176 / 176
第6章 学校に入学します
21.
しおりを挟む
そんなこんなで、あっという間に家が見えてきた訳で、私達は主を起こすことにした。
【主、起きろ主よ】
お兄ちゃんが主のことを揺すり起こすが、主はうぅん~うめいて体を捻るだけだ。
【ミユキ起きて、もう着くよ?】
つい先ほど起きたスズナもそう言いながら主の頬を鼻先で優しくつつく。
だが、主はいっこうに瞼を開こうとはしない。
流石にここまで来るとみんな呆れながらも起こすために必死になる。
なんてことをしている間に、家に着いた。
「ミユキ様、着きましたよ」
そう言って御者が扉を開けてくれるが主はまだ寝ていた。
もう少し粘ったが、ついに諦めたお兄ちゃんは呆れ顔で呟いた。
【はぁ…運ぶしかないか】
そしてお兄ちゃんは主を優しく抱き抱えると、馬車から降りたのだった。
にしても、本当に主は起きないわね…
それから部屋の中に運び込まれた主はベッドの上に降ろされ、そのまま晩御飯の時間まで起きなかったのだった。
起きた瞬間になんで起こしてくれなかったの!?と怒られたのはもはや言うまでもなく…
お兄ちゃんがため息と共に訳を話し、理解をしてもらえるまでにかなりの時間がかかった。
【……ミユキ、なんか前よりも幼くなったね】
スズナは尻尾をゆるゆると振りながらそう呟いたのだった。
***
【ミユキ起きて❗ 学校、行かないの?】
「んん…」
【早くしないと、学校に間に合わないわよ?】
「がっこぅ…? 学校⁉️」
ガバッと体を起こして、私は叫んだ。
「どうしよう、寝坊した❗ …………なんでエレンは笑ってるの?」
そう、エレンは慌てて起き上がった私を見て、肩を揺らしながら笑っているのだ。
【いや、別になんでもない… 本当になんでも…フフッ】
私は頬を膨らませて笑うエレンのことをつついた。
「いいから正直に言ってよ」
【なら言うが、これを知っても怒るなよ?】
念を押してくるエレンに私は頷く。
スッと大きく息を吸ったエレンは、部屋の中にある時計を指差した。
うん? 時計がどうした……
そこまで思って私は目を見開いた。
「まっ、まだ学校に行くまでたっぷり時間に余裕があるじゃん❗ 遅刻するって言ったのに… 私を騙したの?」
【ち、違うぞ❗ タポポ達はミユキを起こしても起きないから嘘をついただけで… けっして騙そうと思った訳じゃ…】
【タポポ、嘘をついたって言っちゃダメだよ】
【あっ❗】
自覚なく嘘だと認めたタポポを注意しつつも、これまた自覚無しに嘘だと認めたヌレバ。
「もう分かった、私のためを思ってやってくれたことなんだね」
私はあわあわとしているふたりの頭を優しく撫でた。
【主、起きろ主よ】
お兄ちゃんが主のことを揺すり起こすが、主はうぅん~うめいて体を捻るだけだ。
【ミユキ起きて、もう着くよ?】
つい先ほど起きたスズナもそう言いながら主の頬を鼻先で優しくつつく。
だが、主はいっこうに瞼を開こうとはしない。
流石にここまで来るとみんな呆れながらも起こすために必死になる。
なんてことをしている間に、家に着いた。
「ミユキ様、着きましたよ」
そう言って御者が扉を開けてくれるが主はまだ寝ていた。
もう少し粘ったが、ついに諦めたお兄ちゃんは呆れ顔で呟いた。
【はぁ…運ぶしかないか】
そしてお兄ちゃんは主を優しく抱き抱えると、馬車から降りたのだった。
にしても、本当に主は起きないわね…
それから部屋の中に運び込まれた主はベッドの上に降ろされ、そのまま晩御飯の時間まで起きなかったのだった。
起きた瞬間になんで起こしてくれなかったの!?と怒られたのはもはや言うまでもなく…
お兄ちゃんがため息と共に訳を話し、理解をしてもらえるまでにかなりの時間がかかった。
【……ミユキ、なんか前よりも幼くなったね】
スズナは尻尾をゆるゆると振りながらそう呟いたのだった。
***
【ミユキ起きて❗ 学校、行かないの?】
「んん…」
【早くしないと、学校に間に合わないわよ?】
「がっこぅ…? 学校⁉️」
ガバッと体を起こして、私は叫んだ。
「どうしよう、寝坊した❗ …………なんでエレンは笑ってるの?」
そう、エレンは慌てて起き上がった私を見て、肩を揺らしながら笑っているのだ。
【いや、別になんでもない… 本当になんでも…フフッ】
私は頬を膨らませて笑うエレンのことをつついた。
「いいから正直に言ってよ」
【なら言うが、これを知っても怒るなよ?】
念を押してくるエレンに私は頷く。
スッと大きく息を吸ったエレンは、部屋の中にある時計を指差した。
うん? 時計がどうした……
そこまで思って私は目を見開いた。
「まっ、まだ学校に行くまでたっぷり時間に余裕があるじゃん❗ 遅刻するって言ったのに… 私を騙したの?」
【ち、違うぞ❗ タポポ達はミユキを起こしても起きないから嘘をついただけで… けっして騙そうと思った訳じゃ…】
【タポポ、嘘をついたって言っちゃダメだよ】
【あっ❗】
自覚なく嘘だと認めたタポポを注意しつつも、これまた自覚無しに嘘だと認めたヌレバ。
「もう分かった、私のためを思ってやってくれたことなんだね」
私はあわあわとしているふたりの頭を優しく撫でた。
11
お気に入りに追加
363
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。

転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~
丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月
働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。
いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震!
悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。
対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。
・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。
もう少しマシな奴いませんかね?
あっ、出てきた。
男前ですね・・・落ち着いてください。
あっ、やっぱり神様なのね。
転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。
ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。
不定期更新
誤字脱字
理解不能
読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
第二章の3と4が逆になってます
にゃん太郎様、教えてくださりありがとうございます。
訂正いたしました。
また、このようなことがありましたら教えていただけるとありがたいです。
ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。