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第9魔法少女、虹子
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ここは魔法高校剣道東京大会の行われている日本武道館
「やい! 口ほどにもない! それなら先鋒をうちに変わっていれば、あんなパチモン軍隊、軽くひねってやったのに!」
「負けるとは情けない! マリコ様の顔に泥を塗ったな! 死をもって償え!」
マオと夜虎は、負けて自陣に帰ってきたイスラを罵倒する。
「やめなさい。私はパワハラもセクハラもいじめも許しませんよ。」
主将として、間リコは規律を重んじる。
「良かった! 生きて帰って来て! 今度はがんばろうね。」
「ああ!? 裏切り者!?」
夜虎はリコに絶対的な忠誠を誓っている。
「あんたたち、ケンカばかりしていないで、焼き立てのパンでも食べて幸せになりなさい。」
「いい臭い!」
「美味しそう!」
食べ物は不思議である。あれだけケンカしていたのに、魔法世田谷高校のメンバーが笑顔でパンを食べている。
「美味しい! なんて美味しいパンなんだ!」
「こんな美味しいパンを食べれるなんて、ああ! 生きてて良かった!」
美味しいパンは人々を笑顔にする。
「はい、あなたも食べなさい。」
「あう。」
「負けてくれてありがとう。魔法自衛隊は私のパン屋の大口顧客なのよね。これで角が立たないから商売を続けていけるわ。」
虹子は負けて暗くなっているイスラにも渡す。
「美味しい! こんなに美味しいパンは日本に来て初めて!」
イスラは負けて感謝されたのもテロリスト人生で初めてだった。
「ありがとう。客席の女性にも持って行ってあげなさい。」
「虹子、ありがとう。」
そういうとイスラは安部のパンを持って客席に向かった。
「これだけ無茶苦茶な試合会場を見てると、私がさらわれた日のことを思い出すわ。」
虹子は日本のテロに巻き込まれたことがある。もう日本は決して平和な国ではなかった。昔、お金持ちの青山財閥に生まれた虹子こと、青山陽子は田園調布のお金持ちイベントに父親と出席した。しかしテロ行為を行う貧乏人たちに襲われてしまう。幸い通りすがりのおじさんに助けられ難を逃れた。
「私が今、パンを焼くことが出来るようになったのも、荒んだ人の心のおかげか、皮肉ね。記憶喪失にはなっちゃったけど。」
陽子を助けてくれたおじさんは蒲田の街のパン屋さんだった。暴動に巻き込まれて傷ついた陽子は記憶を失っていた。パン屋の娘の意地悪な雲子には「雨子」と呼ばれいじめられた。しかし一生懸命にパンを焼き続けている間に陽子は輝きを取り戻す。その陽子の姿を見て、パン屋の夫婦がつけてくれた素敵な名前が「虹子」だった。
「大切な人のために、自分の好きなことをする。こんなに幸せなことは無いわ。」
虹子の焼くパンは食べた人を幸せにする。そんな口コミが広がり、娘を探していた実の両親の耳にも入る。青山家でメイドをしていた麻布一郎は噂の幸せのパンを買いに行き、虹子と出会う。行方不明の陽子に瓜二つの姿に一郎は驚く。陽子と一郎は運命の再会を果し、失った記憶を取り戻す。
「もっともっとお店を増やして、みんなを幸せにするの!」
青山家に戻った虹子だったが、パン屋の夫婦に感謝して、名前は虹子を名乗ることにした。そして虹子はパン職人として独立し、自分の店を持った。店名は「虹子の幸せのパン屋」。虹子のパン屋には幸せになりたい人々が幸せになれというパンを求めて毎日大行列を作った。なんの代わり映えのしない普通のパンだが、幸せになりたい人々の心には心地良く響いた。
「こんなところでつまずいている場合じゃない! どんなに雨が降り続いても止まない雨はない! 雨が止んだら空には、きれいな七色の虹がかかるんだ!」
虹子は決勝戦の次鋒戦に望む。
つづく。
「やい! 口ほどにもない! それなら先鋒をうちに変わっていれば、あんなパチモン軍隊、軽くひねってやったのに!」
「負けるとは情けない! マリコ様の顔に泥を塗ったな! 死をもって償え!」
マオと夜虎は、負けて自陣に帰ってきたイスラを罵倒する。
「やめなさい。私はパワハラもセクハラもいじめも許しませんよ。」
主将として、間リコは規律を重んじる。
「良かった! 生きて帰って来て! 今度はがんばろうね。」
「ああ!? 裏切り者!?」
夜虎はリコに絶対的な忠誠を誓っている。
「あんたたち、ケンカばかりしていないで、焼き立てのパンでも食べて幸せになりなさい。」
「いい臭い!」
「美味しそう!」
食べ物は不思議である。あれだけケンカしていたのに、魔法世田谷高校のメンバーが笑顔でパンを食べている。
「美味しい! なんて美味しいパンなんだ!」
「こんな美味しいパンを食べれるなんて、ああ! 生きてて良かった!」
美味しいパンは人々を笑顔にする。
「はい、あなたも食べなさい。」
「あう。」
「負けてくれてありがとう。魔法自衛隊は私のパン屋の大口顧客なのよね。これで角が立たないから商売を続けていけるわ。」
虹子は負けて暗くなっているイスラにも渡す。
「美味しい! こんなに美味しいパンは日本に来て初めて!」
イスラは負けて感謝されたのもテロリスト人生で初めてだった。
「ありがとう。客席の女性にも持って行ってあげなさい。」
「虹子、ありがとう。」
そういうとイスラは安部のパンを持って客席に向かった。
「これだけ無茶苦茶な試合会場を見てると、私がさらわれた日のことを思い出すわ。」
虹子は日本のテロに巻き込まれたことがある。もう日本は決して平和な国ではなかった。昔、お金持ちの青山財閥に生まれた虹子こと、青山陽子は田園調布のお金持ちイベントに父親と出席した。しかしテロ行為を行う貧乏人たちに襲われてしまう。幸い通りすがりのおじさんに助けられ難を逃れた。
「私が今、パンを焼くことが出来るようになったのも、荒んだ人の心のおかげか、皮肉ね。記憶喪失にはなっちゃったけど。」
陽子を助けてくれたおじさんは蒲田の街のパン屋さんだった。暴動に巻き込まれて傷ついた陽子は記憶を失っていた。パン屋の娘の意地悪な雲子には「雨子」と呼ばれいじめられた。しかし一生懸命にパンを焼き続けている間に陽子は輝きを取り戻す。その陽子の姿を見て、パン屋の夫婦がつけてくれた素敵な名前が「虹子」だった。
「大切な人のために、自分の好きなことをする。こんなに幸せなことは無いわ。」
虹子の焼くパンは食べた人を幸せにする。そんな口コミが広がり、娘を探していた実の両親の耳にも入る。青山家でメイドをしていた麻布一郎は噂の幸せのパンを買いに行き、虹子と出会う。行方不明の陽子に瓜二つの姿に一郎は驚く。陽子と一郎は運命の再会を果し、失った記憶を取り戻す。
「もっともっとお店を増やして、みんなを幸せにするの!」
青山家に戻った虹子だったが、パン屋の夫婦に感謝して、名前は虹子を名乗ることにした。そして虹子はパン職人として独立し、自分の店を持った。店名は「虹子の幸せのパン屋」。虹子のパン屋には幸せになりたい人々が幸せになれというパンを求めて毎日大行列を作った。なんの代わり映えのしない普通のパンだが、幸せになりたい人々の心には心地良く響いた。
「こんなところでつまずいている場合じゃない! どんなに雨が降り続いても止まない雨はない! 雨が止んだら空には、きれいな七色の虹がかかるんだ!」
虹子は決勝戦の次鋒戦に望む。
つづく。
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