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「おまえの魂もらうぞ! 魂抜き!」
上野守の多治経明が人間とは思えない攻撃を仕掛ける。相手の魂を抜いてしまおうというのだ。
「これでおまえの命は私のものだ! ヘッヘッヘ!」
「どこがです?」
しかし詠の魂は抜けることがなかった。そもそも死神にも魂があるのだろうか?
「なぜ抜けない!? なぜだ!? どうして魂が出てこないんだ!?」
「なぜでしょうね?」
「クソッ!? まあ、いい。たまには例外もある。」
意外に多治経明は冷静だった。しかし愚かにも自分が戦っている相手が死神だと気づかなかった。
「魂が抜けないのなら、魂を植え込んで操り人形にしてやる! 魂入れ!」
多治経明は身近な魂を詠に投げつける。魂を詠に入れて操ろうというのだ。
「今度こそ、おまえの命は私のものだ! へッへッへ!」
「あの世に逝ってください。」
「ありがとうございます。詠様。」
しかし、投げられた魂は詠にあの世に招待されて天に昇っていく。魂を手を振って見送る詠。
「な、なに!?」
多治経明は目の前で怒っている出来事が理解できなかった。
「おまえはいったい何者だ!?」
「ただの通りすがりの者です。」
「はあ!? ただの通りすがりの者が魂をあの世に送れる訳がないだろうが!?」
「あははは。言ってみたっただけです。」
「ふざけるな!?」
詠は少し人間世界に居すぎて、少し人間に感化されていた。人間が好きなのだろうか? 人間に憧れを感じているのかもしれない。
「うるさい方ですね。私は詠と申します。まあ、用心棒などをしています。」
「用心棒? 詠? 聞いたことのない名前だな。」
「はい。まだ新人なので。」
「私はこんな奴にバカにされているのか? 許せん! こうなったら大量に魂を体に注ぎ込んで爆発させてやる! 増量! 魂入れ!」
多治経明は近場の魂を次々と詠に向けて投げつける。今回は魂は詠の中に入っていく。
「ギャア!?」
詠が断末魔を思わせるような叫び声をあげる。詠の体がブクブク太って、魂の顔が体中から浮かび上がってくる。
「これで終わりだ! 無数の魂に体を食いちぎられ、盛大に爆発しろ! 」
多治経明は勝利を確信した。これが三度目の正直だと。
「詠様。さようなら。」
「またね。今度生まれ変わったら、長生きするんですよ。」
しかし、お芝居を楽しんだ詠と死者の魂たちは別れの挨拶をする。そして死者の魂たちは天に召される。手を振り見送る詠との感動のシーンである。
「なんなんだ!? おまえは!?」
「詠です。」
「名前は分かった!? おまえの職業はなんだ!?」
「実は・・・死神なんです。」
多治経明は、ここで初めて詠が死神だと知ったのだった。
つづく。
上野守の多治経明が人間とは思えない攻撃を仕掛ける。相手の魂を抜いてしまおうというのだ。
「これでおまえの命は私のものだ! ヘッヘッヘ!」
「どこがです?」
しかし詠の魂は抜けることがなかった。そもそも死神にも魂があるのだろうか?
「なぜ抜けない!? なぜだ!? どうして魂が出てこないんだ!?」
「なぜでしょうね?」
「クソッ!? まあ、いい。たまには例外もある。」
意外に多治経明は冷静だった。しかし愚かにも自分が戦っている相手が死神だと気づかなかった。
「魂が抜けないのなら、魂を植え込んで操り人形にしてやる! 魂入れ!」
多治経明は身近な魂を詠に投げつける。魂を詠に入れて操ろうというのだ。
「今度こそ、おまえの命は私のものだ! へッへッへ!」
「あの世に逝ってください。」
「ありがとうございます。詠様。」
しかし、投げられた魂は詠にあの世に招待されて天に昇っていく。魂を手を振って見送る詠。
「な、なに!?」
多治経明は目の前で怒っている出来事が理解できなかった。
「おまえはいったい何者だ!?」
「ただの通りすがりの者です。」
「はあ!? ただの通りすがりの者が魂をあの世に送れる訳がないだろうが!?」
「あははは。言ってみたっただけです。」
「ふざけるな!?」
詠は少し人間世界に居すぎて、少し人間に感化されていた。人間が好きなのだろうか? 人間に憧れを感じているのかもしれない。
「うるさい方ですね。私は詠と申します。まあ、用心棒などをしています。」
「用心棒? 詠? 聞いたことのない名前だな。」
「はい。まだ新人なので。」
「私はこんな奴にバカにされているのか? 許せん! こうなったら大量に魂を体に注ぎ込んで爆発させてやる! 増量! 魂入れ!」
多治経明は近場の魂を次々と詠に向けて投げつける。今回は魂は詠の中に入っていく。
「ギャア!?」
詠が断末魔を思わせるような叫び声をあげる。詠の体がブクブク太って、魂の顔が体中から浮かび上がってくる。
「これで終わりだ! 無数の魂に体を食いちぎられ、盛大に爆発しろ! 」
多治経明は勝利を確信した。これが三度目の正直だと。
「詠様。さようなら。」
「またね。今度生まれ変わったら、長生きするんですよ。」
しかし、お芝居を楽しんだ詠と死者の魂たちは別れの挨拶をする。そして死者の魂たちは天に召される。手を振り見送る詠との感動のシーンである。
「なんなんだ!? おまえは!?」
「詠です。」
「名前は分かった!? おまえの職業はなんだ!?」
「実は・・・死神なんです。」
多治経明は、ここで初めて詠が死神だと知ったのだった。
つづく。
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