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「ということです。師匠。」
「そうか。わかった。」

僕ところぴょんはイチの町に帰って来た。ニの町とサンの町であったことを師匠に報告した。僕は師匠が話の内容を理解してくれて良かった。

「では、町の人々に報告しよう。イチニサン王国の建国を!」
「はい、師匠!」
「すごい! 町が大国になるのね。」

イチの町だけだった僕の領土は、ニの町が壊滅状態、サンの町も我々に抵抗力なしということで、イチニサン地方は実質、イチの町が支配することになった。

「さあ、さいぴょん。どこから開発するか、サイコロで決めてくれ。」
「そうね。さいぴょんのサイコロなら神が宿っているから、開発順序も間違いないわ。」
「わかりました。師匠、ころぴょん。」

本当は僕も知らない。サイコロは、女魔王の心臓でできていて、災いを呼ぶ呪われたアイテムである。しかし、それを知らない人たちは、絶大な威力と運命を切り開く強い希望を示すサイコロになっている。

「何が出るかな? 何が出るかな? ヤッホー! ヤッホー!」

サイコロの目は・・・。

「ニの町の場所に、巨大な・・・。」
「巨大な!?」
「ついにお城か!?」
「巨大なショッピングモールを築く!」
「なんじゃそりゃ!?」
「ズコー!?」
「ショッピングモールの上階に王様と王妃様が住む、とあります。」
「相変わらず、よくしゃべるサイコロだ。」
「サイコロ一面に細かく長い文章が書けるものね?」
「僕のサイコロに酷いことを言わないで!?」

こうしてサイコロ任せで、町の発展の方向性が決まった。さっそくだがイチの町とニの町の間のショッピングモール計画が進められた。

「屋根付きの道か?」
「歩く歩道は、魔法でいいんだな?」
「わ~い! ショッピングモール! ショッピングモール! って、何?」
「町が大きくなることはいいことだ。」
「300店舗くらい、お店は入るの?」
「そうだ!? 王様と王妃様を公募しなくっちゃ!?」
「でも、ショッピングモールに住まされて、警備業務をさせられるんだろう? 夜中何て寝てられないぜ?」

人は様々な意見を好き勝手に言う生き物である。それでも一般町人の個人の意思とは関係なく、ショッピングモールの建設が始まった。

「これここでいいのかな?」
「もう少し、掘った方がいいんじゃねえ?」
「オーライ! オーライ!」
「王様と王妃様の公募のポスターをニの町とサンの町にも張ってきました。」
「ありがとう。」
「さいぴょん、計画は順調ね。」
「そうだね。ショッピングモールも、お城建設も巨大な建物ということでは同じだからね。」
「なんだかゾクゾクするわ。町が大きくなっていくと考えると。」
「しかも奴隷を使わずに、自分の町の人々と新しい町を開発していくのが気持ちいいよね。」
「世界が広がっていく。」

僕ところぴょんは町の開発に夢と希望を持っていた。人々の暮らしが良くなっていくと。もっとたくさんの笑顔が町に溢れると思っていた。

「なに!? この張り紙は!?」

自分の賞金首の張り紙の横に光り輝く張り紙を見つけた、大悪党のありぴょん。ありぴょんは逃亡生活を続け、レベルが3に上がっていた。

「王妃になれば、建設中のショッピングモールに住める!? これだ! これしかない! 私のどん底生活から脱出する方法を見つけた! 私が王妃になってしまえばいいのよ! そして一般庶民を奴隷にして死ぬまで、こき使ってやる! 私は陽の当たる場所に返り咲くのよ! はっはっはっ!」

そしてショッピングモール建設は、良い者だけでなく、悪い者も引き寄せてしまった。それだけショッピングモール計画には、人々を引き寄せる魅力があるのだった。

つづく。
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