上 下
81 / 103

アース

しおりを挟む
「4つの世界を統一した世界のことを地球としよう。この世界は、アースのハリウッドになるのだ。」
 ブラピは天界の神になり、意外としっかりした神だった。冥界、魔界、人間界、天界は、一つになり地球が生まれた。
「私が初代地球の神アースです。」
 そして各界の冥王ハーデース、魔王ネロ、デミ教皇、天界の神ブラピは争いを避けるために、新しい神を創造した。それが地球の神アースである。ちなみにデミ教皇は怖いのでずっと隠れていた。
「世界は一つになりました。これからは神も天使も人間も魔物も死人も仲良く暮らしましょう!」
「おお!」
「アース様! 万歳! 万歳! 万々歳!」
 こうして地球の神アースは若くして就任式を大観衆に祝福されて終えた。

「ああ~嫌だ!? 嫌だ!? どうして僕が地球の神なんてしないといけないんだ!? 面倒臭い!?」
 アースは気づいていた。自分が形だけのお飾りだと。
「みんな、自分が神に固定されるのを嫌がって、僕に押し付けたんだ! そうにちがいない!」
 その通り。冥王ハーデースは義理母の邪神デーメーテールを倒し、妻のペルセポネーと幸せに暮らしている。魔王ネロは、妻カトリーヌにモフモフされながら幸せに暮らしている。デミ教皇はハリウッド修道院の活動を再開した。ブラピは妻のクリスティーナと一緒平和に暮らさずに、クエストばっかりやっている。
「僕も自分の好きなことをやっていきたい!」
 アースは一人神の重厚なプレッシャーに押しつぶされそうな毎日を暮らしていた。
「村にゴキブリが出たから倒してくださいだの、チョコレートが食べたいから買ってくださいだの、我儘ばっかりだ! 僕は地球の管理人であって、人間の管理人ではない! 断固として否定する!」
 既に欲望の化身、人間のことが嫌いになっていた地球の神アース。
「そうだ! こんな神の座など捨ててしまおう! 昔、唯一無二の絶対神ルシファー様も私と同じことをして、自由を手に入れたらしいし、僕が神の座を捨てて自由になることは罪じゃない!」
 アースは神の座から逃亡して、どこかに身を隠すことを考えた。
「さらば、地球の神の座よ。アディオス。」
 いつものことだが神の悪戯に翻弄されるのは地球に生を受けた者の定めだった。これから神不在の地球は、武器だの、宗教だの、長い戦争時代を迎えることになる。
 つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

私が死ねば楽になれるのでしょう?~愛妻家の後悔~

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢オリヴィアは伯爵令息ダーフィトと婚約中。 しかし結婚準備中オリヴィアは熱病に罹り冷酷にも婚約破棄されてしまう。 それを知った幼馴染の伯爵令息リカードがオリヴィアへの愛を伝えるが…  【 ⚠ 】 ・前半は夫婦の闘病記です。合わない方は自衛のほどお願いいたします。 ・架空の猛毒です。作中の症状は抗生物質の発明以前に猛威を奮った複数の症例を参考にしています。尚、R15はこの為です。

王妃さまは断罪劇に異議を唱える

土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。 そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。 彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。 王族の結婚とは。 王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。 王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。 ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。

あの子を好きな旦那様

はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」  目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。 ※小説家になろうサイト様に掲載してあります。

【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。

彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。 目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

処理中です...