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第三十六話
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「すみれちゃん、荒牧なおの所に行きましょう。」
全てを語りつくした二人は、手を繋いで部屋を後にした。
そしてれいこを蔑んだ荒牧なおの部屋に着くとすみれはノックする。
「なお、なお。入るわね。」
ドアを開くや否やなおはすみれに抱き付いた。
「どこに行っていたの?探したのよ!?」
するとすみれは何か言いたげで、だが何も言えずただ顔を逸らしている。
なおはゆっくりとすみれの後ろを見た。
「こんばんは、荒牧さん。」
そこは勝ち誇った顔のれいこが立っていた。
今度は自分がお前を蔑む番だと言わんばかりで表情で腕を組みながら。
なおは眉をひそめながら口を開く。
「犬飼先輩?またすみれに何かしたのですか?」
するとすみれは、首を振ってなおを突き飛ばした。そしてれいこに駆け寄ると彼女を抱きしめる。
これは一体どういうことだろうか・・・。
あんなにれいこを嫌がっていたすみれが、自分をつきはなしてれいこの元に駆け寄るなど。
「ごめんね。荒牧さん。すみれちゃんは私の方がいいのですって。」
「すみれ・・・?本当なの?」
すみれはれいこにしがみついて暫く黙っていたが、れいこに「ほら。」と言われて前に出る。
「なお、私、れいこさんの方がいい。なおは私を馬鹿と言って許してくれなかった。何も。でも、私は馬鹿じゃないわ。れいこさんに何でもしてもいいって許してくれたの。私、許されたいの。なおの言うことは正しくないわ。もう、私を助けることはできないの。」
「・・・だ、そうよ?」
れいこはもう一度すみれを抱き寄せると彼女の額にキスをする。
「嘘よ・・・すみれは先輩に言わされているのだわ。」
れいこは完全になおを見下した表情で笑うと、すみれに自分の唇をトントンと指さした。
するとすみれは何のためらいもなく、れいこにキスをする。
恍惚とした表情で。
「すみれ・・・?」
「なお、私は今、れいこさんとキスする方がいい。れいこさんとこれからたくさん遊ぶの。」
「・・・だ、そうよ?」
なおの戸惑う表情を見てれいこは高笑いをする。
勝った。完全に荒牧なおに勝ったのだ。
そう思うと笑いが止まらない。
「哀れね、荒牧なお。」
そしていつかの台詞をそっくりそのまま返してやった。
「今、すみれちゃんを返すと貴女酷いことしそうだから、頭が冷えたら私のところに来なさい。それまで私の部屋ですみれちゃんは生活するから。」
「・・・だ、そうなの。なお。」
なおはれいこへの怒りなのか自分へのふがいなさなのか全くわからなかったが涙をためながら震えている。
「へぇ。貴女もそんな表情するんだ。可笑しい。」
「・・・貴女は勘違いしている・・・。」
なおは俯いたままそう言った。
「なんですって?」
「貴女は悪魔を創り出したつもりでしょうけど。勘違いしている。すみれは生まれながらの悪魔よ。発言権を持たせているようだけれど、貴女は自滅するわ。すみれにそんなことさせたら・・・貴女、食い殺されるわよ。」
何を言っているのだ。
れいこは片目を細める。
すみれが生まれながらの悪魔?
何を言っているのだ。
「もしかして、負け惜しみ?」
「そう捉えるならそうしたらいいわ。でも、いつか後悔する。すみれは最初から悪魔。」
れいこはちらりとすみれを見る。すみれは怯えるような目でれいこを見つめていた。
そして、声を震わして言う。
「なお、私のことそう思っていたの?私の事ずっと悪魔だって。酷い・・・。だから、私を馬鹿にしていたの?酷い・・・。」
なおはすみれの言葉を聞かず部屋に入っていく。
「哀れね・・・。先輩。」
この期に及んでなにを言っているのか。
所詮は負け犬の遠吠えだ。
すみれはここにいる。
すみれはこんなにも自分の言うことを聞く。
すみれは従順な犬であり、自分が創り出した至高の悪魔だ。
「れいこさん、私は悪魔なのですか?」
「気にすることはないわ。貴女と私は同じなの。荒牧さんはそれを羨ましがっているだけ。だから、貴女は堂々としていいの。私がそれを許しているのだから。」
すみれはそれを聞き満面の笑顔。
「すみれちゃん言ってみなさい?今、貴女何がしたいの?」
「キス・・・させてください。」
「いい子。」
れいこは自分が誰よりも偉いと思っている。
それ故、人の忠告は全く聞かない。
それが良い時もあるし・・・悪い時もある。
今回はどちらになるのか。
もちろんれいこは前者になるだろうと疑いはしなかった。
全てを語りつくした二人は、手を繋いで部屋を後にした。
そしてれいこを蔑んだ荒牧なおの部屋に着くとすみれはノックする。
「なお、なお。入るわね。」
ドアを開くや否やなおはすみれに抱き付いた。
「どこに行っていたの?探したのよ!?」
するとすみれは何か言いたげで、だが何も言えずただ顔を逸らしている。
なおはゆっくりとすみれの後ろを見た。
「こんばんは、荒牧さん。」
そこは勝ち誇った顔のれいこが立っていた。
今度は自分がお前を蔑む番だと言わんばかりで表情で腕を組みながら。
なおは眉をひそめながら口を開く。
「犬飼先輩?またすみれに何かしたのですか?」
するとすみれは、首を振ってなおを突き飛ばした。そしてれいこに駆け寄ると彼女を抱きしめる。
これは一体どういうことだろうか・・・。
あんなにれいこを嫌がっていたすみれが、自分をつきはなしてれいこの元に駆け寄るなど。
「ごめんね。荒牧さん。すみれちゃんは私の方がいいのですって。」
「すみれ・・・?本当なの?」
すみれはれいこにしがみついて暫く黙っていたが、れいこに「ほら。」と言われて前に出る。
「なお、私、れいこさんの方がいい。なおは私を馬鹿と言って許してくれなかった。何も。でも、私は馬鹿じゃないわ。れいこさんに何でもしてもいいって許してくれたの。私、許されたいの。なおの言うことは正しくないわ。もう、私を助けることはできないの。」
「・・・だ、そうよ?」
れいこはもう一度すみれを抱き寄せると彼女の額にキスをする。
「嘘よ・・・すみれは先輩に言わされているのだわ。」
れいこは完全になおを見下した表情で笑うと、すみれに自分の唇をトントンと指さした。
するとすみれは何のためらいもなく、れいこにキスをする。
恍惚とした表情で。
「すみれ・・・?」
「なお、私は今、れいこさんとキスする方がいい。れいこさんとこれからたくさん遊ぶの。」
「・・・だ、そうよ?」
なおの戸惑う表情を見てれいこは高笑いをする。
勝った。完全に荒牧なおに勝ったのだ。
そう思うと笑いが止まらない。
「哀れね、荒牧なお。」
そしていつかの台詞をそっくりそのまま返してやった。
「今、すみれちゃんを返すと貴女酷いことしそうだから、頭が冷えたら私のところに来なさい。それまで私の部屋ですみれちゃんは生活するから。」
「・・・だ、そうなの。なお。」
なおはれいこへの怒りなのか自分へのふがいなさなのか全くわからなかったが涙をためながら震えている。
「へぇ。貴女もそんな表情するんだ。可笑しい。」
「・・・貴女は勘違いしている・・・。」
なおは俯いたままそう言った。
「なんですって?」
「貴女は悪魔を創り出したつもりでしょうけど。勘違いしている。すみれは生まれながらの悪魔よ。発言権を持たせているようだけれど、貴女は自滅するわ。すみれにそんなことさせたら・・・貴女、食い殺されるわよ。」
何を言っているのだ。
れいこは片目を細める。
すみれが生まれながらの悪魔?
何を言っているのだ。
「もしかして、負け惜しみ?」
「そう捉えるならそうしたらいいわ。でも、いつか後悔する。すみれは最初から悪魔。」
れいこはちらりとすみれを見る。すみれは怯えるような目でれいこを見つめていた。
そして、声を震わして言う。
「なお、私のことそう思っていたの?私の事ずっと悪魔だって。酷い・・・。だから、私を馬鹿にしていたの?酷い・・・。」
なおはすみれの言葉を聞かず部屋に入っていく。
「哀れね・・・。先輩。」
この期に及んでなにを言っているのか。
所詮は負け犬の遠吠えだ。
すみれはここにいる。
すみれはこんなにも自分の言うことを聞く。
すみれは従順な犬であり、自分が創り出した至高の悪魔だ。
「れいこさん、私は悪魔なのですか?」
「気にすることはないわ。貴女と私は同じなの。荒牧さんはそれを羨ましがっているだけ。だから、貴女は堂々としていいの。私がそれを許しているのだから。」
すみれはそれを聞き満面の笑顔。
「すみれちゃん言ってみなさい?今、貴女何がしたいの?」
「キス・・・させてください。」
「いい子。」
れいこは自分が誰よりも偉いと思っている。
それ故、人の忠告は全く聞かない。
それが良い時もあるし・・・悪い時もある。
今回はどちらになるのか。
もちろんれいこは前者になるだろうと疑いはしなかった。
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