36 / 52
35話 夏休み×メンバー
しおりを挟む
「・・・ん?なにこれ?」
賢人は自宅に戻り、部屋で鞄の中身を整理をしていると一枚の紙切れが入っていることに気づいた。
もしかして配られたプリントのうち一枚だけファイルに入れ忘れていた?
いや、そもそも常に整理整頓を心がけているからそんなことはまずないだろう。
そんなことを思いつつよく見てみると、それはとあるプールのチラシだった。
夏といえばプールだしまさに今の季節に丁度いいが、こんなチラシをもらった覚えもないし見覚えもない。
そうなると誰かが入れたにしかならない、という結論に至った瞬間ピンと来た。
「長谷川先生・・・」
ふと脳裏をよぎった賢人はその名前を口にした。
まさか生徒指導室に呼ばれたあの時入れられたのか?
普通の人ならまずそう直感できるのはおかしいと感じるが、賢人はそうではない。
何故なら、チラシに微かに匂う香りがあの時あと一歩のところまで迫られたときに感じた長谷川の甘い匂いと似ていたのである。
それにしてもいつ入れたんだよ?
真っ先にその言葉が浮かんだ。やはり長谷川先生恐るべし。
「・・・・・・!」
しばらくこのチラシを見ながら沈黙した後、賢人はピンと来た。
よくよく考えてみれば、これは一つの情報提供してくれたことになる。
あの状況で気づかないうちに渡してくるのはどうか思うが、とりあえず長谷川先生に感謝せざるを得ない。
「となると・・・」
一人で行くのは一人で映画館を観に行くよりも遥かに寂しいと思い、せっかくなので怜人や伸之、里奈や莉央も誘うと思った。その一方で、高校生活そしてなにより彼女との最初の思い出にしたいと賢人は張り切るのであった。
『え?夏休みにプール?いいじゃんそれ!行きたい行きたい!』
『プールか、悪くない。俺も行こう』
『プールか~・・・いいよ!ちゃんと里奈も誘うんだよ?』
怜人、伸之、莉央とプールに行くメンバーが決まりつつあり・・・・・・
『賢人くんどうしたの?』
「あぁ、里奈先輩」
他の三人とは違い里奈にはLINEではなく電話で連絡を取った。
なにより一緒に行きたい本命である彼女だから、LINEで返事を待つより直接電話で連絡を取った方が早いと判断したからだ。
『すいません急に電話しちゃって・・・もしかしたら忙しいところを邪魔しちゃったかと・・・」
「いいのよ大丈夫。今ね、蘭子たちと一緒に居るの」
「あ・・・」
蘭子といえば、からかい目的とはいえ里奈を差し置いて強引に関係を迫ってきた黒ギャルのことだ。
思い出すだけで寒気がして恥ずかしくもなった。
しかし蘭子たちということは、おそらく花や朱乃も一緒にいるのだろう。
そう考えて少し安心した。
「実は今度の夏休みにプールに行きたいと思っていて、怜人たちや莉央さんも誘っているんですけど、よかったら里奈先輩もどうですか?」
『え~マジで!?行く行く!もちろん行く~!!』
もしかしたら断られるかもしれないと思い、賢人は少々弱気になって話を切り出してみると、里奈は予想以上に喜んで承諾してくれた。
これがとても嬉しくて、大声で叫びたい勢いだった。
『え~なになに~?里奈、賢人くんと喋ってんの~?』
(ゲッ・・・!!)
喜びに浸っていたのも束の間、肝心のプールの場所を教えている最中に突然携帯から里奈ではなく正直聞きたくなかった人物の声が聞こえてきた。
無論蘭子だ。
『やっほー!賢人くん久しぶりー!』
『本当に賢人くんなんだ~』
『あらあら、これはこれはお久しゅうございます』
蘭子から花、朱乃へと順番に声が聞こえてきた。
向こうの状況を察するに、里奈との会話を盗み聞きしていた蘭子が里奈から携帯を強奪して花と蘭子にもこちらの声が聞こえるように音量を上げて話しているのだろう。
「あ、はい。三人とも大変ご無沙汰で・・・」
里奈とは違う年上の女性三人に、ついご丁寧に言葉を返してしまった。
『もーなに改まっちゃってんのよー』
『そうそう、そんな畏まらなくていいっつうのー』
『むしろグイグイ来ても構いませんわよ?賢人くん』
『ちょっと三人とも!今は私と賢人くんとの話なんだから!!』
割と肉食系な三人は年上相手に草食系な対応しかできない賢人につまんなそうにブーブー言って、そんな割って話に入ろうとする三人を里奈が慌てながら咎める。
『それで~?夏休みに二人で何処か行く話でもしてたの~?』
((ギクっ!!))
蘭子の指摘に賢人と里奈は固まる。
どれだけ勘が鋭いんだこの人は。
『アッハハー⭐︎その反応はもしかして図星だったー?』
『え~里奈っちだけずるい~』
『そうですわ。里奈一人だけに賢人くんを独り占めなんて不公平ですわ』
自分の指摘が当たっていたことを察した蘭子の発言を聞いて、花と朱乃は里奈に抗議する。
『まあ、詳しい話は里奈に聞くからよろしく~』
『ちょっと!勝手に決めn・・・』
プツッ!ツーツーツー・・・
勝手に都合よく話を進める蘭子は里奈が言い終わる前に電話を切ってしまった。
ホント滅茶苦茶だ。
その後、結局里奈は賢人や他の友人たちと夏休みにプールに行くことを蘭子たちに説明し、蘭子たちも行くことになってしまった。
賢人は自宅に戻り、部屋で鞄の中身を整理をしていると一枚の紙切れが入っていることに気づいた。
もしかして配られたプリントのうち一枚だけファイルに入れ忘れていた?
いや、そもそも常に整理整頓を心がけているからそんなことはまずないだろう。
そんなことを思いつつよく見てみると、それはとあるプールのチラシだった。
夏といえばプールだしまさに今の季節に丁度いいが、こんなチラシをもらった覚えもないし見覚えもない。
そうなると誰かが入れたにしかならない、という結論に至った瞬間ピンと来た。
「長谷川先生・・・」
ふと脳裏をよぎった賢人はその名前を口にした。
まさか生徒指導室に呼ばれたあの時入れられたのか?
普通の人ならまずそう直感できるのはおかしいと感じるが、賢人はそうではない。
何故なら、チラシに微かに匂う香りがあの時あと一歩のところまで迫られたときに感じた長谷川の甘い匂いと似ていたのである。
それにしてもいつ入れたんだよ?
真っ先にその言葉が浮かんだ。やはり長谷川先生恐るべし。
「・・・・・・!」
しばらくこのチラシを見ながら沈黙した後、賢人はピンと来た。
よくよく考えてみれば、これは一つの情報提供してくれたことになる。
あの状況で気づかないうちに渡してくるのはどうか思うが、とりあえず長谷川先生に感謝せざるを得ない。
「となると・・・」
一人で行くのは一人で映画館を観に行くよりも遥かに寂しいと思い、せっかくなので怜人や伸之、里奈や莉央も誘うと思った。その一方で、高校生活そしてなにより彼女との最初の思い出にしたいと賢人は張り切るのであった。
『え?夏休みにプール?いいじゃんそれ!行きたい行きたい!』
『プールか、悪くない。俺も行こう』
『プールか~・・・いいよ!ちゃんと里奈も誘うんだよ?』
怜人、伸之、莉央とプールに行くメンバーが決まりつつあり・・・・・・
『賢人くんどうしたの?』
「あぁ、里奈先輩」
他の三人とは違い里奈にはLINEではなく電話で連絡を取った。
なにより一緒に行きたい本命である彼女だから、LINEで返事を待つより直接電話で連絡を取った方が早いと判断したからだ。
『すいません急に電話しちゃって・・・もしかしたら忙しいところを邪魔しちゃったかと・・・」
「いいのよ大丈夫。今ね、蘭子たちと一緒に居るの」
「あ・・・」
蘭子といえば、からかい目的とはいえ里奈を差し置いて強引に関係を迫ってきた黒ギャルのことだ。
思い出すだけで寒気がして恥ずかしくもなった。
しかし蘭子たちということは、おそらく花や朱乃も一緒にいるのだろう。
そう考えて少し安心した。
「実は今度の夏休みにプールに行きたいと思っていて、怜人たちや莉央さんも誘っているんですけど、よかったら里奈先輩もどうですか?」
『え~マジで!?行く行く!もちろん行く~!!』
もしかしたら断られるかもしれないと思い、賢人は少々弱気になって話を切り出してみると、里奈は予想以上に喜んで承諾してくれた。
これがとても嬉しくて、大声で叫びたい勢いだった。
『え~なになに~?里奈、賢人くんと喋ってんの~?』
(ゲッ・・・!!)
喜びに浸っていたのも束の間、肝心のプールの場所を教えている最中に突然携帯から里奈ではなく正直聞きたくなかった人物の声が聞こえてきた。
無論蘭子だ。
『やっほー!賢人くん久しぶりー!』
『本当に賢人くんなんだ~』
『あらあら、これはこれはお久しゅうございます』
蘭子から花、朱乃へと順番に声が聞こえてきた。
向こうの状況を察するに、里奈との会話を盗み聞きしていた蘭子が里奈から携帯を強奪して花と蘭子にもこちらの声が聞こえるように音量を上げて話しているのだろう。
「あ、はい。三人とも大変ご無沙汰で・・・」
里奈とは違う年上の女性三人に、ついご丁寧に言葉を返してしまった。
『もーなに改まっちゃってんのよー』
『そうそう、そんな畏まらなくていいっつうのー』
『むしろグイグイ来ても構いませんわよ?賢人くん』
『ちょっと三人とも!今は私と賢人くんとの話なんだから!!』
割と肉食系な三人は年上相手に草食系な対応しかできない賢人につまんなそうにブーブー言って、そんな割って話に入ろうとする三人を里奈が慌てながら咎める。
『それで~?夏休みに二人で何処か行く話でもしてたの~?』
((ギクっ!!))
蘭子の指摘に賢人と里奈は固まる。
どれだけ勘が鋭いんだこの人は。
『アッハハー⭐︎その反応はもしかして図星だったー?』
『え~里奈っちだけずるい~』
『そうですわ。里奈一人だけに賢人くんを独り占めなんて不公平ですわ』
自分の指摘が当たっていたことを察した蘭子の発言を聞いて、花と朱乃は里奈に抗議する。
『まあ、詳しい話は里奈に聞くからよろしく~』
『ちょっと!勝手に決めn・・・』
プツッ!ツーツーツー・・・
勝手に都合よく話を進める蘭子は里奈が言い終わる前に電話を切ってしまった。
ホント滅茶苦茶だ。
その後、結局里奈は賢人や他の友人たちと夏休みにプールに行くことを蘭子たちに説明し、蘭子たちも行くことになってしまった。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
Bグループの少年
櫻井春輝
青春
クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる