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エヘッ! 18
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「私はずっと待っていたんだよ。」
エリザベス女王が死にシャーロットがイギリスの女王になると思われた時にアン王女が現れた。
「エリザベスお母さんが死んで、私がイギリスの女王になる時を。」
アンおばあちゃんの目的はイギリスの女王になることだった。
「しかし、さすがに心が痛むので自分の母親を殺すことはできないからね。」
アン王女は心の優しい人だった。
「まさか既に死んでいて、幽霊としてイギリスの女王をやっていたなんてね。道理で100才になっても死なないはずだよ。」
エリザベス女王が死んでいて幽霊だったとはアン王女は知らなかった。
「おまえたちがお母さんを倒してくれて良かったよ。これで私がイギリスの女王になれる。」
アン王女は野心家であった。
「そうはさせないわ! 次のイギリスの女王になるのはシャーロットよ!」
おみっちゃんはアン王女に食い下がる。
「幽霊から幽霊へってか? 死人がふざけるな! 私は列記として生きてるんだからね! イギリスの女王になるのは私だよ!」
アン王女も引き下がる気は全くない。
「戦うしかないようね。」
「その様だな。お化けども。」
おみっちゃんもアン王女も一歩も引かない。
「でも、おばあちゃん一人に四人がかりで戦うのも悪いね。」
女将さんはアン王女がご高齢なのを心配した。
「すまないね。心配してもらって。ゴホッゴホッ。」
アン王女は咳もしていて病弱なのかもしれない。
「無理にイギリスの女王にならなくてもいいんじゃないですか?」
おみっちゃんはアン王女にイギリス女王を諦めるように言った。
「断る! 夢は絶対に諦めない! 私はイギリスの女王になるのだから!」
アン王女は欲の塊だった。
「なんて業突婆!?」
まさに魑魅魍魎! 怨念の塊ともいえるアン王女。
「うるさい! 私はイギリスの女王になるっていったらなるんだよ!」
その時、アン王女の側に黒い男たちが現れる。
「あなたたちは!?」
おみっちゃんたちは男たちに見覚えがあった。
「悪の組織パパラッチ!?」
現れたのは悪の組織パパラッチの幹部たちだった。
「その通り! 悪の組織パパラッチと契約して王位継承者を次々と暗殺していたのは、この私だよ!」
犯人はアン王女だった。
「なんですって!?」
衝撃を受けるおみっちゃんたち。
「酷い!? どうしてそんなことを!?」
シャーロットの素朴な疑問。
「当然だろ! イギリスの女王になりたいからさ!」
これがアン王女が悪魔に魂を売り渡した動機である。
「エリザベスお母さんは娘の私に王位を譲る気はなかった。それどころか他の3人の息子、娘にも王位を譲らない頑固婆でね! だからイギリスの王の座を奪うことを考えた! 女王になれれば悪魔とも契約するさ! イッヒッヒー!」
アン王女は何が何でも女王になりたかった。
「分かる気がするわ。エリザベス女王がアン王女に王位を譲らなかった気持ちが。」
納得する女将さん。
「そうですね。イギリス国民の象徴になる訳ですから、こんな邪なアン王女では王位は譲れませんね。」
それに同意するおみっちゃん。
「うるさい! 黙れ! 部外者!」
アン王女は逆ギレする。
「なら私にはいう権利があるわ!」
シャーロットが前に出る。
「出たな!? 小娘! おまえなんかに女王の座は渡さないぞ!」
アン王女は身構える。
「なら、こういうのはどうかしら? エリザベスおばあ様が成仏しちゃったので、アンおばあ様が次期イギリスの女王に即位なさって、アンおばあ様が死んだら私が女王になるというのは?」
シャーロットの斬新な提案である。
「素晴らしい! さすが私のかわいい孫だよ!」
アン王女は180度手のひらを返した。
「え? それでいいの?」
おみっちゃんはシャーロットを疑った。
「私は別に構わないわよ。平和的話し合いでの解決よ。それに私には考えがあるから。シャハ!」
シャーロットは良いらしい。
「あの・・・・・・俺たちはどうすればいいのでしょか?」
悪の組織パパラッチの皆さんも戦闘シーンがなくなったので手持ち無沙汰である。
「あんたたちとの契約は私が女王になるまでだから、後はしっかり私のボディーガードでもしてもらおうかしら。」
アン王女は悪魔や化け物相手でも物怖じしない。
「はい・・・・・・。」
キョトンとしているパパラッチの面々。
「質問!」
そこにダイアナが現れた。
「あなたダイアナにそっくりね。」
アン王女はダイアナを見てそっくりさんと思った。
「はい。私、パパラッチに殺されたダイアナの幽霊です。アハッ!」
笑って挨拶するダイアナ。
「成仏してなかったのね。この悪霊め。」
アン王女はダイアナを快く思っていなかった。
「どうして私は王位継承権もありませんが、パパラッチに殺されたんでしょうか?」
ダイアナは王位継承権は持っていない。
「簡単さ。出る杭は打たれる。あんたはメディアでチヤホヤされて調子に乗っていたから、目障りだったかのさ。」
これがダイアナがパパラッチに殺された理由であった。
「ガーン!? そんな理由だったんですね。私は別にテレビに出たかったわけじゃないのに・・・・・・。」
存在以外ダイアナに罪はなかった。
「まあ、醜い者の妬み、嫉妬、逆恨みだね。可哀そうだけど。」
人の悪意である。
「そんな!? おかしいですよ!? 私は悪くない!?」
抵抗するダイアナ。
「他人の悪意に勝てる強さを持て! としか言いようがないね。」
女将さんがダイアナを慰める。
「そんな!? トホホホホホ・・・・・・。」
現実は知れば知るほど悲しい。
「さあ! 私のイギリス女王の就任式に向けて準備しておくれ!」
全体に号令をかけるアン王女。
「おお!」
アン王女の時期イギリス女王への就任の準備が始まる。
「なんだか不思議だわ。」
ここはアン王女のイギリス女王就任準備室にいるおみっちゃん。
「どうして私たちがパパラッチと一緒に仕事をしているのかしら?」
おみっちゃんは悪の組織パパラッチの幹部たちと一緒に仕事をしていた。
「仕方がないだろ。シャーロットは王女で、ダイアナも元王妃。二人は準備を手伝うことはできないんだからね。」
女将さんも茶店の営業をせずに真面目に就任式の準備を手伝っていた。
「そういうことだ。俺たちだって疑問はある。なんで悪の組織パパラッチがイギリスの新女王の就任式の準備をせねばならんのだ。」
魔物、怪物が擬人化したとしても、やっぱりパパラッチの幹部自身も不思議、疑問に思っている。
「そうだよね。なんで私たちが?」
おみっちゃん、女将さん、パパラッチと誰もが戸惑いながら次期イギリス女王就任式の準備を進めていた。
「あ!?」
その時、おみっちゃんが何かに気づいた。
「自己紹介がまだだった!?」
それは自己紹介だ。悪の組織パパラッチと戦っていたので敵意というか何というか、気持ちが前向きではなかったからかもしれない。
「私の名前はおみっちゃん! 私の夢は江戸で歌姫になることです! エヘッ!」
パパラッチに笑顔で自己紹介するエヘ幽霊。
「これはご丁寧にありがとうございます。」
思わず悪の組織パパラッチの幹部も頭を下げる。
「こっちはおまけの女将さんです。」
忘れずに女将さんも紹介するおみっちゃん。
「誰がおまけだ!?」
女将さんも喜んでいる。
「俺の名前はバハムート。生まれは偉大な巨大魚とか、クジラとか。今では竜王や召喚獣扱いされるかな。」
悪の組織パパラッチの幹部のバハムートも苦労している。
「大変なんですね。パパラッチさんも。」
同情するおみっちゃん。
「そうなんだ。分かってくれるか。悪役も実は大変なんだ。」
自分の立場や気持ちを分かってもらえてうれしいバハムート。
「分かります! 私も江戸で歌姫になりたいんですが、いつまでたっても江戸にたどり着けない設定なんです!」
共感する不遇なおみっちゃん。
「それは大変だ! 早く歌姫になれるといいね!」
バハムートはおみっちゃんを応援する。
「はい! ありがとうございます!」
バハムートの言葉に感激するおみっちゃん。
「不思議だな。少し前までは殺し合っていたのに。」
戦意を失くしたバハムート。
「そうですね。武力行使より最初っから話し合っていれば戦わなくていいのかもしれませんね。エヘッ!」
世界平和を願うエヘ幽霊。
「あのバハムートさんなんでお近づきの印を込めてバハさんと呼んでもいいですか?」
いきなり親密になろうとするおみっちゃん。
「いいよ。好きに好きに呼んでくれ。」
こうしてバハムートはおみっちゃんにバハさんと呼ばれるようになった。
「はい! バハさん! エヘッ!」
なかなかの悪魔垂らしのエヘ幽霊。さすが元々は妖怪癒し女である。
「俺もおみっちゃんと呼んでいいか?」
恐る恐る尋ねてみるバハ。
「いいですよ! 何ならお江戸の歌姫おみっちゃんと呼んでください! エヘッ!」
ちゃっかり売り込みをかけるエヘ幽霊。
「長くなっているんですけど・・・・・・。」
略せないバハ。
「エヘッ!」
笑って誤魔化すエヘ幽霊。
「そうだ!」
その時、バハは何かを思い出した。
「魔界の魔王が人間の勇者に倒されて次期魔王も公募中だ。」
魔王が勇者に倒されて魔王の座が開いているらしい。
「イギリス女王の座だけでもしんどい身内の殺し合いなのに魔界の王の座なんか、もっとしんどそうで要らないですよ。」
おみっちゃんは魔界の王位には興味はなかった。
「魔王になれば、きっと歌姫になれるぞ!」
バハは魔王になればおみっちゃんの夢が叶うと教唆する。
「なります! 私、魔王になります! エヘッ!」
歌姫という言葉に敏感に反応するエヘ幽霊。
「魔王になれば全ての魔物に命令する権利が与えられるので、魔物を使って江戸までの道を切り開くことができるはずだ。」
魔王の権力は絶大である。
「カッコイイ! 魔王! 私! 魔界で魔王になって、江戸で歌姫になる!」
既に魔王になったつもりのおみっちゃんの目は輝く。
「どうすれば魔王になれますか?」
ペンネーム茶店の歌姫さんからの質問。
「魔界を統一すれば魔王になれるんじゃないかな?」
バハさんの的確な回答。
「私、イギリスの次は魔界に行く!」
おみっちゃんの次なる旅路が決まった。
「どんどん自ら江戸から遠のいていくね。」
女将さんは呆れる。
「でも、こうやって続編が作られていくんだね~。」
恐るべし! 息の長いおみっちゃん。
「幽霊で死んでますから。ある意味、私は不老不死ですからね。エヘッ!」
進め! エヘ幽霊。
つづく。
エリザベス女王が死にシャーロットがイギリスの女王になると思われた時にアン王女が現れた。
「エリザベスお母さんが死んで、私がイギリスの女王になる時を。」
アンおばあちゃんの目的はイギリスの女王になることだった。
「しかし、さすがに心が痛むので自分の母親を殺すことはできないからね。」
アン王女は心の優しい人だった。
「まさか既に死んでいて、幽霊としてイギリスの女王をやっていたなんてね。道理で100才になっても死なないはずだよ。」
エリザベス女王が死んでいて幽霊だったとはアン王女は知らなかった。
「おまえたちがお母さんを倒してくれて良かったよ。これで私がイギリスの女王になれる。」
アン王女は野心家であった。
「そうはさせないわ! 次のイギリスの女王になるのはシャーロットよ!」
おみっちゃんはアン王女に食い下がる。
「幽霊から幽霊へってか? 死人がふざけるな! 私は列記として生きてるんだからね! イギリスの女王になるのは私だよ!」
アン王女も引き下がる気は全くない。
「戦うしかないようね。」
「その様だな。お化けども。」
おみっちゃんもアン王女も一歩も引かない。
「でも、おばあちゃん一人に四人がかりで戦うのも悪いね。」
女将さんはアン王女がご高齢なのを心配した。
「すまないね。心配してもらって。ゴホッゴホッ。」
アン王女は咳もしていて病弱なのかもしれない。
「無理にイギリスの女王にならなくてもいいんじゃないですか?」
おみっちゃんはアン王女にイギリス女王を諦めるように言った。
「断る! 夢は絶対に諦めない! 私はイギリスの女王になるのだから!」
アン王女は欲の塊だった。
「なんて業突婆!?」
まさに魑魅魍魎! 怨念の塊ともいえるアン王女。
「うるさい! 私はイギリスの女王になるっていったらなるんだよ!」
その時、アン王女の側に黒い男たちが現れる。
「あなたたちは!?」
おみっちゃんたちは男たちに見覚えがあった。
「悪の組織パパラッチ!?」
現れたのは悪の組織パパラッチの幹部たちだった。
「その通り! 悪の組織パパラッチと契約して王位継承者を次々と暗殺していたのは、この私だよ!」
犯人はアン王女だった。
「なんですって!?」
衝撃を受けるおみっちゃんたち。
「酷い!? どうしてそんなことを!?」
シャーロットの素朴な疑問。
「当然だろ! イギリスの女王になりたいからさ!」
これがアン王女が悪魔に魂を売り渡した動機である。
「エリザベスお母さんは娘の私に王位を譲る気はなかった。それどころか他の3人の息子、娘にも王位を譲らない頑固婆でね! だからイギリスの王の座を奪うことを考えた! 女王になれれば悪魔とも契約するさ! イッヒッヒー!」
アン王女は何が何でも女王になりたかった。
「分かる気がするわ。エリザベス女王がアン王女に王位を譲らなかった気持ちが。」
納得する女将さん。
「そうですね。イギリス国民の象徴になる訳ですから、こんな邪なアン王女では王位は譲れませんね。」
それに同意するおみっちゃん。
「うるさい! 黙れ! 部外者!」
アン王女は逆ギレする。
「なら私にはいう権利があるわ!」
シャーロットが前に出る。
「出たな!? 小娘! おまえなんかに女王の座は渡さないぞ!」
アン王女は身構える。
「なら、こういうのはどうかしら? エリザベスおばあ様が成仏しちゃったので、アンおばあ様が次期イギリスの女王に即位なさって、アンおばあ様が死んだら私が女王になるというのは?」
シャーロットの斬新な提案である。
「素晴らしい! さすが私のかわいい孫だよ!」
アン王女は180度手のひらを返した。
「え? それでいいの?」
おみっちゃんはシャーロットを疑った。
「私は別に構わないわよ。平和的話し合いでの解決よ。それに私には考えがあるから。シャハ!」
シャーロットは良いらしい。
「あの・・・・・・俺たちはどうすればいいのでしょか?」
悪の組織パパラッチの皆さんも戦闘シーンがなくなったので手持ち無沙汰である。
「あんたたちとの契約は私が女王になるまでだから、後はしっかり私のボディーガードでもしてもらおうかしら。」
アン王女は悪魔や化け物相手でも物怖じしない。
「はい・・・・・・。」
キョトンとしているパパラッチの面々。
「質問!」
そこにダイアナが現れた。
「あなたダイアナにそっくりね。」
アン王女はダイアナを見てそっくりさんと思った。
「はい。私、パパラッチに殺されたダイアナの幽霊です。アハッ!」
笑って挨拶するダイアナ。
「成仏してなかったのね。この悪霊め。」
アン王女はダイアナを快く思っていなかった。
「どうして私は王位継承権もありませんが、パパラッチに殺されたんでしょうか?」
ダイアナは王位継承権は持っていない。
「簡単さ。出る杭は打たれる。あんたはメディアでチヤホヤされて調子に乗っていたから、目障りだったかのさ。」
これがダイアナがパパラッチに殺された理由であった。
「ガーン!? そんな理由だったんですね。私は別にテレビに出たかったわけじゃないのに・・・・・・。」
存在以外ダイアナに罪はなかった。
「まあ、醜い者の妬み、嫉妬、逆恨みだね。可哀そうだけど。」
人の悪意である。
「そんな!? おかしいですよ!? 私は悪くない!?」
抵抗するダイアナ。
「他人の悪意に勝てる強さを持て! としか言いようがないね。」
女将さんがダイアナを慰める。
「そんな!? トホホホホホ・・・・・・。」
現実は知れば知るほど悲しい。
「さあ! 私のイギリス女王の就任式に向けて準備しておくれ!」
全体に号令をかけるアン王女。
「おお!」
アン王女の時期イギリス女王への就任の準備が始まる。
「なんだか不思議だわ。」
ここはアン王女のイギリス女王就任準備室にいるおみっちゃん。
「どうして私たちがパパラッチと一緒に仕事をしているのかしら?」
おみっちゃんは悪の組織パパラッチの幹部たちと一緒に仕事をしていた。
「仕方がないだろ。シャーロットは王女で、ダイアナも元王妃。二人は準備を手伝うことはできないんだからね。」
女将さんも茶店の営業をせずに真面目に就任式の準備を手伝っていた。
「そういうことだ。俺たちだって疑問はある。なんで悪の組織パパラッチがイギリスの新女王の就任式の準備をせねばならんのだ。」
魔物、怪物が擬人化したとしても、やっぱりパパラッチの幹部自身も不思議、疑問に思っている。
「そうだよね。なんで私たちが?」
おみっちゃん、女将さん、パパラッチと誰もが戸惑いながら次期イギリス女王就任式の準備を進めていた。
「あ!?」
その時、おみっちゃんが何かに気づいた。
「自己紹介がまだだった!?」
それは自己紹介だ。悪の組織パパラッチと戦っていたので敵意というか何というか、気持ちが前向きではなかったからかもしれない。
「私の名前はおみっちゃん! 私の夢は江戸で歌姫になることです! エヘッ!」
パパラッチに笑顔で自己紹介するエヘ幽霊。
「これはご丁寧にありがとうございます。」
思わず悪の組織パパラッチの幹部も頭を下げる。
「こっちはおまけの女将さんです。」
忘れずに女将さんも紹介するおみっちゃん。
「誰がおまけだ!?」
女将さんも喜んでいる。
「俺の名前はバハムート。生まれは偉大な巨大魚とか、クジラとか。今では竜王や召喚獣扱いされるかな。」
悪の組織パパラッチの幹部のバハムートも苦労している。
「大変なんですね。パパラッチさんも。」
同情するおみっちゃん。
「そうなんだ。分かってくれるか。悪役も実は大変なんだ。」
自分の立場や気持ちを分かってもらえてうれしいバハムート。
「分かります! 私も江戸で歌姫になりたいんですが、いつまでたっても江戸にたどり着けない設定なんです!」
共感する不遇なおみっちゃん。
「それは大変だ! 早く歌姫になれるといいね!」
バハムートはおみっちゃんを応援する。
「はい! ありがとうございます!」
バハムートの言葉に感激するおみっちゃん。
「不思議だな。少し前までは殺し合っていたのに。」
戦意を失くしたバハムート。
「そうですね。武力行使より最初っから話し合っていれば戦わなくていいのかもしれませんね。エヘッ!」
世界平和を願うエヘ幽霊。
「あのバハムートさんなんでお近づきの印を込めてバハさんと呼んでもいいですか?」
いきなり親密になろうとするおみっちゃん。
「いいよ。好きに好きに呼んでくれ。」
こうしてバハムートはおみっちゃんにバハさんと呼ばれるようになった。
「はい! バハさん! エヘッ!」
なかなかの悪魔垂らしのエヘ幽霊。さすが元々は妖怪癒し女である。
「俺もおみっちゃんと呼んでいいか?」
恐る恐る尋ねてみるバハ。
「いいですよ! 何ならお江戸の歌姫おみっちゃんと呼んでください! エヘッ!」
ちゃっかり売り込みをかけるエヘ幽霊。
「長くなっているんですけど・・・・・・。」
略せないバハ。
「エヘッ!」
笑って誤魔化すエヘ幽霊。
「そうだ!」
その時、バハは何かを思い出した。
「魔界の魔王が人間の勇者に倒されて次期魔王も公募中だ。」
魔王が勇者に倒されて魔王の座が開いているらしい。
「イギリス女王の座だけでもしんどい身内の殺し合いなのに魔界の王の座なんか、もっとしんどそうで要らないですよ。」
おみっちゃんは魔界の王位には興味はなかった。
「魔王になれば、きっと歌姫になれるぞ!」
バハは魔王になればおみっちゃんの夢が叶うと教唆する。
「なります! 私、魔王になります! エヘッ!」
歌姫という言葉に敏感に反応するエヘ幽霊。
「魔王になれば全ての魔物に命令する権利が与えられるので、魔物を使って江戸までの道を切り開くことができるはずだ。」
魔王の権力は絶大である。
「カッコイイ! 魔王! 私! 魔界で魔王になって、江戸で歌姫になる!」
既に魔王になったつもりのおみっちゃんの目は輝く。
「どうすれば魔王になれますか?」
ペンネーム茶店の歌姫さんからの質問。
「魔界を統一すれば魔王になれるんじゃないかな?」
バハさんの的確な回答。
「私、イギリスの次は魔界に行く!」
おみっちゃんの次なる旅路が決まった。
「どんどん自ら江戸から遠のいていくね。」
女将さんは呆れる。
「でも、こうやって続編が作られていくんだね~。」
恐るべし! 息の長いおみっちゃん。
「幽霊で死んでますから。ある意味、私は不老不死ですからね。エヘッ!」
進め! エヘ幽霊。
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