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剣と魔法、特殊スキルは要らない
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「ほっこり!」
「じんわり!」
「こっくり!」
「へそくり!」
「ひょっこり!」
「五人合わせて! リレンジャー!」
語尾に「り」が着くからである。
「カット! 面白くない!」
真理亜監督の厳しい声が飛ぶ。
「おまえたち! それでイケメンユニットとして活動していくつもりか!?」
真理亜からすると戦隊ヒーローもバンドグループも同じである。例えるとももクロなんかは、そういうノリであったはず。
「どうやら展開に無理があったみたいね。」
バッサリと切り捨てる楓。
「こらこら、私たちはマッドサイエンティストか?」
「違うわ。それを超えた存在よ。」
「コワ・・・・・・。」
妹に恐怖する姉。
「なんかもう、剣と魔法、特殊スキルの世界に疲れちゃった。ああ~、早く人間になりたい。」
その時、アイデアの神が舞い降りる。
「それよ! それ! 普通の人間でいいのよ!」
「といいますと?」
「ほっこりとじんわりに剣と魔法、特殊スキルはいらない! ということよ。」
「ええ!? なんですと!?」
楓の粋な提案である。
「例えると、ラブライブサンシャインで堕天使ヨハネと同じよ。一般大衆からすると廃れてきた剣と魔法、特殊スキルの世界など、9割以上の人からすると関係ない。気持ち悪い。痛い。どうでもいい世界ということよ!」
「た、確かに!? ドラクエ3の発売日に大行列ができたのも20年以上前だろうし。もう剣と魔法と特殊スキルの時代は終わったのね。」
「求められているのは、普通の人間。」
「そうか、タイキックも、もう要らないんだ・・・・・・寂しいな。」
じんわりと哀愁の漂う背中で語る真理亜。
「いいじゃない。これで得体の知れない者と戦わなくていいんだから。」
「やったー! 平和が一番!」
ほっこりと喜ぶ真理亜。
「ところで楓。」
「なによ? お姉ちゃん。」
「戦いを無しにして、物語は生まれるのかい?」
「大丈夫。剣と魔法を言葉に置き換えればいいのよ。」
「言葉?」
「剣と魔法などの暴力シーンはPTAから苦情がくる。そこで必要なのはアクションよ。」
「アクション?」
「例えると名探偵コナンは探偵モノ。頭を使って事件の犯人を追い詰めていく。それが戦いよ。それだけだと動きが無くて、つまらないので、サッカーボールを蹴って犯人を捕まえたり、必殺仕事人みたいに首に麻酔針を打ち込むのよ。それがアクションよ。」
「すごい! そういうことか! 別にかめはめ波やゴムゴムの実を登場させなくても、普通の人間でも物語ができるのね。」
「その通り。ビームライフルなんて要らないのよ。CG作成の方が制作料が高いんだから。アイドルを出演させるドラマだけ作っておけば、大人の事情で楽に人気のある物語が作れるのよ。」
「人気アニメや人気漫画の実写版ばっかりなのは、そのためか。」
「新しい物を生み出すより、ロナ・ウイルスから人の命を守るより、お金儲けの方が大事なのよ。大人なんて。」
「なんだか分かってスッキリした。アハッ!」
ほっこりする真理亜。
「お姉ちゃんが単純で良かった。」
じんわりする楓。
「でも、本当にほっこりとじんわりだけで物語が成立するのかしら?」
「日常ならサザエさんとかクレヨンしんちゃんでも成立してるわよ。」
「やはり、ここは剣と魔法を復活させるしかない!?」
「却下。」
「ガーン!?」
「剣と魔法をしようすると市場の1割しか相手ができない。残りの9割の一般人を対象にした普通の人間の物語の方がいいでしょう。」
「そんな!? 私の剣と魔法が闇に葬り去られるなんて!?」
じんわりする真理亜。
「普通の物語の方がお金が儲かるわよ。」
「さよなら! 剣と魔法! アハッ!」
ほっこりする真理亜。
「お姉ちゃん、分かりやすい。」
げっそりする楓。
「逆に剣と魔法の世界に普通の人間がいるというのはありですか?」
「それは面白いわね。普通の人間が勇者のパーティーで魔王を倒せるのか? ってやつよね。」
「ただいま! 剣と魔法!」
「尻が軽いわね。お姉ちゃん。」
「アハッ!」
やはり剣と魔法の世界から抜け出せないのか?
「でも、きっと人間は剣と魔法が使えなくなったら、化学兵器を作りだすわよ。」
「そうか!? 現代人は剣と魔法を化学兵器に置き換えたのか!?」
「もっと最悪なのは、新型ロナ・ウイルスみたいな細菌兵器よ。」
「細菌兵器!?」
「人類の進化に戦争は付き物なのよね。」
「本当に人間は戦いが好きだね。どれだけ戦えば、飽きがやって来るのか?」
ぜんぜん、ほっこり、じんわりしていないことに気づく。
「もう世間話だけを面白おかしく書いていれば、ほっこりと、じんわりは大丈夫なような気がしてきた。」
「今度は1ドルを拾って、ほっこり。それを交番に届けて、1ドルを落とした外国人と奇跡の涙涙の再会で、良かったと、じんわり。これしかない!」
「アハッ!」
真理亜の夢が花開くのはいつのことやら?
つづく。
「じんわり!」
「こっくり!」
「へそくり!」
「ひょっこり!」
「五人合わせて! リレンジャー!」
語尾に「り」が着くからである。
「カット! 面白くない!」
真理亜監督の厳しい声が飛ぶ。
「おまえたち! それでイケメンユニットとして活動していくつもりか!?」
真理亜からすると戦隊ヒーローもバンドグループも同じである。例えるとももクロなんかは、そういうノリであったはず。
「どうやら展開に無理があったみたいね。」
バッサリと切り捨てる楓。
「こらこら、私たちはマッドサイエンティストか?」
「違うわ。それを超えた存在よ。」
「コワ・・・・・・。」
妹に恐怖する姉。
「なんかもう、剣と魔法、特殊スキルの世界に疲れちゃった。ああ~、早く人間になりたい。」
その時、アイデアの神が舞い降りる。
「それよ! それ! 普通の人間でいいのよ!」
「といいますと?」
「ほっこりとじんわりに剣と魔法、特殊スキルはいらない! ということよ。」
「ええ!? なんですと!?」
楓の粋な提案である。
「例えると、ラブライブサンシャインで堕天使ヨハネと同じよ。一般大衆からすると廃れてきた剣と魔法、特殊スキルの世界など、9割以上の人からすると関係ない。気持ち悪い。痛い。どうでもいい世界ということよ!」
「た、確かに!? ドラクエ3の発売日に大行列ができたのも20年以上前だろうし。もう剣と魔法と特殊スキルの時代は終わったのね。」
「求められているのは、普通の人間。」
「そうか、タイキックも、もう要らないんだ・・・・・・寂しいな。」
じんわりと哀愁の漂う背中で語る真理亜。
「いいじゃない。これで得体の知れない者と戦わなくていいんだから。」
「やったー! 平和が一番!」
ほっこりと喜ぶ真理亜。
「ところで楓。」
「なによ? お姉ちゃん。」
「戦いを無しにして、物語は生まれるのかい?」
「大丈夫。剣と魔法を言葉に置き換えればいいのよ。」
「言葉?」
「剣と魔法などの暴力シーンはPTAから苦情がくる。そこで必要なのはアクションよ。」
「アクション?」
「例えると名探偵コナンは探偵モノ。頭を使って事件の犯人を追い詰めていく。それが戦いよ。それだけだと動きが無くて、つまらないので、サッカーボールを蹴って犯人を捕まえたり、必殺仕事人みたいに首に麻酔針を打ち込むのよ。それがアクションよ。」
「すごい! そういうことか! 別にかめはめ波やゴムゴムの実を登場させなくても、普通の人間でも物語ができるのね。」
「その通り。ビームライフルなんて要らないのよ。CG作成の方が制作料が高いんだから。アイドルを出演させるドラマだけ作っておけば、大人の事情で楽に人気のある物語が作れるのよ。」
「人気アニメや人気漫画の実写版ばっかりなのは、そのためか。」
「新しい物を生み出すより、ロナ・ウイルスから人の命を守るより、お金儲けの方が大事なのよ。大人なんて。」
「なんだか分かってスッキリした。アハッ!」
ほっこりする真理亜。
「お姉ちゃんが単純で良かった。」
じんわりする楓。
「でも、本当にほっこりとじんわりだけで物語が成立するのかしら?」
「日常ならサザエさんとかクレヨンしんちゃんでも成立してるわよ。」
「やはり、ここは剣と魔法を復活させるしかない!?」
「却下。」
「ガーン!?」
「剣と魔法をしようすると市場の1割しか相手ができない。残りの9割の一般人を対象にした普通の人間の物語の方がいいでしょう。」
「そんな!? 私の剣と魔法が闇に葬り去られるなんて!?」
じんわりする真理亜。
「普通の物語の方がお金が儲かるわよ。」
「さよなら! 剣と魔法! アハッ!」
ほっこりする真理亜。
「お姉ちゃん、分かりやすい。」
げっそりする楓。
「逆に剣と魔法の世界に普通の人間がいるというのはありですか?」
「それは面白いわね。普通の人間が勇者のパーティーで魔王を倒せるのか? ってやつよね。」
「ただいま! 剣と魔法!」
「尻が軽いわね。お姉ちゃん。」
「アハッ!」
やはり剣と魔法の世界から抜け出せないのか?
「でも、きっと人間は剣と魔法が使えなくなったら、化学兵器を作りだすわよ。」
「そうか!? 現代人は剣と魔法を化学兵器に置き換えたのか!?」
「もっと最悪なのは、新型ロナ・ウイルスみたいな細菌兵器よ。」
「細菌兵器!?」
「人類の進化に戦争は付き物なのよね。」
「本当に人間は戦いが好きだね。どれだけ戦えば、飽きがやって来るのか?」
ぜんぜん、ほっこり、じんわりしていないことに気づく。
「もう世間話だけを面白おかしく書いていれば、ほっこりと、じんわりは大丈夫なような気がしてきた。」
「今度は1ドルを拾って、ほっこり。それを交番に届けて、1ドルを落とした外国人と奇跡の涙涙の再会で、良かったと、じんわり。これしかない!」
「アハッ!」
真理亜の夢が花開くのはいつのことやら?
つづく。
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