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アップルと女王就任式
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「アップル、そなたを王女に任命します。」
「はい。謹んでお受け致します。」
アップルは、教会で女王の就任式に行っていた。王女の印である王冠を司祭に頭にかぶせてもらう。
「アップル新王女の誕生です!」
「おお!」
「パチパチパチパチ!」
アップルの新女王就任を傍聴席に観客は祝福の拍手を送る。
「アップル女王様!」
「アップル! アップル様!」
「新女王様! 万歳! 万歳! 万々歳!」
新女王に王族の王位継承会議で認められたアップルは、お城のバルコニーに出て、お城の周辺に集まった大勢の国民に笑顔で手を振る。
「それでは、新女王アップル様から、パンジャ国民に向けて、新女王就任のご挨拶です。」
これから新女王になったアップルのスピーチが始まる。騒いでいた国民が新女王の言葉を聞こうと静まり返る。
「こんにちわ。」
まだ成人にも満たないアップルの挨拶から入ったスピーチに、堅苦しい式典に緊張していた国民の心が和む。
「こんにちわ!」
「クスッ、ありがとう。私が新しく女王になりました、アップルです。お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。」
アップルの挨拶に挨拶を返す国民がいたりして、温かい気持ちが場に広がる。
「私は今回の殺人事件により本当の家族を失いました。ですが、私には新しく真実の家族を手に入れることができました。皆さんは、私の家族です。」
「おお! 俺たちがアップルの家族だ!」
「アップル様には、私たちがついているわよ!」
「ありがとう。家族の皆さん。」
集まった民衆の心をアップルは一瞬で掴む。
「みんなに聞いていただきたいことがあります。この世界キュウチは、今までにない危機に見舞われています。今までにはなかった邪悪な未知の生物による殺人事件です。私たちの国パンジャでも、多くの人々に悲劇が起こりました。幸いにも首都キョウトウの邪悪なる未知の生物は倒すことができましたので、純粋な皆さんの生活は安全です。今まで通りの生活を送ってください。」
アップルの演説は、重要なことも言うのだが、国民の心のケアも忘れない。
「しかし、世界では今も邪悪なる未知の生物が、この世界を滅ぼそうとしています。もし邪悪なる未知の生物が私たちの平穏な生活を脅かすというのなら、私は再び立ち上がり、神のご加護の元に、邪悪なる未知の生物を撃ち滅ぼします! 純粋なる私の家族を救い出すことを約束します! そして私は神の元へ召されるだろう!」
「おお!」
「アップル! アップル! アップル! アップル! アップル!」
鳴りやまない大衆のアップル・コール。
「神に認められし存在の私を称えることができることを光栄に思え! 人間共よ!」
「いつもながらアップルの演説はすごいね。民衆の心をガッチリと掴んでいるよ。」
「ありがとう。ジュライ。これも神様のおかげよ。」
「でも、神の使徒を邪悪なる未知の生物っていうのは、ちょっと悲しいかな。」
「違うわよ。どうして私がジュライのことを悪く言うのよ?」
「え?」
「私のいう邪悪なる未知の生物とは、人間のことよ。世界を滅ぼす邪悪なる私利私欲にまみれた人間のことよ。神様もおっしゃっていたじゃない。」
「そうだったんだね!?」
「他人に危害を加えない純粋な人間は家族として受け入れる。より多くの邪悪な人間を食べまくって、私は神になる!」
「なれるよ! アップルなら神様になれるよ!」
「私が神様になる時は、ジュライ、あなたも神になるのよ。」
「僕が神に!? 僕なんかが神になれるかな?」
「なれるわ。絶対に私があなたを神にしてみせる!」
「アップル大好き! 僕はアップルに一生ついて行くよ!」
「私も好きよ。ジュライ。」
アップルは笑顔で手を振りながら、お城の中に入って行く。
「アップル女王! 万歳!」
「アップル女王様!」
「アップル! アップル! アップル!」
いつまでも国民は新女王に声援を送るのであった。
「アップル、これからどうするの?」
「始めるわよ。世界征服を。」
「世界征服!?」
「この世の中から地球を滅ぼそうとする邪悪な人間の数を減らすためには、戦争が一番だわ。増えすぎた邪悪な人間は減らさなければならないから。」
「世界に宣戦布告するの!?」
「そうよ。相手が人間だろうが、神の使徒だろうが、私とジュライの幸せを奪う者は、誰であっても許さない! 例え、それが神であっても! 私は、この世界にエデンを作ってみせる!」
「アップル、すごい。パチパチパチパチ。」
「ジュライ、あなたと同じ神の使徒について教えてちょうだい。」
「いいよ。神の使徒は元々は神様のチェスの駒だったんだ。神様がチェスの駒12体に命を与えたから、名前は12か月でいいや、ってことになった。キング、クイーン、ビショップ、ルーク、ナイト、ポーン、それぞれ2体ずつの全部で12体。一番の問題は、僕のナイトが最弱ってことさ。」
「教えてあげるわ! 最弱は、最強になるってことを!」
「ああ! もう僕にはアップルが神に見えるよ!」
「最後に神になるのは、私とジュライよ。私は、私のしたいように生きる!」
アップルの世界征服が始まろうとしていた。
つづく。
「はい。謹んでお受け致します。」
アップルは、教会で女王の就任式に行っていた。王女の印である王冠を司祭に頭にかぶせてもらう。
「アップル新王女の誕生です!」
「おお!」
「パチパチパチパチ!」
アップルの新女王就任を傍聴席に観客は祝福の拍手を送る。
「アップル女王様!」
「アップル! アップル様!」
「新女王様! 万歳! 万歳! 万々歳!」
新女王に王族の王位継承会議で認められたアップルは、お城のバルコニーに出て、お城の周辺に集まった大勢の国民に笑顔で手を振る。
「それでは、新女王アップル様から、パンジャ国民に向けて、新女王就任のご挨拶です。」
これから新女王になったアップルのスピーチが始まる。騒いでいた国民が新女王の言葉を聞こうと静まり返る。
「こんにちわ。」
まだ成人にも満たないアップルの挨拶から入ったスピーチに、堅苦しい式典に緊張していた国民の心が和む。
「こんにちわ!」
「クスッ、ありがとう。私が新しく女王になりました、アップルです。お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。」
アップルの挨拶に挨拶を返す国民がいたりして、温かい気持ちが場に広がる。
「私は今回の殺人事件により本当の家族を失いました。ですが、私には新しく真実の家族を手に入れることができました。皆さんは、私の家族です。」
「おお! 俺たちがアップルの家族だ!」
「アップル様には、私たちがついているわよ!」
「ありがとう。家族の皆さん。」
集まった民衆の心をアップルは一瞬で掴む。
「みんなに聞いていただきたいことがあります。この世界キュウチは、今までにない危機に見舞われています。今までにはなかった邪悪な未知の生物による殺人事件です。私たちの国パンジャでも、多くの人々に悲劇が起こりました。幸いにも首都キョウトウの邪悪なる未知の生物は倒すことができましたので、純粋な皆さんの生活は安全です。今まで通りの生活を送ってください。」
アップルの演説は、重要なことも言うのだが、国民の心のケアも忘れない。
「しかし、世界では今も邪悪なる未知の生物が、この世界を滅ぼそうとしています。もし邪悪なる未知の生物が私たちの平穏な生活を脅かすというのなら、私は再び立ち上がり、神のご加護の元に、邪悪なる未知の生物を撃ち滅ぼします! 純粋なる私の家族を救い出すことを約束します! そして私は神の元へ召されるだろう!」
「おお!」
「アップル! アップル! アップル! アップル! アップル!」
鳴りやまない大衆のアップル・コール。
「神に認められし存在の私を称えることができることを光栄に思え! 人間共よ!」
「いつもながらアップルの演説はすごいね。民衆の心をガッチリと掴んでいるよ。」
「ありがとう。ジュライ。これも神様のおかげよ。」
「でも、神の使徒を邪悪なる未知の生物っていうのは、ちょっと悲しいかな。」
「違うわよ。どうして私がジュライのことを悪く言うのよ?」
「え?」
「私のいう邪悪なる未知の生物とは、人間のことよ。世界を滅ぼす邪悪なる私利私欲にまみれた人間のことよ。神様もおっしゃっていたじゃない。」
「そうだったんだね!?」
「他人に危害を加えない純粋な人間は家族として受け入れる。より多くの邪悪な人間を食べまくって、私は神になる!」
「なれるよ! アップルなら神様になれるよ!」
「私が神様になる時は、ジュライ、あなたも神になるのよ。」
「僕が神に!? 僕なんかが神になれるかな?」
「なれるわ。絶対に私があなたを神にしてみせる!」
「アップル大好き! 僕はアップルに一生ついて行くよ!」
「私も好きよ。ジュライ。」
アップルは笑顔で手を振りながら、お城の中に入って行く。
「アップル女王! 万歳!」
「アップル女王様!」
「アップル! アップル! アップル!」
いつまでも国民は新女王に声援を送るのであった。
「アップル、これからどうするの?」
「始めるわよ。世界征服を。」
「世界征服!?」
「この世の中から地球を滅ぼそうとする邪悪な人間の数を減らすためには、戦争が一番だわ。増えすぎた邪悪な人間は減らさなければならないから。」
「世界に宣戦布告するの!?」
「そうよ。相手が人間だろうが、神の使徒だろうが、私とジュライの幸せを奪う者は、誰であっても許さない! 例え、それが神であっても! 私は、この世界にエデンを作ってみせる!」
「アップル、すごい。パチパチパチパチ。」
「ジュライ、あなたと同じ神の使徒について教えてちょうだい。」
「いいよ。神の使徒は元々は神様のチェスの駒だったんだ。神様がチェスの駒12体に命を与えたから、名前は12か月でいいや、ってことになった。キング、クイーン、ビショップ、ルーク、ナイト、ポーン、それぞれ2体ずつの全部で12体。一番の問題は、僕のナイトが最弱ってことさ。」
「教えてあげるわ! 最弱は、最強になるってことを!」
「ああ! もう僕にはアップルが神に見えるよ!」
「最後に神になるのは、私とジュライよ。私は、私のしたいように生きる!」
アップルの世界征服が始まろうとしていた。
つづく。
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