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『普通にはもう飽きた。』夢の館での<アイドルとしての私>編 ~ 7 ~
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私は怒りのままに目を覚ました。
千早「最悪……。」
目覚めは最悪だった。
私は布団の上で寝転がったままため息をつく。時計を見ると午前6時30分だった。
昨日の夢は武史と色々ありすぎた。私は頭を掻きむしるとベッドから出た。
今日は平日で学校があるが、優先しなければならない仕事があるので休んでいる。
千早「やばい、支度しないと」
私は急いで着替えを始めた。
朝食を食べた後、私は家を出た。今日はスタジオで収録がある。
移動時間で昨日の夢を思い出す、私はうまくやっていたはずだ、堂々と優しく武史を導いて体を開いていく、精力が上がったのも褒めてあげたし、金玉も優しく撫でてあげたのに、最後で何かが狂ってしまった。その怒りの興奮はまだ続いている。
私はスタジオに入ると、すぐに準備を始める。今日は新しい衣装を着ての撮影だ。
今日の衣装はピンクのミニスカートに白のシャツだ。胸元がかなり開いているがセクシーさが売りなので問題ないだろう。
私はメイクを終えると、スタッフと一緒に楽屋を出る。
今回の撮影では新衣装の紹介をすることになっている。そのため他の出演者も一緒だ。
まずは全員で写真撮影を行い、それから個別でインタビューを行う。
今回は4人のユニットでの撮影だ。一人ひとりにカメラマンがつく。私は緊張していた。いつも通り仕事をすれば良いのだが、やはりあの夢のせいで少し気が重い。
武史の事を考える。武史は本当に大丈夫なんだろうか。あれ以来連絡も取れていないし、そもそも今どこにいるのかもわからない。
そうしている間に順番が回って来た。私は深呼吸するとカメラの前に立った。
私は笑顔を作る。
千早「こんにちは!藍沢千早です!よろしくお願いします」
私は元気よく挨拶をした。
完全に仕事モードに入ったわたしは口調も元気もアイドルとして従事する。
私は順調に進んでいく。
武史の事など忘れていた。
私は最後のコーナーに入る。
千早「それじゃあ最後はこれですね」
私は衣装チェンジのために一度控室に戻る。
千早「じゃーん!新しい衣装でーす!」
私はそう言って着替える。
今回着ているのは黒と赤を基調としたドレスで、背中が大きく開いており肩甲骨が見えている。下はロングのタイトパンツを履いて、足にはハイヒールを履いている。腰の部分には大きなリボンがついていて可愛らしい。
そして何より注目して欲しいのは胸の谷間である。胸を強調するように大きく開いたデザインになっており、私はそれを自慢げに見せつける。
千早「どうですか?」
私は得意気にポーズを取る。
カメラマン「すごく綺麗だよ」
千早「ありがとうございます」
私は一礼する。
千早「さぁ、次はどんな写真を撮りましょうか?」
私はカメラに向かってウインクした。
撮影は順調に進んだ。
スタッフ「はい、じゃあこれで終わりです。お疲れ様でした」
スタッフが声をかける
千早「おつかれさまです」
スタッフが機材を片付ける中、私はふと思い出した。
千早「そういえば、この前のオーディションの結果ってどうなったんですかね?」
私は近くにいた男性に話しかける。
千早「えっと、確か次のイベントのオーディションなんですけど」
私は男性に確認する。
男性はこちらを振り向くと、驚いた表情を浮かべる。
スタッフ「あぁ、はい、次のですね」
千早「そうそう、それで、結果はどうなりました?受かりそう?」
スタッフ「いえ、まだそこまでは……、ただ、何人か候補は絞れたかなとは思います」
千早「がんばりますのでよろしくおねがいします!」
私は男性の手を両手で握ると満面の笑みを向けた。
千早「ふぅ……。」
控室に戻って椅子にどっかり座ると私はアイドルの仮面を下ろす。疲れた。こういう時こそ夢で洋館にいって武史と遊びたい気持ちが湧くのに昨日壮絶に言ってしまった手前、また夢を見たいとは言いづらい。
そんなことを思っていると控室の扉が開き水瀬雫が入ってきた。
雫「おはよ。藍沢。」
千早「あ、うん。おはよ」
雫「見て、これ次のライブの衣装」
ひらひらの可愛い衣装をくるりとターンして見せてくれる。
千早「へぇ。いいじゃん」
雫「でしょ」
雫は嬉しそうな顔をして微笑んだ。
千早「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど」
雫「なに?」
千早「人間って機嫌良かったのに急な一言でキレちゃうことってあるよね」
私は先ほどあった出来事を話す。
雫「あ~、そういうのあるね」
千早「そうなんだ」
雫「私もあるよ。急に無視されたりとか」
千早「そっか……」
雫「なんか言われたの?」
千早「まぁ、そんな感じ言われたっていうか、その下手くそみたいな」
私は少し不貞腐れながら言った。
雫「あははっ、めっちゃウケる」
千早「別にウケないけど……」
雫「でもさ、私思うんだけど」
千早「なにが」
雫「多分その人さ、自分と同じような境遇にいて欲しかったんじゃないかな」
千早「どういうこと?」
雫「例えばさ、自分が憧れてる人が、自分の事を気にかけてくれて優しくしてくれて、一緒に遊んでくれたとするじゃない」
千早「うん」
雫「だけどある日突然その人に裏切られて酷い目にあわされるって想像してみたらわかるかも」
千早「あぁ……。」
私は理解した。確かにその通りかもしれない。
雫「その人の事が好きだったからこそ許せなかったんだよ」
千早「……。」
私は黙り込む。
千早「だとしたら、私はどうしたらいいの?」
私はぽつりと言った。
雫「それは自分で考えてよ」
千早「うー……。」
発端は武史の一言だったが別に悪意があったわけではない、ある意味私が勝手にキレたのだから武史は可愛そうだ。しかし言ってしまった手前後にも引けない。
千早「うー……。」
私は頭を抱える。
雫「まぁ、とりあえずはさ、自分が主人だって気張るじゃなくて自然体で接したら?」
千早「そうしよう……」
私はそう答えるしかなかった。
雫「それにしても」
夢でそんなに悩めるなんて千早はおもしろいね。そう言うと雫は笑いながらウィンクして控室を出ていった。
私はため息をつくと、再びため息をつく。
千早「はぁ……。」
憂鬱だ。武史がもし同じ立場だったら私は同じように怒っていただろうか。
いや、きっと違う。武史は悪くないし、悪いのは私の方だ。
仕事も終わりフリーな時間になったので私はスマホを手に取ると自然と武史の番号にかける。電話はすぐに繋がった。
武史「も、もしもし」
武史の声は震えていた。
千早「やっほー。元気にしてる?」
武史「どう、した?千早から電話してくるなんて珍しい、よな?」
千早「あんたもこないだ褒めてほしいとかなんとか意味不明の電話してきたじゃん。お互い様だよ」私は軽く笑う。
千早「今日私仕事で学校休んでたけどどうだった?いつもどおり?」
私は世間話を始める。
武史「普通、かな?男子が藍沢がいないって騒いでた。」
千早「まじで?」
武史「俺、ホントは今日千早に会いたかった」
千早「なにそれ。キモ。また褒めてほしいとか言い出すのやめてよね。」
私は冷たくあしらう。
武史「ごめん。」
千早「冗談だよ。私もちょっと話したかったんだ。」
武史「え?」
千早「武史さ、今どこにいるの?」
武史「どこって……、バイト先だけど」
千早「ふーん。なら邪魔しちゃだめだね。『ごめんね』」
武史「いや、いいよ。電話嬉しかった。」
そして適当に言葉を交わして切った。
千早「ふぅ……。」
なんとなく心のモヤモヤが晴れた気がする。明日学校でも武史と普通に会えるだろう。私はそう思った。
千早「最悪……。」
目覚めは最悪だった。
私は布団の上で寝転がったままため息をつく。時計を見ると午前6時30分だった。
昨日の夢は武史と色々ありすぎた。私は頭を掻きむしるとベッドから出た。
今日は平日で学校があるが、優先しなければならない仕事があるので休んでいる。
千早「やばい、支度しないと」
私は急いで着替えを始めた。
朝食を食べた後、私は家を出た。今日はスタジオで収録がある。
移動時間で昨日の夢を思い出す、私はうまくやっていたはずだ、堂々と優しく武史を導いて体を開いていく、精力が上がったのも褒めてあげたし、金玉も優しく撫でてあげたのに、最後で何かが狂ってしまった。その怒りの興奮はまだ続いている。
私はスタジオに入ると、すぐに準備を始める。今日は新しい衣装を着ての撮影だ。
今日の衣装はピンクのミニスカートに白のシャツだ。胸元がかなり開いているがセクシーさが売りなので問題ないだろう。
私はメイクを終えると、スタッフと一緒に楽屋を出る。
今回の撮影では新衣装の紹介をすることになっている。そのため他の出演者も一緒だ。
まずは全員で写真撮影を行い、それから個別でインタビューを行う。
今回は4人のユニットでの撮影だ。一人ひとりにカメラマンがつく。私は緊張していた。いつも通り仕事をすれば良いのだが、やはりあの夢のせいで少し気が重い。
武史の事を考える。武史は本当に大丈夫なんだろうか。あれ以来連絡も取れていないし、そもそも今どこにいるのかもわからない。
そうしている間に順番が回って来た。私は深呼吸するとカメラの前に立った。
私は笑顔を作る。
千早「こんにちは!藍沢千早です!よろしくお願いします」
私は元気よく挨拶をした。
完全に仕事モードに入ったわたしは口調も元気もアイドルとして従事する。
私は順調に進んでいく。
武史の事など忘れていた。
私は最後のコーナーに入る。
千早「それじゃあ最後はこれですね」
私は衣装チェンジのために一度控室に戻る。
千早「じゃーん!新しい衣装でーす!」
私はそう言って着替える。
今回着ているのは黒と赤を基調としたドレスで、背中が大きく開いており肩甲骨が見えている。下はロングのタイトパンツを履いて、足にはハイヒールを履いている。腰の部分には大きなリボンがついていて可愛らしい。
そして何より注目して欲しいのは胸の谷間である。胸を強調するように大きく開いたデザインになっており、私はそれを自慢げに見せつける。
千早「どうですか?」
私は得意気にポーズを取る。
カメラマン「すごく綺麗だよ」
千早「ありがとうございます」
私は一礼する。
千早「さぁ、次はどんな写真を撮りましょうか?」
私はカメラに向かってウインクした。
撮影は順調に進んだ。
スタッフ「はい、じゃあこれで終わりです。お疲れ様でした」
スタッフが声をかける
千早「おつかれさまです」
スタッフが機材を片付ける中、私はふと思い出した。
千早「そういえば、この前のオーディションの結果ってどうなったんですかね?」
私は近くにいた男性に話しかける。
千早「えっと、確か次のイベントのオーディションなんですけど」
私は男性に確認する。
男性はこちらを振り向くと、驚いた表情を浮かべる。
スタッフ「あぁ、はい、次のですね」
千早「そうそう、それで、結果はどうなりました?受かりそう?」
スタッフ「いえ、まだそこまでは……、ただ、何人か候補は絞れたかなとは思います」
千早「がんばりますのでよろしくおねがいします!」
私は男性の手を両手で握ると満面の笑みを向けた。
千早「ふぅ……。」
控室に戻って椅子にどっかり座ると私はアイドルの仮面を下ろす。疲れた。こういう時こそ夢で洋館にいって武史と遊びたい気持ちが湧くのに昨日壮絶に言ってしまった手前、また夢を見たいとは言いづらい。
そんなことを思っていると控室の扉が開き水瀬雫が入ってきた。
雫「おはよ。藍沢。」
千早「あ、うん。おはよ」
雫「見て、これ次のライブの衣装」
ひらひらの可愛い衣装をくるりとターンして見せてくれる。
千早「へぇ。いいじゃん」
雫「でしょ」
雫は嬉しそうな顔をして微笑んだ。
千早「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど」
雫「なに?」
千早「人間って機嫌良かったのに急な一言でキレちゃうことってあるよね」
私は先ほどあった出来事を話す。
雫「あ~、そういうのあるね」
千早「そうなんだ」
雫「私もあるよ。急に無視されたりとか」
千早「そっか……」
雫「なんか言われたの?」
千早「まぁ、そんな感じ言われたっていうか、その下手くそみたいな」
私は少し不貞腐れながら言った。
雫「あははっ、めっちゃウケる」
千早「別にウケないけど……」
雫「でもさ、私思うんだけど」
千早「なにが」
雫「多分その人さ、自分と同じような境遇にいて欲しかったんじゃないかな」
千早「どういうこと?」
雫「例えばさ、自分が憧れてる人が、自分の事を気にかけてくれて優しくしてくれて、一緒に遊んでくれたとするじゃない」
千早「うん」
雫「だけどある日突然その人に裏切られて酷い目にあわされるって想像してみたらわかるかも」
千早「あぁ……。」
私は理解した。確かにその通りかもしれない。
雫「その人の事が好きだったからこそ許せなかったんだよ」
千早「……。」
私は黙り込む。
千早「だとしたら、私はどうしたらいいの?」
私はぽつりと言った。
雫「それは自分で考えてよ」
千早「うー……。」
発端は武史の一言だったが別に悪意があったわけではない、ある意味私が勝手にキレたのだから武史は可愛そうだ。しかし言ってしまった手前後にも引けない。
千早「うー……。」
私は頭を抱える。
雫「まぁ、とりあえずはさ、自分が主人だって気張るじゃなくて自然体で接したら?」
千早「そうしよう……」
私はそう答えるしかなかった。
雫「それにしても」
夢でそんなに悩めるなんて千早はおもしろいね。そう言うと雫は笑いながらウィンクして控室を出ていった。
私はため息をつくと、再びため息をつく。
千早「はぁ……。」
憂鬱だ。武史がもし同じ立場だったら私は同じように怒っていただろうか。
いや、きっと違う。武史は悪くないし、悪いのは私の方だ。
仕事も終わりフリーな時間になったので私はスマホを手に取ると自然と武史の番号にかける。電話はすぐに繋がった。
武史「も、もしもし」
武史の声は震えていた。
千早「やっほー。元気にしてる?」
武史「どう、した?千早から電話してくるなんて珍しい、よな?」
千早「あんたもこないだ褒めてほしいとかなんとか意味不明の電話してきたじゃん。お互い様だよ」私は軽く笑う。
千早「今日私仕事で学校休んでたけどどうだった?いつもどおり?」
私は世間話を始める。
武史「普通、かな?男子が藍沢がいないって騒いでた。」
千早「まじで?」
武史「俺、ホントは今日千早に会いたかった」
千早「なにそれ。キモ。また褒めてほしいとか言い出すのやめてよね。」
私は冷たくあしらう。
武史「ごめん。」
千早「冗談だよ。私もちょっと話したかったんだ。」
武史「え?」
千早「武史さ、今どこにいるの?」
武史「どこって……、バイト先だけど」
千早「ふーん。なら邪魔しちゃだめだね。『ごめんね』」
武史「いや、いいよ。電話嬉しかった。」
そして適当に言葉を交わして切った。
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なんとなく心のモヤモヤが晴れた気がする。明日学校でも武史と普通に会えるだろう。私はそう思った。
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