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10話 ギャル友×誘惑
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(何やねん、この状況!?意味が分かれへん!!)
目の前にいる黒ギャルはもちろんその後ろにいる二人の女性が何故自身のことを知っているのか?
賢人には考えるだけで頭がおかしくなりそうだった。
「あの・・・
な、なんで僕のこと知ってはるんですか?
初対面な上に見るからに自身よりも年上だと思われる三人に対して焦りと戸惑いのあまり、つい関西弁が出てしまった。
「キャハ♡関西弁で喋るところも可愛いー♡」
「ホントそれだよねー♡」
「ウッフフ、聞いてた通り可愛らしい子ですわ」
年下に関西弁で質問されるのに対して、三人はその容姿で放つ方言がより可愛くて仕方なかった。
(ヤバい!ヤバい!
こんなところ里奈先輩に見られたらマジでヤバい!!
賢人は気まずくなっていたそんな矢先のことだった。
「賢人くーん!お待たせー!」
一番最悪なタイミングで里奈が戻ってきた。
(僕の人生、オワタ・・・・・・)
賢人が心の底から絶望した。
これは確実に浮気だと誤解されて修羅場に発展して別れ話になるに違いない。そう思って目を瞑り、もう一回里奈を見ようと目を開けてみた。
「もう~!三人ってば来ないでって、あれほど言ったじゃ~ん!」
「ごめんごめん、里奈っち~!」
「だってー、全然会ってくれないから寂しいからさ」
「その件に関しては、私もあまり乗り気では無かったですわ・・・」
(えぇ~~~~~!!?)
◇◇◇◇
「賢人くん、紹介するね?この子らは右から重盛蘭子と藤田 花、そして山内朱乃。三人とも小学校の頃からの友達だから!」
「蘭子でーす!胸は里奈っちよりワンカップ小さいけど、色気なら負けないよー?」
「花だよ~?こう見えてアニメと漫画が大好きで、蘭子とは大の親友で~す!」
「はじめまして、朱乃と申します。里奈がお世話になっています」
「や、山本賢人です」
「って蘭子!余計な情報出さなくていいの!」
(なんだ、里奈先輩のお友達だったのか・・・)
やはり普段の里奈とは違って、三人それぞれの個性から里奈の意外な一面を見つけた。
賢人はその中でも『花』といえば里奈が言っている例の電話を掛けてきた相手だとすぐに確信した。
四人の仲の良さを見る限り逆ナンパをかけようと絡んできたのではなく、里奈に会いたくて実際に来てみると偶然賢人を見つけて今に至ると分かり、賢人はそっと胸を撫で下ろした。
「そんなことよりもさー、さっきからずっと思ってたんだけど・・・男連れって言っての、あれホントだったんだー」
「っていうか里奈っち、あんた男は嫌いじゃなかったっけー?」
蘭子と花は賢人をジロジロと見ながら里奈に質問した。
「私たちも先日の里奈と花の電話で初めて聞かされましたわ。
その彼氏というのが、まさかこんなに可愛らしい男の子だったなんて・・・」
蘭子と花に図星を突かれて、更に追い討ちの如く朱乃が優しくほんのりとした笑顔で褒めちぎるものだから、賢人も里奈も動揺も隠せる訳もなく、頬が赤く染め上がった。
「な、何よ!私が相応の男を連れてくるのを期待してかの様な言い方!?」
「いやだって、本当のことだし」
「私はてっきり筋肉質を極めた男性を連れてくるのかと思いましたわ」
「な、なんで私がそんな人連れてくるのよ!?」
「えーだって里奈っちは好きな男のタイプなんて全然分からないし、教えてもくれないしー・・・」
「そ、そんなことあんたたちに教えてどうすんのよ!」
「「「・・・」」」
あたふたと焦りながら話す里奈に三人は不思議に思うと同時に、里奈に対してちょっとした意地悪な心が芽生えた。
「あっれれー?ウチら三人といる時の喋り方と今の喋り方、なんか変わってなくなーい?」
「あっ里奈っちアレね?
彼氏の前では素を見せたくないってことね?」
「なっ!?」
「いつも見る里奈らしく無いですわね」
賢人に見られている上に、三人から一斉に自身の一番弱い真実を貫かれた里奈は頭に血が昇ると同時に赤面した。
賢人はこの状況に笑っていいのか、それても気持ち的に引いたらいいのかいろんなことがごっちゃになってどうしたら良いのか分からなかった。
「・・・賢人くん、ちょっとだけ私の話聞いてくれないかな?」
「あ、はい!」
「ちょっとだけ待ってて!」
「「「?」」」
恥ずかしさから一転、いきなり里奈は賢人を連れ出して数メートル離れた地点で立ち止まり、三人に聞こえないように心がけながら賢人の耳に囁いた。
「(ちょ、ちょっと里奈先輩!どうしたんですか?)」
「(ごめんね急に、ちょっと注意してほしいことがあって・・・)」
冗談かと思っていたが、わざわざあの三人と距離を取らなければならない程に大事な話らしく、普段とは違って真剣な顔で話してくる里奈に流石の賢人も冗談ではないと悟り、真面目に話を聞くことにした。
「(・・・一体どういうことなんですか?)」
「(あの三人は確かに私が信頼している友人なんだけど・・・)」
「(・・・なんだけど?)」
「(朱乃はまだ普通なんだけど、後の二人は結構危ないタイプだから!)」
「(え・・・!?)」
里奈の言っていることが本当なのかご信じられなかった。
確かに蘭子と花の二人はおしとやかで大人びた朱乃とは違い、見るからにかなりやらかしそうな印象だった。
緑色の瞳を丸くする賢人だったが、里奈は話を続けた。
「(特に蘭子の方は一人にしておくと、何をしてくるか分からないぐらいだからくれぐれも気をつけて!)」
「(あ、はい・・・)」
(里奈先輩をそれほどまでに言わしめるなんてこれは只者じゃない気がするな・・・)
里奈の言葉に寒気を感じ、本当にそうなのか?と思いながら恐る恐る当の蘭子を見つめているとこちらの視線に気づいたのか、返事を送るかのように笑顔でウィンクしてきた。
それを見て賢人はとっさに見てなかったフリをして視線を反らした。
「(絶対だからね?間違って蘭子と二人だけで行動したら駄目だからね?)」
「(は、はい!分かりました!)」
里奈は賢人と二人だけの内緒話を終えるなり、随分と待たされてほったらかしにされている三人の元へと戻った。
「・・・ごめんねー?待たせちゃて!」
「もう、二人っきりで一体何話してたんだしー?」
「ウチらほったらかしにするなんて酷いしー・・・」
「里奈、二人だけで話すのも程々にしてほしいですわよ?」
ずっとほったらかしにされていて、三人は少しだけぶーぶーと拗ねた様子で言った。
それに対して里奈はもちろん賢人も一緒に悪気は無かったと三人に謝った。
「・・・あっいけない!夕方から姉さんとの約束があったんだ・・・!」
「・・・となりますと?」
「今日のデートはここまでみたい・・・
ごめんなさいね・・・?」
里奈はせっかくのデートだというのに、賢人の機嫌を損ねてしまったかと思い、少々残念そうにして言ったが、
賢人は機嫌を損ねるどころか、笑顔で里奈に応えた。
「・・・良いんですよ!今日はとても楽しかったですし!」
「・・・ホントに?」
「はい!また行けたら良いなと思ってます!」
「えー!そうなるんだったら、ウチらが来た意味無いじゃーん!」
「ちぇー、無駄足かー・・・」
「まぁ、里奈が言うのなら仕方ありませんわね」
また何か言いそうだしそうな三人だったが、惜しみはあったように見えたものの、
流石にお手上げだったのか、あっさりと許しが下りた。
「蘭子たちまでごめんね?じゃあそろそろ行かなきゃ!
賢人くん、また学校でねー!」
「はい、さよならー!」
最後に里奈は、四人に向かって謝罪と感謝の気持ちを込めた笑顔を送り、その場から走り去っていった。
それをまた賢人が笑顔で見送っていくのだった。
「・・・じゃあ僕も帰りますけど、三人はこの後どうするんですか?」
「ウチらまだ残るわ、さっき来たばっかりだし」
「だね、買っときたい奴とかあるし!」
「せっかく来たことですし、もうしばらく楽しむことにしますわ」
「あっ!なんだったら君も一緒に行かない?」
(一人にしておくと何をしてくるか分からないから、くれぐれも気をつけて!)
「・・・!あ、良いです。大丈夫です!」
蘭子に問いかけられた瞬間、里奈の忠告を思い出した賢人は早々に遠慮する形で断った。
「冗談よ冗談!お子様には大人の遊びはまだ早いっつーの(笑)」
「こ、子供って・・・じゃあ僕は帰りますんで、さよなら!」
「あー、照れ隠しした上に逃げたー」
「これからも里奈をよろしくねー!」
「気をつけて帰るのですよー?」
高校生だと言うのに、子供とからかわれた賢人は顔を赤くして、恥ずかしさを誤魔化しながら、
その様子をからかわれるのを我慢しながら三人にさよならを言って、走り去っていった。
◇◇◇◇
「ふぅ~、今日は楽しかったな~・・・」
その後、賢人はショッピングモールからすぐに出ると駅前でたまたまライブをしているストリートミュージシャン達から声を掛けられ、その場で歌を聴いていたお客さん達を含め写真を撮ってもらった。
なんといっても、メンバー全員が賢人の大ファンだったらしい。
その後、スクランブル交差点を通過して自宅がある住宅街へと向かって歩き続けたが少し疲れたので、ひと休みするために近所にある公園に立ち寄ってベンチに座り込んだ。
「里奈先輩と買ったこのストラップ、一生大切にしよう!」
賢人は里奈とお揃いで買ったストラップを手に持ち、嬉しそうにしながら見つめていた。
しかしその一方で、賢人には一つだけどうしても気に掛かることがあった。
(・・・それにしても、里奈先輩が言っていた事が気になるなぁ・・・・・・)
そう、賢人がやたらと気に掛けているのは何を隠そう蘭子のことだった。
里奈にも匹敵するプロポーションや服装の過激さからしてギャルの枠を超えている上、あの状態から更に危ないと里奈に言わしめたことから、只者では無いことは確かだった。
しかし、あの場にいた蘭子は明るくてノリも良かった為、里奈の言っていることがつい疑ってしまう程だった。
「あ~・・・重盛さんって里奈先輩が言う程、悪い人じゃない気がするんだけどなぁ・・・」
「アタシがなんだって?」
「・・・!?」
いきなり後ろから聞き覚えのある声が聞こえると思えば、勢い良く立ち上がって振り返ってみると、なんとそこにはショッピングモールに残ると言っていたはずの蘭子が立っていた。
「し、重盛さん・・・!?なんで!?」
「もう、蘭子で良いよー」
「・・・じゃあ蘭子さん、なんでここにいるんですか!?」
「え?なんてゆうかー・・・賢人くんと少しだけ話したかった的な?」
「話したい?僕と?・・・ってか他の二人に迷惑かけたりしないんですか?」
「平気平気!アタシも用事が出来たからすぐ帰るって言っておいた♪」
「いや、思いっきり嘘ですよねそれ・・・?」
明るくにこやかに笑いながら答える蘭子に、賢人は軽く退いている感じで突っ込んだ。
「そんなことはどうでもいいんだけどさー、急に話が変わる訳なんだけどー・・・」
「・・・?なんでしょうか?」
「正直言って賢人くんってさー・・・
「!?」
何かを言い終わろうとした蘭子は、賢人の方へと近づいてきて、
壁ドンするかのようにすぐ後ろにあった木の下まで賢人に迫ってきた。
「ぶっちゃけ言ってー、里奈っちとはどこまでいってる訳?」
「え?え!?」
その距離はあまりにも近すぎるて賢人と蘭子の体がギリギリでくっついてしまう程で、
更には心臓が妙にバクバクと音を鳴らしていて、とても痛かった。
(ヤバい!ヤバいヤバい!!)
「・・・アハッ♡なんか心臓の音がうるさいんですけどー?」
「あ、いや、これはその・・・」
賢人は図星を突かれたというより、貫かれた影響で顔を真っ赤にした。
それに対して蘭子はまるでイジメっ子のように賢人の胸部に人差し指で丸を何度も描いて煽る行動に、
賢人の心臓の音は激しさを増すばかりだった。
「キャハ♡彼女じゃない女の子にドキドキしちゃいけないんだー♡」
目の前にいる黒ギャルはもちろんその後ろにいる二人の女性が何故自身のことを知っているのか?
賢人には考えるだけで頭がおかしくなりそうだった。
「あの・・・
な、なんで僕のこと知ってはるんですか?
初対面な上に見るからに自身よりも年上だと思われる三人に対して焦りと戸惑いのあまり、つい関西弁が出てしまった。
「キャハ♡関西弁で喋るところも可愛いー♡」
「ホントそれだよねー♡」
「ウッフフ、聞いてた通り可愛らしい子ですわ」
年下に関西弁で質問されるのに対して、三人はその容姿で放つ方言がより可愛くて仕方なかった。
(ヤバい!ヤバい!
こんなところ里奈先輩に見られたらマジでヤバい!!
賢人は気まずくなっていたそんな矢先のことだった。
「賢人くーん!お待たせー!」
一番最悪なタイミングで里奈が戻ってきた。
(僕の人生、オワタ・・・・・・)
賢人が心の底から絶望した。
これは確実に浮気だと誤解されて修羅場に発展して別れ話になるに違いない。そう思って目を瞑り、もう一回里奈を見ようと目を開けてみた。
「もう~!三人ってば来ないでって、あれほど言ったじゃ~ん!」
「ごめんごめん、里奈っち~!」
「だってー、全然会ってくれないから寂しいからさ」
「その件に関しては、私もあまり乗り気では無かったですわ・・・」
(えぇ~~~~~!!?)
◇◇◇◇
「賢人くん、紹介するね?この子らは右から重盛蘭子と藤田 花、そして山内朱乃。三人とも小学校の頃からの友達だから!」
「蘭子でーす!胸は里奈っちよりワンカップ小さいけど、色気なら負けないよー?」
「花だよ~?こう見えてアニメと漫画が大好きで、蘭子とは大の親友で~す!」
「はじめまして、朱乃と申します。里奈がお世話になっています」
「や、山本賢人です」
「って蘭子!余計な情報出さなくていいの!」
(なんだ、里奈先輩のお友達だったのか・・・)
やはり普段の里奈とは違って、三人それぞれの個性から里奈の意外な一面を見つけた。
賢人はその中でも『花』といえば里奈が言っている例の電話を掛けてきた相手だとすぐに確信した。
四人の仲の良さを見る限り逆ナンパをかけようと絡んできたのではなく、里奈に会いたくて実際に来てみると偶然賢人を見つけて今に至ると分かり、賢人はそっと胸を撫で下ろした。
「そんなことよりもさー、さっきからずっと思ってたんだけど・・・男連れって言っての、あれホントだったんだー」
「っていうか里奈っち、あんた男は嫌いじゃなかったっけー?」
蘭子と花は賢人をジロジロと見ながら里奈に質問した。
「私たちも先日の里奈と花の電話で初めて聞かされましたわ。
その彼氏というのが、まさかこんなに可愛らしい男の子だったなんて・・・」
蘭子と花に図星を突かれて、更に追い討ちの如く朱乃が優しくほんのりとした笑顔で褒めちぎるものだから、賢人も里奈も動揺も隠せる訳もなく、頬が赤く染め上がった。
「な、何よ!私が相応の男を連れてくるのを期待してかの様な言い方!?」
「いやだって、本当のことだし」
「私はてっきり筋肉質を極めた男性を連れてくるのかと思いましたわ」
「な、なんで私がそんな人連れてくるのよ!?」
「えーだって里奈っちは好きな男のタイプなんて全然分からないし、教えてもくれないしー・・・」
「そ、そんなことあんたたちに教えてどうすんのよ!」
「「「・・・」」」
あたふたと焦りながら話す里奈に三人は不思議に思うと同時に、里奈に対してちょっとした意地悪な心が芽生えた。
「あっれれー?ウチら三人といる時の喋り方と今の喋り方、なんか変わってなくなーい?」
「あっ里奈っちアレね?
彼氏の前では素を見せたくないってことね?」
「なっ!?」
「いつも見る里奈らしく無いですわね」
賢人に見られている上に、三人から一斉に自身の一番弱い真実を貫かれた里奈は頭に血が昇ると同時に赤面した。
賢人はこの状況に笑っていいのか、それても気持ち的に引いたらいいのかいろんなことがごっちゃになってどうしたら良いのか分からなかった。
「・・・賢人くん、ちょっとだけ私の話聞いてくれないかな?」
「あ、はい!」
「ちょっとだけ待ってて!」
「「「?」」」
恥ずかしさから一転、いきなり里奈は賢人を連れ出して数メートル離れた地点で立ち止まり、三人に聞こえないように心がけながら賢人の耳に囁いた。
「(ちょ、ちょっと里奈先輩!どうしたんですか?)」
「(ごめんね急に、ちょっと注意してほしいことがあって・・・)」
冗談かと思っていたが、わざわざあの三人と距離を取らなければならない程に大事な話らしく、普段とは違って真剣な顔で話してくる里奈に流石の賢人も冗談ではないと悟り、真面目に話を聞くことにした。
「(・・・一体どういうことなんですか?)」
「(あの三人は確かに私が信頼している友人なんだけど・・・)」
「(・・・なんだけど?)」
「(朱乃はまだ普通なんだけど、後の二人は結構危ないタイプだから!)」
「(え・・・!?)」
里奈の言っていることが本当なのかご信じられなかった。
確かに蘭子と花の二人はおしとやかで大人びた朱乃とは違い、見るからにかなりやらかしそうな印象だった。
緑色の瞳を丸くする賢人だったが、里奈は話を続けた。
「(特に蘭子の方は一人にしておくと、何をしてくるか分からないぐらいだからくれぐれも気をつけて!)」
「(あ、はい・・・)」
(里奈先輩をそれほどまでに言わしめるなんてこれは只者じゃない気がするな・・・)
里奈の言葉に寒気を感じ、本当にそうなのか?と思いながら恐る恐る当の蘭子を見つめているとこちらの視線に気づいたのか、返事を送るかのように笑顔でウィンクしてきた。
それを見て賢人はとっさに見てなかったフリをして視線を反らした。
「(絶対だからね?間違って蘭子と二人だけで行動したら駄目だからね?)」
「(は、はい!分かりました!)」
里奈は賢人と二人だけの内緒話を終えるなり、随分と待たされてほったらかしにされている三人の元へと戻った。
「・・・ごめんねー?待たせちゃて!」
「もう、二人っきりで一体何話してたんだしー?」
「ウチらほったらかしにするなんて酷いしー・・・」
「里奈、二人だけで話すのも程々にしてほしいですわよ?」
ずっとほったらかしにされていて、三人は少しだけぶーぶーと拗ねた様子で言った。
それに対して里奈はもちろん賢人も一緒に悪気は無かったと三人に謝った。
「・・・あっいけない!夕方から姉さんとの約束があったんだ・・・!」
「・・・となりますと?」
「今日のデートはここまでみたい・・・
ごめんなさいね・・・?」
里奈はせっかくのデートだというのに、賢人の機嫌を損ねてしまったかと思い、少々残念そうにして言ったが、
賢人は機嫌を損ねるどころか、笑顔で里奈に応えた。
「・・・良いんですよ!今日はとても楽しかったですし!」
「・・・ホントに?」
「はい!また行けたら良いなと思ってます!」
「えー!そうなるんだったら、ウチらが来た意味無いじゃーん!」
「ちぇー、無駄足かー・・・」
「まぁ、里奈が言うのなら仕方ありませんわね」
また何か言いそうだしそうな三人だったが、惜しみはあったように見えたものの、
流石にお手上げだったのか、あっさりと許しが下りた。
「蘭子たちまでごめんね?じゃあそろそろ行かなきゃ!
賢人くん、また学校でねー!」
「はい、さよならー!」
最後に里奈は、四人に向かって謝罪と感謝の気持ちを込めた笑顔を送り、その場から走り去っていった。
それをまた賢人が笑顔で見送っていくのだった。
「・・・じゃあ僕も帰りますけど、三人はこの後どうするんですか?」
「ウチらまだ残るわ、さっき来たばっかりだし」
「だね、買っときたい奴とかあるし!」
「せっかく来たことですし、もうしばらく楽しむことにしますわ」
「あっ!なんだったら君も一緒に行かない?」
(一人にしておくと何をしてくるか分からないから、くれぐれも気をつけて!)
「・・・!あ、良いです。大丈夫です!」
蘭子に問いかけられた瞬間、里奈の忠告を思い出した賢人は早々に遠慮する形で断った。
「冗談よ冗談!お子様には大人の遊びはまだ早いっつーの(笑)」
「こ、子供って・・・じゃあ僕は帰りますんで、さよなら!」
「あー、照れ隠しした上に逃げたー」
「これからも里奈をよろしくねー!」
「気をつけて帰るのですよー?」
高校生だと言うのに、子供とからかわれた賢人は顔を赤くして、恥ずかしさを誤魔化しながら、
その様子をからかわれるのを我慢しながら三人にさよならを言って、走り去っていった。
◇◇◇◇
「ふぅ~、今日は楽しかったな~・・・」
その後、賢人はショッピングモールからすぐに出ると駅前でたまたまライブをしているストリートミュージシャン達から声を掛けられ、その場で歌を聴いていたお客さん達を含め写真を撮ってもらった。
なんといっても、メンバー全員が賢人の大ファンだったらしい。
その後、スクランブル交差点を通過して自宅がある住宅街へと向かって歩き続けたが少し疲れたので、ひと休みするために近所にある公園に立ち寄ってベンチに座り込んだ。
「里奈先輩と買ったこのストラップ、一生大切にしよう!」
賢人は里奈とお揃いで買ったストラップを手に持ち、嬉しそうにしながら見つめていた。
しかしその一方で、賢人には一つだけどうしても気に掛かることがあった。
(・・・それにしても、里奈先輩が言っていた事が気になるなぁ・・・・・・)
そう、賢人がやたらと気に掛けているのは何を隠そう蘭子のことだった。
里奈にも匹敵するプロポーションや服装の過激さからしてギャルの枠を超えている上、あの状態から更に危ないと里奈に言わしめたことから、只者では無いことは確かだった。
しかし、あの場にいた蘭子は明るくてノリも良かった為、里奈の言っていることがつい疑ってしまう程だった。
「あ~・・・重盛さんって里奈先輩が言う程、悪い人じゃない気がするんだけどなぁ・・・」
「アタシがなんだって?」
「・・・!?」
いきなり後ろから聞き覚えのある声が聞こえると思えば、勢い良く立ち上がって振り返ってみると、なんとそこにはショッピングモールに残ると言っていたはずの蘭子が立っていた。
「し、重盛さん・・・!?なんで!?」
「もう、蘭子で良いよー」
「・・・じゃあ蘭子さん、なんでここにいるんですか!?」
「え?なんてゆうかー・・・賢人くんと少しだけ話したかった的な?」
「話したい?僕と?・・・ってか他の二人に迷惑かけたりしないんですか?」
「平気平気!アタシも用事が出来たからすぐ帰るって言っておいた♪」
「いや、思いっきり嘘ですよねそれ・・・?」
明るくにこやかに笑いながら答える蘭子に、賢人は軽く退いている感じで突っ込んだ。
「そんなことはどうでもいいんだけどさー、急に話が変わる訳なんだけどー・・・」
「・・・?なんでしょうか?」
「正直言って賢人くんってさー・・・
「!?」
何かを言い終わろうとした蘭子は、賢人の方へと近づいてきて、
壁ドンするかのようにすぐ後ろにあった木の下まで賢人に迫ってきた。
「ぶっちゃけ言ってー、里奈っちとはどこまでいってる訳?」
「え?え!?」
その距離はあまりにも近すぎるて賢人と蘭子の体がギリギリでくっついてしまう程で、
更には心臓が妙にバクバクと音を鳴らしていて、とても痛かった。
(ヤバい!ヤバいヤバい!!)
「・・・アハッ♡なんか心臓の音がうるさいんですけどー?」
「あ、いや、これはその・・・」
賢人は図星を突かれたというより、貫かれた影響で顔を真っ赤にした。
それに対して蘭子はまるでイジメっ子のように賢人の胸部に人差し指で丸を何度も描いて煽る行動に、
賢人の心臓の音は激しさを増すばかりだった。
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