剣物語

渋谷かな

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雷竜剣騎士

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「面白い。おまえも我が雷の槍で倒してくれる。」
 天候神の悪魔バアルは、雷竜を見て臆するどころか、逆に戦いを挑もうとする。
「愚かな。たかが人間がドラゴンと戦おうというのか? んん?」
 その時、サンダードラゴンは、シデンを見て何か気づいた。
「違うな。おまえは悪魔か?」
「そうだ。私は上級悪魔バアルだ。」
「悪魔。おまえの着ている剣騎士のソード・ナイト・アーマーは、サンダーバードか? あのサンダーバードが、おまえを選んだというのか?」
「いいや。私がサンダーバードを選んだのだ。」
「なに?」
「悪魔は、自分が欲しいと思ったモノは、どんな手を使っても手に入れる! それが悪魔だ! 私の邪魔をするというのなら、ドラゴンだろうが、天界の神だろうが消し去るまでだ!」
「だろうな。」
 次にサンダードラゴンは、雷の剣騎士シデンを見る。
「人間。」
「はい。」
「どうして人間が、この積乱雲の中にいる?」
「私は一度、バアルに殺されました。でも雷鬼や雷小僧に助けられ、一人の悪魔は倒せましたが、あいつを倒すために雷の精霊サンダーバードの剣騎士のソード・ナイト・アーマーを手に入れるために積乱雲の中に飛び込みました。」
「今のおまえが、あの悪魔と戦えば確実に殺されるぞ。それでも戦うというのか?」
「私は戦う! この命が尽きても何度でも甦り、必ず悪魔を、邪悪なる者を倒し、この世界を平和に導きます!」
 シデンは、雷の電撃で何度でも甦れる。
「話はまとまったな。人間、私の力を貸してやる。悪魔に捕まった雷の精霊サンダーバードを解き放つぞ。」
「はい!」
「私のソード・ナイト・アーマーを使うがよい。」
 積乱雲の稲妻の中から、サンダードラゴンの剣騎士の鎧が舞い降りてくる。
「あれは!? 雷竜の剣騎士の鎧!?」
「バカな!? サンダードラゴンが剣騎士のソード・ナイト・アーマーを持っているというのか!?」
 シデンもバアルも、雷が光る雷竜の剣騎士の鎧に驚く。
「さあ! 人間よ! 身に着けるがいい! 雷竜の剣騎士の鎧を! そして雷竜剣騎士になるがいい!」 
 雷竜の剣騎士の鎧がシデンに装着されていく。サンダードラゴンは、シデンに力を与える。ここに雷竜の剣騎士の鎧を身にまとったシデンが誕生した。
「これがサンダードラゴンのソード・ナイト・アーマー!? 雷の剣騎士の鎧とは比べ物にならないパワーだ!? 剣気が何倍にも膨れ上がっていく!?」
「さあ、シデン。目の前の悪魔を倒すのだ。」
「はい!」
 雷竜剣騎士となったシデンの剣気が急激に上昇していく。そのソード・フォースは雷の剣騎士の上限を遥かに超えて、上限を突破している。
「こんなことがあっていいのか!? こんなことが許されていいのか!? シデンの剣気が雷の精霊サンダーバードの剣騎士の鎧を装備している、私よりも強いだと!? あり得ない!? こんなことはあってはいけないのだ!?」
 バアルも強者故に、サンダードラゴンの剣騎士の鎧を装着したシデンの剣気が自分よりも強いということが分かる。
「いくぞ! 雷竜!」
「おお!」
「バアル! これでおまえも最後だ!」
「何を!?」
 シデンは雷竜の剣を構える。
「光れ! 雷光! 轟け! 雷鳴! くらえ! サンダードラゴン・ソード・スラッシュ!」
「これが雷竜の力なのか!? ギャアアア!?」
 シデンの放った必殺技が悪魔バアルを切り裂いた。シデンは、バアルを倒した。
「サンダーバード!?」
 バアルに剣騎士の鎧にされていた雷鳥サンダーバードが積乱雲の中を、シデンに感謝しながら飛び回っている。
「よくやった。人間よ。」
「ありがとうございます。サンダードラゴン。」
「さらばだ。」
 シデンの装着していた雷竜の剣騎士の鎧は消えてしまう。
「グワアアア!?」
 雷竜の剣騎士の鎧を使用していたシデンに疲れが一度に襲いかかってくる。あまりの激痛に意識を失い地上に落下していくシデン。
「クエエエー!」
 そんなシデンを雷鳥が背中に乗せるのであった。シデンは雷の精霊サンダーバードに自分の力を認めさせることに成功した。助けてもらったサンダーバードもシデンを認めた。
「zzz。」
 戦いに疲れたシデンは、空を飛ぶサンダーバードの背中で気持ち良さそうに眠っている。
 つづく。
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