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私、帝国領で暴れます!

私、備えます!

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 ゴォン

 魔力に物を言わせて周りを黙らせていると、突然、地面が揺れました。
 ただ、この揺れは微弱ですし、私に注目せざるを得ない状況下で気付けた人はいないようです。

 でも確かに、揺れていました。そして今も、鈍い振動が小さな音となって響いてきています。

 なーんか、覚えがある感覚です。ホント、嫌になりますよ。最悪逃げてもいいですけどね。その選択は、この後次第、ってところでしょう。

 取り敢えず、事態に対応出来るように超広範囲の探知結界だけ張っておきましょうか。
 今は弟子とお母さんの方が大切ですしね。

 半径500メール程度の結界なら、頭もぜんぜん痛くならないですね。相当の情報量だと思うんですけどね。

「んー。これは、うーん……」

 すごい数・・・・です。認識出来る範囲内だけで、ざっと10万はいます。踏み潰されて死んでいるのを併せると、大体15万から20万くらいかな。

 本格的な魔物の大暴走スタンピードですね。

 魔物たちがこの街に到着するまで、大体30分くらいでしょう。その間に二人が落ち着いてくれたら、今後の話し合いも早く始められるんですけど……。無理なら無理で、逃げればいいですしね。

 私にとっては数十万、数百万の命より、弟子とその家族の方が大切ですから。無理に急かす必要もありません。
 他人さんがどうなろうが、私は知ったこっちゃないですし。

 さて、もうそろそろ気付き始める頃かな。

 カンカンカンカンカン

 そう思った時、以上を知らせる鐘の音が、都中にけたたましく鳴り響きました。

 この会場内にも、もちろん響いていますけれども……。依然として動けないようですね。流石に妨害するのはちょっと可哀想なので、魔力をしまいます。シュポッと。

「「「「「はぁはぁはぁはぁ……」」」」」

 慌てふためく人で溢れ返るかと思っていたら、思いのほか、皆さん冷静でした。騒ぎ始める事もなく、ただ荒い息を吐いているだけ。

「……確認を急げ」

 ただやはり皇子様は立派で、先程の鐘の音の正体を騎士に確認するよう指示を出していました。
 私は優しい子なので、それくらいは教えたげますよ。

「今、魔物の大軍勢がこの都市に押し掛けて来ています。数は今のところ、12ーー13万になりました。確認できる範囲では、災害級ディザスターもチラホラ見えますね」
「「「「「な……」」」」」

 その言葉に、一同が揃って絶句しました。

 でもなんて言うか、私から言わせてみれば、災害級ディザスターが複数とか、大してビックリする事でも無いですけどね。
 王国で奴隷をやっていた時なんか、10数体の中に投げ込まれたりしましたし、なんなら毎月のように現れてましたよ。

 ちなみにですけど、災害級のお肉は総じてゲロマズです。トカゲ肉と同じような感じで、食べるとまず、口の中いっぱいにエグ味と苦味が広がるのです。そうしたら次は、鼻の奥まで破壊していくような激臭が襲ってきて、目まで痛くなってくる始末です。

 アレ食べて吐かない人って、私以外に居るのでしょうか……?
 きっといませんよね。私だって、一年経つまでは毎日のように吐いてましたもん。

 ……吐いたゲロまで食べさせられるので、死ぬ気で飲み込もうとしていたのです。それでも一年は無理だったほどですよ……。

「はぁぁぁ……。災害級ってホントクソですね」

 むしろ、そんな事を強要した王国こそが災害級でしょうか……? …………そうかも。

 まあそれはいいや。いつか、王城くらいは破壊してやりますけどね!

 そんな事より、二人です。これから先、何をやるにしても死んでもらっては困りますからね。久しぶりに本気の魔法を使ってやります。

「ふぅ……」

『聖光展開。
 煌めき光れ。白より白く、天より輝く生命の源泉。其は黄金の燦爛さんらんを纏いし聖者。月と成す希望の凝集。聖なる天使は愛染あいぜんを奏で、遍照へんじょうの太陽を覚醒させん』

「《光の王アイリス》」

 唱え終わると、私の周囲に展開していた魔力の半分が光となって、二人の体に吸い込まれました。
 ちゃんと発動したみたいで良かったです。……でも、久しぶりに頭痛いです。魔力の半分が急激に消し飛んだから、倦怠感がすごい……。

 この程度ならまだまだ耐えられますけど、やっぱり複数節連続詠唱はヤベェです。その分効果は莫大になりますけど、消費する魔力が跳ね上がる……。

 ……ゲロ吐きそう。

「……ふぅ。1時間くらいは魔法はお預けですね」

 それくらいあれば、消費した分の5パーセントくらいは回復できますしね。

 ああ、ちなみに効果ですけど、攻撃を食らっても死なないようにする、ってものです。もちろん自動再生の効果付きですよ。
 ただ、頭が爆ぜるとか、心臓が破裂するとか、そういう致命即死の攻撃だけはダメなので、保険みたいなものですね。無いよりマシってやつです。

「あ、あの、師匠……?」
「……ん? ああ、弟子。どうしたんですか? もう再会の挨拶はいいんですか?」
「えぁ、は、はい……。その、ありがとうございました」
「はい。どういたしまして」

 お母さんにヒシッと抱き着いたままですけど、それも仕方ないですよね。何ヶ月か何年か分かりませんけど、長いこと離れ離れだったと思いますし。お母さんが奴隷として売られそうになっていましたから、きっと弟子にも何かあったのでしょうし。

 ああ、それより目元が赤くなってますね。《癒しの光ホーリーライト》。よし、これでおっ……うっぷ……。

 ……いつもの感覚で使ってしまった……。

「あ、あの、師匠……。大丈夫ですか……?」
「大丈夫……っぷ……ぉぇ…………魔力使いすぎて気持ち悪いです。ゲロ吐きそう」
「「!?!!?」」


════════════════
エール感謝13本目!

誤字を減らすぅぅぅぅ!!! って意識してたからか、別の作品に引っ張られたからなのかは分かりませんが、何だか今回のお話はお堅い印象になってしまいました。

不評でしたら、もっとふざけた(?)感じに修正しますm(_ _)m

詠唱文下手っぴですけど、30分くらいかけてますOrz
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