108 / 127
<シーディス>ルート
7<シーディス>視点
しおりを挟む
元々白い顔から、血の気が引いて青くなっていく。体は小刻みに、震えている。腕を回してなんとか、押さえようとしたんだろう。けれど震えを沈めようとした腕も震えていた。
傷つけたなんて、生やさしいもんじゃない。俺は傷を、抉ったんだ。
―― これが、なんだってんだ?
光にかざしても、変哲もない。俺にとっては金になるただの商品だ。それでも喜んでくれると思っていた。市場では流通してねえし、貴重なもんだから易々と手に入れることもできない。
―― ただ喜んで、欲しかっただけだ
出来ることなら、なんでもしてやりたい。望みがあるなら、叶えたい。金で手にはいるもんなら、なんでもって言えるくらいに金は持ってる。
それでも望んじゃいねえのは、分かっていた。予想通りだが、首を横に振られた。ならせめて興味あるようだったから、使って見たらどうだとすすめたんだ。
―― なにが、関係ある
なにがあの子を、傷つけた?
なんど見ても、ただの鉱石だ。別の術を使用できるって、点がなけりゃ見向きもされない。
古代遺物、誰かが言い出したのか。ただ分かっているのは、今あるものが全てということだ。何処の土地でも、新しく発見されていない。現状あるもので全て、だから余計に高値で取引される。
ただそれだけのモノのはずだ。だがあの子は、確実に怯えていた。それをなかったことになんて、出来ねえし二度と繰り返すつもりもない。知らなければまたレイザードを、傷つけてしまうかもしれない。そんな愚行を繰り返すつもりはなかった。
「で、今日は何の用件だ?」
「仕事じゃない」
座り向き直った状態で、否定を返せば露骨にギーニスの眉間に皺が寄る。
呼び出しておいて仕事じゃないと告げれば、こいつの機嫌が悪くなることなんて分かっていた。それでも呼んだ。こいつに聞くのが、得たい情報を得られると考えたからだ。
「仕事でもねえのに、呼び出しやがったのか」
「俺が個人的に、確かめたいことがあるだけだ。金を出せってなら、払うさ」
―― そうだ、いくらでも惜しくない
もし知っているのなら、情報の対価に金を出すのを躊躇する理由なんてないんだ。
「殊勝じゃねえか。で、個人的ってなんだ」
「お前これを、見てどう思う」
鉱石を、手に取り見せる。あの子を傷つけたモノだ。捨てちまいたいが、それは確認が済んでからにしてとっておいた。
「だだのゴミだな」
「ゴミ?」
不機嫌か声が、返ってきた。
市場に出回らない高額な値段で、取引される。希少さ故に喉から手が出るほど、ほしいという奴らもいる。それをギーニアスは、ゴミと称した。
「ただの破片だろう。こんなものに、何の価値があるってのか。高値で取引してるんだってな? 気が知れねえ」
「破片っていうなら、欠ける前の大本があるのか。もっとでかい……」
馬鹿にしたように口元を、あげて立ち上がる。こっちは話が終わってない。続ければ突き刺すような視線を向けられた。
「あったとしたら、どうする。手に入れるか? 己がものにして、お前は何をする」
温度のない目と、淡々とした口調だ。
―― 珍しいな
こいつは口の悪い奴で、柄も悪くて、すぐに機嫌も悪くなる。だから声を荒げるのも、口汚くなるのもいつものことで特段珍しいことじゃない。
ただどこまでも平坦な声と、静かに細まった目が少しむかついた程度のいつもの怒りじゃないことは知れる。
「探したいってなら、止めやしねえさ。好きにすりゃ良い。お前ならもしかして、手に入れるかもしれねな。ただそうした時点で、俺は今後一切お前と取引はしない」
「これはお前……光の術師に、関係あるのか?」
いつもの口調にもどっちゃいるが、目は相変わらずだ。それがこいつの言葉に、嘘がないことを証明している。
「商売に知識は、必要なんだろうがな。何でも知ってどうする。知る必要のねえことに、首突っ込んでも碌なことにならねえぞ」
「質問を、変える。鉱石に力を、注ぎ込むことをお前はどう思う」
少しで情報が、ほしかった。二度とあの子を傷つけないためにだ。けれど問う内容をそれ以上に、言葉は選びを間違ったらしい。あと一歩踏み込めば、首から血が吹き出すはめになるんじゃねえかってほどの殺意を向けられる。
「誰に何を、依頼された? いいか、お前が発するのを許されてるいのは、正直に俺に話すことだけだ。嘘は、つくなよ。俺は、見破る。馬鹿な返答をして、痛い思いをしたくないだろう?」
「言ったろ、仕事じゃない」
その言葉が張ったりじゃないのは、分かった。
冷や汗が伝うが、こっちも仕事で鍛えられてる。焦りも感じた恐怖も、どちらも声に顔にもださない手段くらい持ち合わせていた。
「ある子が、鉱石に力を注ぎ込むとき様子が変わった、顔色は青白くなって、体は震えて」
「あのガキが?」
仕事じゃないといって、その理由を伏せ続ければなにも話さないだろう。だからレイザードの名を伏せて、話を続ける。けれどギーニアスの口から出たガキという言葉に、虚を突かれた。
「ちょっとまて、なんで……」
俺はレイザードの名前は、出していない。状況も特定繋がる言葉も、話していない。なのになぜレイザードだと当たりをつけた。思わずついて出た言葉に、内心で舌打ちをする。今の反応は、肯定したのと同じだ。
「お前は俺が、キレてるの分かってるよな」
「そりゃ見れば、わかるさ」
あれを見て怒りを感じないほど、鈍感なら商売など出来やしない。今の立場を得ることは、一生なかっただろう。
「俺を本気で怒らせて、お前になんの利がある。取引がなくなって、収益が下がってなんにもならねえだろ。けどお前は分かったうえで、話を進めた。利益にならねえのに、お前が動くなんて稀だ。その段階で『ある子』が、誰かなんて直ぐ分かるんだよ」
「……」
二の句が、継げない。
―― また、やっちまった……
こいつの前で、一度醜態をさらしている。今回で、二度目だ。
「お前……本当さ、あのガキのことになるとポンコツだよな。アホの底なし沼じゃねえか」
「うるせえよ。で、答えは」
ガキかと言いたくなる言葉しか返せやしない。どう否定したって、俺が馬鹿な反応したのは事実だ。
「知るか」
「はあ? ふざけてんのか」
人を馬鹿にしておいて出てきた言葉に、思わず俺のほうがキレそうになった。人をおちょくっておいて、なんて奴だ。
「俺が聞きてえくれえだ。なんであのガキが、鉱石に力入れるのに様子がおかしくなる。お前だけじゃない。あいつにも、関係の話だ。そもそもなんでガキのことを、俺に聞く。知る分けねえだろう」
「光の術師には、関係があるのか」
二度目の質問の意図を、理解しようとしてんだろう。探るような目を向けてくる。
―― そりゃそうだ
こいつは俺が知っている事をしらない。だから光の術師と口にした意味も、わかりゃしない。
「シーディス、俺はお前に、恩がある。だから最初で最後の警告を、してやるよ。踏み込むな。お前がいくら金を持ってようと、貴族に顔が利こうが深入りするんじゃねえ。お前じゃ手に負えない」
―― そうだな
ギーニアスは、何も知らない。だから関係ないってのは、答えとしては当然だ。
ただ一つ分かったことがある。俺が聞いたことは、こいつキレるさせるには十分な内容で、肯定を返してこなくても同意したのと同じってことだ。
―― そうか
今のままじゃ足りないのか。金も手に入れた力も手に入れた。だからもしものときは、守れると思い込んでた。けどギーニアスの言葉を、鵜呑みにするならまだ足りない。もっと金も権力も、必要だってことだ、
「わかった。俺も馬鹿じゃない。踏む必要のねえ棘を、わざわざ踏みに行く真似はしねえさ」
「出来の悪い欠片に当って必要以上に、魔力を吸いとられそうにでもなったんじゃねえか? 勘が悪いわけじゃねえだろうし、それを察したのかもな」
納得してねえってのは、きっと気づいてんだろうな。ただ引く姿勢を見せたから、それで良しとしたんだろう。あとは警告したから、それ以上は知らねえってことかもな。
「帰るのか」
「これ以上は、用はねえだろ。俺も話すこともないしな。俺のありがたい警告を、きちんと頭にたたき込んでおけよ」
立ち上がったギーニアスに、分かりきった言葉をかける。
背を向けて扉に向かいそのまま出て行くのかと思えば、一度動きを止めて振り返り口を開く。どこかふざけた口調だが、目が冗談でないことを証明している。念を押されずとも分かっていると返せば、鼻で笑い扉の向こうに消えた。
傷つけたなんて、生やさしいもんじゃない。俺は傷を、抉ったんだ。
―― これが、なんだってんだ?
光にかざしても、変哲もない。俺にとっては金になるただの商品だ。それでも喜んでくれると思っていた。市場では流通してねえし、貴重なもんだから易々と手に入れることもできない。
―― ただ喜んで、欲しかっただけだ
出来ることなら、なんでもしてやりたい。望みがあるなら、叶えたい。金で手にはいるもんなら、なんでもって言えるくらいに金は持ってる。
それでも望んじゃいねえのは、分かっていた。予想通りだが、首を横に振られた。ならせめて興味あるようだったから、使って見たらどうだとすすめたんだ。
―― なにが、関係ある
なにがあの子を、傷つけた?
なんど見ても、ただの鉱石だ。別の術を使用できるって、点がなけりゃ見向きもされない。
古代遺物、誰かが言い出したのか。ただ分かっているのは、今あるものが全てということだ。何処の土地でも、新しく発見されていない。現状あるもので全て、だから余計に高値で取引される。
ただそれだけのモノのはずだ。だがあの子は、確実に怯えていた。それをなかったことになんて、出来ねえし二度と繰り返すつもりもない。知らなければまたレイザードを、傷つけてしまうかもしれない。そんな愚行を繰り返すつもりはなかった。
「で、今日は何の用件だ?」
「仕事じゃない」
座り向き直った状態で、否定を返せば露骨にギーニスの眉間に皺が寄る。
呼び出しておいて仕事じゃないと告げれば、こいつの機嫌が悪くなることなんて分かっていた。それでも呼んだ。こいつに聞くのが、得たい情報を得られると考えたからだ。
「仕事でもねえのに、呼び出しやがったのか」
「俺が個人的に、確かめたいことがあるだけだ。金を出せってなら、払うさ」
―― そうだ、いくらでも惜しくない
もし知っているのなら、情報の対価に金を出すのを躊躇する理由なんてないんだ。
「殊勝じゃねえか。で、個人的ってなんだ」
「お前これを、見てどう思う」
鉱石を、手に取り見せる。あの子を傷つけたモノだ。捨てちまいたいが、それは確認が済んでからにしてとっておいた。
「だだのゴミだな」
「ゴミ?」
不機嫌か声が、返ってきた。
市場に出回らない高額な値段で、取引される。希少さ故に喉から手が出るほど、ほしいという奴らもいる。それをギーニアスは、ゴミと称した。
「ただの破片だろう。こんなものに、何の価値があるってのか。高値で取引してるんだってな? 気が知れねえ」
「破片っていうなら、欠ける前の大本があるのか。もっとでかい……」
馬鹿にしたように口元を、あげて立ち上がる。こっちは話が終わってない。続ければ突き刺すような視線を向けられた。
「あったとしたら、どうする。手に入れるか? 己がものにして、お前は何をする」
温度のない目と、淡々とした口調だ。
―― 珍しいな
こいつは口の悪い奴で、柄も悪くて、すぐに機嫌も悪くなる。だから声を荒げるのも、口汚くなるのもいつものことで特段珍しいことじゃない。
ただどこまでも平坦な声と、静かに細まった目が少しむかついた程度のいつもの怒りじゃないことは知れる。
「探したいってなら、止めやしねえさ。好きにすりゃ良い。お前ならもしかして、手に入れるかもしれねな。ただそうした時点で、俺は今後一切お前と取引はしない」
「これはお前……光の術師に、関係あるのか?」
いつもの口調にもどっちゃいるが、目は相変わらずだ。それがこいつの言葉に、嘘がないことを証明している。
「商売に知識は、必要なんだろうがな。何でも知ってどうする。知る必要のねえことに、首突っ込んでも碌なことにならねえぞ」
「質問を、変える。鉱石に力を、注ぎ込むことをお前はどう思う」
少しで情報が、ほしかった。二度とあの子を傷つけないためにだ。けれど問う内容をそれ以上に、言葉は選びを間違ったらしい。あと一歩踏み込めば、首から血が吹き出すはめになるんじゃねえかってほどの殺意を向けられる。
「誰に何を、依頼された? いいか、お前が発するのを許されてるいのは、正直に俺に話すことだけだ。嘘は、つくなよ。俺は、見破る。馬鹿な返答をして、痛い思いをしたくないだろう?」
「言ったろ、仕事じゃない」
その言葉が張ったりじゃないのは、分かった。
冷や汗が伝うが、こっちも仕事で鍛えられてる。焦りも感じた恐怖も、どちらも声に顔にもださない手段くらい持ち合わせていた。
「ある子が、鉱石に力を注ぎ込むとき様子が変わった、顔色は青白くなって、体は震えて」
「あのガキが?」
仕事じゃないといって、その理由を伏せ続ければなにも話さないだろう。だからレイザードの名を伏せて、話を続ける。けれどギーニアスの口から出たガキという言葉に、虚を突かれた。
「ちょっとまて、なんで……」
俺はレイザードの名前は、出していない。状況も特定繋がる言葉も、話していない。なのになぜレイザードだと当たりをつけた。思わずついて出た言葉に、内心で舌打ちをする。今の反応は、肯定したのと同じだ。
「お前は俺が、キレてるの分かってるよな」
「そりゃ見れば、わかるさ」
あれを見て怒りを感じないほど、鈍感なら商売など出来やしない。今の立場を得ることは、一生なかっただろう。
「俺を本気で怒らせて、お前になんの利がある。取引がなくなって、収益が下がってなんにもならねえだろ。けどお前は分かったうえで、話を進めた。利益にならねえのに、お前が動くなんて稀だ。その段階で『ある子』が、誰かなんて直ぐ分かるんだよ」
「……」
二の句が、継げない。
―― また、やっちまった……
こいつの前で、一度醜態をさらしている。今回で、二度目だ。
「お前……本当さ、あのガキのことになるとポンコツだよな。アホの底なし沼じゃねえか」
「うるせえよ。で、答えは」
ガキかと言いたくなる言葉しか返せやしない。どう否定したって、俺が馬鹿な反応したのは事実だ。
「知るか」
「はあ? ふざけてんのか」
人を馬鹿にしておいて出てきた言葉に、思わず俺のほうがキレそうになった。人をおちょくっておいて、なんて奴だ。
「俺が聞きてえくれえだ。なんであのガキが、鉱石に力入れるのに様子がおかしくなる。お前だけじゃない。あいつにも、関係の話だ。そもそもなんでガキのことを、俺に聞く。知る分けねえだろう」
「光の術師には、関係があるのか」
二度目の質問の意図を、理解しようとしてんだろう。探るような目を向けてくる。
―― そりゃそうだ
こいつは俺が知っている事をしらない。だから光の術師と口にした意味も、わかりゃしない。
「シーディス、俺はお前に、恩がある。だから最初で最後の警告を、してやるよ。踏み込むな。お前がいくら金を持ってようと、貴族に顔が利こうが深入りするんじゃねえ。お前じゃ手に負えない」
―― そうだな
ギーニアスは、何も知らない。だから関係ないってのは、答えとしては当然だ。
ただ一つ分かったことがある。俺が聞いたことは、こいつキレるさせるには十分な内容で、肯定を返してこなくても同意したのと同じってことだ。
―― そうか
今のままじゃ足りないのか。金も手に入れた力も手に入れた。だからもしものときは、守れると思い込んでた。けどギーニアスの言葉を、鵜呑みにするならまだ足りない。もっと金も権力も、必要だってことだ、
「わかった。俺も馬鹿じゃない。踏む必要のねえ棘を、わざわざ踏みに行く真似はしねえさ」
「出来の悪い欠片に当って必要以上に、魔力を吸いとられそうにでもなったんじゃねえか? 勘が悪いわけじゃねえだろうし、それを察したのかもな」
納得してねえってのは、きっと気づいてんだろうな。ただ引く姿勢を見せたから、それで良しとしたんだろう。あとは警告したから、それ以上は知らねえってことかもな。
「帰るのか」
「これ以上は、用はねえだろ。俺も話すこともないしな。俺のありがたい警告を、きちんと頭にたたき込んでおけよ」
立ち上がったギーニアスに、分かりきった言葉をかける。
背を向けて扉に向かいそのまま出て行くのかと思えば、一度動きを止めて振り返り口を開く。どこかふざけた口調だが、目が冗談でないことを証明している。念を押されずとも分かっていると返せば、鼻で笑い扉の向こうに消えた。
67
お気に入りに追加
1,129
あなたにおすすめの小説

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!

【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

動物アレルギーのSS級治療師は、竜神と恋をする
拍羅
BL
SS級治療師、ルカ。それが今世の俺だ。
前世では、野犬に噛まれたことで狂犬病に感染し、死んでしまった。次に目が覚めると、異世界に転生していた。しかも、森に住んでるのは獣人で人間は俺1人?!しかも、俺は動物アレルギー持ち…
でも、彼らの怪我を治療出来る力を持つのは治癒魔法が使える自分だけ…
優しい彼が、唯一触れられる竜神に溺愛されて生活するお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる