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番外編
8話 桐谷真依の想い②
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好き、この気持ちはまさにその言葉にピッタリだ。
もし他の誰かにどうしていきなりそんなことが言えるかなんて聞かれた時、私はすぐにこう答えると思う。
ーーーだって、可愛いし他の男の子とは違う魅力を持っているから。
何度も言うかもしれないけど、誰かに質問された時にこの一言で答える以外私には考えられない。
彼といる時、特に周りに誰もいない二人っきりの時なんて、
もうどうにかなりそうで平然としてられるのが必死なくらいだ。
でも、そんな風に彼のことだけを考えていると委員長としての誇りにヒビを入れてしまう。
だから出来るだけ彼とは最低限の会話を交わそう。
そう思っていた矢先、・・・・・・
「きっと委員会の最後の仕事をまとめているのに時間が掛かっているんだよ。けさそう言ってたし」
「きり・・・いや、真依ちゃん・・・」
話しかけたくなっちゃう!
あんなに親と逸れてしまった迷子みたいに不安そうにしてるのを見てたら!
そりゃ不安だよね?昨日転校してきたばかりで今日初めて朝の会を通して学校が始まろうとしてるだから。
でもその姿も可愛いです・・・♡しかもまた名前で呼んでくれた。
普通はいきなり女の子から名前で呼んでくれって言われたらかなりの抵抗があると思う。
でも彼の場合、少しは恥ずかしがったりはしていたけれど、ちゃんとはっきりと呼んでくれた。
ーーーもう狂おしい程に好き♡もはや生きていく理由♡
・・・と、一人勝手に思わず舞い上がってしまっていた矢先に、私は衝撃の事実を知った。
◇◇◇◇
「ふぅ、今日は遅くなっちゃったなぁ・・・」
それは学校が終わり、その後の委員会が終わって家に帰ろうとした時のことだった。
(やっぱ放課後の学校って静か過ぎて怖いなぁ・・・。急いで帰ろう!)
真依は静寂に包まれた校舎を不気味に感じて早く帰ろうと廊下を進んでいく。
そして何事も無く校門を出てバス停まで歩いていると、前方に二人の男女が手を繋いで歩いていた。
後ろ姿な上、夕焼けのせいで顔は見えないが、二人とも自分と同じ制服だからうちの学校の生徒であることが分かる。
(はぁ、また放課後にデートでも楽しんでいるんだなぁ・・・)
と、呆れながらも感心した気持ちで後ろから彼らを見守っていたが、男子の方には少し見覚えがあった。
そう思ってしまう理由が男子が女子と比べて小さかった。
いや、背が低かったというのが正しいと思う。
背が低い。その印象が頭に浮かんだ途端、
もしやと思って太陽の光に視界を遮られながらもよく目を凝らして見た。
そうして見えなかった男女の顔が徐々に見えていき・・・・・・
「け、賢人くん・・・・・・?」
ようやく男子生徒の方の顔がはっきり見えた瞬間その名前を口にした。
しかし、真依が驚いたのは賢人だけではない。
その隣で手を繋いでいる女子にも目を向けると更に目を丸くして驚いた。
「それに、里奈先輩・・・!?」
そう、その賢人の隣で歩いている女子生徒は事もあろうに我等が『冷徹姫』の異名を彩る美少女、石見里奈だった。
(嘘・・・!!)
目の前で起こっていることがあまりにも信じられず、真依は愕然とした。
大の男嫌いで数日前にサッカー部の智則先輩を罵倒した上で振ったのが記憶に新しい。そんな彼女が今、
転校して早々彼女同様に学校全体から注目を浴びることになった想い人の山本賢人くんと手を繋いで帰っている。
しかし、こちらが何より驚かされたのはそれだけではない。彼女の表情だった。
普段の学校生活で目にしている彼女は常に無表情だが、女子にはある程度表情を変えて接するのは見かけたことはある。
だが今の彼女はそれ以上、いや、もはや今どきの女の子のように可愛らしい笑顔をしている。
しかもその笑顔を向けている相手というのが男であるのがそれまた驚かされた。
◇◇◇◇
ーーーそれから数週間経った夏の日。
「・・・たまたま、だよね?
たまたま会っただけだよね?賢人くん・・・」
その日から私は疑いながらもそう言って現実逃避(?)しつつ、二人の様子を観察することにした。
もし他の誰かにどうしていきなりそんなことが言えるかなんて聞かれた時、私はすぐにこう答えると思う。
ーーーだって、可愛いし他の男の子とは違う魅力を持っているから。
何度も言うかもしれないけど、誰かに質問された時にこの一言で答える以外私には考えられない。
彼といる時、特に周りに誰もいない二人っきりの時なんて、
もうどうにかなりそうで平然としてられるのが必死なくらいだ。
でも、そんな風に彼のことだけを考えていると委員長としての誇りにヒビを入れてしまう。
だから出来るだけ彼とは最低限の会話を交わそう。
そう思っていた矢先、・・・・・・
「きっと委員会の最後の仕事をまとめているのに時間が掛かっているんだよ。けさそう言ってたし」
「きり・・・いや、真依ちゃん・・・」
話しかけたくなっちゃう!
あんなに親と逸れてしまった迷子みたいに不安そうにしてるのを見てたら!
そりゃ不安だよね?昨日転校してきたばかりで今日初めて朝の会を通して学校が始まろうとしてるだから。
でもその姿も可愛いです・・・♡しかもまた名前で呼んでくれた。
普通はいきなり女の子から名前で呼んでくれって言われたらかなりの抵抗があると思う。
でも彼の場合、少しは恥ずかしがったりはしていたけれど、ちゃんとはっきりと呼んでくれた。
ーーーもう狂おしい程に好き♡もはや生きていく理由♡
・・・と、一人勝手に思わず舞い上がってしまっていた矢先に、私は衝撃の事実を知った。
◇◇◇◇
「ふぅ、今日は遅くなっちゃったなぁ・・・」
それは学校が終わり、その後の委員会が終わって家に帰ろうとした時のことだった。
(やっぱ放課後の学校って静か過ぎて怖いなぁ・・・。急いで帰ろう!)
真依は静寂に包まれた校舎を不気味に感じて早く帰ろうと廊下を進んでいく。
そして何事も無く校門を出てバス停まで歩いていると、前方に二人の男女が手を繋いで歩いていた。
後ろ姿な上、夕焼けのせいで顔は見えないが、二人とも自分と同じ制服だからうちの学校の生徒であることが分かる。
(はぁ、また放課後にデートでも楽しんでいるんだなぁ・・・)
と、呆れながらも感心した気持ちで後ろから彼らを見守っていたが、男子の方には少し見覚えがあった。
そう思ってしまう理由が男子が女子と比べて小さかった。
いや、背が低かったというのが正しいと思う。
背が低い。その印象が頭に浮かんだ途端、
もしやと思って太陽の光に視界を遮られながらもよく目を凝らして見た。
そうして見えなかった男女の顔が徐々に見えていき・・・・・・
「け、賢人くん・・・・・・?」
ようやく男子生徒の方の顔がはっきり見えた瞬間その名前を口にした。
しかし、真依が驚いたのは賢人だけではない。
その隣で手を繋いでいる女子にも目を向けると更に目を丸くして驚いた。
「それに、里奈先輩・・・!?」
そう、その賢人の隣で歩いている女子生徒は事もあろうに我等が『冷徹姫』の異名を彩る美少女、石見里奈だった。
(嘘・・・!!)
目の前で起こっていることがあまりにも信じられず、真依は愕然とした。
大の男嫌いで数日前にサッカー部の智則先輩を罵倒した上で振ったのが記憶に新しい。そんな彼女が今、
転校して早々彼女同様に学校全体から注目を浴びることになった想い人の山本賢人くんと手を繋いで帰っている。
しかし、こちらが何より驚かされたのはそれだけではない。彼女の表情だった。
普段の学校生活で目にしている彼女は常に無表情だが、女子にはある程度表情を変えて接するのは見かけたことはある。
だが今の彼女はそれ以上、いや、もはや今どきの女の子のように可愛らしい笑顔をしている。
しかもその笑顔を向けている相手というのが男であるのがそれまた驚かされた。
◇◇◇◇
ーーーそれから数週間経った夏の日。
「・・・たまたま、だよね?
たまたま会っただけだよね?賢人くん・・・」
その日から私は疑いながらもそう言って現実逃避(?)しつつ、二人の様子を観察することにした。
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