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異世界ホテル1
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人はなぜ、夢や希望を抱くのだろう。
ここは異世界ホテル100ルーム。
「ここか?」
今日も新しい宿泊者がやってきた。そびえる高層ホテルを見上げる。上階は雲か霧に隠れて見えなかった。宿泊者はホテルの中に入って行く。
「ようこそ! 地獄の3丁目! 異世界ホテルへ!」
静かにドアボーイならぬ、ドアモンスターがホテルの入り口の扉を開ける。そしてホテルの中に入るとメイドならぬ、ホテルの案内係のお姉さんがいた。
「ここは夢や希望に敗れたものだけがたどり着ける、失った夢や希望を取り戻すことが出来るホテルです! さあ! あなたの願いを叶えましょう!」
ホテルの案内係のお姉さんは、エンターテイメント性の高い陽気で明るい笑顔の女性であった。
「私はホテルのコンシェルジュ、アルテイシアだ!」
その時、後ろから男が現れお姉さんの頭を殴る。
「痛~い!? 誰!?」
「私だ。」
お姉さんが振り向くと、スーツを着た男が怖い顔でお姉さんを睨んでいた。
「ゲッ!? 総支配人!?」
「何が、ゲッ!? だ。真面目に仕事をしろ。」
「すいません。」
さっきまで陽気だったお姉さんの顔から笑顔が消える。完全に総支配人の登場にビビっている。
「おまえの名前は、アンコ椿だ。」
「アンコ椿!? それだけはご勘弁ください!? 総支配人様!?」
「黙れ。」
お姉さんは総支配人に泣きつく。しかし、泣きつく位では総支配人は表情を変えない。ポーカーフェイスだ。
「とほほ。」
悲しむお姉さんは涙をこらえて踏ん張っている。
「私はホテルの総支配人はイース。このホテルについて詳しく説明しましょう。当ホテルはお客様の居心地の良さのために、ワンフロアにワンルームだけです。このホテルには部屋が100あります。その部屋の中には、モンスターがいて戦ったり、仲間がいたり、お金、アイテム、人がいて情報をくれたりします。部屋の中身は、お客様の日頃の行いにより決まるランダムとなっております。」
総支配人は淡々とホテルの詳細を、コンシェルジュの説明に補足していく。
「このホテルに挑む対価は、あなたの命。それでも挑戦しますか? 分かりました。これでチェックイン完了です。それでは部屋を開けるカードキーをどうぞ。」
総支配人は部屋を開ける鍵を宿泊者に渡す。
「アンコ椿、お客様を部屋に案内しろ。」
「はい、総支配人様。」
納得はしていないが上司の命令なので、アンコ椿は受け入れる。
「こっち。こい。」
渋々だがコンシェルジュが階段を登り始め、宿泊者を案内する。
「おまえの夢を見せてもらおう。」
総支配人は宿泊者の後姿を眺めていた。
つづく。
ここは異世界ホテル100ルーム。
「ここか?」
今日も新しい宿泊者がやってきた。そびえる高層ホテルを見上げる。上階は雲か霧に隠れて見えなかった。宿泊者はホテルの中に入って行く。
「ようこそ! 地獄の3丁目! 異世界ホテルへ!」
静かにドアボーイならぬ、ドアモンスターがホテルの入り口の扉を開ける。そしてホテルの中に入るとメイドならぬ、ホテルの案内係のお姉さんがいた。
「ここは夢や希望に敗れたものだけがたどり着ける、失った夢や希望を取り戻すことが出来るホテルです! さあ! あなたの願いを叶えましょう!」
ホテルの案内係のお姉さんは、エンターテイメント性の高い陽気で明るい笑顔の女性であった。
「私はホテルのコンシェルジュ、アルテイシアだ!」
その時、後ろから男が現れお姉さんの頭を殴る。
「痛~い!? 誰!?」
「私だ。」
お姉さんが振り向くと、スーツを着た男が怖い顔でお姉さんを睨んでいた。
「ゲッ!? 総支配人!?」
「何が、ゲッ!? だ。真面目に仕事をしろ。」
「すいません。」
さっきまで陽気だったお姉さんの顔から笑顔が消える。完全に総支配人の登場にビビっている。
「おまえの名前は、アンコ椿だ。」
「アンコ椿!? それだけはご勘弁ください!? 総支配人様!?」
「黙れ。」
お姉さんは総支配人に泣きつく。しかし、泣きつく位では総支配人は表情を変えない。ポーカーフェイスだ。
「とほほ。」
悲しむお姉さんは涙をこらえて踏ん張っている。
「私はホテルの総支配人はイース。このホテルについて詳しく説明しましょう。当ホテルはお客様の居心地の良さのために、ワンフロアにワンルームだけです。このホテルには部屋が100あります。その部屋の中には、モンスターがいて戦ったり、仲間がいたり、お金、アイテム、人がいて情報をくれたりします。部屋の中身は、お客様の日頃の行いにより決まるランダムとなっております。」
総支配人は淡々とホテルの詳細を、コンシェルジュの説明に補足していく。
「このホテルに挑む対価は、あなたの命。それでも挑戦しますか? 分かりました。これでチェックイン完了です。それでは部屋を開けるカードキーをどうぞ。」
総支配人は部屋を開ける鍵を宿泊者に渡す。
「アンコ椿、お客様を部屋に案内しろ。」
「はい、総支配人様。」
納得はしていないが上司の命令なので、アンコ椿は受け入れる。
「こっち。こい。」
渋々だがコンシェルジュが階段を登り始め、宿泊者を案内する。
「おまえの夢を見せてもらおう。」
総支配人は宿泊者の後姿を眺めていた。
つづく。
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