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私、帝国領で暴れます!

私、オークションで捌きます!

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エール感謝10本目!

何とか2話目の更新出来ました!
雰囲気を残すため、今回は前書きです。
════════════════

 オークション会場内は、始まる前から白熱した空気感を形成していました。舞台だけが照らされた暗いホールで、椅子に座っている方々がソワソワしているのが分かります。

 そんな独特の空気感に当てられて、私の気持ちもまた、同じように高まります。

「ほわあ~。すっごいですねえ~」

 通された特別席から下を見下ろすと、さらにそのホールの凄さが際立ちます。
 室内は暗いのに、誘導用の小さなライトが光っています。それが足下だけは少し明るくしているのですが、上から見ると、それが帝国の紋のように見えました。

 意味までは覚えていないですけど、剣と、魔を祓う聖なる炎の図柄はよく覚えています。すごくカッコいいですからね。

「ほほほ。気に入っていただけましたかな。セリー様」
「……ああ! はい。すごいと思います。これは、最初からこうやって設計していたんですか?」
「ええ。そうなのです。帝都からは遠いですが、それでも来たい! と思っていただけるように、と考えてこのような形になったのですよ」

 ほえぇ。辺境の都って、その成り立ちからして軍事特化が基本だと思うんですけど、ここはそんな中にあっても、余裕を持つことは忘れなかったんですね。

 辺境都市は国への入り口でもありますから、そこを見ると、その国の豊かさが分かると聞いた事があります。以前は理解できませんでしたが、コレを見ると、なるほどと頷けますね。
 洗練された知恵と技術の結晶です。

 私が会場内に見惚れていると、ニコニコとした二人が戻ってきました。騎士の人や、青髪の人も一緒です。

「弟子。おかえりなさい。さあ、こっちに来てください」
「はい。……ふっ」
「~~~ッッッ!!!」

 私の方に呼ぶと、弟子が素直に返事をして、こちらに向かってきます。偉い子ですね。

「へあっ!?」
「なっ!?」

 あの訓練法をやると、しばらく魔力の出力が大幅に落ちるんですよね。無理に出そうとすると血が出ますし、何よりすごく痛いです。今の弟子の強さは、言ってしまえば孤児だった頃と大して代わりありません。

 要するに、危ないのです。ここでは何かがあった時、全て吹き飛ばしてハイ解決! と言うのは無理ですしね。私が守ってあげないと。

 なので、弟子は私のお膝の上に座らせました。

「しししし、師匠っ!?!? どどっど、どえ!?」
「??? どえ? ……えっと、弟子を守るのは師匠の約目ですよ? 安心してください。何があろうと、弟子だけは私が守りますから」

 そう語りかけるように伝えると、ちゃんと理解してくれたのか、小さく頷いてくれました。
 それと同時に、パンッと弾ける音がして、タキシード姿の男の人が壇上に上がりました。

「レディースアンドジェントルメン! 本日もオークションの時間が~ッ、やってまいりました!!!」

 その掛け声とともに、会場の熱気が高まったのを感じます。ブワッという感じに。

「本日はなんと、目玉商品が二つも入っております!!! 一つは~ッ、エルフの女!!!」
「そしてもう一つッ!!! もう一つはなんとなんと!!! なんとォォォ~ッ、ドラゴンですッッッ!!!」

 そこで、参加者の熱狂が最高潮になりました。叫びこそしないものの、その興奮具合はよくよく伝わってきます。

 ……なんで?

 ただ私は、どうにも盛り上がっている理由が理解出来ません。
 トカゲなんて森を歩けばウヨウヨ出てきますし、何よりマズイです。生ゴミの方がマシなレベルで。

 にも関わらず、ここにいる人たちはそれを求めている。

 私は、食べるなら絶対、さっきの黄金鳥のほうがいいと思うんですけどね。まあ、人の好みは違いますからね。

「ーーそれでは、ジェントルアンドレディー。オークションを存分にお楽しみください!」

 余計な事を考えていたら、いつの間にかタキシードさんのお話が終わっていました。それと同時に、いくつかの品物が運ばれてきます。

 まずは前座、というわけですね。ふふん、いいでしょう。今の私は大金持ち|(金貨80枚程度)ですからね。存分に楽しんでやるとしましょう。


「はい! またまた47番の方がご落札!!! ありがとうございます!」
「ふっ。ちょろいモンです」
「そ、そんなに使っても大丈夫なんでしょうか……?」

 これでもう13品目ですからね。弟子が不安に思うのも無理は無い事でしょう。しかし、私は思うのです。お金は使ってなんぼのモノ、だとね! 欲しいと思ったら即購入ですよ!

「ふふん。安心してください。師匠は金貨を80枚も持ってますからね。弟子も欲しい物があったら言ってくださいね!」
「え、はい」

 それに、トカゲの死体がこんなにも人気になるなら、乱獲してきても良いのです。多分トカゲって、重すぎて一部分しか運べない、っていうのも値段を吊り上げている要因だと思うんですよね。

 つまり、丸々全部持って帰ってくることが出来る私は、最強です。お小遣い稼ぎ感覚で乱獲ですよ!

「さあッ!!! お次はいよいよ本日の目玉の一つ!!! エルフの女の登場ですッッッ!!!!!」

 ああ、もう終わりですか。ここら辺はもう、私には興味無いですからね。多分、女の人を買うのって、男性ですよね。そういう目的で。
 だから女の私には、全く関係ないです。

 エルフってなかなか森から出ないそうですし、きっとヤバい値段が付くんでしょうね。

 ああ、はいはい。すごい熱気ですね。

 まあ確かに、すごいレベルの美人さんではありますけど、値が吊り上がっいるところを見てもあんまり面白くないですね。
 やっぱり、自分と似た境遇奴隷だからでしょうか。すごく萎えます。

「はあ。……せっかく楽しかったのに」

 このまま会場を出ようかと弟子に声をかけようとしたところで、今にも消え入りそうな呟きが聞こえて来ました。

「かあ……さん……。なん……」


 …………そうですか。
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