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番外編
9話 生徒会の集会
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ここは2年生と3年生の教室がある中央棟のとある一室。
そこには生徒会長と副生徒会長、次期副生徒会長として生徒会のサポートしている里奈、そして風紀委員長の莉央を始めとした各委員会の委員長といった、この学校のあらゆる分野の中枢となるメンバーが集まっていた。
これからこの学校の生徒たちの中心人物たちによる報告会が始まろうとしている。
「それではこれより、各委員会の委員長及び生徒会による報告会を始めたいと思います」
何かと重い雰囲気の中、話を切り出したのは、我らが生徒会長の日野 一真。
成績優秀かつスポーツ万能で、トレードマークである黒縁眼鏡をかけないと何も見えないくらいド近眼。
今年で18の年を迎えるが未だに彼女がいない童貞かつ非リア充。理由は本人曰く「モテなくはないが、リア充だと生徒会長としての務めに集中できない」と言い切るほど、生徒をまとめるリーダーとしての思考は真面目そのものだ。
「ではまず、各委員会の活動状況について報告はないか?」
「はい、まずは環境委員会からの報告です」
一真から質問に最初に名乗り出たのは環境委員会の委員長、中村 亮。
「清く有意義に過ごす」がモットーで、彼が所属する環境委員会及び周りの生徒曰く「生真面目なのがたまに裏目に出る」性格で、いわゆる今時の高校生の中に一人はいる真面目な優等生だ。
「環境委員会では、昼休み後の掃除の時間以外でも生徒たちが掃除に取り組めるようゴミの分別、そして一週間に一度には委員会によるゴミ拾いや清掃などの活動を積極的に行っています。以上で環境委員会の活動報告を終わります」
「環境委員会委員長、ありがとうございました。生徒会長、
そして他の委員長の皆さまは今の活動報告についてどう思いますか?」
亮が席に座ると正面から見て一真から左側の隣座っていた一真と同様、
黒縁眼鏡をかけた女性が立ち上がり、一真や他の委員長に対して質問した。
彼女の名前は秋月 奈々。現副生徒会長とはまさに彼女のことでその立場上、一真の生徒会長としてのスケジュールから行事まで全てをサポートする。それは副生徒会長と言うよりは、企業の社長秘書と呼ぶのが相応しい人だ。
ちなみに奈々とは反対に一真の右に座っている里奈は、次期副生徒会長という役職なだけあって、彼女のサポート、あるいは共同でその役割を担っていることが多い。
「特に異議なし」
「同じく」
「積極的に活動している話は聞いているので良いと思います」
その他、一真を始めに各委員長が亮の報告に対して異議は唱えず賞賛した。
彼らは普段日常でも互いに学校を纏める者たちとして親交を深め、そして互いの意見も認め合っているため異議を唱えることは滅多にない。
「他にはないか?委員会での報告は」
さっきまでは環境委員会の活動報告について賞賛の声が上がったのにもかかわらず、誰も名乗りを上げそうになかった。このように報告会といっても、たまに言いづらいあまり中々意見を言い出せない者もいる。
ここで一真は気遣いするつもりで質問の方向性を変えてみることにした。
「・・・報告でなくとも何か企画しようとしているものでもいいんだぞ?」
「あっ、それなら体育委員会から一つあるんですが、いいですか?」
「いいぞ、言ってみろ」
早速一真の気遣いが効いたのか次に名乗り出たのは体育委員長の武井 雅敏。「ガッツこそ命」がモットーで、熱血的な性格にあの逞しい筋肉質な体から見ての通り、絵に描いたような体育会系男子だ。
「はい、えー我々体育委員会は皆さんも知っての通り、毎年恒例の開催を予定している体育祭が日に日に近づいています。というわけで、団の色分けから団長と副団長を決める投票なども予定しており、今は競技の種目の設定からスケジュールの調整を進めています」
「ほう、それで全学年の全クラスの色分けするつもりなのか?」
体育委員会の「体育祭」という学校にとって、そして生徒たちにとって大規模なイベントとなる学校行事の打ち合わせに積極的に取り組んでくれていることに関心した一真は、少し食いついて質問した。
それを受けて雅敏は意気揚々と答える。
「はい、団の数は4~6、つまり色の方も4~6色を目安にしています。
もちろん何色にするかは既に候補として揃っています。一方で、どの学年のどのクラスがどの団に入るかはこちら側でランダムで決めたいと思います。「あの人と一緒の団に、もしくはあの人と別々の団として戦うことになるかもしれない」といった生徒たちのドキドキを生むサプライズをコンセプトに準備するつもりです」
「ほほう、それは楽しみだな。全学年の生徒はもちろんだが、
俺たち3年生の高校最後の体育祭として思い出になることを期待しているよ」
「はい、その期待に応えられるよう我々体育委員会も頑張ります。
・・・以上です。どうもありがとうございました!」
雅敏が提案を終えるために言葉と共に頭を下げると、他の委員長たちから拍手が上がった。
提案だというのに、余程体育委員会の真面目な取り組みが素晴らしかったと感じたからに違いない。
「体育委員長、ありがとうございました。他はもうありませんか?」
今度は一真ではなく奈々が質問すると、すぐさま手が上がった。
もしかすると雅敏と同じように委員会からの提案を生徒会長である一真から何か意見をもらうつもりだろうか。
「はい、どうぞ」
「はい、新聞委員会からの報告です」
新聞委員会、ここにきて意外な委員会が名乗りを上げたものだ。
そんな委員会を代表して手を上げたのは新聞委員長の安達 愛菜。
「皆が信じ合い、明るく伝え合う」がモットーで、三本に纏めた三つ編みが特徴で委員会での活動は真面目だが、いつもおどおどしていて見ているだけで何かと心配で放っておけない人物だ。
「み、皆さんの知っての通り、私たち新聞委員会は学校で起きた出来事や話題を中心に新聞として掲示しています。
で、ですが・・・」
「安達さん、大丈夫かい?ゆっくり話してもらっても構いませんよ。
そんなに緊張しなくても我々はきちんと聞きますので、安心して喋って下さい」
「は、はい。すみません・・・」
愛菜の様子を見て心配した一真は彼女に気を遣ってフォローした。
そして愛菜は一旦深呼吸すると、再び喋り始めた。
「こ、今年この学校に入学して早々問題を起こして以来、不登校になっている学校側から危険人物に見なされている問題児が近々再び登校してくるという噂が広まっているのを耳にしました」
「なんだって・・・!?」
感情は抑えつつも驚きを隠せなかったが、一真は冷静にそう言った。
その一言を聞いた愛菜は続けて言う。
「はい、先生側でもその噂は広まりつつあるらしいです・・・」
「・・・そうか。確かに学校側でさえ危険と判断するようなぐらいの人物だ。
それも今年入ってきたばかりの1年生だ。
今度は何をしでかすのか分からない。
その件については生徒会側で先生側と相談する。それでいいかな?」
「・・・はい」
一真がそう言うと、愛菜は小さい声で賛成の意思を示した。
さっきまではおどおどしつつもちゃんと声を出して喋っていたのにいきなりどうしたんだと言いたくなるところだが、そんな彼女なりに勇気を振り絞って発表してくれたんだからと、一真はそこまできにしないであげるつもりでその気持ちを胸にしまい込んだ。
すると部屋中に突然チャイムが響いた。
生徒たちの完全下校の時間を告げる合図だ。
「もうこんな時間か。では今日の生徒会と各委員会及び学級委員会による報告会はここまでにする」
「各委員長と各学級委員長たちは引き続き委員会での活動を続けて下さい。
また今日のような委員会からの報告や提案があれば是非次回のミーティングで発表して下さい。生徒会長」
「はい、では以上解散!お疲れ様でした!」
「「「「お疲れ様でした!」」」
一真の言葉が終わると同時に一真以外全員が続けて掛け声をすると、その場から立ち上がって教室の後ろのロッカーに纏めていた自分たちの荷物を持って次々と教室を出ていった。
「帰り何処か寄ってく?」
「いいね~」
「あっ、あたしも行きたい!」
「よし、家に帰らずこのまま塾に直行で行くか」
教室を出た拍子に皆いつものように仲良く話し合いながら廊下を歩いていく。
「いや~、今日もまた他の委員会からいい報告と発表を聞けたね」
「だな。でも問題児がまた登校してくるって話は怖ぇよなぁ・・・」
「今後とも被害が出ないことを祈るしかないよな」
「そうだよなー」
中にはこういった心配と不安を抱き、互いに話し合う者もいた。
だが今回は珍しく学級委員長からの報告がなく、ただ各委員会の話を聞いているだけだった。
生徒会と各委員会の委員長。学校の中枢が集まり意見を出し合い、また生徒会と他の委員会からの感想。
今回はそれらは話を聞いてくれるだけでも、向こうからしても充分理解してくれただろう。
こういった話し合いの中で今後も生徒も学校を正しく平和な方向に導くべく、彼ら日々精進する。
そこには生徒会長と副生徒会長、次期副生徒会長として生徒会のサポートしている里奈、そして風紀委員長の莉央を始めとした各委員会の委員長といった、この学校のあらゆる分野の中枢となるメンバーが集まっていた。
これからこの学校の生徒たちの中心人物たちによる報告会が始まろうとしている。
「それではこれより、各委員会の委員長及び生徒会による報告会を始めたいと思います」
何かと重い雰囲気の中、話を切り出したのは、我らが生徒会長の日野 一真。
成績優秀かつスポーツ万能で、トレードマークである黒縁眼鏡をかけないと何も見えないくらいド近眼。
今年で18の年を迎えるが未だに彼女がいない童貞かつ非リア充。理由は本人曰く「モテなくはないが、リア充だと生徒会長としての務めに集中できない」と言い切るほど、生徒をまとめるリーダーとしての思考は真面目そのものだ。
「ではまず、各委員会の活動状況について報告はないか?」
「はい、まずは環境委員会からの報告です」
一真から質問に最初に名乗り出たのは環境委員会の委員長、中村 亮。
「清く有意義に過ごす」がモットーで、彼が所属する環境委員会及び周りの生徒曰く「生真面目なのがたまに裏目に出る」性格で、いわゆる今時の高校生の中に一人はいる真面目な優等生だ。
「環境委員会では、昼休み後の掃除の時間以外でも生徒たちが掃除に取り組めるようゴミの分別、そして一週間に一度には委員会によるゴミ拾いや清掃などの活動を積極的に行っています。以上で環境委員会の活動報告を終わります」
「環境委員会委員長、ありがとうございました。生徒会長、
そして他の委員長の皆さまは今の活動報告についてどう思いますか?」
亮が席に座ると正面から見て一真から左側の隣座っていた一真と同様、
黒縁眼鏡をかけた女性が立ち上がり、一真や他の委員長に対して質問した。
彼女の名前は秋月 奈々。現副生徒会長とはまさに彼女のことでその立場上、一真の生徒会長としてのスケジュールから行事まで全てをサポートする。それは副生徒会長と言うよりは、企業の社長秘書と呼ぶのが相応しい人だ。
ちなみに奈々とは反対に一真の右に座っている里奈は、次期副生徒会長という役職なだけあって、彼女のサポート、あるいは共同でその役割を担っていることが多い。
「特に異議なし」
「同じく」
「積極的に活動している話は聞いているので良いと思います」
その他、一真を始めに各委員長が亮の報告に対して異議は唱えず賞賛した。
彼らは普段日常でも互いに学校を纏める者たちとして親交を深め、そして互いの意見も認め合っているため異議を唱えることは滅多にない。
「他にはないか?委員会での報告は」
さっきまでは環境委員会の活動報告について賞賛の声が上がったのにもかかわらず、誰も名乗りを上げそうになかった。このように報告会といっても、たまに言いづらいあまり中々意見を言い出せない者もいる。
ここで一真は気遣いするつもりで質問の方向性を変えてみることにした。
「・・・報告でなくとも何か企画しようとしているものでもいいんだぞ?」
「あっ、それなら体育委員会から一つあるんですが、いいですか?」
「いいぞ、言ってみろ」
早速一真の気遣いが効いたのか次に名乗り出たのは体育委員長の武井 雅敏。「ガッツこそ命」がモットーで、熱血的な性格にあの逞しい筋肉質な体から見ての通り、絵に描いたような体育会系男子だ。
「はい、えー我々体育委員会は皆さんも知っての通り、毎年恒例の開催を予定している体育祭が日に日に近づいています。というわけで、団の色分けから団長と副団長を決める投票なども予定しており、今は競技の種目の設定からスケジュールの調整を進めています」
「ほう、それで全学年の全クラスの色分けするつもりなのか?」
体育委員会の「体育祭」という学校にとって、そして生徒たちにとって大規模なイベントとなる学校行事の打ち合わせに積極的に取り組んでくれていることに関心した一真は、少し食いついて質問した。
それを受けて雅敏は意気揚々と答える。
「はい、団の数は4~6、つまり色の方も4~6色を目安にしています。
もちろん何色にするかは既に候補として揃っています。一方で、どの学年のどのクラスがどの団に入るかはこちら側でランダムで決めたいと思います。「あの人と一緒の団に、もしくはあの人と別々の団として戦うことになるかもしれない」といった生徒たちのドキドキを生むサプライズをコンセプトに準備するつもりです」
「ほほう、それは楽しみだな。全学年の生徒はもちろんだが、
俺たち3年生の高校最後の体育祭として思い出になることを期待しているよ」
「はい、その期待に応えられるよう我々体育委員会も頑張ります。
・・・以上です。どうもありがとうございました!」
雅敏が提案を終えるために言葉と共に頭を下げると、他の委員長たちから拍手が上がった。
提案だというのに、余程体育委員会の真面目な取り組みが素晴らしかったと感じたからに違いない。
「体育委員長、ありがとうございました。他はもうありませんか?」
今度は一真ではなく奈々が質問すると、すぐさま手が上がった。
もしかすると雅敏と同じように委員会からの提案を生徒会長である一真から何か意見をもらうつもりだろうか。
「はい、どうぞ」
「はい、新聞委員会からの報告です」
新聞委員会、ここにきて意外な委員会が名乗りを上げたものだ。
そんな委員会を代表して手を上げたのは新聞委員長の安達 愛菜。
「皆が信じ合い、明るく伝え合う」がモットーで、三本に纏めた三つ編みが特徴で委員会での活動は真面目だが、いつもおどおどしていて見ているだけで何かと心配で放っておけない人物だ。
「み、皆さんの知っての通り、私たち新聞委員会は学校で起きた出来事や話題を中心に新聞として掲示しています。
で、ですが・・・」
「安達さん、大丈夫かい?ゆっくり話してもらっても構いませんよ。
そんなに緊張しなくても我々はきちんと聞きますので、安心して喋って下さい」
「は、はい。すみません・・・」
愛菜の様子を見て心配した一真は彼女に気を遣ってフォローした。
そして愛菜は一旦深呼吸すると、再び喋り始めた。
「こ、今年この学校に入学して早々問題を起こして以来、不登校になっている学校側から危険人物に見なされている問題児が近々再び登校してくるという噂が広まっているのを耳にしました」
「なんだって・・・!?」
感情は抑えつつも驚きを隠せなかったが、一真は冷静にそう言った。
その一言を聞いた愛菜は続けて言う。
「はい、先生側でもその噂は広まりつつあるらしいです・・・」
「・・・そうか。確かに学校側でさえ危険と判断するようなぐらいの人物だ。
それも今年入ってきたばかりの1年生だ。
今度は何をしでかすのか分からない。
その件については生徒会側で先生側と相談する。それでいいかな?」
「・・・はい」
一真がそう言うと、愛菜は小さい声で賛成の意思を示した。
さっきまではおどおどしつつもちゃんと声を出して喋っていたのにいきなりどうしたんだと言いたくなるところだが、そんな彼女なりに勇気を振り絞って発表してくれたんだからと、一真はそこまできにしないであげるつもりでその気持ちを胸にしまい込んだ。
すると部屋中に突然チャイムが響いた。
生徒たちの完全下校の時間を告げる合図だ。
「もうこんな時間か。では今日の生徒会と各委員会及び学級委員会による報告会はここまでにする」
「各委員長と各学級委員長たちは引き続き委員会での活動を続けて下さい。
また今日のような委員会からの報告や提案があれば是非次回のミーティングで発表して下さい。生徒会長」
「はい、では以上解散!お疲れ様でした!」
「「「「お疲れ様でした!」」」
一真の言葉が終わると同時に一真以外全員が続けて掛け声をすると、その場から立ち上がって教室の後ろのロッカーに纏めていた自分たちの荷物を持って次々と教室を出ていった。
「帰り何処か寄ってく?」
「いいね~」
「あっ、あたしも行きたい!」
「よし、家に帰らずこのまま塾に直行で行くか」
教室を出た拍子に皆いつものように仲良く話し合いながら廊下を歩いていく。
「いや~、今日もまた他の委員会からいい報告と発表を聞けたね」
「だな。でも問題児がまた登校してくるって話は怖ぇよなぁ・・・」
「今後とも被害が出ないことを祈るしかないよな」
「そうだよなー」
中にはこういった心配と不安を抱き、互いに話し合う者もいた。
だが今回は珍しく学級委員長からの報告がなく、ただ各委員会の話を聞いているだけだった。
生徒会と各委員会の委員長。学校の中枢が集まり意見を出し合い、また生徒会と他の委員会からの感想。
今回はそれらは話を聞いてくれるだけでも、向こうからしても充分理解してくれただろう。
こういった話し合いの中で今後も生徒も学校を正しく平和な方向に導くべく、彼ら日々精進する。
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