茶店の歌姫5 スーパー

渋谷かな

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エヘッ! 22

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「ラララララアラララララララララララッラアッララララララララララララッラララ! ラララララアラララララララララララッラアッララララララララララララッラララ! ラララララアラララララララララララッラアッララララララララララララッラララ!」
 茶店で歌姫が歌を歌っていました。歌姫になるという夢を叶えたおみっちゃんです。
「おみっちゃんのおかげで毎日大行列のお客様だ。儲かって仕方がないね。音痴のおみっちゃんの夢に付き合ってやって正解だったね。イヒッ!」
 夢を食い物にする守銭奴の女将さん。
「コン。」
 油揚げが美味しいと言っているコンコン。
「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」
 新しい茶店の看板娘がアルバイトしている。
「おみっちゃん! 出てこいや! おまえにやられた恨みを晴らしに来たぞ!」
 昔、おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスだった頃にたくさんの恨みをかっている。
「覚悟しろ! おみっちゃん! 音痴でなくなったエヘ幽霊など! 怖くはないのだ!」
 再び現れた赤鬼。
「どうやら火鬼もいないみたいだな。今日こそはおみっちゃんを倒してやる!」
 復讐に燃える赤鬼。
「すいませんが、歌姫は歌を歌っていますし、他のお客様の迷惑になるので帰ってもらえますか。」
 茶店のバイトが赤鬼を止める。
「おまえは何者だ?」
 赤鬼は尋ねてみた。
「私は氷鬼。茶店の看板娘ですよ。」
 現れたのは新たな茶店の看板娘の氷鬼。鬼といっても妖怪の鬼でも人間なのか分からない。どちらでも良い。問題なし。
「出たな! 看板娘! 今日こそ倒してやる!」
 赤鬼は看板娘にも恨みがある。
「くらえ! 鬼に金棒!」
 赤鬼は金棒で看板娘を攻撃する。
「いでよ! 氷の鎧!」
 茶店に氷の鎧が現れる。
「なんだ!? 冷えている鎧が現れただと!?」
 赤鬼さんもビックリ。
「こい! 氷の鎧よ!」
 氷の鎧が看板娘に装着されていく。
「こんな看板娘がいるはずがない!?」
 こんな看板娘はいないとクレームをつける赤鬼。
「私は孤児だったが、ある日、歌姫に助けられたのだ。」
 軽く回想が入る。
「この子カワイイ。コンコンの遊び相手に丁度いいかも! エヘッ!」
 歌姫ことエヘ幽霊。
「コン。」
 お腹空いた。油揚げが食べたいと言っているコンコン。
「コンコンも気に入ったって。エヘッ!」
 未だに子狐の気持ちを理解できないおみっちゃん。
「仕方がないね。ただ飯はやらないけど、うちの茶店でタダ働きするならまかないぐらいは出してやるよ。イヒッ!」
 正確には女将さんが人件費削減のために奴隷としてタダ働きさせようと拾っただけである。
「そして歌姫を守る為に激しい特訓に耐えて、茶店の看板娘になったのだ!」
 茶店の看板娘になるのは非常に難しいらしい。
「こい! 赤鬼! 私が命を懸けて歌姫を守る、」 
 氷の鎧を装着した氷鬼が赤鬼と戦う。
「おみっちゃんの前におまえを倒してやる! くらえ! 赤鬼金棒!」
 赤鬼は金棒を振り回して突進してくる。
「何!?」
 次の瞬間、火鬼は金棒を素手で受け止め凍りつかせる。
「金棒が凍っていくだと!?」
 笑っている氷鬼。
「こんなもの氷の鎧を手に入れるための師匠の修行に比べたら屁でもないぜ。」
 氷鬼は氷の鎧を手に入れるために修行したらしい。
「今度はこっちの番だ! 赤鬼! 受けてみるがいい! 私の冷気を!」
 氷鬼は鞘から刀を抜く。
「霊気の刀だと!?」
 氷鬼の刀は凍っていた。
「私は氷に選ばれし氷の侍だ!」
 氷鬼は氷の刀を構える。
「くらえ! 赤鬼! これが私の氷刀! 氷斬り!」
 凍える氷の刀で赤鬼を斬る。
「ギャアアアアアアー! 覚えてろよ!」
 赤鬼は凍りつきながら去って行った。
「茶店の平和は私が守る!」
 氷鬼は赤鬼に勝利した。
「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! 歌って素晴らしい! エヘッ!」 
 歌を歌い終えて満足なエヘ幽霊。
「歌姫がいると茶店が儲かって仕方がないね! イヒッ!」
 おみっちゃんのコンサートは毎日大盛況。おかげでお茶とお団子の売り上げも伸びている。
「コンコン。」
 儲かっているので美味しい油揚げが食べれて嬉しい茶店の歌姫のコンコン。
「氷鬼ちゃん。がんばって働かないと給料を下げるよ。」
 金の亡者の女将さんは厳しい。
「はい! がんばります! いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」
 氷鬼の茶店の看板娘生活はつづく。
 つづく。

「おまえには茶店の看板娘になるために修行に行ってもらう。」
 鬼だの侍だのという職業は捨てて、新しい職業、看板娘にしよう。
「看板娘!?」
 茶店でお客様の接客をするホール係だ。武器は和風なので刀。後は忍術が使える。妖怪でも人間でもなれる。
「そうだよ。おみっちゃんだって看板娘になって、歌姫になる夢を叶えたんだからね。」
 夢の叶う職業、それが看板娘だ。
「なります! 私、看板娘に!」
 こうして拾われた人間の女の子は看板娘になることにした。
「看板娘になって、私の夢を叶える!」
 孤児の女の子は夢を叶えるために孤児を目指す。
「でも私、夢が無いんですけど。アハッ!」
 典型的な現代っ子だった。
「そんなもん後で考えればいいんだよ。イヒッ!」
 細かいことは気にしない女将さんの破壊力。
「おまえには火の看板娘になってもらう。」
 看板娘にも種類があった。
「火の看板娘?」
 ちょっと火傷系は嫌だ~っという顔をする女の子。
「そうだ。おまえの名前は火鬼にしよう。」
 命名、女将さん。
「ええ~! もうちょっとカワイイ名前はないんですか?」
 クレームを言う火鬼。
「ない。嫌なら、もっと変な名前にすることもできるんだよ?」
 脅す女将さん。
「はい! 火山に行ってきます!」
 火鬼は火の看板娘になるために火山に向かった。阿蘇山でも富士山、比叡山でも何でもいい。

「熱い!? これが火山の中か。」
 火鬼は灼熱の火山にやって来た。
「すいません。火の看板娘になるために来たのですが、誰かいませんか?」
  火鬼は尋ねてみた。
「何の用だ。」
 その時、誰かが現れた。
「どちら様ですか?」
 火鬼は尋ねてみた。
「私は火の魔人だ。」
 火の魔人は自己紹介する。
「暇人?」
 通称、暇人ともいえる。
「火の魔人だ! 略すな!」
 ツッコミもできる火の魔人。
「私は火鬼と言います。火の看板娘になりたいのですがどうすればなれますか?」
 火鬼は尋ねてみた。
「私の元で修行すれば火の妖術を身に着けることができるよ。」
 火の魔人は火の属性の妖術を使う。 
「宜しくお願い致します。私は火の看板娘になって夢を叶えたいんです。」
 火鬼は火の魔人の元で修行することにした。
「火鬼。おまえの夢は何だ?」
 火の魔人が尋ねてみた。」
「分かりません。でも修行をしていく上で自分の夢が見つかるんじゃないかなっと思っています。」
 火鬼の夢はまだ見つかっていなかった。
「安心しろ。みっちり厳しい修行を着けてやる。ワッハッハー!」
 火の魔人は明るく笑う。

「まずは護摩行!」
 熱い炎に身を焼かれながら神経を集中している火鬼。
「次に溶岩の中へ、ポン!」
 火鬼は溶岩の中に投げ込まれる。
「これだけやれば火の属性を得ることができるだろう。アハッ!」
 大満足な火の魔人。
「その前に死にますがな!?」
 火鬼は火の属性を手に入れた。

「外を歩いていると夢が見つかるかもしれないよっと火の魔人は言うけれど、そんな簡単に見つかるのかな?」
 火鬼は外を歩いている。
「助けてください!」
 火鬼に助けを求める村人が。
「どうしたんですか?」
 火鬼は尋ねてみた。
「芋を焼きたいのに火が無いんです! 焼き芋が食べたいので火をつけて下さい!」
 村人の切実な願い。
「自分でつけろ!」
 火鬼は怒って去っていく。
「もっと困っている人を助けるために火の力を使いたいな。」
 火鬼は思った。
「助けてください! 人殺しだ!」
 人殺しが刀を持って暴れていた。
「大変だ! 何とかしなくっちゃ!」
 その時、火鬼の前に火が燃え上がる。
「これは火の鎧!?」
 火の中から火の鎧が現れる。
「私に着ろというのか!? 熱そうだ!? 火傷しそうで嫌だな!?」
 火の鎧を疑う火鬼。
「こい! 火の鎧!」
 火鬼は火の鎧を装着していく。
「熱くない!? 火傷しないで済んだ! 良かった! アハッ!」
 火鬼は大いに喜んだ。
「私が倒してやる! 人殺しめ!」
 火鬼は殺人鬼と相対する。
「おまえはなんだ? 殺してやる!」
 殺人鬼は尋ねる。
「私は火の看板娘! 火鬼だ! 茶店の看板娘の名にかけて、おまえを倒す!」
 火鬼は火の看板娘になれた。
「鬼が人を殺す? おかしなことを。人間が鬼を倒すのが正義なんだよ!」
 殺人鬼が火鬼に襲い掛かる。
「鞘が熱い!? 私に刀を抜けというのか。」
 火の鎧の刀の鞘が燃えている。
「よし! 抜いてやる! 火の刀よ!」
 火鬼は火の刀を鞘から抜いた。
「これが火の刀!? 正に燃え盛る刀だ。」
 火の刀は燃えていた。
「よし! やってやるぞ!」
 火鬼は刀を構える。
「くらえ! 殺人鬼! これが私の火刀! 火斬り!」
 火鬼は必殺技を放つ。
「ギャアアアアアアー!」
 殺人鬼は倒された。
「やったー! これで私は立派な火の看板娘だ! わ~い!」
 勝利に喜ぶ火鬼。
「これで茶店の看板娘になれるぞ! やったー!」
 火鬼は茶店に戻ろうとする。
「そういえば・・・・・・これで焼き芋を作ることができるぞ!」
 火鬼は焼き芋が食べたかった。
「アツアツ! ホクホクだね!」
 火鬼は美味しく焼き芋を村人たちと食べたそうな。
「お風呂のお湯を沸かしたり、料理をする時にも私の火は使えるな。アハッ!」
 火鬼の火の妖術は役に立つのであった。
 つづく。
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