リア充するにもほどがある!? 生徒会から始まる、みずほ先輩の下僕ライフ365日

秋月 一成

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【最終話 みずほ先輩の華麗なる誘導尋問】

【8-5】

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「――というわけで、俺は青葉さんは選ばない!」
「なるほど。じゃあ、かつき君は結局、誰を選ぶのかな」
「そんなの、残りはひとりしかいないっしょ」

 俺は三度めの解答をする。

「俺はみずほ先輩を選びまーす。だって、青葉さんよりもみずほ先輩を選ぶほうが無難だと思うから。消去法っす!」

 すると、またもや手を突き出し俺の答えに待ったをかけた。

「なっ、なにそれ! 無難だとか消去法だとか! 相手を選ぶときに、そんな選び方していいと思ってるの? 誠意がないわよ! ちゃんと確信がある相手を選びなさい!」
「はぁ、何が誠意で何が確信なんすか。わけわかんないっす」
「とっ、とにかく答えを再考しなさい! や・り・な・お・し!」

 みずほ先輩はいよいよぶっ壊れたようだ。もはや俺のスキルでは復活困難なレベルの瓦解に違いない。

 俺は困り果て、しかたなくみずほ先輩との成り行きを回想した。

 入学早々、俺は生徒会の一員となった。

 部活の勧誘会で行き場なくさまよっていた俺に目をつけたのがみずほ先輩だったのだ。

「そこのイケメ……新入生のきみ! 生徒会に入らない? 内申点が上がるとかいろいろお得よ!」

 それから衝立ついたてのパネルが倒れるというハプニングがあり、反射的に身を呈してみずほ先輩を護ったが、みずほ先輩はこともあろうに俺がパネルに潰されるのをのんきに傍観していた。

 ――そうそう、あれがみずほ先輩とのなれそめだったなぁ。

 そのときのみずほ先輩の言葉を思い出す。

『だって、きみはすでにモテているからね』

 みずほ先輩はなぜ、あんな信ぴょう性のないことを言ったのだろうか。

 この一年間、俺はみずほ先輩の下僕生活を送っていただけに、ほかの女子との接点はほとんどなかった。

 交流があった女子といえば、愛美ちゃんと青葉さんくらいで、いずれも副生徒会長として力を貸した程度のことだ。

 結局、特定の女子にモテることはなく、もうすぐ一年生が終わろうとしている。

 俺はこの一年間を振り返る。思い出すことは生徒会での活動ばかりだ。

 みずほ先輩と一緒に取材に勤しみ、女優さんに怒られた。

 猪俣がもらったラブレターに隠された謎を解き明かした。

 夕立の日には相合傘で下校し、いっしょにデザートも作った。

 成績表を見られて喧嘩もしたし、仲直りをして花火を眺めたり。

 水たまりに落ちそうな子猫を助け、生徒会選挙を戦い抜いた。

 学園祭では謎を仕掛け、とん汁の売れ行き勝負をした。

 そして描き換えられる美術部の絵の謎を解き、結奈を生徒会に迎え入れた。

 振り返れば振り返るほど、みずほ先輩であふれていた。

「さあ、きみの決心やいかに⁉」

 声をかけられ、はっと我に返る。そうだ、問題の答えを考えている途中だった。

 しかしこの問題、いったい誰を選べば正解なのだろうか。

 当の本人は腕を組んだまま、まばたきもせず俺を凝視している。まっすぐな視線は、俺が正解を引き当てると信じて疑わないようだ。

 ――みずほ先輩、怖いけど、頭良くて美人で最高っす。

 そう思った瞬間、俺の中にあるインスピレーションが沸き起こった。そう、この問いに対する解答が閃いたのだ。

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