破壊砲を発射した
ドン!ズドドド!と言う腹に響くガトリングの放つ
重低音、その音に相応しい破壊力がこの武器にはある
シン・ファノサイスの丈夫で分厚い多重装甲が
アトランテスノヴァとの衝突を繰り返し
ヒビだらけとなった箇所にトドメとばかりに
強力な魔導超光弾が咆吼をあげながら撃ち込まれ
6000mの全長の内200m程度が吹き飛び
4万トン以上の装甲が砕け散りながら
金属塊が宙に舞うと巨鯨は絶叫し
虚無空間の海に沈んだ
その海にアトランテスノヴァも飛び込み
沈んでいくシン・ファノサイスを追う
2隻が沈んでいった虚無(ボイド)空間には
巨大な重力の渦が発生し大口を開けている
その底には地獄に繋がる様に不気味な重力が
渦巻いており、電光同士が激しく衝突し
放電を繰り返していた
虚無空間内では真耶の超能力が威力を発揮した
元々真耶の体では過剰すぎた超能力が
アトランテスノヴァと言う巨大な受け皿により
無限に引き出され超パワーに満ちている
シン・ファノサイスとの
圧倒的な重量差を乗り越え余りある膂力で
敵艦の艦体を捕まえると
そのまま通常空間に引きずり出してしまう
<グオオオオオオーーーッ!!>
虚無の宇宙渦から引きずり出された巨鯨は
姿勢が定まらず渦に捕らわれ身動きが取れない
其処にアトランテスノヴァが魔導ガトリング
{速射破壊砲}で波状攻撃を仕掛けた
強化多重装甲に穴ではなく
弾がめり込み貫通せず止まるが
既にヒビが入った場所にヒットすると
紅い魔導結晶が飛び散り装甲が砕け
内部の機械構造部が晒され露わとなる
そうなれば魔導ガトリングの威力が
ダイレクトにシン・ファノサイスの骨身に伝わり
サイボーグ艦の頭脳であるギルザート18世にも
流石にダメージが通った
「此処が攻め時だ!」
誠矢は響に魔導ガトリングによる牽制を任せ
自分は大技を仕掛ける用意に入った
「此以上の激突はアトランテスノヴァの
乗員達が持たない此処で決める!」
そう決意すると
『坂巻・・机上の空論と諦めていた
{あの技}を使う時が来た様だ』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
だがその技の発動には準備時間が必要だった
坂巻進吾との技の談義で、もしも魔導力が
今の十倍使えたらと言う話になり
「其れだけ力の余裕があれば自分の体を
軸にして魔導の長槍を敵にぶち込む、
此なら鯨でも心の臓に突き刺さるだろうな」
奇しくも相手は鯨だ・・使わせて貰うぞ
「坂巻流{真魔導拳秘奥義}帝釈天戟」
この技は・・真耶の超能力と同調し
戟のイメージを具現化する必要がある
そのイメージに合わせ力を練り込むのだ
『具体的な・・戟のイメージか・・」
その時、大城誠矢はこの世で最も巨大で
破壊力のある戟をイメージした
━━━━━━━━━━━━━━━━━━即ち
その間にもシン・ファノサイスと
アトランテスノヴァは熾烈な攻防を
繰り返していた
魔導ガトリングを撃ちまくる
アトランテスノヴァに
被弾も躊躇せず一番丈夫な頭部で
攻撃してくるシン・ファノサイス
空間転移を100回以上繰り返し
執拗に衝突して来るシン・ファノサイスに
響は魔導ガトリングで応酬するが
ギルザート18世は自艦を
アトランテスノヴァの側面に転移し
正面を向かせない状態で艦の横腹に
頭突きで攻撃してきた
「こ・・の!」
『戦闘慣れした奴だ・・それに・・
物凄い戦闘センスだぜ!』
頭突きを何とかかわしても
ギルザート18世はシン・ファノサイスを
今度はアトランテスノヴァに衝突出来る場所に
すぐさま転移し其処に体当たりをする
衝突の衝撃をいなす様に
艦を僅かに衝突に合わせて動かす響だが
休む間もなく繰り返されるこの行為にだんだん
かわし切れなく成っていく
<良いぞ・・心なし動きが鈍った様だ>
まさかル・リオンの愚か者の力が
アトランテスノヴァに対する一番の
有効手段に成るとは・・・
苦労が身に成りギルザート18世は喜んだが
そんな星帝の足下にヨボヨボに嗄れた手が
縋りつく
<お・・叔父う・え・・殿
・・お助け・・下さい>
一体どうしてしまったのか、其れは
枯れ木の様に萎びれてしまった
ル・リオンの哀れな姿だった
シン・ファノサイスに寿命を捧げ
生命力や若さを吸い尽くされる
彼の姿はギルザート18世よりも遙かに
年老いた老人に見える
<お・・お願い申し上げ・・ます・・
此以上・・寿命を・・取り上げないでく・
・らさ・・ひぃ>
星帝は冷たく老いさらばえた甥の
縋る手を払いのけ
<何だと自分の様な下衆の命で伝説の
太陽の船を追い込めて光栄と申すか?>
<もっと敵を追い込むために
搾り尽くすまで寿命を使ってくれとは
実に潔い覚悟だ>
星帝の言葉にル・リオンは泣いて訴える
<そ・・その様な事・・一言も・一言も・
言っていない・>
だがル・リオンの訴えなど意に介さず
ギルザート18世は更に苛烈な勢いで
空間転移を多用する
<もう50年追加だ!>
ルリオンの歯が抜け落ちる
<や・・やめで・・>
<更に50年追加>
ル・リオンの目が白く濁り白内障になった
<だ・・だずげ・・>自我の総てが崩壊を起こし
<更に50・・否100年だ!>
その時点でル・リオンの脳活動は停止し
脳粒子波空間にある幻の肉体も朽ち果てると
最後は砂のように惨めに崩れ去った
<此で後100回は空間転移が可能だ!>
星帝がそう呟いた時だった
その異様な力に気がついたのは。
______________________
★付箋文★
天空には太陽の船が陣取っていた
圧倒的な存在感である
『なっ・・・』
ギルザート18世は其処に有っては成らない
力を見た『・・・アトランテスノヴァ・・
貴様・・何をした?』
其処にあるのは星雲時計の秒針を
自在に使う神の依り代であり
アトランテスノヴァを中心に
神の秒針が回転し始める
この秒針の長さが5光年もあるのは
天の川銀河の大きさからしても大きい
<超新星と同じ温度のエネルギーを
ベルテリオン(神の粒子)で生み出し
星雲時計の秒針を模倣したのか>
ギルザート18世は驚愕する
此こそ正に神の創造した破壊秒針
{セコンドハンド・ベルテリオン}
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
想像していた物と明らかに違う物を{創造}した
大城誠矢も又、この巨大過ぎる力に戸惑う
この膨大な破壊力が消えずに形を無し
継続し続けている・・その意味を理解すれば
どれほど途轍もない力を自分が手にしたか
理解しなければならない。
「俺は星雲時計の秒針を手に入れたのか?」
ギルザート18世は星雲時計起動のトリガーを
持ってはいるが時計の所有者と言う訳ではない
逆に大城誠矢は一部とは言え秒針の所有権を握った
<どうやら・・生きて帰還するのは
最早不可能な様だ・・すまんなリンクス>
星帝は死を覚悟した
『この様な力を我が子等に向かわせる
訳には行かん・・この命を犠牲にしてでも
阻止してみせよう!!』
<シン・ファノサイス魔導路心・完全解放!!>
<魔導炉心を暴走させ臨海状態にし
魔導力の総てを破壊力に転換する>
星帝に残された最終手段、それは
シン・ファノサイスそのものを
魔導核弾頭に変えアトランテスノヴァに
特攻差し違える事だった。
炉心が融解を始め紅い魔導力が核汚染煙を
まき散らし空間を浸食し始める
シン・ファノサイスの巨体を隅々まで
充満しながら破壊的な力が凝縮していくと
ギルザート18世達の脳が収容される
{最重要施設}脳幹シリンダーにも
破滅の時が訪れる
全ての景色が真っ赤に染まり紅い魔導力に
押し潰されながら・・星帝は坂巻進吾の
最後の警告を思い出していた
<・・誠矢に殲滅兵器を使う理由を与えるな
彼奴は其れを待っているんだ>
『坂巻進吾は奴が最終兵器を使うとすれば
何か理由が揃った時だと言ったが』
復讐心を隠し大儀が揃えば迷わず
誠矢は兵器を使用すると言った
<誠矢(彼奴)はアンタと何処か似ている
間違いだと解っていても民の為に
敢えて間違いを犯すアンタにな>
ギルザート18世は最後の最後に
リンクス3世に向けメッセージを送った
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
我が親愛なる国民達よ・・長きに渡り
大宇宙を共に旅をした多くの親民よ・・
余はギルザート18世
此より最後の命令を伝える
1つ
巨人から小人化する法的な制限を
今より全て撤廃する
2つ
銀河への移住に関しても望む者は
自由に私財を携え行くことを許そう
3つ
ヘルターナーにガルスグレーサー大使として
将軍クラスの権限と地位を与える
4つ
銀河に対し最大限の謝罪と戦争犯罪の賠償を
保証し、同様に侵略により被害を被った
多くの惑星にも保証を約束する
5つ
銀河連邦ユニオンと終戦協定を結ぶ事を許す
6
銀河連邦と和睦しガルスグレーサーは
永久中立の立場を取る事を命じる
理由の如何を問わず此を破ってはならない
以上が ギルザート18世の終戦宣言である
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『余の犠牲一つでアトランテスノヴァを
しとめられれば、この文章を生かす
必要は無いのだが・・』
全速前進でアトランテスノヴァに
突っ込んでいくシン・ファノサイス
激突コースを轟音をたて獲物に迫る
漆黒の巨鯨が紅い魔導原子の塊と化した
星帝の意図に気づきアトランテスノヴァの
誠矢はゆっくりと、その秒針を
魔導核爆弾と化したシン・ファノサイスに
振り向けた
魔導核爆弾の破壊力ならば理論上
100光年を原初の炎で吹き飛ばす
小ビックバンを引き起こせる
それが星雲時計の秒針と言う説明のつかない
約5光年と言う天体規模の
神の秒針兵器に呑み込まれた瞬間
その存在自体が一瞬で飲み込まれてしまう
余りに当然過ぎる結果となった
この秒針は銀河中心の6個ある
巨大ブラックホールのクエーサーが
凝縮され物理的に創造された神器なのだ
ギルザート18世は最後に愛する者達に別れを
告げる暇もなく因果地平の彼方に
一瞬にして消滅したのである
長きに渡る大戦は此処で終焉を迎える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 筈だった
星雲級破壊秒針兵器・神の秒針
{セコンドハンド・ベルテリオン}
その秒針を元の星雲時計に返すと
針は一瞬にしてアトランテスノヴァの元から
離れると同時に消えた、だが再び使う際は
何時でも直ぐに取り寄せられる仕組みである
所有権は既に大城誠矢の物になっているのだ
シン・ファノサイスの巨大な姿は
今は跡形もなく破片の一欠片さえ見つからない
其れは余りにも呆気のない幕引きだった
響きは誠矢を見ながら
「此で終わったのか・・?結果的に
アトランテスノヴァの圧勝だったな」
「確かにあの激闘の決着としては驚くほど
呆気ない幕引きだね」と春吉
「イヤ・・ギリギリだったよ」
艦自体に被害はない・・だが
中の乗員達は死者さえ居なかったものの
軽傷200人
重傷50人
意識不明8人
軽自動車が何度も何度も大型トラックに
体当たりされた割には軽微ではあるが・・
Dr.北本は手の空いて動ける隊員を
全部こっちに寄越せと言ってきた
誠矢は気を取り直してマイクを握り
<承知しました北本先生>
そして
<俺だ大城だ>
その放送にハッと我に返る隊員達
<動ける者は側で怪我した隊員を連れ
医療区に向かって欲しい、そして
手の合いている隊員は出来るだけ
北本先生の手伝いを頼む>
廊下に投げ出された怪我人に肩を貸し
隊員達は医療区へと向かう
中には動かすのが危険と判断し
担架で運ばれる患者が優先され
Dr.北本の診断を受けた
此処で滝沢鏡子がサイバドック隊を率い
患者の看病にあたる
医療室で手伝うなら此を着るのが作法だよ
そう言って鏡子が着せられたのは
7号が医療室から失敬していたナース服だ
精神的に患者が落ち着くからとか
衛生的にどうとかこうとか適当に
理由を並べ立て鏡子に無理に着させた
まあ本人も満更でない様子なのだが
この格好の御陰でかは知らないが
戦々恐々としてても可笑しくないこの状況で
怪我人達は取り敢えず落ち着きを取り戻し
冷静に行動出来ている
だが自分の所に犬が来た隊員は
「犬が看病なんか出来るのかよ?」
ベットに寝かされた隊員がそう文句を言う
「犬は昔から看護犬として
重宝されてるのを知らないの?お兄さん」
7号が看護婦のコスプレ姿で腰に手を当て
注射器を握りポーズを取る
「コラコラ注射を打とうとするなよ
俺が悪かったって」
握った注射の中身は只の栄養剤だったが
その隊員がビビったのは握った注射を
突き立てて刺そうとしたからだ。
其処に鏡子が割って入り7号から
注射器を取り上げた
「コラ!今時こんな道具使わないでしょ?
虐めちゃ駄目よ」
看護婦姿の鏡子の美しさに感動し
患者の隊員達は思わず
自分が怪我をした事を感謝した
「やったぞ!ハヤテ美女5人衆の一人に
看護して貰えるなんて最高だ」
「瓢箪から駒だよな」
「これぞ神の采配だ」
だが誠矢の指示で医療班の手伝いに来る
無傷だった隊員の殆どは
戦車隊や戦闘機隊のゴツイ男ばかり・・
幸せの中にいる今の彼等は知る由もない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
シン・ファノサイスとの戦闘に
やっと決着が着いたアトランテスノヴァは
残してきた戦闘機部隊の回収に向かった
<各機直ちに転移ゲートで回収します>
<自力で動けない機は自己申告して下さい
輸送機で牽引します>
其れを聞いた西沢は感謝を述べ
自分より先に中破した部下の機を
優先するように頼む
<隊長すいません・・この程度の怪我で>
<良いから先に行け気にするな>
清水も同じように部下を先に行かせる
<どうやら生き延びたな清水・・>
<ええ・・でも坂巻総隊長が・・>
西沢は今でも其れが信じられない思いだった
『俺は・・俺は信じないぞ・・
お前が死んだなんて』
戦闘機部隊も奇跡的に撃墜された機は
1機もなかった・・其れが寄りにもよって
ハヤテで只一機・・犠牲に成ったのが
白竜の異名を持つ最強の男だとは
坂巻進吾のカラメティドラゴン
彼の伝説を知る者にその事実を簡単に
受け入れられる者は誰一人として居なかった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
銀河中心部を観測していたGユニオンの
要塞大円盤の司令室では余りの出来事に
場が静まりかえっていた
<ファノサイスと呼ばれる巨人要塞戦艦の
消滅が確認されました>
撃沈ではなく消滅と言うパワーコードに
寒気が走る
<奴が最後に見せた恒星核爆弾級の
威力は推定でも100光年を3000億度の
地獄に変える可能性があった・・>
Uゼロワンは言葉を詰まらせ息が荒い
<其れを・・消滅させたのか・・あの艦は?>
Uゼロツーは首を振り
<厳密にはアトランテスの船ではなく・・
あの星雲時計の秒針の破壊力でだ>
そう言って震える指で銀河中心部に見える
シン・ファノサイスによって作られた
星雲大の時計を指し示す
其の時計の針が今も現実に1秒の時を刻む
<計器の異常でも集団幻覚でもない・・
あの時計は確かに実在している>
Uゼロワンも其の事実は認める
<では何故ファノサイスが消えた今でも
あの呪われた時計が存在するのか
問題は其処だ・・>
<もはや想像でしかないが・・
銀河自体あの姿に造り替えられて
しまったのかも知れない>
<馬鹿な!>
Uゼロワンの発言にUゼロツーは
<其れは改造されたと言う事か>
其れを聞くだけでガルスグレーサーに対し
激しい怒りが湧き出してくる
<もう元には戻せないだろう>
<戻せないって・・アレを我々で
何をどうしろと言うのか教えてくれ>と珍しく
Uゼロツーは同僚に毒を吐いた
<あの形態で安定しているんだ・・下手に
手を出して銀河そのものが崩壊でもしたら
取り返しが着かなくなる>とゼロワンが弱腰だ
だがそんなのは只問題の先送りをしているだけで
今の差し迫った問題に比べたら緊急性は低い
<アトランテスの艦が勝った・・取り敢えず
緊急の危機は回避出来たと考えて良いだろう>
Uゼロワンは自分が対応を誤った相手だと
解った上でその勝利を喜んだ
その上でUゼロツーに対し
<無論承知しているよ、まずは
彼等に対して謝罪だろ?解っているさ>
<良いぞ実に冷静な判断だ、どうやら君は
統合意識をリセットし直しアルゴリズムを
再配列し論理思考を上位修正する事に
成功したのだな>
(此を自己判断)で即時
出来る所がU星人最大の強みなのだ
全ての政治家がこの自浄化が
出来れば理想的なのだが
UゼロツーはUゼロワンの権限を
一時凍結したが、悪まで其れは
緊急時対応であり安全対策の一環だ
此ならもう権限を戻しても問題はないだろう
そうUゼロワンに提案したが
<否・・前のゼロワンはかなり危険な思考だった
君の判断は的確だ少なくともアトランテス艦と
交渉が終わるまではゼロツーに権限を預けて置く>
驚く程、冷静な判断である。
そしてU星人のゼロツーが一つの動きに
注目した所・・
星雲時計から直接一つの光がGユニオン艦隊に
向かってリープ速度で飛んでくる
そのタイミングで戦場を支えていた
48機のシルバーソーサー群が前触れ無く
リープ航法で一斉に銀河方面に飛去った
<何て素早い行動だ>
そして其れと入れ替わり48の光跡の横を
一筋の黄金光が横切る様に飛んで来る
其れがアトランテスノヴァである事は
誰の目にも明らかであった
そして光はGユニオン旗艦である
要塞大円盤ユニオンソーサーの前で停止した
全長が1800Mある大円盤から見れば
まるで極小艦だ
『全長160M位か(オリハルコンアーマー)
・・こんな小さい戦艦が
あの巨大な要塞戦艦ファノサイスを単独で
撃破したかと思うと、目の前の小型艦が
途轍もなく巨大に思えるな』
其処に問題の小型艦から通信が入る
<アトランテス艦から通信です!>
ゼロツーは通信士に通信を繋ぐよう指示を与える
<こちら銀河の盾>
<Gユニオンソーサーに報告する
シンファノサイスの排除は完了したが
我が艦もダメージを受けた為
此より戦場を一時離脱する>
<それは不味いガルスグレーサーが
黙っていないだろう>
Uゼロワンの指摘にゼロツーも同意見だ
マイクに向かい
<こちらGユニオン司令代行Uゼロツーです
先程は旗艦に対し大変無礼な態度をとり
申し訳ありませんでした>
<出来れば映像通信でお話したいのですが
宜しいでしょうか?>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━映像が繋がる
<まず最初に此までの無礼をお許し頂きたい>
今度の奴は偉く低姿勢だなと誠矢は思い
無礼には無礼で礼節には礼節で返すが
信条の誠矢は快く映像通信に応じた
そしてゼロツーと名乗る生命体の
多重精神構造と言う異様さに気が着く
<こいつ等・・頭に物凄い数の意識が連結し
空間越に繋がって一つの人格になっているぞ>
もう一人の殊勝に構える人物も同じ精神構造だ
<凄いな、此でどうやって考えを纏めるんだ?>
数千・・否もっとだ・・
多重人格で人格崩壊しそうなもんだが・・と
誠矢が考えていると春吉が
<統合意識体として人格アルゴリズムを再構築
しているのだろう実に興味深いよ>
そんな解るようで解らない解説をしてきた
春吉は誠矢に<解りやすく例えれば
我々が今やってる脳波会議の上位版だよ>
其れを聞いて<エッ>とは思ったが遅かった
脳粒子波に中継が外から繋がり
<何だ君らも此方側の人間だったのか?>
その声は総合意識体と呼ばれるU星人
ゼロツーの言葉だった
_____________________
★付箋文★
しまった、と思った時にはもう遅かった
『一番知られたくない連中に秘密が』
<そんなに用心しないで欲しい、我々は
君達銀河の盾と事を構えるほど愚かではない
それどころか有効な関係を望んでいるのだ>
誠矢は此処はもう開き直るしか無いと思った
<解った、其れなら個人的な関係で
アンタ個人との有効関係を結ぶならオッケーだ>
個人と言っても相手は1万もの
総合意識生命体らしいが
ゼロツーと名乗るこのU星人は
話が通じそうだ、その証拠に
<其れは良い互いにメリットのある提案だ
喜んでお受けしよう>と即座に答えた
気持ちの通じる奴だと誠矢は思う
何より前回こっちを敵視していた奴は
人が変わった様に大人しく成っている
何かバリヤーみたいな物に閉じこめられ
罰でも受けている様下だ
恐らく前の事は全部あいつの仕業なのだろう
<先刻はゼロワンが失礼しました、もう二度と
あの様に無礼な態度は取らせないのでどうか
許して貰えないでしょうか>
<はあ・・まあ其れなら構わないが>
銀河連邦の最高意志決定機関とも呼ばれる
U星人が此処まで折れるのも凄い事だと
誠矢は逆にU星人の対応力の高さに感心した
<まあ今更聞くまでも無いとは思いますが
貴方があのアストラ大使その人なんですね?>
誠矢は映像通信ではフルフェイスで
顔を隠しているのに脳粒子波の中では
剥き出しの自分になって意味がないよな
そう思うと笑いが少しだけこみ上がってくる
<確かにアストラは俺だ、まさか
こんな形で素顔を知られるとは思わなかった>
ゼロツーは当然誠矢の素性は知らない
だが一目見ただけで、まだ若い青年で
ありながら覇王の片鱗を感じた
この若者が今や銀河中にその名を轟かす
銀河の盾代表アストラなのだ
ゼロツーは此処からの会話に銀河全体の運命が
掛かっていると理解した上で話しかける
<其れで、あなた方の船を当方は
何とお呼びすれば宜しいでしょうか?>
艦名を聞かれた誠矢は早速
ギルザート18世に付けられれた名を利用した
<此の船の名はアトランテスノヴァ
此からはそう呼んで頂きたい>
『自ら超新星を語るとは又大胆な・・・』
ゼロツーは一瞬そうは思ったが顔には出さず
先ずは有効関係を目指し交渉を志す
<アトランテスノヴァ・・良い名です
シルバーソーサーよりシックリくる>
誠矢はゼローツーがシルバーソーサーの名を
出した時点で、ハヤテの名も出されると思い
警戒したが
<どうやらアトランテスノヴァには
此まで幾つもの船に化けて
我等の銀河を救って下さっていた様ですね>
どうやらアトランテスノヴァが
ハヤテや複数の船に姿を偽装する事で
正体を隠しているんだと誤解してくれたみたいだ
『成る程、脳粒子波で考えを読まない流儀か』
ゼロツーは常識ある性格をしている様である
<もしかしたら相当前からあなた方の
アトランテスノヴァが姿と名を変え
密かに大活躍なされていたのでは?>
其れを聞き誠矢は素っと呆けて
<そうだな~此方も色々手を尽くしたけれど
どうやら正体がバレてしまったかな?>アハハ
ゼロツーは自分の推理が的中した事で
気を良くしたのか満足そうに笑顔となり
<いや・・此まで騙し通されただけでも
大したものですよ、キャプテン・アストラ>
場の空気が緩んだ所で本題に入る
<デ早速ですが、此処から引き上げると言うのは
少々待って貰えませんか?>
例え若者でろうとその力は今や銀河最強、
低姿勢で話すのに抵抗はない
<アトランテスノヴァが引き上げた途端
ファノサイスクラスの要塞戦艦が攻め込んで来る
可能性があるのでね>
誠矢はゼロツーに
<其れはない、星帝ギルザート18世は死ぬ間際に
この俺にリンクス宰相宛に銀河との
和平条約の文書を送ったと言っていたからな>
脳粒子波での遣り取りで戦いの最中に
星帝と会話を交わした事は恐らく事実だろう
其れに圧倒的なアトランテスノヴァの力を見れば
帝国が和平を決意する理由としては十分だ
<成る程・・其れなら今すぐ
ガルスグレーサーに終戦の
意思確認をしましょう>
誠矢は腰に手を起き
<ああ、そうしてくれ逆にアトランテスノヴァは
この場に居ない方が話が上手く行くだろう
相手に脅しを掛けながらの交渉と取られ兼ねないし
ガルスグレーサー軍も都合が悪いだろうからな>
確かに星帝を殺害した張本人が同席する場所で
まともな話し合いに成る訳がない
<了解しました、逆に其れをアストラ大使から
言い出してくれて助かります>
『本当に腰の低い良い奴だ・・だけど
此奴の中には1万人の人間が詰まってんだよな』
個人的には信用できると思っても・・だ
誠矢は一人の後ろに1万もの人間の
意志があると思うと、其れだけで圧力を感じた
{1万の意識が協力し合い一人の政治家として
国の政事をするシステム}ってどうなんだ?
U星人と言う希有な存在は
大城誠矢が抱く理想的な
政治システムだと言えなくもない
<出来れば俺の素性はアンタの・・アンタ達か?
胸の中だけに止めてくれると有り難いんだがね>
1万の人間に顔が割れては中々厳しいか?
<勿論そのつもりです、只其方の脳粒子波の
セキュリティーは甘すぎるから私のシステムを
コピーして使うと良いでしょう、
あなた方のエンジニアなら此を解析して
自己流にアレンジ出来る筈です>
そう言いながらUゼロツーはシステムを
春吉{科学班長}に提示した
凄まじい量の情報が春吉の手に渡される
<此は素晴らしい・・有り難く使わせて貰うよ>
春吉の手に掛かればどんな技術解析も
あっという間である
<何しろあのベルテリオンを
保有しているのだから遣り方さえ解れば
不可能はほぼない筈ですしね>
Uゼロツーにとってはアトランテスノヴァと
常に連絡が取り合える事は政治的に大きな
アドバンテージとなる
無論そんな事は大城誠矢も百も承知だ
そして、春吉科学班長は
渡されたデーターをベルテリオン粒子で
複製する事で一瞬にして100年分の
脳粒子技術に進化させUゼロツーとの
占有回線を結ぶ事に成功する
そしてこの事はUゼロワンにも無論秘密だ
<ワンには悪いが秘密を知る者は少ない方が
守るには都合が良いからね>
此はツーの中の意志1万人の総意である
そして・・・
U星人と脳粒子波空間内での会談を終了した
アトランテスノヴァは銀河に向かって
発進したかと思うと、鮮やかな
一筋の黄金光跡を残し消え去った
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
其れはガルスグレーサー軍にとっても
宰相リンクス3世にとっても・・
最悪の出来事だった
「そ・・そんな・・ギルザート様・・」
280万隻の大艦隊が陣を張る
ガルスグレーサー大艦隊
その旗艦として圧倒的な存在感を放つ
星帝級巨人要塞戦艦
ファノタウリ(リンクス艦)
魔導兵器・高次元振動砲※(現在使用不可)
{ファノタウリ伝説では大地の存在しない世界で
龍が地震を起こし全ての敵を葬り去ったと言う}
その艦橋で指揮をとるのが
ギルザート18世の懐刀とも最後の切り札とも
言われる万能の天才、宰相リンクス3世
彼はギルザート18世の勝利を
信じて疑わなかっただが、事実は残酷である
戦の神として歴代最強のギルザートとして
崇められた18世が其の命運を掛け
シン・ファノサイスと言う禁断の封印を解いてまで
挑んだ戦いに破れ、その命を失ったのだ。
「その尊い御方の命を奪ったのは
只一隻の地球の駆逐艦・・ハヤテ」
「己・・・たかが地球の舟如きが・・」
否・・違う・・其れではギルザート18世様の
相手に相応しくない、英雄の死には
其れに相応しい{格}が必要だ
星帝様が戦った相手は悪まで
アトランテスノヴァと言う
大物でなければならない
「真の正体など問題ではない!
星帝様の名誉の為には絶対に相手は
地球の詰まらない小型艦などで
あっては成らないのだ!」
{星帝様が戦ったのは
アトランテスノヴァと言う屈指の強敵だ}
リンクスは自らの手で{ハヤテ}に関する
あらゆる情報を握り潰した
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
そしてギルザート18世から最後に
自分宛に送られてきた極秘文章を見て
リンクス3世は更に衝撃を受ける
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
我が親愛なる国民達よ・・長きに渡り
大宇宙を共に旅をした多くの親民達よ・・
余はギルザート18世
此より最後の命令を伝える
1つ
巨人から小人化する法的な制限を
今より全て撤廃する
2つ
銀河への移住に関しても望む者は
自由に私財を携え行くことを許そう
3つ
ヘルターナーにガルスグレーサー大使として
将軍クラスの権限と地位を与える
4つ
銀河に対し最大限の謝罪と戦争被害の賠償を
保証し、同様に侵略により被害を被った
多くの惑星にも保証を約束する
5つ
銀河連邦ユニオンと終戦協定を結ぶ事を許す
6
銀河と和睦しガルスグレーサーは
永久中立の立場を取り
理由の如何を問わず此を破ってはならない
以上が ギルザート18世の終戦宣言である
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
「星帝様は・・私に仇討ちさえ許さないと
仰るのですか?」
だがリンクス宛にもう一通の裏文章なるものが
ギルザート18世より送られていた
「こ・・此は!?」
其れを見たリンクスは何か納得した顔になり
そしてある決意を心に決める
その内容は実に恐るべき内容だった
<お前が此を見ているという事は余は恐らく
アトランテス艦に破れたと言う事だろう・・>
「星帝様・・」リンクスには其れが遺言だと
思っていたのだが読み進む内に
<余はシン・ファノサイスの敗北もあり得ると
予想し、予備策として・・>
『予備策・・流石は星帝様・・まだ勝ち筋を
諦めておられぬ』
<余は坂巻という名の
アトランテス戦士と戦い
己の犯した過ちを知った・・其れも
取り返しの着かない大きな過ちをだ>
<過ち・・星帝様が?>
<シン・ファノサイスが沈んだ時の予備策は
ガルスグレーサー本星(天体級大円盤ムー)を
{時空転移}させ星雲時計のトリガーにする事だ>
<そうか・・天体級大円盤ムーにも
No.4ファノアマトと同じく
時空操作能力が備えてあるから其れを>
{天体級大円盤の中枢にある時空転移コアに
ギルザート血統の脳幹を生け贄に捧げ
トリガーとして使用すると言う方法だった}
<脳幹は{クローンの脳}でも理論上
トリガーとしての機能に問題はない・・
但し此処からが問題なのだ>
<使用に足るクローン培養に掛かる時間は
約2ヶ月、ギルザート血統のクローンなど
問題が多過ぎて今迄はとても手が出せずにいた>
<今となっては悔やまれるが
余は星帝として{緊急時特例}として
1体だけクローンの製造を認める・・但し
脳以外の部位は必ず破壊処分せよ>
此は確かに王位継承に抵触する大問題
だが問題は其処ではない
<其れで問題は無い筈だった・・・>
<アストラがもし此の事実を知れば
我等を滅ぼす絶好の理由を与える事になる>
<アトランテスノヴァは既に星雲時計の
神の秒針の所有権を握ってしまった・・
だからこそ時間を稼ぐ必要があるのだ>
リンクスはギルザート18世の言いたい事と
自分が何を成さねば成らないかを知った
<時空間転移は固定式で、一度起動させると
もう取り消しが出来ない・・奴に
トリガー装置があると知られれば・・>
<アトランテスノヴァはムーをあの
神の秒針で躊躇無く破壊するであろう・・・>
<この秘密だけは絶対に守れ・・必ず守るのだ
宰相リンクス3世よ!!>
リンクスは時を稼ぐ目的で銀河連邦との
終戦交渉の席に着くことを決意した。
現状━━━━━━━━━━━━━━━━━━
280万隻の大艦隊とファノシリーズ4隻が
ほぼ無傷で存在する状態で
銀河系間近まで迫っての交渉であり
ガルスグレーサーにとって其れ程
不利な戦況ではない
アトランテスノヴァの存在さえなければ
強気で銀河連邦ユニオンに降伏勧告出来る程の
圧倒的な戦力差だった。
だがアトランテスノヴァの破壊力を
目の当たりにした今、此以上の戦争継続は
望ましくない
そしてガルスグレーサー本星が今
銀河に向け時空間転移のカウントダウン
状態にあり星雲時計のトリガーまで知れれば
アトランテスノヴァは間違いなく
本土攻撃を仕掛けて来るのは必死だ
『ハヤテを秘密裏に破壊出来れば
アトランテスノヴァの脅威は無くなるが・・』
地球がハヤテの帰還を許さない限り
その隙が無い事をリンクスは知っていた
「現政権に潜り込んでいるムーの末裔を動かし
ハヤテの帰還を促す様に命じるか?」
此まで何度も破壊工作を仕掛けては失敗した
ハヤテ乗組員の暗殺計画も含めてだ
今は神の秒針を武器に持つ奴等は
単独でガルスグレーサーを滅ぼす事が出来る
下手に刺激するには余りに危険極まりない
存在に成っている
それなら地球に一時帰還させ政治的圧力により
数日間足止めすれば良い、それで時間を稼ぎ
ガルスグレーサー本星の転移を成功させれば
「2ヶ月後にはギルザート血統の
クローン体が完成し{脳幹}が手に入る・・」
「其れから銀河の覇権を
ガルスグレーサーが握る事が出来れば
ギルザート18世様が思い描いた
完全なる楽園が実現可能と成るのだ」
ガルスグレーサー本星{天体級大円盤ムー}
直径40万キロM 全高3~6万キロM
その時空間転移距離は最大で100万光年
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to be continued.
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