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夢のナイト・アーマー
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「夢のナイト・アーマーだと!? ふざけるな! オリハルコンではなくなった、おまえの鎧が、どれだけの防御力を持っているのか、俺が試してやるぜ! くらえ! 火の魔法ファイア・ボール!」
火油が火の玉の遠距離魔法で攻撃してくる。しかし、僕は剣で防ごうともせずに、ただ何事も無いように毅然と立っている。
「なに!? 俺のファイア・ボールが!?」
僕は剣で防ぐこともせずに、ただ立っているだけで火の玉をかき消した。僕と火油とでは、レベルの差がかなりあったのだろう。
「俺の夢は、そんな小さな火では燃やすことはできない。俺の夢は、世界の人々が平和に暮らせる世の中。俺の夢は、世界平和だ!」
「せ、世界平和!?」
ゲームの世界、または夢の世界と思うと、僕は少し恥ずかしいくらいの決めゼリフでも選択することができた。自分でも少し臭いとは思っている。
「こい、火油。おまえの必殺技を俺に打ってこい。もう俺には、おまえの必殺技は通用しない。」
「なんだと!? 舐めやがって!? いいだろう。お望みとあらば、俺の必殺技を食らわせてやろう! 必殺! ファイア・ソード・スラッシュ!」
「夢は見るためにあるんじゃない! 夢は叶えるためにあるんだ! おまえなんかに他人の夢を奪う資格はない! くらえ! 俺の夢! 俺の剣! ドリーム・ソード・スラッシュ!」
「ギャア!」
僕の必殺の一撃が火を切り裂き、その勢いのまま火油を切り裂いた。僕は人を殺した。ただゲームの世界なので、その実感はない。
「倒した。俺が火油に勝ったんだ。僕はいじめっ子に勝ったんだ。うおおおおおー!」
僕は心の底から喜んだ。現実の世界では、怖いから抵抗しないのか、その前に親に虐げられて人生を諦めてしまって抵抗しないのか、それは自分でも分からなかった。僕は自分の意志で生きることを選び、戦うことを決め、そして、初めて、いじめっ子に勝ったのだ。
「勝った。買ったんだ。僕はいじめに勝ったぞ。僕はいじめに勝ったんだ。ハハハハハッ。ハハハハハッ。」
親からも虐待を受けていた僕は、他人を傷つけることに抵抗があっただけなのかもしれない。自分が親から傷つられているので、人の心の痛みが分かるから。ただ、それだけで他人を攻撃しないから、無抵抗だから、いじめっ子の標的にされたのかもしれない。
「勝った。勝ったぞ。ハハハハハッ。」
なんだろう? この他人を傷つけて、得る喜びは? 人としては、性善説としては絶対に間違っている。それでも僕には勝てなかった者に勝ったという喜びもあった。僕の中で善悪、色々なものが交じり合って、頭が痛い。精神が壊れてしまいそうだった。
「はあ!?」
僕は自宅のベッドの上で飛びあがるように起き上がる。
「夢!? また僕は夢を見ていたのか!?」
僕は全身に汗をかいていた。そして手には確かに人間を切った感触が残っていた。
「なんだか、後味の悪い夢だった。」
この時の僕は、自分の見る夢が、自分の夢の剣の関連があるとは、想像もしていなかった。
つづく。
火油が火の玉の遠距離魔法で攻撃してくる。しかし、僕は剣で防ごうともせずに、ただ何事も無いように毅然と立っている。
「なに!? 俺のファイア・ボールが!?」
僕は剣で防ぐこともせずに、ただ立っているだけで火の玉をかき消した。僕と火油とでは、レベルの差がかなりあったのだろう。
「俺の夢は、そんな小さな火では燃やすことはできない。俺の夢は、世界の人々が平和に暮らせる世の中。俺の夢は、世界平和だ!」
「せ、世界平和!?」
ゲームの世界、または夢の世界と思うと、僕は少し恥ずかしいくらいの決めゼリフでも選択することができた。自分でも少し臭いとは思っている。
「こい、火油。おまえの必殺技を俺に打ってこい。もう俺には、おまえの必殺技は通用しない。」
「なんだと!? 舐めやがって!? いいだろう。お望みとあらば、俺の必殺技を食らわせてやろう! 必殺! ファイア・ソード・スラッシュ!」
「夢は見るためにあるんじゃない! 夢は叶えるためにあるんだ! おまえなんかに他人の夢を奪う資格はない! くらえ! 俺の夢! 俺の剣! ドリーム・ソード・スラッシュ!」
「ギャア!」
僕の必殺の一撃が火を切り裂き、その勢いのまま火油を切り裂いた。僕は人を殺した。ただゲームの世界なので、その実感はない。
「倒した。俺が火油に勝ったんだ。僕はいじめっ子に勝ったんだ。うおおおおおー!」
僕は心の底から喜んだ。現実の世界では、怖いから抵抗しないのか、その前に親に虐げられて人生を諦めてしまって抵抗しないのか、それは自分でも分からなかった。僕は自分の意志で生きることを選び、戦うことを決め、そして、初めて、いじめっ子に勝ったのだ。
「勝った。買ったんだ。僕はいじめに勝ったぞ。僕はいじめに勝ったんだ。ハハハハハッ。ハハハハハッ。」
親からも虐待を受けていた僕は、他人を傷つけることに抵抗があっただけなのかもしれない。自分が親から傷つられているので、人の心の痛みが分かるから。ただ、それだけで他人を攻撃しないから、無抵抗だから、いじめっ子の標的にされたのかもしれない。
「勝った。勝ったぞ。ハハハハハッ。」
なんだろう? この他人を傷つけて、得る喜びは? 人としては、性善説としては絶対に間違っている。それでも僕には勝てなかった者に勝ったという喜びもあった。僕の中で善悪、色々なものが交じり合って、頭が痛い。精神が壊れてしまいそうだった。
「はあ!?」
僕は自宅のベッドの上で飛びあがるように起き上がる。
「夢!? また僕は夢を見ていたのか!?」
僕は全身に汗をかいていた。そして手には確かに人間を切った感触が残っていた。
「なんだか、後味の悪い夢だった。」
この時の僕は、自分の見る夢が、自分の夢の剣の関連があるとは、想像もしていなかった。
つづく。
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