神男(ゴットマン)

渋谷かな

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神の威厳

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「ワッハッハー!」
 地球神アースは笑っていた。
「なかなかやりおるわ! 人間め! この私を楽しませてくれるとは! さすが知のリンゴを食べたアダムとイブの末裔だけのことはある。」
 神様は暇つぶしに人間に試練を与えて楽しんでいた。ちょっと悪趣味な神様である。
「だが、神を超える力というのを選択したのは不味かったな。そんなものは断じて許されないからだ!」
 碧が神に願い神を超える力を手に入れてしまった。そのために神様のプライドは傷つけられた。
「天界の神、この私だけに許された最大の禁術。ポチットな。」
 神様はボタンを押した。
「リセット。」
 これで碧の神様を超える力はかき消された。

 20〇〇年。地球に異世界ファンタジーがやってきた。ある日、科学力は無意味になり、一部の人間は剣だの魔法だのが使えるようになった。

「キングストン・アポン・ハルか。なんかふざけた名前だな?」
 碧は引き続きイギリスを調べていた。
「イングランドの東海岸に位置する街。ほうほう。」
 碧は調べのに集中していた。
「人口は26万人。」
 これが碧の日々の変化もない日常だった。
「碧。」
 そこに恋がやってきた。
「街を作った寺院からエドワード1世が買い取って街の名前を付けたのか。」
 しかし碧は調べものを続けたいので恋を無視した。
「ねえ、碧。」
 また恋は碧に呼びかけた。
「ブロック。」
 恋に邪魔されたくないので碧は神様から頂いた神を超える力で恋をブロックしようとした。
「ムカッ!」
 無視された恋の怒りが爆発する。
「電話ボックスの色は赤ではなくクリーム色っと。面白いな。国によって電話ボックスの色って違うんだ。」
 碧は恋を無視することにした。
「碧ー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 恋の魂の叫びが木霊する。
「俺の魔法が破られた!?」
 碧は自分の魔法が恋に破られたと思った。
「俺の魔法が破られたじゃないわよ!? あんた! 魔法なんて使えないでしょ!」
「そ、そうですね。」
 碧は魔法が使えるようになったことを恋には秘密にしていた。
(恋は魔法が使えるのか!?)
 自分の魔法が破られたので、恋が魔法をかき消せる魔法を使えるのではないかと疑った。
「またイギリスを調べてたの?」
「そうだよ。イギリスのことを調べてると全ての名前がカタカナだからダンジョンみたいな感じで面白いんだ。」
「病気ね。」
 呆れる恋。
「どこかにいないかしら? 碧の病気を治してくれる名医は?」 
「人を重症患者みたいに言うな。」
 息がピッタリの碧と恋。
「それよりも早く出ないと学校に遅れるわよ!?」
 碧と恋は高校生なので高校に行かなければいけない。
「残念でした! 今日は日曜日で学校は休みだ!」
「え!? そうだっけ!?」
 今日は日曜日だった。
「嘘ピョン! ワッハッハー!」
 学校は休みではなかった。
「碧!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 騙されて恋の怒りがスパークする。
「恋!? 怒るのは後だ! 急がないと遅刻するぞ!?」
 時計の時間を見て慌てふためき着替えを始める碧。
「キャアアアアアアー!? 私がいるのに服を脱ぐなと言っているだろうが!? この変態野郎!」
 恋がそこら辺にあった物で碧を殴りつける。
「ギャアアアアアアー!?」
 見事に命中し碧を吹き飛ばす。
「ま、まさか・・・・・・俺の魔法が使えなくなったのか?」
 バタっと碧は力尽きた。

「学校なんて、自動学習魔法が使えない奴が来るところだ。」
「AIかよ。」
 碧と恋は無事に学校にたどり着いた。
「そうか。ロボットも魔法も同じなのか。」
 ロボットの科学力は魔法に似ている。人間ではできないことをこなしてくれるのだから。
「でも科学力って、剣と魔法に負けたんでしょう?」
「そうだな。ミサイルも剣で一刀両断や、魔法でミサイルをどこかにふきとばせちゃうから。そういう意味では科学力は剣と魔法の前では無意味だな。」
 剣と魔法、恐るべし。
「ああ~、俺も剣と魔法が使えるようになりたいな~。」
 碧は剣と魔法に憧れていた。
「あ!?」
 碧は何かに気がついた。
(ダメだ!? これは人の憧れにつけこんだ神様の策略だった。)
 そう。この現代社会に剣や魔法などあり得ない。地球神アースの暇つぶしだった。

「ここはこうなって、こうなります。」
 授業が始まった。教師が授業を進行している。
「剣士見習いから剣士になって、次は騎士かな?」
 碧は授業に関心はなかった。
「碧、碧。」
 隣の席の恋がひっそりと声をかける。
「最近は職種が多すぎて面白くないんだよな。」
 碧の授業中の独り言。
「碧ってば、次、あんたの番よ。」
 授業で先生が当てる次の順番が碧であった。
「化学兵器より剣と魔法、じゃあ、その次は?」
 創作の先の先を考える碧の恐怖のメカニズムであった。
「こらー!? 気づけよ!? 碧!?」
 恋の声に碧は気づかなかった。
「キャアアアアアアー!」
 その時、教室に悲鳴が響き渡る。
「なに!?」
 クラスメイトの女性が宙を飛んでいる。
「もう勉強なんか嫌! 解いても解いても新しい問題が現れて!? こんなんじゃ頭がパンクしちゃう!? 勉強なんかしたくない!?」
 問題が難しくて解けない女生徒の怒りが暴走する。女生徒の怒りが魔法陣を発動させ突然光が溢れてくる。
「あれは魔法陣!? 願ってしまったのか!? 神様に!?」
 碧は知っている。あの魔法陣を発動させることができる者は、天界の神に救いを求めた者だけだということを。
「勉強なんか! 大っ嫌いだ!」
 勉強嫌いの女生徒が魔法に目覚めた。
「ギャアアアアアアー!?」
 教室の黒板にヒビが入る。
「キャアアアアアアー!?」
「助けて!?」
「おかしいのがいるぞ!?」
 クラスメイトたちは慌てて教室から逃げ出していく。
「す、すごい!? これが魔法!? そうか!? 私は魔法使いになったんだ!? もう勉強しなくていいんだ!? 私は好きなように自由に生きるんだ!」
 女生徒は大いなる力、魔法が使えるようになったことを喜んでいた。そして自分の力に心を奪われた。
「手始めに・・・・・・学校なんかぶつ潰してやる!」
 女生徒は大っ嫌いな勉強を行う学校を跡形もなく破壊することに決めた。 
「学校なんて! 割れてしまえ! クラック!」
 女は再び魔法陣を発動させ切る魔法を発動させる。
「ギャアアアアアアー!?」
「学校の校舎にヒビが!?」
 次々と学校の校舎にヒビが入る。
「なに!? なに!? 何が起こっているのよ!?」
 恋は悲惨な光景に目を疑った。
「クソッ!? 人間の弱い心につけこみやがって!?神様め!?」
 碧は神の力が働いていることを知っている。
「学校があるからいけないんだ! 学校が無くなれば勉強しなくてよくなるんだ!」
 女性は魔法の力に自我を飲み込まれていている。
「いや!? 死にたくない!? 碧! 早く逃げましょう!
「おお! 逃げるぞ! 恋!」
 碧と恋は教室から逃げ出したかった。
「恋!? 先に逃げてくれ! 俺は忘れ物を取って来る!」
「碧!? 危ないわよ!?」
 校舎の外に恋を送ったら碧は一人で校舎の中に戻って行った。
(何とかして止めないと! 許さないぞ! 神様め!)
 碧と神の第二バトルが始まる。

「よく来たな。忌まわしい人間め。」
「誰が忌まわしい人間だ!?」
 碧は精神世界で地球神アースと対峙していた。
「私を謀るとは、やはり人間は価値のない生き物だな。」
「そのバカにしている人間に負けたのが神をやっているなんてな。」
 神と人間の意地の張り合い。
「何を!? おまえは、この偉い神を侮辱する気か!?」 
「誰が神様が偉いって言った!?」
 口だけであれば人間も神も何も変わらない。言葉が分かれば会話ができるのである。
「まあ、いい。私は寛大な神だからな。それにおまえは私の退屈しのぎの相手をしてくれている。」
 なんだかんだ言いながらも神様は碧と遊ぶのが楽しかった。
「おまえにあの女生徒を救うことができるかな? おまえの魔法は私が消し去ったからな。おまえに神を超える力は使うことはできないのだ。ワッハッハー!」
「やはり俺が魔法が使えなくなったのは、おまえの仕業だったのか!?」
 碧は魔法が使えなくなっておかしいと思っていたが、予想通り犯人は神だった。
「原因が分かれば対処することは簡単だ。」
 碧は全てを理解して、瞬時に解決策を導き出す。

「嫌! 嫌! 嫌だ! 勉強なんか、この世から消えてしまえばいいんだ! ワッハッハー!」
 魔法が暴走して校舎にヒビを入れまくり学校を破壊しようとする女生徒。
「やめろ! それ以上、魔法力を使ってしまうと、生命を削って死んでしまうぞ!」
 女生徒の元に碧が現れた。
「勉強なんか大っ嫌いだ! うおおおおおおおー!」 
「クソッ!? 俺の声が聞こえていないのか!?」
 しかし碧の声は女生徒には届かなかった。
「こうなったら俺の魔法で!? ダメだ!? やっぱり魔法が発動しない!?」
 しかし碧の魔法は神様にリセットされていた。
「それなら魔法を使えるようにするだけだ!」
 冷静さを取り戻した碧の反撃が始まる。
「神の力を超える者が命じる! 魔法よ戻れ! カムバックマジック!」
 碧は地球神アースを超える者として魔法を戻す魔法を行使する。
「なんだと!? そんな手があったのか!?」
 思わず天界の神様もビックリな碧の発想。
「おお! 力が漲ってくるぞ!? 俺の魔法が戻ってきたんだ!」
 碧は再び魔法が使えるようになった。神様を超える魔法力が碧の体に流れ込んでくる。
「よし! これならできる!」
 碧は魔法陣を発動させる。
「神の力を超える者が命じる! 時間よ戻れ! カムバックタイム!」
 碧は地球神アースを超える者として時間を戻す魔法を行使する。
「キャアアアアアアー!?」
 ヒビが入りまくった学校の校舎が元通りにきれいに戻って行く。また魔法を使う女生徒も暴れる前の魔法が使えない状態に戻る。そう、何事もなかったように。
「見たか! 神様! 人間をなめるなよ!」
 碧は空を見上げるのであった。

「碧、次はあなたの番よ。」
「おお、ありがとう。恋。」
 何事も無かったかのように時間が元に戻っている。
(イヤー!? 勉強なんか嫌い!? 学校なんか無くなればいいのに!? 誰か助けてください!? 神様!?)
 授業中、とある勉強ができない女生徒は授業中にみんなの前で何かするのが嫌だった。元々は勉強が嫌いというのではなかった。しかし、みんなの前で問題が分からなくて問題を解けなくて恥をかくのが嫌だったのだ。だから勉強が嫌いになったのだ。
(大丈夫だ。私が助けてやろう。)
 その時、女性の困っている心に神様が声をかける。
(誰ですか!? あなたは!?)
(安心しろ。私は神様だ。学校が嫌いなんだろう。さあ、おまえに力を与えてやろう。)
(力?)
 神様は女性に魔法を与えようとしていた。
(嘘だ! そいつは邪神だ!)
 そこに碧の精神が現れる。
(なにー!? なぜだ!? 人間、おまえの魔法は私がリセットしたはずだ!? なぜ魔法が使える!?)
 碧の登場に驚きを隠せない神様。
(確かに俺は魔法が使えなくなった。だがな、あんたが封印したのであるならば、あんたを超える存在の俺に、あんたの魔法をかき消すことぐらいはできる!)
 魔法を封じ込められた碧の起死回生の魔法の再使用方法である。
(なに!? 神である私の魔法をかきけしただと!? バカな!? そんなことが可能なのか!? 信じられん!?)
 予想していない展開に驚き続ける神様。
(騙されないで下さい。この悪い神から力を授かっても、力が暴走してあなたはもっと勉強が嫌いになってしまいます。)
(そんな!? じゃあ私はどうすればいいの!?)
 この時点で女生徒は神のいう言葉を信じられなくなった。
(ええーい!? また追い出された!? たかが人間の邪魔の性で!?)
 神を信じないものには神の声は聞こえない。神と女生徒の交信は途絶えた。
(じゃあ!? 私はどうすればいいのよ!? 私はどうすれば救われるのよ!?)
 悩み苦しむ女生徒。
(勇気を出して。)
(勇気?)
(そうだ。自分自身を信じて。俺は知っている、君が夜遅くまで勉強を必死で頑張っていることを。)
(どうしてそれを!?)
 女生徒は勉強が苦手なので、みんなに追いつきたくて家でもう勉強していた。
(俺は何でも知っている。だって神を超える者だから。)
(神を超える者?)
 女生徒は自分のことを理解してくれたような、自分を見守っていくれている様な自分が救われた感じがした。
(私はどうすればいいの?)
 初めて女生徒は神を超える者を信じることにした。
(自分を信じて。)
(自分を信じる。)
(私は神を超える存在です。決してあなたを見捨てない。あなたの心に少しの勇気を与えます。)
 碧は神を超えるものとして、女生徒の心に勇気を与える。

「答えは、こうなってこうです。」
 女生徒は先生の問いに答えた。
「よろしい。」
 あっさり女生徒は問題を解くことができた。
(良かった。少しの勇気を出して。ありがとう、神超さん。)
 さっきまで泣いていた女性の顔は笑っていた。ちょっとだけ勉強が好きになったのかもしれない。

(良かった。世界が変わって。)
 碧は無事に女生徒が問題を解けてほっとした。
「次、四十内(アイカワ)。」
「え?」
 女生徒のことばかり考えていて碧は問題を解いていなかった。
「分かりません・・・・・・。」
「キャッハッハー!」
 問題が解けていない碧はクラスの笑い者になる。
「だから私が言ったじゃない!」
「すみません。」
 恋から碧はきつく怒られる。
(ああ~!? 人助けも大変だな!? 辛い!? 少しだけ神様の気持ちが分かったぜ!?)
 人間ながら神を超える力をてにした碧の苦難は続いていく。
 つづく。
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