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良いこと、使い魔兼家族、本の神様

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 ここは水と緑の魔法渋谷公園。
「もう、やだ。」
 谷子は魔法少女たちの悪行にいじけていた。
「諦めましょう。エルメス様に何を言っても無駄。ワン。」
「そうです。気にするだけ無駄。ニャア。」
「誰だ? 魔法少女に軍事権なんて与えた人は。ちゅん。」
「アホ~。アホ~。谷子のアホ~。」
「zzz。」
「足はありませんよ。エヘッ。」
「コンコン。」
「狸子です。久しぶりポン。」
「わて、祐名はんのAIロボットの明治天皇でんがな。わてまで読んでもらって、ええのかな?」
 各キャラクターの使い魔兼家族、マスコットキャラクターが勢揃い。
「そういえば、谷子さんには、使い魔兼家族はいませんね。ワン。」
「そうだね。私は元々、魔法少女じゃないからね。」
「少し寂しいですね。ニャア。」
「なんなら、本の神様でも呼ぼうか? 今、バイトの神様、流行ってるし。」
「それは勘弁してください。ちゅん。」
 本の神様は手強い相手であった。本の神様「帰ってきた、渋井谷子の奇跡」で登場。正体は、本を傷つけられた谷子が覚醒して、本の神様になる。本の中に本を傷つけた者を閉じ込める、必殺技ブックインを使う。
「アホ~。谷子のアホ~。」
「うるさい! アホガラス!」
「zzz。」
「寝るな! アホフクロウ!」
「谷子ちゃん、全ての使い魔兼家族と会話するのは無理よ。疲れちゃうから心配しちゃうよ。エヘッ。」
「哀れな谷子を気遣ってくれるのは、幽霊のおみっちゃんだけだよ。癒される。」
「コン。」
「コンコン。おまえも優しいな。」
「狐には負けません! 谷子さん大丈夫? 無理しないでね。ポン。」
「なんか人を騙そうとしている気がする。」
「谷子はん、完全に人間不信ですやん。」
 壮絶な使い魔兼家族とのオールトーク。これもぬいぐるみを始め、キャラクターグッツを売るためだと頑張るのだが、本当に疲れる。使い魔兼家族は完全にお留守番役だな。あとはキャラのピックアップ時に登場するぐらいにしよう。
「ダメだ。本の神様! 谷子の体を貸してあげるから、少し変わってください!」
 精神的に疲れ切った谷子は、別人格の本の神様にバトンタッチして、休憩に入る。
「本の神様だよ。」
 現れた本の神様。
「魔法都市渋谷? 私がいない間に、誰が勝手に変えたんだい? どうせ変えるなら魔法図書都市渋谷にしな。必殺! ブック・ワールド・チェンジ!」
 魔法都市渋谷は本がそこら辺に溢れている都市になった。コンビニで売っているのは本ばかり。水道の蛇口をひねると本が出る。
「この世は本が全てなのだ!」
 言い忘れていたが、本の神様は、本が良ければ、それでいいという神様なので、他のモノがどうなろうが関心がなかった。
「読書! 最高! 本が大好き! ワッハッハー!」
 ある意味、最強の神様である。
「あれは本の神様!?」
 異変に気づいて魔法少女たちが現れた。
「本の神様? 魔法で退治してやる!」
「ダメよ! あれは怪獣ちゃんに憑りついている神様なんだから!」
「ええ~!? あれが谷子ちゃん!? どうするのよ!?」
 全身から独特な本が大好きオーラをまき散らしている本の神様。谷子は福の神か貧乏神、若しくは座敷童に憑りつかれているようなものだった。
「私に任せて。本の神様! 私は本が大好きです!」
「おお! 魔法少女は本が大好きなんだね。魔法少女は、なんて良い人なんだ。これで私も安心して眠れるというものだ。起きろ! 谷子!」
 現実逃避していた谷子を起こして、本の神様は消えていった。
「うわあ!? 渋谷が本だらけ?」
 谷子は目を覚ました。辺りは本だらけになっている。
「怪獣ちゃん!」
「栞お姉ちゃん!?」
「私たちが悪かったわ! これからは心を入れ替えて良いことをするから、怪獣ちゃん、私たちを許して!」
 栞は泣きながら谷子に抱きついて改心した。
「ありがとう、本の神様。」
 本の神様は、素敵な神様だった。

つづく。
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