茶店の歌姫4

渋谷かな

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エヘッ! 6

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「私は今日から中学生。エヘッ!」
 なぜか!? 現代にやって来たおみっちゃんことエヘ幽霊。
「どうして中学生かって? それは主人公の年齢で一番共感してウケてもらえるのが13才から15才の中学生だから。エヘッ!」
 同情も含めて応援したくなるのが中学生まで。高校生になると一般大衆は善悪を考え出すので応援できないらしいと主張するエヘ幽霊。
「異世界を捨てて、現代ファンタジーに殴り込みだ! エヘッ!」
 倒したり、支配するところが無くなったので現代にやって来たエヘ幽霊。
「クラスメイトに全宇宙の支配者がいたら面白いと思うんだけど。 エヘッ!」
 人間界、魔界、天界、宇宙を支配して行き場のなくなったエヘ幽霊。
「幽霊で不老不死なのでどこに現れても、私に問題はない! エヘ幽霊。」
 幽霊設定ってかなり便利で使い勝手の良いエヘ幽霊。
「がんばります! エヘッ!」
 おみっちゃんは歌が大好きな可愛い女の子の幽霊。別名、いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。

「zzz。」
 私は幽霊なので朝がきても寝ています。
「起きな! おみっちゃん!」
 そこに女将さんがやって来て起こします。
「ハアッ!? なんだ!? なんだ!? アメリカ軍の空爆か!?」
 驚いて飛び起きるおみっちゃん。
「おみっちゃん。あんた今日から中学生だろ?」
 問いかける女将さん。
「まだ朝じゃないですか。私、幽霊なので夜行性なんです。おやすみなさい。zzz。」
 また布団に戻って二度寝するおみっちゃん。
「遅刻しても知らないよ。お小遣いを減らしてもいいんだね?」
 女将さんは中学生を脅しにかかる。
「なんですと!?」
 飛び起きるおみっちゃん。
「それだけは勘弁してください! 行きます! 行きます! 中学校に行かせてもらいます!」
 お小遣いが減ることには敏感なおみっちゃん。
「まったく世話のかかる子だよ。」
 呆れる女将さん。
「ていうか!? なんで女将さんがいるんですか!? ここは現代ですよ!?」
 女将さんがいることに疑問があるおみっちゃん。
「私もあんたと同じ妖怪なんだから倒されない限り不老不死だろうよ。イヒッ!」
 女将さんの正体は蛍の集合体という妖怪だった。
「言っときますが、現代では蛍は絶滅危惧種なんですからね!?」
 本当に絶滅危惧種かは知らない。
「元々渋い谷には蛍がいっぱい飛んでいたんだよ。人間が乱開発さえしなければここは美しい蛍の飛ぶ谷だったのさ。」
 ちょっとカッコイイ女将さん。
「私は仕込みが忙しいから、学校から帰ったら茶店を手伝うんだよ。」
 女将さんはお茶とお団子の茶店をいつの時代でも営んでいる。
「は~い。ちゃんとバイト代を下さいよ。エヘッ!」
 茶店の看板娘のエヘ幽霊。
「分かったから、早く行きな。」
 女将さんはおみっちゃんの相手は疲れるので早く出かけてほしい。
「行ってきますー!」
 壁を通り抜けて中学校に登校するおみっちゃん。
「さっそく幽霊スキルを使っちゃって大丈夫かね? おみっちゃん。後は知~らない。」
 おみっちゃんに干渉しない女将さんであった。
「今日もガッポリ儲けるぞ! イヒッ!」
 女将さんは守銭奴であった。

「まったく、かまってちゃんの女将さんの相手をしていると遅刻してしまいます。」
 本当の原因は二度寝したおみっちゃんが悪い。
「おかしいな? 渋い谷に大きな建物がいっぱいです。いつの間に魔塔がこんなにたくさんできたんだろう?」
 過去の幽霊のおみっちゃんからすればビルディングは妖怪や魔物が住む魔塔である。
「この全宇宙の支配者の私の行く手を遮るとは命知らずな奴め。私が粉々に砕いてやろう。自分の道は自分で切り開くものだ!」
 おみっちゃんの行く手を遮るものは許されない。
「は~。ふ~。は~。ふ~。」
 呼吸を整えるおみっちゃん。
「1番! おみっちゃんが歌います! 曲は茶店の歌姫!」
 おみっちゃんがオープニングソングを歌い出す。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
 おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「ビシ! ビシ! ビシ!」
「メキ! メキ! メキ!」
 渋谷の高層ビル、スクランブルスクエアとかヒカリエの壁とガラス窓にヒビが入る。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
 更におみっちゃんは歌を歌い続ける。
「ゴゴゴゴゴッゴー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 ビルが倒壊していった。
「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」
 大好きな歌を歌い終えてご満悦なエヘ幽霊。
「さあ、魔塔も無くなったし学校へ行きますか。エヘッ!」
 歌が大好きなおみっちゃんの過ぎ去った後には何も残らない。

「ああ!? 信号が赤だ!? このままでは遅刻してしまう!?」
 おみっちゃんは中学校に遅刻しないように急いでいる。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
 おみっちゃんは歌を歌った。
「パキーン!」
 信号が砕け散った。
「これで良し! エヘッ!」
 おみっちゃんは笑顔で横断歩道を渡り始める。
「危ない!?」
 そこに車がおみっちゃんを目掛けて飛び込んでくる。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
 おみっちゃんは歌を歌った。
「ドカーン!」
 車が炎上した。
「問題なし! エヘッ!」
 おみっちゃんは横断歩道を渡り切った。
「痛っ!?」
 おみっちゃんにオッサンがぶつかってきた。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
 おみっちゃんは歌を歌った。
「ギャアアアアアアー! なんだ!? この怪音波は!? 頭が割れる!? ヒデブ!」
 ぶつかったオッサンは粉々に消え去った。
「生きる価値のない者はあの世に行くがいい! エヘッ!」
 正義感の強いエヘ幽霊。
「ああ!?」
 その時、おみっちゃんは何かに気がついた。
「私は幽霊だから魔塔をすり抜ければ良かったんだ! そうすれば信号も車も関係ない。ウザイ人間にぶつかることもない。幽霊って便利。エヘッ!」
 エヘ幽霊の前に高層ビルも道路交通法も無意味であった。
「私って賢い。エヘッ!」
 自画自賛のエヘ幽霊。
「すいません。許してください。」
 しかし、おみっちゃんは遅刻した。

「どうして私が遅刻しないといけないの?」
 疑問を持ったおみっちゃん。
「そうだ! 私は幽霊! 校門の横の壁をすり抜ければいいのよ! 私に問題はない! エヘッ!」
 得意げなエヘ幽霊。
「いざ! 必殺! 壁をすり抜け!」
 壁に飛び込むおみっちゃん。
「ドカーン!?」
 しかし壁に吹き飛ばされるおみっちゃん。
「痛い!? いったい何よ!?」
 中学校の内側に幽霊のすり抜け防止用のお札がたくさん貼ってあった。
「小癪な! 私は自分の道は自分で切り開く!」
 おみっちゃんの妖怪魂に火が付いた。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
 おみっちゃんは歌を歌った。
「ドカーン!」
 壁が壊れた。
「私に問題はない! エヘッ!」
 堂々と中学校に侵入していくエヘ幽霊。
「誰だ!? 壁を壊したのは!?」
 先生たちが怒って現れる。
「まずい!? このままでは怒られてしまう!?」
 危機を感じるおみっちゃん。
「ここで教師まで歌って殺すか!? さすがに初日からそれは不味い!? 職員室に目をつけられてしまう!?」
 意外と賢いおみっちゃん。
「こんな時は幽霊スキル! ステルス!」
 おみっちゃんは幽霊なので自分の姿を消すことができる。
「クソッ! 誰もいない!? 車でもぶつかったのか!?」
 教師たちが駆けつけると誰もいなかった。
「私の道を遮るものはいないのだ! エヘッ!」
 自分のことをカワイイと思っているエヘ幽霊。

「よっこらしょっと。」
 無事に教室の自分の席に着き安心して姿を現すおみっちゃん。
「キャア!? おみっちゃん。いつやって来たの?」
 席の周りの生徒が急に現れたので驚く。
「私はずっといたよ。私は存在感が薄いんです。エヘッ!」
 おみっちゃんは幽霊だけに存在感が薄いらしい。
「は~い! 席について! いきなりテストを始めるぞ!」
 教室に先生がやって来た。
「えええ~!」
 もちろん教室では大ブーイング。
「テスト!? 何にも勉強してないぞ!?」
 おみっちゃん大ピンチ。
「こうなったら・・・・・・あれをやるしかない!」
 覚悟を決めたおみっちゃん。
「必殺! ステルス・カンニング!」
 おみっちゃんは姿を消して優秀な子の答えを自分の答案用紙に書き写す。
「あれ? おみっちゃんがいないぞ。」
 その時、おみっちゃんがカンニングをしているのがバレた。
「まずい!? こうなったら証拠隠滅するしかない!」
 最終手段に打って出ることを決めたおみっちゃん。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
 おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主だった。
「ギャアアアアアアー!」
「へゲ!」
「フゲ!」
「ハゲ!」
 おみっちゃんの歌に耐え切れずに教師に生徒たちが粉々に消えていく。
「やったー! 私がテストで1番です! エヘッ!」
 その結果、テストを提出できるのはエヘ幽霊一人。
「私は賢いのです! エヘッ!」
 こうしておみっちゃんの成績は保たれているのであった。
 つづく。
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