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<ジルベール>恋愛ルート
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「大丈夫か」
「えっ、うん平気だよ。それよりごめんね、くだらない話ばかり聞かせて」
しばらく挙動不審になっていたが、落ち着きを取り戻したらしい。それに表情が少し明るくなった。抱えていた事を話して、少し気が楽になったのだろうか。
「お前が辛いと、感じていたことだろ。下らなくはない」
「ありがとう」
他人にとっては取るに足らないことでも、当人にとっては深刻なことある。俺なんかイベントが起らないことについて、一時間以上も悩んだことがあるからな。他からしたら、そんなことでと言われそうだが、供給の少ない状況の腐男子には死活問題である。
―― こっちの方が、良いな
何時もと変わらない柔らかい笑みを、浮かべている。何時もと同じ笑みに、安堵を覚える。
「沈んでいたのは、故郷でのことを思いだしていたからか?」
「それもあるんだけど、それだけじゃなくて……」
色々と思い悩む質であることが、分かったから他にも溜め込んでないか探りを入れてみることにした。吐き出したついでに、喋った方がすっきりするかもしれないだろ。
「レイザードがあいつのこと、好きになるんじゃないかって焦って……ごめんね」
「なにを言っている?」
―― なんで俺が、あいつを好きになるんだ
あいつはジルベールを心配してきた要素を加味したとしても、性格が悪くて印象も悪い。加えて術を使って、ジルベールを閉じ込める変態だ。好きになる要素が無い。ジルベールに関しては良いところもあるのは分かったが、俺の心証を合わせてマイナスに傾いている。
そもそも好きという言葉はBLゲームにおいて、それはすなわちLOVEと言うことだ。
けれどそれは主人公と、攻略キャラの間のみ成立する。モブには当てはまらない。そうだからさっき俺がジルベールに関して好きと言ったが、LOVEの意味を持つ好きには繋がらない。友達だしな。
ということはジルベールの好きの意味は、友愛と言うことになる。同性ボッチのジルベールは唯一の同性友達が、従兄の方に友情を感じてとられてしまうと思ったに違いない。一人しかいない友達が、陽キャラの従兄にとられると焦った。そういことか。
「俺はお前の方がいい」
「えっ」
正直に口にすると、ジルベールが固まった。
確かに従兄には、人を引きつけるとこはあるかもしれない。ジルベールも同じだが、まず顔が良い。プラス年齢の差だろうが、余裕が感じられた。ジルベールが言うくらいだから、優秀でもあるのだろう。なんせこいつが、敵わないというくらいなのだから。
けどそれを差し引いても、俺はジルベールの方が良い。
こいつは女子にキャーキャー言われてるのに、同性ボッチだ。なんでも器用にこなせそうなのに、友達作りかが下手な不器用さがある。
軽いようでいて真面目で、きちんと講義を受けて頑張っている。
料理をするどころかお茶すら自分で入れたことがないのに、好きな人に振る舞いたいからと練習するけなげなところもある。あと意外にお人好しで、面倒見が良い。何度も迷惑をかけているけれど、嫌な顔一つしない。
比べたら完璧といわれるのは、従兄の方なのかも知れない。けど俺は友達に、完璧なんて求めない。
そもそも俺が、欠点だらけのモブなんだ。だいたいジルベールは、自分の事を卑下したけれど俺から言わせればかなりハイスペックだ。そもそも攻略キャラだぞ。レベル99に達するんだ。それ以上何を、求めてるんだ。卑屈になる要素がどこにある。
それにあいつ、心配してたのは本当だろうけれど、俺を出しにジルベールをおちょくっていた。出汁にされるモブのみにもなってみろ。腹が立つだろう。
「あのレイザード、それって……」
「あんな奴と、友達になるなんてごめんだ」
「あっ、そっちか……」
なんか力の抜けた笑みを、浮かべている。あとなぜか、ちょっと泣きそうな顔をしていた。なんで友達は、お前の方が良いって言って泣きそうな顔をされるんだ。
「……俺と友達なのが、嫌なのか」
「えっ違う、違うよ」
「正直に言え。別にかまわない」
―― 別に気にしない
ボッチ(仮)の仮がとれて、真性ボッチに戻るだけだ。別に気になんて、全然したりしない。そんなのしない。
「本当に違うから、そのそうだ親友になりたくて!」
「親友……」
そういえば前にも、友達以上になりたいと言っていたな。そうか親友になりたいのに、友達と言われたからがっかりしたのか。
なんだそうか―― そうか、親友か
意識せずに、少し口元が緩む。ボッチだったからジルベールが唯一の友達で、当たり前だが親友なる相手もいなかった。
―― 少し嬉しいかもしれない
「ジルベール、俺もお前と親友になりたい」
「ありがとう。嬉しいよ」
ほんの僅かに浮んだ嬉しいという感情を、素直に伝えて見た。これでも結構頑張ったのだが、早とちりをしてしまったかもしれない。
嬉しいと返して微笑んだジルベールの顔には、なぜか哀愁めいたものが浮んでいた。
「えっ、うん平気だよ。それよりごめんね、くだらない話ばかり聞かせて」
しばらく挙動不審になっていたが、落ち着きを取り戻したらしい。それに表情が少し明るくなった。抱えていた事を話して、少し気が楽になったのだろうか。
「お前が辛いと、感じていたことだろ。下らなくはない」
「ありがとう」
他人にとっては取るに足らないことでも、当人にとっては深刻なことある。俺なんかイベントが起らないことについて、一時間以上も悩んだことがあるからな。他からしたら、そんなことでと言われそうだが、供給の少ない状況の腐男子には死活問題である。
―― こっちの方が、良いな
何時もと変わらない柔らかい笑みを、浮かべている。何時もと同じ笑みに、安堵を覚える。
「沈んでいたのは、故郷でのことを思いだしていたからか?」
「それもあるんだけど、それだけじゃなくて……」
色々と思い悩む質であることが、分かったから他にも溜め込んでないか探りを入れてみることにした。吐き出したついでに、喋った方がすっきりするかもしれないだろ。
「レイザードがあいつのこと、好きになるんじゃないかって焦って……ごめんね」
「なにを言っている?」
―― なんで俺が、あいつを好きになるんだ
あいつはジルベールを心配してきた要素を加味したとしても、性格が悪くて印象も悪い。加えて術を使って、ジルベールを閉じ込める変態だ。好きになる要素が無い。ジルベールに関しては良いところもあるのは分かったが、俺の心証を合わせてマイナスに傾いている。
そもそも好きという言葉はBLゲームにおいて、それはすなわちLOVEと言うことだ。
けれどそれは主人公と、攻略キャラの間のみ成立する。モブには当てはまらない。そうだからさっき俺がジルベールに関して好きと言ったが、LOVEの意味を持つ好きには繋がらない。友達だしな。
ということはジルベールの好きの意味は、友愛と言うことになる。同性ボッチのジルベールは唯一の同性友達が、従兄の方に友情を感じてとられてしまうと思ったに違いない。一人しかいない友達が、陽キャラの従兄にとられると焦った。そういことか。
「俺はお前の方がいい」
「えっ」
正直に口にすると、ジルベールが固まった。
確かに従兄には、人を引きつけるとこはあるかもしれない。ジルベールも同じだが、まず顔が良い。プラス年齢の差だろうが、余裕が感じられた。ジルベールが言うくらいだから、優秀でもあるのだろう。なんせこいつが、敵わないというくらいなのだから。
けどそれを差し引いても、俺はジルベールの方が良い。
こいつは女子にキャーキャー言われてるのに、同性ボッチだ。なんでも器用にこなせそうなのに、友達作りかが下手な不器用さがある。
軽いようでいて真面目で、きちんと講義を受けて頑張っている。
料理をするどころかお茶すら自分で入れたことがないのに、好きな人に振る舞いたいからと練習するけなげなところもある。あと意外にお人好しで、面倒見が良い。何度も迷惑をかけているけれど、嫌な顔一つしない。
比べたら完璧といわれるのは、従兄の方なのかも知れない。けど俺は友達に、完璧なんて求めない。
そもそも俺が、欠点だらけのモブなんだ。だいたいジルベールは、自分の事を卑下したけれど俺から言わせればかなりハイスペックだ。そもそも攻略キャラだぞ。レベル99に達するんだ。それ以上何を、求めてるんだ。卑屈になる要素がどこにある。
それにあいつ、心配してたのは本当だろうけれど、俺を出しにジルベールをおちょくっていた。出汁にされるモブのみにもなってみろ。腹が立つだろう。
「あのレイザード、それって……」
「あんな奴と、友達になるなんてごめんだ」
「あっ、そっちか……」
なんか力の抜けた笑みを、浮かべている。あとなぜか、ちょっと泣きそうな顔をしていた。なんで友達は、お前の方が良いって言って泣きそうな顔をされるんだ。
「……俺と友達なのが、嫌なのか」
「えっ違う、違うよ」
「正直に言え。別にかまわない」
―― 別に気にしない
ボッチ(仮)の仮がとれて、真性ボッチに戻るだけだ。別に気になんて、全然したりしない。そんなのしない。
「本当に違うから、そのそうだ親友になりたくて!」
「親友……」
そういえば前にも、友達以上になりたいと言っていたな。そうか親友になりたいのに、友達と言われたからがっかりしたのか。
なんだそうか―― そうか、親友か
意識せずに、少し口元が緩む。ボッチだったからジルベールが唯一の友達で、当たり前だが親友なる相手もいなかった。
―― 少し嬉しいかもしれない
「ジルベール、俺もお前と親友になりたい」
「ありがとう。嬉しいよ」
ほんの僅かに浮んだ嬉しいという感情を、素直に伝えて見た。これでも結構頑張ったのだが、早とちりをしてしまったかもしれない。
嬉しいと返して微笑んだジルベールの顔には、なぜか哀愁めいたものが浮んでいた。
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