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アーサー、セーラ

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「危ない!?」
 突然、死はやって来た。
「キャアアアアアアー!」
 突然モンスターに襲われた俺は姫をかばった。
「アーサー!? アーサー!?」
 俺の名前はアーサー。名前の由来は伝説の聖剣エクスカリバーの持つ主、英雄アーサー王から名付けたらしい。
「お逃げ・・・下さい・・・セーラ姫・・・バタッ。」
 俺は死んでしまった。
「キャアアアアアアー!」
 モンスターの魔の手はセーラ姫にも及ぶ。
「ガオー!」
 非道な魔物はセーラ姫を見逃してくれない。
(姫を助けたい!)
 死しても俺は姫を守りたいと願った。
「キラーン!」
 その時、俺の持っていた家宝の宝玉が光る。
「キャアアアアアアー!」
「ガオー!」 
 セーラ姫が魔物に襲われそうになる。
「ゲホッ!?」
 その時、魔物の体が真っ二つに斬れた。
「あ!? あ!? アーサー!?」
 セーラ姫は目を疑った。
「ご無事ですか? セーラ姫。」
 死んだはずのアーサーが魔物を倒したのである。
「アーサー! あなた生きていたのね! 良かった!」
 感激したセーラ姫はアーサーに抱き着こうとする。
「え!?」
 セーラ姫の体はアーサーの体をすり抜けた。
「な!?」
 俺は、この時、初めて知った。
「アーサー!? その体は!?」
 セーラ姫は少し薄くなっている俺を見つめる。
「俺、死んじゃったみたいです。」
 俺は幽霊になった。先に言っておくが俺は強い勇者である。

「偉大なる勇者アーサーの死に敬意を表し、黙祷。」
 俺の葬式が行われていた。ここは宗教国家ハリウッド。元ハリウッド王国で、ハリウッド修道院に国を乗っ取られ、新たにできた国である。最高権威のデミ教皇が俺の葬式を姫をかばって死んだ英雄ということで自ら取り仕切っている。
「まさか自分の葬式を見ることになるとは・・・・・・。」
 自分の御葬式が行われるのを見るのは不思議な気持ちである。
「なんですって!?」
 デミ教皇はセーラ姫の育ての親で魔女の様な強力な魔法が使える。
「氷魔法! フリーザ!」
 事情を聞いたデミ教皇は、俺の体を氷魔法で腐らないように永久凍結してくれた。ハリウッド修道院の地下で俺の体は保管されている。
「ああ~!? 俺が燃やされていく!?」
 俺の棺が炎の中で燃えていく。
「何を言っているの。あなたはお化けでしょ。」
 セーラ姫に諭される。
「そうでした。」
 俺は幽霊なのだ。
「さあ、行くわよ。アーサー、あなたを生き返らせるために、ハリウッドを探しに行くわよ!」
「おお!」
 幽霊勇者の俺とセーラ姫は冒険の旅に出る。
 つづく。
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