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人の感情が動く・時代劇シュミレーション

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つまらん。

既存のゲーム、アニメ、漫画、おまけにプロ野球がつまらん。
だから自分で面白い物を創造するのが初心だろう。
そんな気持ちは既に忘れてる。ただ置き換えと同じことの繰り返しにダラダラしてる。
どうしたら飽きない面白い作品ができるのか?

やはり一から作るしかない。
「最強の侍」
とてつもなく面白いが・・・・・・同じことの繰り返し。
違う? 変える? 
話の内容? 敵?
でも、それって・・・・・・水戸黄門、大岡越前、遠山の金さん、ドラえもんにアンパンマン。
全部同じ。

プロや既存のヒット作も同じだから、これ以上の作品はできないのだろう。
主人公は飽きられない様に天然キャラ、最強に強い、弱虫、成長モノ。

驚かしたり、ハチャメチャだったり、残酷だったり。
現代のヒット作は設定を変えただけで内容は同じ物語ばかり。

面白い物語・・・・・・。
「最強の侍」は一話としては面白かった。
まあ、やってることはアンパンマンのアンパンチ終わりと同じですが・・・・・・。

面白い物語・・・・・・ではなく、今後の展開を試行錯誤させる作品?
例えるならタクティクスオウガの時代劇版みたいな?
あれも戦闘モノだけど、ちゃんと物語があったような。
ということは、やはり1話戦闘モノメインで、物語を進めればいいのか?
それでも「最強の侍」になるような・・・・・・。
進撃も毀滅も、まあ、内容は戦闘モノで一緒だし、それでいいのかな?

物語の設定を考えよう。
子供編に拘り過ぎていたのかもしれない。
そこを無視しよう。

普通に妖怪王が現れて江戸を支配しようと姫をさらった。
主人公、佐藤之介。
姫は鈴木姫・・・・・・これでいいのか?
姫の場合はさと姫。すず姫としておこう。

時代は江戸時代。
昔の戦国武将は妖怪王の妖力で生き返り、全国で悪政を行う。

主人公は、救世主? それとも軍隊?
その両方を担えればいいゲームに、良い物語になる。

物語の始まりは、佐藤之介の村に妖怪が現れる。
違うな。
佐藤之介が刀で剣術の修行をしている時に、すず姫が妖怪に追われて逃げてくる。
おお! これなら自然な話の流れだ。
秀逸。

すず姫を追ってきた妖怪。
雑魚妖怪。小鬼?
小鬼って、強い? 勿体ないか?
スライムを妖怪にすると、妖怪ネバネバ。若しくは妖怪タマネギ。
ゴブリンを妖怪にすると、妖怪小人。
ろくなものにはならないな。やめよう。

すず姫が小鬼3体くらいに追いかけられて逃げてくる。
佐藤之介は必死に戦う。
危なくなると姫の護衛(侍・忍者)が現れて助けてくれる。

とりあえず佐藤さとの介とすず姫は村に帰ろうとする。
しかし追手が現れる。
護衛と共に佐藤は追手を倒す。

鈴木すずの介
高橋たかの介
田中たなの介
伊藤いとの介

また名前問題勃発ですな。

それか鈴木は鈴木のままでいいか?
佐藤なら佐藤のままでいいや。
だって面倒臭いんですもの。
先に進めない。

村で佐藤は仲間を補充する。
佐藤は村周辺の妖怪退治を始める。
護衛の侍たちは情報集めで外に出てしまう。

ある日、妖怪が大軍で攻めてくる。狙いはすず姫である。
村は全壊。
佐藤と姫は何とか逃げる。

次々と姫を追って追手がやってくる。
姫は江戸城に戻ることを決意する。

護衛は一人は残っていていいな。佐藤たちに剣術と忍術を教えてくれる。

東海道53次?
まあ、東急田園都市線でいいか?

これで話は続くな。
アハッ!

敵を毎回新しいのを考えることが疲れるのであって、バイキンマンのように毎回の敵役を決めてしまえばいいのだ。ワッハッハー!
妖怪って、種類が少ないから。アハッ!

佐藤さと。
また名前問題。
時代劇は「佐藤之介」で良いと思ったのだが、鈴木の介など同じ名前になってしまう。カオス!
主人公を普通の少年として「さと」にしよう。
名字はない。

姫はすず姫とした場合、時代設定的に徳川すず・・・・・・。
それはやむを得ない。
ラスボスは妖怪王徳川家康でいいや。


始まり。

「えい! やあ! たあ!」
 少年さとの夢は侍になることであった。ので毎日、裏山で剣術の稽古で竹刀を振っている。
「俺が妖怪王を倒すんだ!」
 時は江戸時代。ある日、平和な世の中に妖怪王が現れて日本に侵攻してきた。妖怪軍の猛攻を受けて、江戸城は包囲され、姫は行方不明だという。
「キャアアアアアアー! 助けて!」
 そこに少女が慌てて駆けてくる。
「どうした?」
 さとは少女に尋ねてみた。
「妖怪に追われています! 助けてください!」
 少女は妖怪に追われていると言う。
「妖怪!? こんな田舎に妖怪なんか出ないよ。アハッ!」
「本当です! 本当に妖怪に追われているんです!」
 必死に説明する少女。
「なに!? この弱そうな奴は!?」
 少女はさとに不信感を抱く。
「オニオニ!」
 そこに小鬼(雑魚妖怪)が2匹現れる。
「キャアアアアアアー! 妖怪!」
「本当だったんだ。アハッ!」
「だから言っただろう! 妖怪だって!」
 笑って誤魔化すさとに少女は怒る。
「安心しろ! 俺が守ってやる! 妖怪なんか俺が倒してやる!」
 こうしてさとと妖怪の戦いが始まった。

「でやあー!」
「ギャアアアアアアー!」
 さとの攻撃。小鬼Aを倒す。
「すごい! あいつ、強い!」
 少女はさとが予想外に強かったので驚く。
「オニオニ!」
「そんなもの食らうかよ!」
 小鬼Bの攻撃。さとはかわした。
「これで終わりだ! でやあー!」
「ギャアアアアアアー!」
 さとの攻撃。小鬼Bを倒した。
「どんなもんだい! エッヘン!」
 さとは戦いに勝利した。

「あなたって強いのね。」
「おう。毎日、稽古しているからな。俺は妖怪王を倒すんだ。」
 さとを見直した少女。
「あなた、名前は?」
「俺はさと。しがない庶民だ。君は?」
 さとは自己紹介する。
「私は・・・・・・すず。よろしくね。さと。」
 少女の名前はすず。歳はさとと同い年ぐらいである。
「どうして妖怪に追われていたの?」
「それは・・・・・・分からないの。」
「すずはどこから来たの?」
「えっと・・・・・・江戸の方からかな? アハッ!」
 明らかに少女はとぼける。
「とりあえず村に戻ろう。村なら大人もたくさんいるし妖怪も襲ってこないよ。」
「そうね。」
 さととすずはさとの村に行くことにした。

「オニオニ!」
 その時、小鬼が1匹現れる。
「また出たな! 妖怪め! 俺が倒してやる!」
 さとは竹刀を構える。
「オニオニ! オニオニ! オニオニ!」
 後から鬼が29匹現れ、一気にさととすずを囲い込む。
「ギャアアアアアアー! 囲まれた!?」
「なんだ!? この数は!?」
 絶体絶命のさととすず。
「オニオニ!」
 小鬼たちがジワジワと間合いを詰めてくる。
「もう! ダメ! 私はここで死ぬんだわ!」
 絶望して泣きわめくすず。
「安心しろ! 死んでも俺が守る!」
「安心できるか!」
 劣勢ながらも闘志を失わないさと。
「オニオニ!」
 小鬼たちの一斉攻撃が始まる。

「でやあー!」
 さとの攻撃。
「ギャアアアアアアー!」
 小鬼Aを1匹倒す。
「オニオニ!」
 小鬼Bの攻撃。
「ゲホッ! 痛い!? これがダメージか!?」
 さとはダメージを受ける。
「オニオニ!」
 小鬼Cの攻撃。
「ゲホッ!」
 さとはさらにダメージを受ける。
「さと!」
 心配するすず。
「オニオニ! オニオニ! オニオニ!」
 小鬼たちの連続攻撃。
「ゲゴッ! もうダメだ・・・・・・俺はこのまま死ぬのか? すず一人守れないまま・・・・・・。」
 さとは瀕死のダメージを受けてうずくまり死を覚悟した。
「さと! 死なないで! キャアアアアアアー!」
 すずにも小鬼が襲い掛かろうとする。

「火遁! 火祭り!」
 その時、周囲に火の手が上がり、炎がお祭りの様に燃え盛る。
「ギャアアアアアアー!」
 火炎は一瞬で小鬼たちを倒していく。
「これは忍術? いったい何が起きたんだ?」
 さとの目にも火はしっかり見えている。
「姫! 探しましたぞ!」
 そこに忍者が現れる。
「遅い! それでも私の護衛なの!」
 すずが偉そうに忍者を説教している。
「そんな!? すず姫様が夜逃げの様に姿を消したのが原因ですよ!?」
 忍者はすずに振り回されている。
「そうだったかしら? アハッ!」
 笑って誤魔化すすず。
「あの、お取込みの所ですが、助けてください・・・・・・。」
「しまった!? さとのことを忘れてた!」
 さとは奇跡的に生きていた。
「聖遁! 回復の術!」
 忍者はさとの体力を回復させる。
「ふう~。生き返った。アハッ!」
 さとは九死に一生を得て死なずに済んだ。
「ところで、すずが姫ってなんですか?」
 さとは忍者に疑問を尋ねてみた。
「無礼者! このお方をどなたと心得る! 徳川すず姫であるぞ! 頭が高い! 控えよ!」
「将軍様の姫!?」
 なんとすずの正体は行方不明だった徳川家の姫であった。
「気安く姫様に声をかけるとは許せん! 切り刻んでやる! 死ね!」
「ええ~!?」 
 忍者がさとに襲い掛かろうとする。
「やめなさい!」
 すず姫の静止する大声が響く。すると忍者は攻撃を止める。
「さとは私の命の恩人よ。さとがいなかったら今頃私は死んでいた。私を見失ったあなたよりも優秀だわ!」
 すず姫は容赦ない言葉を忍者に言い放つ。
「そ、そんな!?」
 すず姫の言葉にダメージを受ける忍者。
「二人とも! 私を守る為に仲良くしなさい! 仲良くしないなら自害なさい!」
 すず姫の言葉は絶対である。
「ええ~!?」
 忍者はすず姫の言葉には逆らえない。
「姫の護衛の侍忍者のたかです。よろしく。」
「俺はさと。こちらこそよろしくお願いします。」
 少したかの方が年上である。
「侍忍者ってなんですか?」
「侍忍者とは、刀が使えるのが侍。忍術が使えるのが忍者。その両方を使えるのが侍忍者という最先端の職業のことだ。だから私は偉いのだ! ワッハッハー!」
 侍忍者のたかは高笑いした。
「あなたは見習いでしょ。」
「ガーン!」
 たかは侍忍者の見習いだった。
「な~んだ。見習いか。すごいと思って損した。アハッ!」
「バカにするな! おまえよりは強いわい!」
 さとはたかを小ばかにする。
「さあ! 村に行くわよ!」
「はい! 姫様!」
 すず姫は先陣をきって鶴間村に向かう。
「俺の村なんですけど・・・・・・。」
 さとは置いて行かれる。

「なんだ!? これは!?」
 さとは自分の住んでいる鶴間村が見える所まで戻ってきた。
「村が燃えてる!?」
 村から火の手が上がっていた。

「姫を探せ! すず姫を探せ! 人間なんか皆殺しだ! カシャカシャ!」
 火の車の妖怪の火車。火を放ち村を焼き払っている。村は蹂躙されている。
「オニオニ!」
 雑魚妖怪の小鬼たちが村人に襲い掛かり、村に火を放ちまくっている。
「オオ! オオ!」
 更に巨人の妖怪の大入道が村を破壊している。

「俺の村が!? そんな!?」
 さとの村はほぼ全滅している。
「私の性でさとの村が!?」
 妖怪はすず姫の追手である。よって強い妖怪が士気を取っている。
「すずは逃げて! 俺は村に行って、みんなを助けてくる!」
 さとは村に戻ろうとする。
「死にに行くつもりか! 今は逃げるんだ!」
 たかがさとを止める。
「俺の村なんだ! 俺の父さんや母さん! 友達がいるんだ! 俺の村なんだよ!」
 さとは自身の村にいるであろう両親や友達を心配する。
「オニオニ!」
 そこに小鬼たちが10匹現れる。
「しまった!? 妖怪だ!?」
「姫だ! すず姫がいたぞ! 火車様に連絡してこい!」
「オニ!」
 妖怪にすず姫がいることがバレてしまった。
「こんなところまで妖怪が!?」
「戦うぞ! さと!」
「おお!」
 妖怪たちは村の外にも現れ、さとたちは交戦状態になる。

「でやあー!」
 サトの攻撃。
「ギャアアアアアアー!」
 小鬼Aを倒した。
「やるな! 私も負けていられるか! いくぞ!」
 タカの攻撃。
「ギャアアアアアアー!」
 小鬼Bを倒した。
「オニオニ!」
 小鬼C、D、E、F、G、H、Iの攻撃。
「ゲホッ!」
「ギャア!」
 サトとタカはダメージをくらう。
「でやあー!」
「とりゃー!」
 サトとタカの攻撃。
「ギャアアアアアアー!」
 小鬼C、Dを倒した。

「キャアアアアアアー!」
「すず!?」
 スズ姫に小鬼の魔の手が及ぶ。
「俺がすずを守る! でやあー!」
「ギャアアアアアアー!」
 サトがスズ姫をさらおうとした小鬼Eを倒す。
「大丈夫か? すず。」
「はい。ありがとう。さと。」
 サトとスズに信頼が芽生える。
「オニオニ!」
 新たに小鬼たちが湧いてくる。
「このままでは私たちが全滅してしまう! ここは撤退しよう! 今は姫様を守ることが先決だ!」
 タカが撤退を進言する。
「クソッ! 妖怪どもめ! 必ず戻って来て村を取り戻してやる!」
 サトは無念だが村から離れることにした。

「おい! どこにすず姫はいるんだ? どこにもいないじゃないか! おまえたち! 焼き殺すぞ! カシャカシャ!」
 サトたちがいた場所に妖怪の火車がやって来た。熱い妖怪である。
「探せ! この近くに姫はいるはずだ! 見つけたら俺に報告しろ! 黒焦げの姫の丸焼きを江戸城の正門の前に吊るしてやるぜ! カシャカシャ!」
「オニオニ!」
 火車にビビる小鬼たちは迅速に逃げた姫の捜索を始める。

「ふう~。なんとか逃げおおせたな。ここはどこなんだ?」
 サトたちは命かながら逃げおおせた。
「ここは南林間村だ。ここまでくれば大丈夫だろう。」
 南林間村は鶴間村の隣村である。
「私のせいでサトの村が妖怪に滅ぼされてしまった・・・・・・。」
 何もかも不幸は自分のせいだと悲しむスズ姫。
「すずが悪い訳じゃないよ。すずは何も悪くない。悪いのは妖怪だ。俺は絶対に妖怪を許さない!」
 スズ姫を励まし、新たに妖怪へ復讐を誓うサト。
「ありがとう。サト。」
 優しいサトに感謝するスズ姫。
「こらー! 貴様! 姫様になれなれしいぞ!」
 嫉妬する護衛のタカ。
「おまえはうるさい! 護衛もできない奴は黙っていろ!」
「何を!?」
 もめるサトとタカ。
「私を巡って二人の男が争う。私って罪な女ね。アハッ!」
 上機嫌なスズ姫。

「オオ! オオ!」
 周囲の木をベキベキと踏み潰す大きな足音が聞こえ大地が揺れる。
「キャアアアアアアー!」
「なんだ!? 地震か!?」
 サトたちはグラグラして慌てる。
「あいつは俺の村を襲った大入道!?」
 巨人の大入道が現れる。
「オニオニ!」
 雑魚妖怪の小鬼たちも現れる。
「あいつだけは絶対に許さないぞ!」
 サトは自分より何倍も大きな大入道に闘志を燃やす。
「俺が倒してやる! うおおおおおおー!」
 怒ったサトは大入道に突撃する。
「ダメよ! あんな大きな化け物に勝てる訳ないわ!」
 スズ姫は止めるが姫の声はサトには届かない。
「姫様は私が守ります!」
 タカは小鬼たちと戦闘に入る。
「とりゃー!」
 タカの攻撃。
「ギャアアアアアアー!」
 小鬼を倒した。

「チッ! 姫は大入道の方か。クソッ! でかいだけの奴に手柄をとられた! こうなったらやけくそだ! 全て燃やし尽くしてやる! 火の輪舞! カシャカシャ!」
 鶴間村の南側に行った火車は大和村を火の海に変えた。

「攻撃が効かない!? こいつは化け物か!?」
 サトの竹刀による斬撃では巨人の大入道にはダメージが与えられなかった。
「オオ! オオ!」
 大入道の攻撃。強大な拳は一撃で山も砕いてしまう。
「ギャアアアアアアー!」
 風圧や崩れた山の土砂がサトを襲い大ダメージを受けてしまう。
「勝てない・・・・・・俺はここで死ぬのか・・・・・・おっとうやおっかあの仇を討てないまま・・・・・・スズを守れないまま・・・・・・。」
 サトの脳裏に後悔だけが描かれる。

「一刀両断!」
 その時、声と共に光が輝いた。
「オオ? オオオオオオオー!」
 そして大入道は真っ二つに斬られ大きな衝撃音と共に地面に倒れる。
「なんだ? 何が起こったんだ?」
 サトは状況が把握できない。あれだけ強くて自分では太刀打ちできなかった巨体の大入道が倒されたのだから。
「オニオニ!?」
 小鬼たちは逃げ去っていく。
「情けない。それでも姫の護衛なのか?」
 そこに鎧を着た武者が現れる。
「師匠!?」
 タカは侍のことを師と呼ぶ。
「姫。遅くなりました。私はお父上にお仕えする侍忍者のタナ。もう安心してください。私が来ましたから。」
 徳川家に忠誠を誓っている侍忍者のタナ。
「まあ、お父様の。助かりました。ありがとう。タナ。」
 スズ姫は侍忍者のタナに礼を言う。
「それにしても役に立たない奴ばかりだ。」
 タナはサトとタカを呆れながら見つめる。
「それはないですよ! 師匠! こっちはこれでも必死に戦ってるんですから。」
 言い訳をするタカ。
「他の奴らはどうした?」
「全滅です。最後まで姫を守る為に生き残ったのが私とそこのドザエモンだけです。」
 タカは地面で大の字になっているサトを死体呼ばわりする。
「生きてるわい! 勝手に殺すな!」
「あ、生き返った。アハッ!」
 サトはまだまだ元気なようだ。盛り上げるためやピンチの演出のためとはいえ、毎回死にかけるサトは大変な人生である。
「自分は弱いくせに、あの巨大な大入道に挑んでいくとは素晴らしい。おまえよりドザエモンの方が見込みがあるな。」
「そんな!? 師匠!? あんまりです!?」
 タナはサトの心意気を気にいった。
「姫。大入道を斬り倒したので他の妖怪たちもこの場所が気づかれているでしょう。まずはここから離れましょう。」
「そうね。そうしましょう。」
 スズ姫たちはその場から移動することを決めた。
「行くぞ。ドザエモン。」
「だからドザエモンじゃないって! でも動けないから早く回復してくれ。」
「仕方がないな。まったく。」
 満身創痍のサトであった。

「おい! これはどうなっているんだ!? まさか大入道がやられるなんて!?」
 妖怪の火車は南林間村にたどり着いた。そして真っ二つに裂かれた大入道の姿を見て困惑していた。
「オニオニ!」
 小鬼たちが言うには侍忍者が現れて大入道を倒したというのだ。
「バカな!? 一斬り!? 一斬りだと!? 一斬りで大入道を倒したというのか!? いったいどんな化け物が姫と一緒にいやがるんだ!?」
 小鬼から経緯を聞いて衝撃を受けた火車はビビる。
「これは俺様が直接戦うより、妖怪王様に増援を要請した方が良さそうだな。カシャカシャ。」
 残虐だけど冷静な火車は危険は犯さない。
「直ぐに妖怪王様に援軍を送ってもらうように伝えろ。」
「オニオニ!」
 火車の命令で小鬼は妖怪王に援軍要請に行く。

「決めた! 私は江戸城に行く! もうこれ以上、私のせいで誰かが傷つくのを見たくない!」
 スズ姫は江戸城に行くことを決めた。それはサトの村が滅んだのが自分のせいだと心を痛めていたからだ。自分が逃げることで関係のない他の人々が不幸になるのが嫌だったのだ。
「ええ~!? 江戸城は妖怪王の軍勢に囲まれて陥落寸前ですよ!? 姫様が戻ったってどうにもなりませんよ!?」
 タカはできれば江戸城には行きたくなかった。
「サト! おまえからも姫様に何とか言ってくれ!」
「俺はスズについていく。なぜなら俺はスズを守るって決めたから。スズが行くなら俺も行く。」
 サトはスズを江戸城に送るつもりである。
「決まりだな。おまえの負けだ。バカ弟子。ワッハッハー!」
「そんな!?」
 タナは大笑いする。ガッカリするタカ。
「だが、そんなに弱いのでは姫を守ることはできないだろう。だから私がおまえたちに稽古をつけてやろう。」
 タナはサトとタカを鍛えるつもりだった。
「無理です!? 師匠にダメージを与えることができる訳がありませんよ!?」
 タカは実力の差からタナに一太刀浴びせることは無理だと嘆く。
「もちろん手を抜いてやる。それにおまえたちは二人がかりだ。頑張れば私に勝てるはずだ。」
 それでもタナは余裕である。
「俺はやります。戦う前から諦めたりはしません。強くなってスズを守り抜きます。」
 サトはタナとの訓練に気合を入れる。
「いい目をしている。私の見込みに間違いはなかったな。」
 タナはますますサトを気にいった。
「では、こうしよう。私は刀は使わない。ただ逃げるだけだ。もしおまえたちが私に一太刀を与えることができなければ素振り1000回の罰だ。」
「1000回!? そんな無茶苦茶だ!?」
 タナの修行のルールと罰ゲームが決まる。
「おまえたちのレベルが、それぐらい鍛えなければいけないということになるからな。」
 100回で足らなければ1000回。1000回でダメなら1万回。それがタナの修行である。タナ自身が強いはずである。
「いいですよ。俺は毎日竹刀を1万回振っていましたから、1000回位は問題ありませんから。」
 サトも通りで強い訳である。
「1万回!? おまえは暇人か!?」
「田舎はやることがないんだ。それに。」
「それに?」
「俺は強くなって妖怪王を倒す。そして日本に平和をもたらすという気持ちで竹刀を振り続けてきた。夢が明確なら途中で挫折することはない。」
 揺るぎないサトの強い気持ち。

「んん? なんだ? 火車から援軍が欲しいだと?」
 こちら魔王軍の本陣。
「バカな!? 大入道がやられたというのか!?」
「なに!?」
 魔王軍の幹部妖怪たちにも激震が走る。巨大な大入道は普通は倒されることはない。
「だが、こちらも江戸城の攻略に手間取っている。大軍は送れないぞ。」
 江戸城で人間の徳川軍と妖怪軍は一進一退の攻防を繰り返していた。
「みなさんが行く必要はありません。」
 その時、不気味な声と共に一人姿を現し登場する。
「王子様!?」
 なんと現れたのは妖怪王の息子の妖怪王子であった。その姿は普通の人間の少年である。
「みなさんは徳川の侍忍者と戦わなければいけません。パワーバランスを崩す訳にはいけません。ここは何もしていなくて暇な私が行ってきましょう。」
 妖怪王子は自らスズ姫を殺しに行くという。
「しかし、王子様に何かあったら我々が魔王様に殺されてしまいます!?」
 妖怪たちは妖怪王子よりも自分の身を案じる。
「試してみますか? 私に万が一のことがあるかどうか?」
 ギロっと妖怪たちを見渡す妖怪王子。
「ヒイイイイイイー!? やめて下さい!? 我々が王子様に勝てる訳がありません!?」
 妖怪たちよりも妖怪王子の方が恐ろしかった。
「では行ってくる。ワッハッハー!」
 妖怪王子がスズ姫に迫る。

「では、始めよう。さあ! かかってこい!」
 タナとの修行が始まった。
「でやあー!」
 サトの攻撃。
「フン。タカ、おまえも一緒にこい。」
 あっさりとかわすタナ。
「いきますよ! 師匠! とりゃー!」 
 タカもタナを攻撃する。
「温いな。こんな攻撃じゃ蚊すら倒せないぞ。」
 タナは身軽にサトとタカの二人の攻撃をかわしていく。
「タカ、不服だが二人一緒に攻撃するぞ。」
「俺と一緒に攻撃するのが不服なのかよ?」
「これも勝利のためだ。」
 サトとタカはいがみ合っているが呼吸はピッタリ。 
「でやあー!」
「とりゃー!」
 サトとタカの一斉攻撃。
「これしきの攻撃。当たる訳がない。弱過ぎる。素振り1000回だな。」
 しかしタナは簡単にかわす。
「そんなあ~。」
 タカはガッカリ。
「1! 2! 3!」
 サトは直ぐに素振り1000回に取り掛かる。
「おまえたちなら若いし直ぐに成長するだろう。精々頑張るんだな。」
 タナはサトとタカに期待していた。
「俺は強くなるんだ! 強くなって世界を平和にするんだ!」
 意思の強いサトであった。

「はあー!?」
 その頃、妖怪の火車は衝撃を受けていた。
「王子様が来るだと!? まずい!? まずいぞ!? 王子様が到着した時にスズ姫の身柄を確保していなかったら俺の首が飛ぶぞ!? どうすればいいんだ!? カシャカシャ!?」
 火車は命の危険を感じて震えていた。
「総攻撃だ! こうなったら総攻撃をかけるしかない! スズ姫の護衛は僅か数名のはず! みんなでかかれば怖くはないのだ! ケッケッケ!」
 火車は決死の覚悟で挑むことを決意する。

「おらたちも姫と共に戦わせてください!」
「私も! スズ姫様と一緒に戦います!」
 一方、姫が中央林間村にいると聞き農民たちが集まって来ていた。
「みんな、ありがとう。」
 スズ姫は農民たちの申し出を感謝した。
「すごい人気ですね。姫。」
 タナも驚くスズ姫フィーバー。
「これでも将軍家の娘ですから! エッヘン!」
 こういう時だけ生まれがものをいう。
「ですが、軍を率いるということは農民たちに賃金を与えなければいけない。それに食料も確保しなければならない。更に素手で戦わせる訳にはいかないので人数分の武器を確保しなければいけないと、全てが良いことだけとはいきません。どうしますか? 姫。」
 タナはスズ姫に現実の問題を突きつける。
「困ったわね。どうすればいいのかしら?」
 もちろんスズ姫には軍を率いた経験はない。
「あの。意見を言ってもいいですか?」
 そこにサトが話に入ってくる。
「どうぞ。」
 快く快諾するスズ姫。
「この辺りは平地で豊かな農地が広がっているので食料に困るということはないと思います。ですから農民への賃金はお米や野菜を売って儲けたお金を渡せばいいと思います。武器は隣のつきみ野村の隣の南町田に市場があり栄えているので武器を手に入れることができると思います。」
 地元のサトは周囲の地理に詳しかった。
「採用! そうしましょう! これで賃金、食料、武器問題は解決ね! アハッ!」
 スズ姫はサトの提案を認めて目先の問題を解決した。
「いいだろう。私と姫は中央林間村の守りを固めておく。サトとタカの二人は南町田の市場まで行って、姫の名前で協力を取り付けてくれ。」
「分かりました。行ってきます。」
 こうしてサトとタカは数名の農民兵を連れて隣町のつきみ野を目指す。

「ひ、人が増えてやがる!? 100人はいるんじゃんえか!? 」
 密かに中央林間村を見張っていた火車。しかし人間の人数が増えていて自軍の小鬼30匹では不利だと感じた。
「恐らくあいつだ。あいつが大入道をやったに違いねえ。間違いない! あいつは・・・・・・侍忍者だ!」
 火車は人間の中に侍忍者のタナを見つけた。タナは恐ろしい気配を放っていた。
「オニオニ!」
 そこに小鬼が知らせを届ける。
「なに? 別動隊だと。そいつらはつきみ野村に向かっただと。よし! まずはそいつらから抹殺してくれるわ! いくぞ! 小鬼ども!」
「オニオニ!」
 火車たちはサトたちの後を追う。

「ここがつきみ野村か。のどかで良い所だな。」
 タカは田畑が広がる光景に心が癒された。
「そうだね。この辺りには何も無いからね。空気は美味しいし、富士山もキレイに見れるよ。アハッ!」
 サトもしばし戦いを忘れている。
「カシャカシャ!」
 その時、何もない所から火の手が上がる。
「なんだ!? 火事か!?」
「違う! アイツの仕業だ!」
 サトたちの前に全身炎の火車が現れる。
「俺の名前は火車! おまえたちはここで燃え死ぬのだ! いけ! 小鬼ども! カシャカシャ!」
「オニオニ!」
 火車の号令で小鬼たちが攻め込んでくる。
「タカ、小鬼を頼む。」
「んん?」
「俺はあいつをやる!」
 サトは火車に突撃していく。 
「うおおおおおおー!」
「なんだ? 死にたがりか?」
 火車はサトの攻撃を避ける。
「おまえだな! 俺の村を襲ったのは!」
 サトの生まれの鶴間村は火車と大入道に襲われて壊滅した。
「分からねえな。俺はたくさんの村を焼き尽くしてきたから。おまえの村も焼いたかもしれねえな。カシャカシャ!」
 食って掛かってくる人間が面白くて気分が良くなる火車。
「クソッ! 許さないぞ! 火車! 俺がおまえを倒してやる! でやあー!」
 サトは攻撃を仕掛ける。
「おまえみたいな人間の攻撃が俺様に当る訳がないだろうが! カシャカシャ!」
 なめていた火車はサトの攻撃を避けなかった。
「えっ? ギャアアアアアアー! バカな!? 人間の攻撃が俺に効くなんて!?」
 しかしサトの攻撃はしっかりと火車を斬りつけた。
「当たった!?」
 攻撃を決めたサトも当たると思っていなかったのかビックリしていた。
「ハアッ! そうか! タナさんとの修行で俺の攻撃力が向上しているんだ! ありがとうございます。タナさん。」
 サトは自分を成長させてくれた侍忍者のタナに感謝した。
「これなら勝てる! いくぞ! 火車!」
 勝ち目が出てきたサトの闘志が燃える。
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