上 下
31 / 103

バハムート(魚)

しおりを挟む
「あら? ヘルメース、久しぶり。相変わらずパシリをやってるのね。」
 ヘルメースは伝令の神で、旅人や商人の守護神でもあった。つば広の丸い旅行帽子ペタソスを被り、神のパシリの印の杖ケーリュケイオンを手に持ち、空を飛ぶことのできる翼の生えた黄金のサンダルのタラリアを履いている。
「ゲッ!? カトリーヌ様!?」
「ゲッとは何よ? あんたたちが天界の神々なのに、導けなかった世界平和を成し遂げたのは人間の私よ! あなた、ヘスティアーを見習いなさい!」
「カトリーヌ様! 万歳! 万歳! 万々歳!」
「ヘスティアーがゴロゴロしていない!?」
 巻き込まれたくないヘスティアーはカトリーヌに絶対服従の忠誠を誓っている。
「そんなことより大変なんですよ!? ハリウッドに悪魔や魔物が攻め込んできて、元神や元女神の我々だけでは防ぎきれません!?」
「あいつらの狙いはハリウッド・タワーか!?」
「ハリウッド・タワー?」
「人間界と天界をつなぐ塔です。天界へ行く唯一の道です。」
 天界の唯一無二の絶対神ルシファーが消息不明になり、誰もが天界の神の座を狙って天界を目指している。
「セーラ、一度人間界に戻ろう。」
「そうね。カトリーヌおばあ様はどうします?」
「魔界はうちの旦那が魔王に復職するから大丈夫だろうし、久しぶりに人間界に行ってみようかしら。でも、いいの? 私が戦ったら、みんな一撃で倒しちゃうわよ。」
「お願いします!」
 こうして俺たちは人間界に引き返すことにした。

「ダメだー!? もう私のバリアでは防ぎきれない。何なんだ? あの空飛ぶ巨大魚は!? ギャアアアアアアー!?」
 その頃、人間界。天界の神の座を狙って、悪魔や魔物が一斉にハリウッド修道院のハリウッド・タワーを目指して総攻撃を仕掛けていた。アテーナーを吹き飛ばして倒してしまった。
「ガオー!!!」
 ちなみにバハムートは竜ではなく、本当は魚らしい。口から高圧のビームを出し続けている。
「どうだ? バハムートの力は。私のペットたちは忠実に私の命令通りに動いてくれる。」
 真に新しい魔王7将軍の一人、アバーリッティアが遂に宗教国家ハリウッドに張り巡らされていた守護女神アテーナーのバリアを打ち破る。
「ここは任せたぞ。アバーリッティア。俺は天界を目指す。」
「天地創造時に生み出されたとする魔物も連れていけ。きっと役に立つだろう。」
「いいのか?」
「ああ、門番には秘密兵器を用意している。」
 スーパービアが遂にハリウッドの中に突入する。
 つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

十年目の離婚

杉本凪咲
恋愛
結婚十年目。 夫は離婚を切り出しました。 愛人と、その子供と、一緒に暮らしたいからと。

私の知らぬ間に

豆狸
恋愛
私は激しい勢いで学園の壁に叩きつけられた。 背中が痛い。 私は死ぬのかしら。死んだら彼に会えるのかしら。

【完結】捨てられ正妃は思い出す。

なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」    そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。  人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。  正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。  人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。  再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。  デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。  確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。 ––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––  他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。  前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。  彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。  

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

私が死ねば楽になれるのでしょう?~愛妻家の後悔~

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢オリヴィアは伯爵令息ダーフィトと婚約中。 しかし結婚準備中オリヴィアは熱病に罹り冷酷にも婚約破棄されてしまう。 それを知った幼馴染の伯爵令息リカードがオリヴィアへの愛を伝えるが…  【 ⚠ 】 ・前半は夫婦の闘病記です。合わない方は自衛のほどお願いいたします。 ・架空の猛毒です。作中の症状は抗生物質の発明以前に猛威を奮った複数の症例を参考にしています。尚、R15はこの為です。

あの子を好きな旦那様

はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」  目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。 ※小説家になろうサイト様に掲載してあります。

処理中です...