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<ジルベール>恋愛ルート
8<ジルベール視点>
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「自分で入れられるようになったのか。成長してるじゃないか」
「一人暮らしなんだから、当たり前だろ」
お茶を入れたカップを置くと、見慣れた腹の立つ表情を浮かべる。久しぶりに見たのに、変わっていない。
「それで何するつもりなんだ。レイザードに迷惑かけるつもりなら、さっさと帰れ」
「お前の想い人にそんなことを、するわけがないだろう。町を案内してもらいたいだけだ」
突然現れたと思ったら、お前の想い人に会いに来た。案内しろなんてふざけたことを言って、拒否したら勝手に会いに行くなんて聞き捨てならない事を言われた。しょうがなく連れだって歩いてたら、はぐれたて嫌な予感を覚えて急いだら案の定で――
「そんなことなら、俺がする」
「今でさえ話すのが嫌だって顔してるのにか? まあいい。ところで、彼とはどこまでいったんだ?」
嫌だって言うのが、分かっているのに帰る気はないらしい。厄介な奴だって思っていたら、目を細めて口の端を上げたのが見えた。
「なにが」
「どう見ても、恋人同士って感じではなかったな。まさかまだ告白すらしてないのか?」
長い溜息をつきそうになるのを、なんとか堪えた。
―― やっぱりか
ユージスは、俺を揶揄いに来た。わざわざ他国まで来てとは思いはするけど、こいつは平気でそういうことをする。故郷にいるときも、会えば揶揄われてばかりだった。
―― 全く
仕事が忙しいはずなのに、何やってるんだ。大体、レイザードと俺の事に、何も関係ないだろう。言われたとおり告白すら出来る段階じゃ無いのが、勘に触る。
「……」
「そうむくれるなよ。なにも俺と、二人きりで会うわけじゃないだろ。愛しの彼もお前と一緒にと、言ってたじゃないか」
軽く肩をすくまる。何気ない仕草が、一々癪に触ってしょうがない。
「人を子供みたいにいうな。むくれてない。それとお前と彼が、会うこと自体がいやなんだ」
「彼が俺の方を、好きになるかも知れないからか?」
自分でも表情が、無くなるの分かった。多分、ユージスは、分かっていて言っている。
「そんなこと言っていない」
「目が、言っているぞ」
さもおかしいと言いたげに、目を細めて笑い声をこぼす。
椅子から立ち上がって、玄関に向かっていく。一人でレイザードの所に、行かせるつもりはないから追いかけた。
「気が変わった。ジルベールお前は、あとでこい」
「は?」
振り返って口の端を、上げたのが見える。
足下に冷気を感じる。不味いと思ったときには、透明な蔦を模した氷に囲まれていた。
「ユージス、ふざけるな!」
「ふざけてない、ふざけてない。至って真面目だ。先に行ってお前の愛しの君と、話をしてくるだけだよ。あせらずに、のんびり来ると良い」
思い切り拳で叩いても、びくともしない。見た目は華奢なガラス細工のように、見える。けれど見た目通りの強度で無いのは、手に残る痛みが証明していた。
気が変わったなんて、嘘に決まってる。
あいつは案内しろって言っておいて、俺とはぐれたあとレイザードのお店にいた。きっと来る前に名前も市場にいることも、調べ上げていたんだ。
会いに行くだけなら、俺に言わずに行くことが出来る。なのにわざわざ俺の家に寄って、今から行くのだと教えた。
そっちのほうが、俺の反応が見れてあいつにとって楽しいからだ。それで一緒に行くように仕向けて、足を止めをした。
なにもしらないより知った上で、なおかつ俺が焦るのをわかっていてこの状況を作りりだした。
足止めされている俺が、あいつが一人でレイザードに会いに行くって状況に何を思うかわかったうえでだ。
―― あいかわらず、性格が悪い!
焦りからか構築した風は、あいつが生み出した氷に傷をつけられない。
薄いまるで装飾のような氷が、いつまで経っても壊せない。炎を出しても溶ける様子もなかった。
なんでこんなに、手こずっている。何年経ったと思ってる。なんでこんなに、まだ差がある。
『俺の方を、好きになるかも知れないからか?』
余裕の表情が、脳裏に浮かぶ。
―― そうだよ
俺はお前に何一つ叶わない。二つの適性を持っている。ただそれだけで、もてはやされて。けどユージスに、一度も勝ったことがない。魔力の量も術の技能も、なにもかもが劣る。
いつも余裕の表情で、俺より遙か上にいる。
大抵のことは何でも出来た。教えられた術は、すぐに習得できたし術意外でも特に困ったことはない。けどあいつには勝てない。あいつに勝つために努力しようって気を奪うほどに、ユージスと俺の間には明確な差があった。
―― 少しはマシになったかもって、思っていた
レイザードの事を、好きになって彼に好かれたいが為に努力を始めて――追い越せないまでも、差は縮んでいると思っていたのに。なんて無様なんだ。
劣っているとか弱いとか、そういうことじゃない。俺には実力や才能というものがあって、でもそんな程度のモノは鼻で笑えるくらいの差がユージスとの間にはある。
―― けど、諦めたりしない
あいつは俺より優れていて、術にも詳しい。話をしたらレイザードと、気が合うかも知れない。あいつの方が大人だし色々と、上手くやる。俺より彼に相応しいのかもと、思いもする。
けど――いやだ
レイザードの傍にいるのが、俺じゃなくあいつなのがいやだ。彼の傍にいたい。とりとめないことを、話して一緒に時を過ごしたい。
叶わないからって、諦めるつもりなんてない。
―― 焦るな
焦燥にかられたら、あいつの思うつぼだ。
ぎりぎりまで熱で溶かして、あとは風を使って粉砕すれば良い。
きっと出来る。俺だって成長したんだ。学園に来るまでの俺とは違う。
目を閉じて意識を集中して、術を構築していく。
あいつは俺を揶揄うのが目的だから、俺にどうにか出来ない術を仕掛けてきたりはしない。なら今できる全てで氷の檻を壊せば良い。
―― 出来る
あいつの嫌な笑みがちらついたけれど、直ぐに追い出す。意識を術を構築することだけに、注いで術を放った。
「一人暮らしなんだから、当たり前だろ」
お茶を入れたカップを置くと、見慣れた腹の立つ表情を浮かべる。久しぶりに見たのに、変わっていない。
「それで何するつもりなんだ。レイザードに迷惑かけるつもりなら、さっさと帰れ」
「お前の想い人にそんなことを、するわけがないだろう。町を案内してもらいたいだけだ」
突然現れたと思ったら、お前の想い人に会いに来た。案内しろなんてふざけたことを言って、拒否したら勝手に会いに行くなんて聞き捨てならない事を言われた。しょうがなく連れだって歩いてたら、はぐれたて嫌な予感を覚えて急いだら案の定で――
「そんなことなら、俺がする」
「今でさえ話すのが嫌だって顔してるのにか? まあいい。ところで、彼とはどこまでいったんだ?」
嫌だって言うのが、分かっているのに帰る気はないらしい。厄介な奴だって思っていたら、目を細めて口の端を上げたのが見えた。
「なにが」
「どう見ても、恋人同士って感じではなかったな。まさかまだ告白すらしてないのか?」
長い溜息をつきそうになるのを、なんとか堪えた。
―― やっぱりか
ユージスは、俺を揶揄いに来た。わざわざ他国まで来てとは思いはするけど、こいつは平気でそういうことをする。故郷にいるときも、会えば揶揄われてばかりだった。
―― 全く
仕事が忙しいはずなのに、何やってるんだ。大体、レイザードと俺の事に、何も関係ないだろう。言われたとおり告白すら出来る段階じゃ無いのが、勘に触る。
「……」
「そうむくれるなよ。なにも俺と、二人きりで会うわけじゃないだろ。愛しの彼もお前と一緒にと、言ってたじゃないか」
軽く肩をすくまる。何気ない仕草が、一々癪に触ってしょうがない。
「人を子供みたいにいうな。むくれてない。それとお前と彼が、会うこと自体がいやなんだ」
「彼が俺の方を、好きになるかも知れないからか?」
自分でも表情が、無くなるの分かった。多分、ユージスは、分かっていて言っている。
「そんなこと言っていない」
「目が、言っているぞ」
さもおかしいと言いたげに、目を細めて笑い声をこぼす。
椅子から立ち上がって、玄関に向かっていく。一人でレイザードの所に、行かせるつもりはないから追いかけた。
「気が変わった。ジルベールお前は、あとでこい」
「は?」
振り返って口の端を、上げたのが見える。
足下に冷気を感じる。不味いと思ったときには、透明な蔦を模した氷に囲まれていた。
「ユージス、ふざけるな!」
「ふざけてない、ふざけてない。至って真面目だ。先に行ってお前の愛しの君と、話をしてくるだけだよ。あせらずに、のんびり来ると良い」
思い切り拳で叩いても、びくともしない。見た目は華奢なガラス細工のように、見える。けれど見た目通りの強度で無いのは、手に残る痛みが証明していた。
気が変わったなんて、嘘に決まってる。
あいつは案内しろって言っておいて、俺とはぐれたあとレイザードのお店にいた。きっと来る前に名前も市場にいることも、調べ上げていたんだ。
会いに行くだけなら、俺に言わずに行くことが出来る。なのにわざわざ俺の家に寄って、今から行くのだと教えた。
そっちのほうが、俺の反応が見れてあいつにとって楽しいからだ。それで一緒に行くように仕向けて、足を止めをした。
なにもしらないより知った上で、なおかつ俺が焦るのをわかっていてこの状況を作りりだした。
足止めされている俺が、あいつが一人でレイザードに会いに行くって状況に何を思うかわかったうえでだ。
―― あいかわらず、性格が悪い!
焦りからか構築した風は、あいつが生み出した氷に傷をつけられない。
薄いまるで装飾のような氷が、いつまで経っても壊せない。炎を出しても溶ける様子もなかった。
なんでこんなに、手こずっている。何年経ったと思ってる。なんでこんなに、まだ差がある。
『俺の方を、好きになるかも知れないからか?』
余裕の表情が、脳裏に浮かぶ。
―― そうだよ
俺はお前に何一つ叶わない。二つの適性を持っている。ただそれだけで、もてはやされて。けどユージスに、一度も勝ったことがない。魔力の量も術の技能も、なにもかもが劣る。
いつも余裕の表情で、俺より遙か上にいる。
大抵のことは何でも出来た。教えられた術は、すぐに習得できたし術意外でも特に困ったことはない。けどあいつには勝てない。あいつに勝つために努力しようって気を奪うほどに、ユージスと俺の間には明確な差があった。
―― 少しはマシになったかもって、思っていた
レイザードの事を、好きになって彼に好かれたいが為に努力を始めて――追い越せないまでも、差は縮んでいると思っていたのに。なんて無様なんだ。
劣っているとか弱いとか、そういうことじゃない。俺には実力や才能というものがあって、でもそんな程度のモノは鼻で笑えるくらいの差がユージスとの間にはある。
―― けど、諦めたりしない
あいつは俺より優れていて、術にも詳しい。話をしたらレイザードと、気が合うかも知れない。あいつの方が大人だし色々と、上手くやる。俺より彼に相応しいのかもと、思いもする。
けど――いやだ
レイザードの傍にいるのが、俺じゃなくあいつなのがいやだ。彼の傍にいたい。とりとめないことを、話して一緒に時を過ごしたい。
叶わないからって、諦めるつもりなんてない。
―― 焦るな
焦燥にかられたら、あいつの思うつぼだ。
ぎりぎりまで熱で溶かして、あとは風を使って粉砕すれば良い。
きっと出来る。俺だって成長したんだ。学園に来るまでの俺とは違う。
目を閉じて意識を集中して、術を構築していく。
あいつは俺を揶揄うのが目的だから、俺にどうにか出来ない術を仕掛けてきたりはしない。なら今できる全てで氷の檻を壊せば良い。
―― 出来る
あいつの嫌な笑みがちらついたけれど、直ぐに追い出す。意識を術を構築することだけに、注いで術を放った。
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