剣物語

渋谷かな

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天候神の悪魔

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「何かしたのか?」
「痛くもかゆくもないぜ。ケッケッケ。」
「そんなバカな!? 悪魔たちには、私の攻撃は効かないというのか!?」
 雷の剣騎士シデンの放った雷は、天候神の悪魔バアル、地獄の大伯爵フルフルには、まったく効いていないように見えた。
「もし我々を上級剣騎士とするならば、雷鳥サンダー・バードの剣騎士の鎧が中級、オーソドックスな雷の剣騎士など、下級剣騎士に過ぎない。」
「か、下級!? この私を下級呼ばわりしたな!?」
 バアルの言葉により、剣騎士にも「ランク」という概念が追加された。
「そうだぜ! 下級剣騎士は黙って引っ込んでいろ!」
「それはどうかな? 見下している下級に傷をつけられた上級さんよ。」
「なに?」
 バアルとフルフルの剣騎士の鎧に雷で少し焼けた様な跡がある。
「これは!? まさか!? シデンの雷の攻撃が、上級である我々にダメージを与えたというのか!?」
「バカな!? そんなことはありえない!? あってはいけないのだ!?」
 バアルとフルフルは、自分よりも格下の相手に傷つけられたと動揺するのであった。
「どんなに下級、下級と罵られようとも、私の攻撃がまったく効かない訳じゃない! そうと分かれば、この命が尽きるまで撃ち続けるまでだ!」
 シデンは剣気を高め、再び攻撃しようと試みる。
「ギャアアア!?」
 その時、鋭い稲妻がシデンの体を貫通する。そしてシデンの体は地面に倒れ込む。
「シデン!?」
「シデンさん!?」
 シデンを心配する雷鬼と雷小僧。
「サンダー・スピア。私のサンダー・スピアで貫けぬものはない。」
「さすがバアルだ。俺たちに下級ごときが歯向かうから、死ぬことになるのだ。」
 シデンを殺したのは、天候神の悪魔バアルだった。
「シデン!? おい!? 返事をしろ!?」
「シデンさん!? 目を開けてよ!?」
 シデンに駆け寄り声をかける雷親子。
「無駄だ。そいつは、もう死んでいる。おまえたちも死にたくなければサンダーバードの居場所を吐くんだ。」
「誰がおまえたちなんかに言うもんか!」
「なら小僧、おまえも殺してやろうか? ケッケッケ。」
「待って下さい! 言いますから、息子には手を出さないで下さい!」
 子供を人質に取られた雷鬼はは、悪魔に雷の精霊サンダーバードの居場所を教えることを決心する。
「約束しよう。悪魔だが私は、おまえたちには手を出さないと。」
 意外にも悪魔だったが上級悪魔としてのプライドが高いバアルは約束を守る男だった。
「サンダーバードは、積乱雲の中にいます。」
「分かった。ではさらばだ。」
 バアルとフルフルは、雷鳥サンダーバードを捕獲するために、雷親子の元を去って行った。
「よし! 悪魔は去って行った! やるぞ! 我が息子よ!」
「うん! とうちゃん!」
「シデンの充電を始めるぞ!」
「生き返って! シデンさん!」
 雷親子は、シデンの亡骸に雷の電撃を浴びせ始めた。
 つづく。
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