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神の苦悩
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「いや~平和だ。」
神様は不治の病で天界に帰って行った。
「これで誰にも邪魔されずに創作活動ができる。」
碧は邪魔者が消えたので嬉しそうだった。
「そうか。神様が地上にやって来て、高齢化した神様が神の代行者を探していた。そこで主人公に助けられた神様は神の力(ゴット・フォース)を与えて天界に帰って行った。これが第1話だよな。」
このオリジナリティーにたどり着くまでに3万字も使ってしまった。現実は論より厳しい。
「ここから第2部? いや、第1話の後半か、第2話目になる訳か? 神様と人間の出会いだけでは派手なシーンがないから人気が出ないな。連載初回は40ページ巻頭カラーなはず!? それならば、やはり第1話の後半に詰め込まなければ。」
尺の心配をする碧。
「う? うんん? おかしいぞ。俺は神を超える存在のはず。それならばヒットする作品ぐらい神の力を使えば全自動で書けるはずだ!? それなのに俺は自分でストーリーを考えている。なぜだ!?」
神の力も当てにならない。やっぱり人間は自分のことは自分で考えなければいけないという神様の知恵である。
「そうか! 神の力は自分の欲では使えないんだ! 何か危機が起こった時だけ使えるに違いない。」
使い勝手が悪い神の力。
「俺はいったい何に説明しているんだ?」
最近はキャラクターに世界感の説明をさせる作品ばかりになってしまった。
「パンツを脱がせ!」
しかし神の力は発動しなかった。
「服を着替えさせろ!」
「布団をたとめ!」
「口を磨け!」
これもまた神の力は発動しなかった。
「ダメか。」
やはり人間の日常行動には神の力は使えなかった。
「まあ、いいや。別に困る訳ではないし。」
この時は特に気にしなかった碧。
「あんた、何を独り言ばっかり言ってるの? 我が子ながらキモイわよ。」
碧の母親が現れる。普通、高校性や中学生が都合よく一人暮らししていることが設定上無理があるのだ。良し悪しあるが両親がいるのが普通。無理やり交通事故か何かで両親を殺している作品が多すぎる。
「実の息子にキモイいうな。それはいじめ用語だぞ。」
碧が言い返せるというのは母親と良好な関係であるということ。
「どうでもいいけど、あんた、学校に遅刻するわよ。」
「なに!? もうこんな時間!? 遅刻だ!?」
碧は神の力の発動条件を確認していて登校時間を忘れていた。
「行ってきます!」
慌てふためいて家を飛び出す碧。
「魔法陣が発動している!?」
碧が遅刻するという危機を察知したのか、神の力が発動する。
「神の代行者! 碧が命じる! 学校へ瞬間移動! テレビニュース!」
碧の姿は消え一瞬で学校にたどり着くのであった。
「分かったぜ! 神の力の発動条件は俺が危機に陥ることだ!」
遂に碧は神の力の発動条件にたどり着いた。
「次の問題。碧、答えろ。」
授業中、俺は先生にあてられて問題を答えなければいけない。
「さあ、発動するぞ! 全知全能の神の知恵が!」
俺は問題の答えが分からなかったので危機に陥った。
「廊下に立っていろ。何をブツブツ言っている? まったく今時の生徒は気持ち悪い。」
しかし神の力は発動しなったので、俺は問題を答えることができなかった。
「クソッ!? なぜ発動しない!? 神の力!?」
授業中の問題を答えることは危機には当てはまらないようだ。
「ただの怠惰だというのか!?」
学生にとって勉強しないで自分の好きなことをやっているというのは、勉強を怠けている。若しくは勉強したくないという傲慢である。または、もう既に勉強が分からないという終焉である。
「うるさい! 廊下に立たされても静かにできないのか!」
しっかりと主人公としてダメな奴に落とされる碧であった。
(助けて!)
廊下に立たされている碧の心に誰かが助けを求める声が聞こえてくる。
「なんだ!? 今のは!?」
確かに碧には助けを求める声が聞こえる。
(助けて!)
また助けを求める声が聞こえる。
「これはテレパシー!?」
神の耳は困っている人間の声が聞こえてくる。
「どこかで困っている人がいて、俺の助けを求めているんだ!?」
碧は今起こっている事態を把握した。
「誰だ? いったいどこにいるんだ?」
碧は集中して耳を澄ます。
(助けて! このままじゃ死んじゃうよ!)
声がドンドン大きくなり、碧の脳裏に困っている人の映像も映し出される。
「見えた!」
困っている人の映像は道端で人が気絶して倒れていた。
「学校の直ぐ側だ!」
場所は学校の周辺の道。
「でも先生に立たされている性で廊下から離れることができない!? どうする!? 俺!?」
しかし碧は廊下から離れることはできなかった。
「そうだ! 遠隔操作だ!」
碧は閃いた。
「神の代行者! 碧が命じる! AEDを届けろ! サイコキネシス!」
学校に沿懐けてあるAEDを碧は念じて人が倒れている現場まで飛ばす。
「おお!? AEDが空から降ってきた!?」
事故現場にAEDが届く。
「良かった。良いことをしたぜ。さすが俺は神様を超える者だ。」
良いことをして少し神様の代わりっぽくなった碧であった。
(助けて!)
しかし碧に助けを求める声は止まらない。
「なんだ? AEDを届けてやったのに、まだ困っているのか?」
碧の中では事件は終わっていた。
(誰か!? AEDを使える人はいませんか!?)
まだ事件は終わっていなかった。道具を届けても扱える人間がいなければ事件は解決しない。
「クソッ!? AEDくらい使ってくれよ!?」
碧の中で苛立ちが起こる。
「こうなったら、またサイコキネシスでやるしかない!」
再び碧は神の力を行使することにした。
「神の代行者! 碧が命じる! 人を操る! ドール!」
碧は倒れている人の周りの人間を人形の様に操ることにした。
「うわっ!? 体が勝手に!?」
倒れている周辺の人の体が自分の意思と違い勝手に動く。
「ええーっと、おお、ちゃんとAEDに説明書があるじゃねえか。」
碧は遠隔操作のリモートで人を操り手順通りAEDを使用する。
「ゲホゲホッ!?」
気絶していた人が息を吹き返した。
「おお! 良かった。」
周囲で見ていた人から安堵の声があがる。
「ふう~、良かった。良いことをするって気持ちいがいいな。」
人に喜ばれて自分の心も温かくなった碧であった。
「うるさい! 授業中は静かにしていろ!」
廊下の碧の声がうるさく教室の先生が起こっていた。
「アハッ。」
笑うしかない碧であった。
「俺の夢は世界平和だ!」
神の代行者になった俺の叶えたい夢だ。
「おかしい!? 俺は小説家やゲームのシナリオライターになりたかったはずだ!?」
元々が今時の普通の人間だったので、こんな奴が世界平和? 俺自身が首を傾げて思うこともある。
「良いアイデアは思い浮かばないのに、俺の生活自体が良いアイデアだ。」
自分の身に降りかかった不幸の様な幸せに戸惑う碧。
「あ~あ、俺も海賊王になりたかったぜ。」
俺の夢は良い意味で破れた。
「確かにギャグモノとして最初は考えたぜ。助けを求めているのは学校の校長先生で、奥さんに浮気がバレるからなんとかしてくれと助けを求めていると。」
お約束の展開である。
「しかし、その時、俺は思い出した。未来から来た猫型ロボットや自分の顔を千切ってお腹を空かせた人に食べさせるサイコホラーのように、正義貫徹、親が子供に見せても安心な内容。だから長寿アニメになるのだと。」
嵐を呼ぶクレヨンヤンキー園児は親が安心できないが不思議とテレビ局が続けている。家族モノだからかな?
「毎年、暑い夏がやって来て、毎年、焼き芋がおいしい季節がやって来て、毎年、クリスマスがやって来て、毎年、桜が舞い散る。」
これでいいのか? 碧は小説のネタを考えている。
「日常モノだから仕方がないのか?」
キャラクターを成長させては戦闘力がインフレして終わってしまう。
「いったいいつになったら歳を取るんだよ!?」
長寿アニメモノはキャラクターは永遠に歳を取らない。だから続くのである。
「すごい説得力があるな。」
しかし碧は退屈であった。
「神の代行者って、暇だな。何でもできるって。何となく神様の気持ちが分かったわ。」
神様と同じように退屈している碧は神様の気持ちが理解できた。
「やっぱり敵が必要だ。ストーリーモノにして鬼滅の刃みたいに4年であっさり終わらせればいいんだ。」
日常モノは小説には向かなかった。なぜなら盛り上がるシーンはどこにもないからだ。
「または盛り上がらなくても無理やり続けるのが日常モノなのか!?」
考えれば考えるほど泥沼に入っていく碧。
「ああ~、もう何も考えたくない。」
だから設定を変えただけで内容は同じ現代ドラマや異世界ファンタジーのお話ばかりになるのだろう。
「世界平和の逆は、世界征服だ!」
対決軸の敵を思いついた碧。
「これじゃあ本当に宇宙人や元人間の宇宙人とかと戦わなければいけないじゃないか!?」
戦闘シーンがある=親御さんが安心して小さな子供に見せたくない。
「でもアンパンマンもバイキンマンと戦闘シーンがあるし、バイキンマンのいじめシーンもある。正義のヒーローがパンチで殴る暴力シーンもある? 名探偵コナンもほぼ毎回人が死んでいるんだぞ!?」」
なんだ!? この違和感は!?
「そうか! 分かったぞ! 最後に正義が勝てば間に暴力やいじめ、顔を千切って分け与えるサイコホラーなシーンがあっても、親御さんも許しているのか!?」
そう考えると長寿アニメになる日常モノと、終わってしまうストーリーモノは同じなのか?
「結局は、時代劇やアメリカン・ヒーローかよ!?」
日本では水戸黄門、大岡越前、遠山の金さんなどの時代劇。世界では、スーパーマン、スパイダーマン、バッドマンなどが初志貫徹、正義貫徹の有名な作品である。
「結局、ドラゴンボールもフリーザに負けないし、ワンピースも次の島に行くだけで内容は同じだ。」
共通しているのは、恐らく週刊誌やスポンサーの都合でダラダラと引き延ばしているだけである。
「正義は勝たなければいけない。」
碧は結論にたどり着いた。
「暴力やいじめがあっても、その危機を救うヒーローが最後に暴力を振るって悪役を倒しても許される。」
全てのアニメの戦闘がある物語に共通する結論である。
「とりあえず、銀行強盗や渋谷のヤンキーと戦うか?」
基本的な悪者を倒すことを考える。
「次にヤクザなどの暴力団と戦う。最後は軍隊と戦う。」
悪の国家を中国にしようか? だって細菌兵器工場から新型ロナ・ウイルスをバラ撒いて世界を恐怖のどん底におとしいれたのだから。
「だって悪だよね。」
ということは各国を悪の秘密結社に見立てて悪役にしてしまうか?
「でも、そうなると俺が神の代行者で強すぎる気がする。」
ここにきて碧の神の代行者という設定がスパイスが効き過ぎである。
「俺をFBIかCIAの一員に格下げするか?」
銭形のとっつあんも神から格下げしたら収まったのだろう。ルパン三世の設定もシンプルだが仲の良い泥棒と警察で素晴らしい。そうか、ルパン三世って、ギャップモノだったのか。
「他に神の代行者を登場させるか?」
お約束の展開。神の代行者が一人だけという決まりはない。
「それか他の性格の悪い神様を倒すか?」
俺と冥界の神ハーデースが戦う? 海王ポセイドーンと戦う? 地上の女神アテーナーと戦う? とかいう方向か?
「七つの大罪と対決? 敵は悪魔か?」
お馴染みのルシファーやサタンですな。
「それとも天使と戦う?」
ミカエルやラファエルなど。天使も神みたいに絶対に正しい訳ではない。
「後は勇者か魔王? それともモンスター?」
それが異世界ファンタジーだよな。
「クソッ!? 俺が神の時点で、普通の人間が相手にならない!?」
どちらかだ。敵を空想上の生き物にして、異世界ファンタジーにする。それか俺の神の代行者の設定を消して、人間同士の戦いにして現代ドラマにするか。
「違う違う!? これは異世界ファンタジーだった。」
剣はともかく、魔法使いが戦国時代にいたら簡単に全国を統一していただろうな。
「鉄砲と魔法では火力が違う。核爆弾も魔法で宇宙に吹き飛ばせば問題がない。あくまでも魔法優位である。」
ただし術師は人間なので、お腹が痛ければ核爆弾を吹き飛ばすことができない。
「クソッ!? 答えがない!?」
もっとシンプルな内容でいいのか? 起承転結や他の多くの作品と同様に設定を変えただけで内容は同じでいいのか? 天使はもっと考えろと言うし、悪魔はパクリでいいという。
「これが生みの苦しみというやつか!?」
その通り。そして答えは出なかった。苦しみはまだまだ続くのであった。
つづく。
神様は不治の病で天界に帰って行った。
「これで誰にも邪魔されずに創作活動ができる。」
碧は邪魔者が消えたので嬉しそうだった。
「そうか。神様が地上にやって来て、高齢化した神様が神の代行者を探していた。そこで主人公に助けられた神様は神の力(ゴット・フォース)を与えて天界に帰って行った。これが第1話だよな。」
このオリジナリティーにたどり着くまでに3万字も使ってしまった。現実は論より厳しい。
「ここから第2部? いや、第1話の後半か、第2話目になる訳か? 神様と人間の出会いだけでは派手なシーンがないから人気が出ないな。連載初回は40ページ巻頭カラーなはず!? それならば、やはり第1話の後半に詰め込まなければ。」
尺の心配をする碧。
「う? うんん? おかしいぞ。俺は神を超える存在のはず。それならばヒットする作品ぐらい神の力を使えば全自動で書けるはずだ!? それなのに俺は自分でストーリーを考えている。なぜだ!?」
神の力も当てにならない。やっぱり人間は自分のことは自分で考えなければいけないという神様の知恵である。
「そうか! 神の力は自分の欲では使えないんだ! 何か危機が起こった時だけ使えるに違いない。」
使い勝手が悪い神の力。
「俺はいったい何に説明しているんだ?」
最近はキャラクターに世界感の説明をさせる作品ばかりになってしまった。
「パンツを脱がせ!」
しかし神の力は発動しなかった。
「服を着替えさせろ!」
「布団をたとめ!」
「口を磨け!」
これもまた神の力は発動しなかった。
「ダメか。」
やはり人間の日常行動には神の力は使えなかった。
「まあ、いいや。別に困る訳ではないし。」
この時は特に気にしなかった碧。
「あんた、何を独り言ばっかり言ってるの? 我が子ながらキモイわよ。」
碧の母親が現れる。普通、高校性や中学生が都合よく一人暮らししていることが設定上無理があるのだ。良し悪しあるが両親がいるのが普通。無理やり交通事故か何かで両親を殺している作品が多すぎる。
「実の息子にキモイいうな。それはいじめ用語だぞ。」
碧が言い返せるというのは母親と良好な関係であるということ。
「どうでもいいけど、あんた、学校に遅刻するわよ。」
「なに!? もうこんな時間!? 遅刻だ!?」
碧は神の力の発動条件を確認していて登校時間を忘れていた。
「行ってきます!」
慌てふためいて家を飛び出す碧。
「魔法陣が発動している!?」
碧が遅刻するという危機を察知したのか、神の力が発動する。
「神の代行者! 碧が命じる! 学校へ瞬間移動! テレビニュース!」
碧の姿は消え一瞬で学校にたどり着くのであった。
「分かったぜ! 神の力の発動条件は俺が危機に陥ることだ!」
遂に碧は神の力の発動条件にたどり着いた。
「次の問題。碧、答えろ。」
授業中、俺は先生にあてられて問題を答えなければいけない。
「さあ、発動するぞ! 全知全能の神の知恵が!」
俺は問題の答えが分からなかったので危機に陥った。
「廊下に立っていろ。何をブツブツ言っている? まったく今時の生徒は気持ち悪い。」
しかし神の力は発動しなったので、俺は問題を答えることができなかった。
「クソッ!? なぜ発動しない!? 神の力!?」
授業中の問題を答えることは危機には当てはまらないようだ。
「ただの怠惰だというのか!?」
学生にとって勉強しないで自分の好きなことをやっているというのは、勉強を怠けている。若しくは勉強したくないという傲慢である。または、もう既に勉強が分からないという終焉である。
「うるさい! 廊下に立たされても静かにできないのか!」
しっかりと主人公としてダメな奴に落とされる碧であった。
(助けて!)
廊下に立たされている碧の心に誰かが助けを求める声が聞こえてくる。
「なんだ!? 今のは!?」
確かに碧には助けを求める声が聞こえる。
(助けて!)
また助けを求める声が聞こえる。
「これはテレパシー!?」
神の耳は困っている人間の声が聞こえてくる。
「どこかで困っている人がいて、俺の助けを求めているんだ!?」
碧は今起こっている事態を把握した。
「誰だ? いったいどこにいるんだ?」
碧は集中して耳を澄ます。
(助けて! このままじゃ死んじゃうよ!)
声がドンドン大きくなり、碧の脳裏に困っている人の映像も映し出される。
「見えた!」
困っている人の映像は道端で人が気絶して倒れていた。
「学校の直ぐ側だ!」
場所は学校の周辺の道。
「でも先生に立たされている性で廊下から離れることができない!? どうする!? 俺!?」
しかし碧は廊下から離れることはできなかった。
「そうだ! 遠隔操作だ!」
碧は閃いた。
「神の代行者! 碧が命じる! AEDを届けろ! サイコキネシス!」
学校に沿懐けてあるAEDを碧は念じて人が倒れている現場まで飛ばす。
「おお!? AEDが空から降ってきた!?」
事故現場にAEDが届く。
「良かった。良いことをしたぜ。さすが俺は神様を超える者だ。」
良いことをして少し神様の代わりっぽくなった碧であった。
(助けて!)
しかし碧に助けを求める声は止まらない。
「なんだ? AEDを届けてやったのに、まだ困っているのか?」
碧の中では事件は終わっていた。
(誰か!? AEDを使える人はいませんか!?)
まだ事件は終わっていなかった。道具を届けても扱える人間がいなければ事件は解決しない。
「クソッ!? AEDくらい使ってくれよ!?」
碧の中で苛立ちが起こる。
「こうなったら、またサイコキネシスでやるしかない!」
再び碧は神の力を行使することにした。
「神の代行者! 碧が命じる! 人を操る! ドール!」
碧は倒れている人の周りの人間を人形の様に操ることにした。
「うわっ!? 体が勝手に!?」
倒れている周辺の人の体が自分の意思と違い勝手に動く。
「ええーっと、おお、ちゃんとAEDに説明書があるじゃねえか。」
碧は遠隔操作のリモートで人を操り手順通りAEDを使用する。
「ゲホゲホッ!?」
気絶していた人が息を吹き返した。
「おお! 良かった。」
周囲で見ていた人から安堵の声があがる。
「ふう~、良かった。良いことをするって気持ちいがいいな。」
人に喜ばれて自分の心も温かくなった碧であった。
「うるさい! 授業中は静かにしていろ!」
廊下の碧の声がうるさく教室の先生が起こっていた。
「アハッ。」
笑うしかない碧であった。
「俺の夢は世界平和だ!」
神の代行者になった俺の叶えたい夢だ。
「おかしい!? 俺は小説家やゲームのシナリオライターになりたかったはずだ!?」
元々が今時の普通の人間だったので、こんな奴が世界平和? 俺自身が首を傾げて思うこともある。
「良いアイデアは思い浮かばないのに、俺の生活自体が良いアイデアだ。」
自分の身に降りかかった不幸の様な幸せに戸惑う碧。
「あ~あ、俺も海賊王になりたかったぜ。」
俺の夢は良い意味で破れた。
「確かにギャグモノとして最初は考えたぜ。助けを求めているのは学校の校長先生で、奥さんに浮気がバレるからなんとかしてくれと助けを求めていると。」
お約束の展開である。
「しかし、その時、俺は思い出した。未来から来た猫型ロボットや自分の顔を千切ってお腹を空かせた人に食べさせるサイコホラーのように、正義貫徹、親が子供に見せても安心な内容。だから長寿アニメになるのだと。」
嵐を呼ぶクレヨンヤンキー園児は親が安心できないが不思議とテレビ局が続けている。家族モノだからかな?
「毎年、暑い夏がやって来て、毎年、焼き芋がおいしい季節がやって来て、毎年、クリスマスがやって来て、毎年、桜が舞い散る。」
これでいいのか? 碧は小説のネタを考えている。
「日常モノだから仕方がないのか?」
キャラクターを成長させては戦闘力がインフレして終わってしまう。
「いったいいつになったら歳を取るんだよ!?」
長寿アニメモノはキャラクターは永遠に歳を取らない。だから続くのである。
「すごい説得力があるな。」
しかし碧は退屈であった。
「神の代行者って、暇だな。何でもできるって。何となく神様の気持ちが分かったわ。」
神様と同じように退屈している碧は神様の気持ちが理解できた。
「やっぱり敵が必要だ。ストーリーモノにして鬼滅の刃みたいに4年であっさり終わらせればいいんだ。」
日常モノは小説には向かなかった。なぜなら盛り上がるシーンはどこにもないからだ。
「または盛り上がらなくても無理やり続けるのが日常モノなのか!?」
考えれば考えるほど泥沼に入っていく碧。
「ああ~、もう何も考えたくない。」
だから設定を変えただけで内容は同じ現代ドラマや異世界ファンタジーのお話ばかりになるのだろう。
「世界平和の逆は、世界征服だ!」
対決軸の敵を思いついた碧。
「これじゃあ本当に宇宙人や元人間の宇宙人とかと戦わなければいけないじゃないか!?」
戦闘シーンがある=親御さんが安心して小さな子供に見せたくない。
「でもアンパンマンもバイキンマンと戦闘シーンがあるし、バイキンマンのいじめシーンもある。正義のヒーローがパンチで殴る暴力シーンもある? 名探偵コナンもほぼ毎回人が死んでいるんだぞ!?」」
なんだ!? この違和感は!?
「そうか! 分かったぞ! 最後に正義が勝てば間に暴力やいじめ、顔を千切って分け与えるサイコホラーなシーンがあっても、親御さんも許しているのか!?」
そう考えると長寿アニメになる日常モノと、終わってしまうストーリーモノは同じなのか?
「結局は、時代劇やアメリカン・ヒーローかよ!?」
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「正義は勝たなければいけない。」
碧は結論にたどり着いた。
「暴力やいじめがあっても、その危機を救うヒーローが最後に暴力を振るって悪役を倒しても許される。」
全てのアニメの戦闘がある物語に共通する結論である。
「とりあえず、銀行強盗や渋谷のヤンキーと戦うか?」
基本的な悪者を倒すことを考える。
「次にヤクザなどの暴力団と戦う。最後は軍隊と戦う。」
悪の国家を中国にしようか? だって細菌兵器工場から新型ロナ・ウイルスをバラ撒いて世界を恐怖のどん底におとしいれたのだから。
「だって悪だよね。」
ということは各国を悪の秘密結社に見立てて悪役にしてしまうか?
「でも、そうなると俺が神の代行者で強すぎる気がする。」
ここにきて碧の神の代行者という設定がスパイスが効き過ぎである。
「俺をFBIかCIAの一員に格下げするか?」
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「他に神の代行者を登場させるか?」
お約束の展開。神の代行者が一人だけという決まりはない。
「それか他の性格の悪い神様を倒すか?」
俺と冥界の神ハーデースが戦う? 海王ポセイドーンと戦う? 地上の女神アテーナーと戦う? とかいう方向か?
「七つの大罪と対決? 敵は悪魔か?」
お馴染みのルシファーやサタンですな。
「それとも天使と戦う?」
ミカエルやラファエルなど。天使も神みたいに絶対に正しい訳ではない。
「後は勇者か魔王? それともモンスター?」
それが異世界ファンタジーだよな。
「クソッ!? 俺が神の時点で、普通の人間が相手にならない!?」
どちらかだ。敵を空想上の生き物にして、異世界ファンタジーにする。それか俺の神の代行者の設定を消して、人間同士の戦いにして現代ドラマにするか。
「違う違う!? これは異世界ファンタジーだった。」
剣はともかく、魔法使いが戦国時代にいたら簡単に全国を統一していただろうな。
「鉄砲と魔法では火力が違う。核爆弾も魔法で宇宙に吹き飛ばせば問題がない。あくまでも魔法優位である。」
ただし術師は人間なので、お腹が痛ければ核爆弾を吹き飛ばすことができない。
「クソッ!? 答えがない!?」
もっとシンプルな内容でいいのか? 起承転結や他の多くの作品と同様に設定を変えただけで内容は同じでいいのか? 天使はもっと考えろと言うし、悪魔はパクリでいいという。
「これが生みの苦しみというやつか!?」
その通り。そして答えは出なかった。苦しみはまだまだ続くのであった。
つづく。
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