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フェブラリー5

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ここはフェブラリー村。聖なる光の騎士アインと首の長い竜ガルグイユの戦いが佳境に入ろうとしていた。
「くらえ! 必殺! エクスカリパー・スラッシュ!」
アインはガルグイユに必殺の一撃をお見舞いする。
「ガオー!?」
俺の一撃はガルグイユ長い首を胴体から切断した。
「よし! さすがのエクスカリパーだ。」
「アインの剣の腕前がレベルアップしたのだよ。ワッハッハー!」
偉そうなエクスカリパーの態度も、劣等感のある俺が勝手に感じていたことで、強くなった今の俺なら普通に感じられる。相手の強さを互いに信頼しあっていられる。
「ありがとう。エクスカリパー。」
俺は力を貸してくれる変剣エクスカリパーに感謝している。
「やったな。アイン。」
水に呑み込まれて溺れていたワイバーンが現れる。
「ワイバーン!? おまえどこにいた!? あんな首長竜くらい倒してくれよ!?」
「僕はか弱い子供だぞ!? そう、何回も戦えると思うなよ!?」
「甘えるな!」
俺はワイバーンを信じすぎていたのかもしれない。やっぱり子供は子供である。
「あわわわわ!?」
その時、ワイバーンが何かを見て驚いて怯えている。
「ん?」
俺の背後に何かいるらしい。
「おい、さっきは痛かったぞ。よくも私の体を切り落としてくれたな。」
俺は恨みのこもった不気味な声のする方向へ振り向く。
「ガルグイユ!?」
首だけのガルグイユが宙に浮いている。
「私の本当の実力をみせてやろう。」
ガルグイユの目は復讐で血走っていた。
「あああああ!」
ガルグイユが気合を集中させ、大量の水を口から吐き出し自身の首を覆う。
「手と足が生えてきた!?」
ガルグイユの首から手と足が生え、どんどん人の姿へと変わっていく。
「擬人化した!? こいつも伝説の生き物だ!?」
この世界では変身のことを擬人化といい、擬人化できることが伝説の生き物の要件の1つである。
「私の名前はガーゴイル。長首竜の鎧を身にまとうものだ。」
首だけのガルグイユは完全に人型のガーゴイルに擬人化した。
「ガーゴイル!? すごい威圧感だ!?」
俺もワイバーンではないが、レッドドラゴン、ホブゴブリン、魔族の男、ガルグイユと連戦続きで疲れていたので気圧された。
「大丈夫か!? アイン!?」
「うるさい! おまえはイリーナを安全な所に運べ!」
「はい!」
俺はワイバーンにイリーナの保護を任せる。誰かを守りながら戦える余裕はなかった。
「賢明な判断だ。だが、おまえを殺した後に、この村にいる人間は皆殺しにするから同じことだ。これもエイブラム様の命令なのでな。」
ガーゴイルは誰一人として見逃す気はなかった。
「エイブラム?」
「死にゆくおまえが知る必要もない。」
ガーゴイルは剣を抜き、自身の水の属性らしく剣に水を集約させていく。
「くる!?」
俺はガーゴイルの必殺技がくると身構える。
「アイン! こうなったら捨て身で超必殺エクスカリパー・ホーリー・スラッシュしかない!」
「おお! 村の人々を! イリーナを守るんだ!」
エクスカリパーの助言通り俺は聖なる光の五芒星を地面に描き始めた。
「何かし始めたが間に合うかな? くらえ! 必殺! ガーゴイル・スラッシュ!」
超必殺技は発動までに時間がかかる。それを見透かしたように先に水を集約させていたガーゴイルが必殺の一撃を撃つ。

つづく。
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